北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~   作:far

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推したい作品があったんで、一話でっちあげてみたら、ほぼお酒で埋まった。不思議。
でもカニと日本酒美味しいです。越前カニの旬は、今月10日くらいまでだったそうで。

推すのは ダルマ氏の 機動戦士ガンダム 俺の野望
フルダイブのヴァーチャルゲームが実用化された近未来。初代ガンダムで連邦やジオンに所属して、指揮官コースか兵士コースでシャアやアムロらをはじめネームドと会話したり撃墜されたり、関係ねーとジャンク屋したり、観光したり、会戦など大型イベで上位入賞を狙ったり、自分のMSを改造したりするゲームに参加する、大学生らのお話。

というか、このゲーム欲しい。俺、ザクに乗って大気圏から地上へ、真っ赤になって落っこちながら「シャア少佐ー!」って叫ぶんだ…!

あ、本編始まります。


たまには酒を飲んでツマミを食うだけの話があってもいい。自由とはそういう事だ……

 気付けば、俺は健康的で文化的な生活を楽しんでいた。

 エアコンの効いた、温度と湿度の管理された空間とか、世紀末に来てから初めてだよ。

 風呂やトイレも、令和や平成レベルとはいかずとも、昭和五十年代程度には整ってるし。

 食事も新鮮な海の幸……を採ってくるのが面倒なのでスキルで出して、調理技術を上げるために中華風に仕上げたのを食べてるし。

 この別荘に溜め込んであった物資の中に、バスローブとかTシャツにジーンズなんかもあったし。

 衣食住と全てがそろっているんだ。

 

 もうここに住もう。

 

 俺がそう思っても、誰も強くは否定できないと思うんだ。

 本来の持ち主は除いてな。

 

 でも、本来の持ち主ことジャコウくんも、俺の での説得に応じて、快くこの別荘を譲ってくれた事だし。

 豊富な食糧と多彩な料理と酒で、専属の建築士として配下になってくれた事でもあるし。

 うん。やっぱり誰も文句はないんじゃないかな。

 

 そうしてのんびりと日々を過ごして。

 時には、別荘の物資の中から釣竿を見つけて、磯釣りを楽しんだりもした。

 ジャコウくんばかりが釣り上げて、楽しくなかったので俺は小一時間でやめてしまったが。

 あのヤロウ、幸運度だけは高そうだな。

 

 またある時は、温泉が出ないものかと、島の中心部あたりを掘ってみたり。

 ダウジングとかしてみたかったんだが。

 ウィンドウさん曰く、そういうスキルは無いらしいので、掘る場所は勘で決めた。

 

 そういえば、岩盤をパンチで壊して水を出そうとしてたアメリカンなキャラがいたな。

 

 唐突にそいつが湧いて出ないかと、周りに注意したり、パンチで穴掘りをしたりしたんだが、現れなかったな。

 期待すると、出てこない。そういうものなんだろうか。

 

 なお、温泉のほうは本当に出た。

 

 まさか出るとは思っていなかったので、何の用意もしてなかったんだがな。

 急いで少し離れた場所に北斗破顔拳でビーム撃って穴を掘る。

 次にそこらの木を南斗の技でスッパスッパ切って、丸太を量産。

 建築家のジャコウくんの指示の元、穴の壁をヨガファイヤーで固めて、丸太を埋めて、簡易ながらも露天風呂をでっち上げる。

 そうして引いてきた温泉で、よっしゃ一番風呂だ、と思ったんだが。

 

 めっちゃ熱かった。

 

 温泉卵が出来るくらい、熱かった。

 

 「源泉なんてそんなモンですよ」

 

 そう軽く言ったジャコウくんに、南斗中心脚宴会芸 チンチン大蛇 *1 を炸裂させた俺は、悪くないと思う。

 いや、ほら。温泉に入るところだったんで、裸だったんでつい、ね。

 湯加減くらい、普通は確かめるでしょうって、やかましいわ。テンション上がってたんだよ。

 勢いで生きてるんだよ。モヒカンなんだよ。温泉を見つけて、風呂造ったら、速攻でヒャッハーって突っ込むだろうが。

 そういう事は、はよ言え。ブレーキは早めにかけろ。いいな?

 

 じゃ、わかったらこの風呂場はキミが責任持って、改修しておくように。

 あん? 文句あんのか?

 うん。ないよね。やれ。

 

 後日。ジェバンニが一晩でやってくれました。という程には早く無かったが。

 一週間で、ログハウス風の屋根つき露天風呂が完成しており。

 ついでとばかりに、別荘の風呂にまで温泉が引かれていたのには、さすがに驚いた。

 お前、本当にスキル持ってないだろうな。

 

 とりあえず、伊勢海老のグリルと刺身とグラタンに、せいこ蟹こと雌のズワイガニの冷しゃぶと外子(卵)と内子(ミソ)を酢醤油でサッパリと。

 それに合わせて福井の地酒、梵と龍でねぎらっておいた。いい仕事には、一応報いてやらねえとな。

 

 せいこ蟹は、雄に比べて小ぶりながらもしっかりした味で、汁気も多い。今回は冷しゃぶにしたが、鍋でもおいしいぞ。

 だが本命は身よりも卵とミソ。濃厚でコクのある、実に酒が美味くなる味なんだ。

 それを洗い流す、さわやかな酒が福井には多い。芳醇旨口ならぬ、淡麗旨口というべきか。

 淡麗というと、辛口が普通で、切れのある味わいが想像しやすいのだが。

 こう、何と言うか、品がある、繊細な柔らかさのある淡麗なのだ。

 ふうわりとした、良く出来たどぶろくのような、米の優しい甘みと、清酒のスッキリとした後口。

 それでいて、カニミソと卵の濃厚さを受け止められる、旨味。それが福井の酒である。

 

 梵は、氷点下で1年以上熟成させたものをブレンドして作られる、兵庫県の特定地域の米のみを原料とした酒だ。

 ロサンゼルス国際ワイン・スピリッツコンペやロンドンサケチャレンジなど、海外の品評会への挑戦をして、しかも金賞やベスト・グラスなどを取っている。

 よくできた日本酒はフルーツのような香りがするが、梵もそれに漏れず、青リンゴにも似たさわやかな香りがする。

 味わいは、濃い白ワインのように、甘い。だが、重くは無い。

 あくまでさわやかに、舌に負担とならず。喉の奥へと流れてゆく。

 よく磨かれた、なめらかな酒だ。

 

 そこは、作っている合資会社加藤吉平商店のこだわりでもあるらしい。

 精米度数が高いのだ。米を削って、芯とそれに近い部分だけを使うのが吟醸酒や大吟醸なのだが、この会社は特にその傾向が高い。

 超吟というクラスに至っては、残り20%まで米を削っているという、ほぼ芯だけというこだわりよう。

 それと作るのは純米酒のみ。材料は米と麹と水だけだ。というガンコな職人気質な作り手の顔が見えるよう。

 熟成も、0度以下の氷温熟成。納得いくまで十年以上でも熟成するぞ、という凝りようだ。

 

 ただ、凝りすぎて、経営がアレになりかけたらしい。

 

 職人のサガだな。いや、業の方かも知れん。

 おまけに、日本酒ブームが来る前は、日本酒と言えば辛口オンリー。日本酒自体の売り上げも年々下がっていっていたという、完全な逆風。

 そこで彼らは、海外へと打って出た。

 優秀な営業でもいたんだろうか。各種品評会へと出品、最高の評価を受けて、その戦略は成功した。今では百以上の国へと輸出しているんだそうな。

 

 龍は、老舗の銘酒そのものだな。創業1804年、文化元年という黒龍酒造の酒だ。

 そんな会社も、税制で有利になるからか、株式会社になっていたりするあたり、少し世知辛い。

 松岡藩が酒作りを奨励して、全盛期はご近所に17あった中で、最後に残った2つの酒蔵のうちの一つ。

 

 大吟醸は市販するものではなく、料亭などにおろす物。

 それが常識だった時代に、いい物が出来たから、と市販しちゃったチャレンジャーでもある。老舗なのに。

 

 まあ、日本の酒蔵は、いや酒蔵に限ったことじゃないが。古い物はもっと古いからなあ。

 老舗だけどまだ新参。とかいう、わけのわからない状態なのかもしれない。

 実際、日本最古の酒蔵は茨城の須藤本家で、なんと創業が永治元年、1141年らしいからなあ。

 1141年だぞ? 鎌倉幕府成立(1192?1185?)より前なんだぞ。それが現役で経営してるってお前。

 

 まあ、ここだけが例外で、あとは1487年長享元年創業の秋田の飛良泉本舗がそれに続く第二位と、346年も飛ぶんだがな。

 鎌倉幕府のできるまでの戦乱やら、南北朝のあれこれやら、応仁の乱からの戦国時代やらで、酒が造れるほど豊かな家には、色々とあったらしい。

 近畿地方での老舗は、かの有名な神戸東灘の剣菱(三位)1505年永正2年創業と、酒蔵というかもう酒造メーカーな京都伏見の月桂冠(十七位)1637年寛永4年くらいしか残っていないあたり、お察しだな。

 

 まあ。ヒャッハーされちゃったんだろうなあ。

 

 まあ、なんだ。

 そんな生き残ってきた老舗の酒蔵は、いい水場を持ち続けているという共通項がある。

 黒龍酒造の場合は、白山系の雪解け水を源流とする、九頭竜川の伏流水だな。

 京都の方の硬水ではなく、軟水なんだが。それゆえに方向性が辛口ではなく旨口へと自然と流れたと思われる。

 だってそっちのが向いてるもん。

 

 米は梵と同じく、兵庫県の特定地域の酒米。麹は、科学的手法が導入された管理をされている。

 数十種類の酵母が、-85度で冷凍保存され、それが無菌室で解凍、培養、選別されて作られるのだ。

 雑菌による影響を排除するため、食品的な安全のため、取り入れたらしい。

 ホコリなどを除いたクリーンルームでの瓶詰め作業といい、いい意味で近代化している。

 

 さて肝心の味だが。

 龍は越前の海の幸の、素材の味を生かすように作った。そういう酒で、そういう味わいだ。

 香りは、梵をしのぐ。華やかさを感じさせるその香りは、すっきりとした梵とは違い、複数の果物の組み合わさったような甘い香りだ。

 その香りが、口にすればふわっと広がっていく。米の旨みと甘み。それが香りと共に舌を駆け抜けて。

 そして、スッ… と消える。舌の上には、わずかな余韻が残るのみ。

 

 その上に、また海の幸のツマミを放りこみ、そしてまた龍を口にする。

 ツマミとともに口にした味わいも、また格別である。

 それが次の一口でまた余韻を残して消え去り。

 また次のツマミへ。そして、また杯を傾けて。

 お銚子が空いたのならば、梵へと切り替えて。ツマミが切れたならば、追加して。

 とうとう鍋を持ち出して、カニスキからの雑炊まで平らげて、満腹になった腹をなでながら、ようやく気が付いた。

 

 あれ、アミバじゃん。お前、いつ来たの?

 いや、今更? って顔されても、ぜんぜん気付かんかったし。ほら、カニ食ってる時って、カニしか見えないだろ。

 まして酒もあったら、さあ。しょうがないじゃん。だろ?

 

 で、お前何しに来たのよ。

 

*1
なお、ぶらぶらさせながらの下から伸ばしつつの振り上げである

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