北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~   作:far
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久々にネトゲやってたら投稿を忘れてました。
時間って有限だなあ。


今回は北斗の拳よりも 麻雀の成分タップリでお送りしております

 気付けば、暗いのか明るいのかもわからない謎空間で、サシで麻雀を打っていた。

 

 相手は女人像だ。

 

 もう一度言う。女人像だ。間違いない。

 間違いであって欲しいが、間違っていないんだ。

 周りの謎空間の事もあって、夢であってくれと願ってもいる。でも醒めないんだ、この夢。フフ…… 怖い。

 

 誰か助けて。

 

 あっ、ハイ。俺の番ですね。お待たせしてスンマセン。

 でもそれ、ロンです。三色、ドラ1のみで、3900。

 

 どこからともなく点棒が現れ、女人像の手がそれを握って、こちらへとその手が伸びてきた。

 だから怖ぇぇよ。

 点棒受け取るのが初めてじゃないから、まだ叫ばないけどよ。最初はモロに叫んだぞ。「ヴァッホイ!」って。

 逆に点棒をあっちが受け取る時は、俺が点棒を卓に置いたらフッって消えるんだけどよ。

 まあ、それはそれで怖いけども、手が伸びてくるよりはマシかなって。

 

 目の前で牌が、誰も触れていないのに次々に裏返されて、かき混ぜられていく。

 そして徐々に高速になっていき、一箇所に固まって、そしてハジけた。

 そうして飛び散った牌は、自然と開始のための4つの山にキレイに並べられている。あとはサイコロを振って配牌すれば、対局開始というわけだ。

 

 うん、オカしいよね。

 

 誰も触れずに牌が宙を舞うとか、全自動卓ってそういう意味じゃないよね。

 でも何よりもオカしいと思ったのが、こうして配られた牌にツミコミが仕掛けてないという点だったんだよね。

 こんだけの事ができるのに、自分に有利なイカサマしないとか、オカしいよね。

 

 そう考えている自分を、汚れちまったなと思わないでもないが。でもここ、世紀末ワールドだしさあ。

 法律とか以前に、政府が無いんだもんよ。悪い意味で、自己責任で何でもありになってるんだぜえ。

 

 人が他人のものを取らなかったり、傷付けなかったりするのは、まあ色々理由はあるだろうが、究極的にまとめていうとだ。

 割に合わないからだ。

 リスクとリターンが吊り合わない、という事だな。

 バレなきゃ犯罪じゃない、なんて言葉もあるが、バレたら犯罪でペナルティだ。

 

 で、そのペナルティの重さとか、そもそも何したらペナルティなのかってさ。ルールで決まってるものじゃん?

 そのルールってさ。法律じゃん?

 で、今さあ。その法律を守らせる、もしくは破ったやつを捕まえる警察も。その法律自体を保証、運営する政府も。どっちもないじゃん?

 

 つまりは、無法地帯どころか、無法世界じゃん?

 

 そういう世界だと、自分の身は自分で守る。ダマされた方が悪い。むしろイカサマしない方がバカ。そんな暗黒賭博世界染みた空気が、世を支配してしまう。

 弱肉強食、勝ったほうが好きにふるまうというのは、古来からずっと、こうして世が終わった先ですら通用する、人類発生前からの、野生の掟だ。

 

 そんな古い掟も、石像には関係なかったらしい。

 

 なんかフェアなんですけど。

 普通にいい勝負できてるんですけど。

 いざとなったら、イカサマ使ってでも勝とうと考えてる自分が、ちょっと恥ずかしいんですけど。

 

 やべえ、どうしよう。どうしていいのかわかんないぞ。

 そもそも修羅の国にヨガテレポートした直後。何かに呼ばれているような気がして、そっちへとバイクを走らせたら、女人像見つけて。

 えっ、こんな簡単に見つかっていいの。と思いながらも手を触れてみたら、こうなったんだよな。

 

 明るいか暗いか、広いのか狭いのか、何もわからない、ガ○ダムのニュータ○プ同士の交感シーンのような、あの謎空間に引き込まれていた。

 目の前に麻雀卓があって、大きさが人と同じくらいにまで縮んだ女人像が、それでも立ち姿はそのままに対面の席に…… 座ってはいないが、スタンバっていた。

 麻雀牌が上から滝のように降り注いできて、ひとりでに山の形を作ると、俺の体がフワリと持ち上がって、席へと運ばれてしまった。

 

 あっ。これアカンやつや。

 

 何となく悟った俺は抵抗を諦めて、大人しく運ばれて、導かれるままにサイコロを振って、流れのままに麻雀を打つ事にした。

 そして現在に至る。というわけなんだが。

 

 これって勝つべきなのかなあ。それとも負けてもいいのかなあ。

 試練なのか、接待麻雀すればいいのか、それが問題だ。

 ゲーム的な試練なら、素直に勝てばいい。クリアして何かを手に入れる。そういうイベントなんだろう。

 だが女人像の中の人が、ただ単に自分も麻雀打ってみたくなっただけだった場合。

 楽しんでもらった方が、きっともらえる報酬はいい物になると思うんだ。

 

 中の人が、いるのかどうか。女人像に表情なんぞはないから、その辺読めないんだよな。

 何度か話しかけては見たけども、しゃべらないからそこからも読み取れないし。

 ポンとかチー、リーチの場合でも、牌を操作するだけで発声しないし。

 ああ、牌を動かすのにも、念動だかサイコキネシスだか見えない手を使ってるのか、牌が勝手に動いてる。手を伸ばしてくるのは、こっちに点棒を渡す時だけだ。

 だからビビッたんだけどね。

 

 そうして俺が迷いながらも、とりあえず振り込まないように防御重視で打って、相手がツモったり、それでも俺があがったりしながら迎えたオーラス。

 点数は俺が5000点ほどリード。親は俺。女人像がマンガンをあがるか、3ハン以上の役を俺が振り込むか。それ以外もあるが、まあ、逆転のチャンスは十分にある。

 正直、俺の手は悪い。

 開幕5シャンテン。これは遊☆王で言うなら、手札事故。

 それも5シャンテン、つまりテンパイ(あと1枚であがり)まであと5つではあるんだが、それはとある役満のテンパイまであと5つという事でなあ。

 

 うん。わかる人にはわかったと思う。国士無双に、近いハイパイです。

 

 麻雀は普通は、234とか666なんかの3枚のセットを4つと、同じ絵柄の牌のペア1つをそろえるゲームなんだが。これには例外がある。

 アメリカ生まれの役であるらしい、七対子(チートイツ)。ペアが7個であがりになって、点数計算も特別になるヤツだ。

 それと麻雀の中で大物であるところの、役満のひとつ。国士無双。

 マンズ、ソーズ、ピンズの3種類の牌の、端っこ。1と9の牌。それと字牌全種。東西南北白発中。この13牌と、あとどれか一個。これを揃える、独特な役だ。

 独特すぎて、だいたい捨て牌でバレる。

 途中で諦めても、独特すぎて他の役に切り替えが難しい。

 などなど、デメリットも色々とあるが、役満だけにロマンを求めて目指してしまう事が多い、魅惑の役。

 

 よし、やってみるか。

 

 今回、どうせ勝っていいのかわからんし、いいだろ。そんな軽い気持ちだった。

 でもさあ。そういう、軽い気持ちの時ほどうまくいっちゃう事って、なくない?

 うん。あがっちゃったんだ。国士。それも10巡目で。

 欲しい牌がサクサク入ってきてなあ…… 13面待ちなんて、生涯で初めてだったぞ。

 

 それで、どうなったかって?

 

 ツモって言って、倒した俺の手牌を見た女人像が、プルプル震えだしてなあ。

 あっ。これ、アカンやつや。そう思ったんだけども、体がうまく動かなくってさあ。

 ヨガテレポートも、うまく働かなくってさあ。

 

 伸びてきた女人像の手に、胴体のど真ん中を貫かれちゃってるんだわ。今。

 

 これが不思議と痛くないんだけども。

 でも動けないし、動いたらマズそうだし。

 ここから、どうしたら正解なんだ? というか、そもそもここから正解まで行けるのか?

 それとも、ゲームオーバーだったりするのか? それならそれで、早くして欲しいんだが。

 

 死に際の集中力とか、走馬灯とかじゃなくって、マジで世界が止まってるんだけど。

 

 えっ。バグ? もしかしてバグった?

 ちょ、オイ。マジか? マジでバグなのか?

 え~っと、こういう時は…… 運営? どこだよ運営。それっぽいのって言ったら、ウィンドウさんくらいだぞ。

 でもあのウィンドウさんじゃ、これっぽっちも何とかなる気がしないんだけど。

 

 ………………

 

 お~い! 誰か~! たーすーけーてー!!

 

 

 



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