北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~ 作:far
モヒカンのキャラが……いまいち思い出せません。
気付けば、俺は結婚していた。
お相手は何故かリハクの娘のトウ。なんか掛け声みてーな名前だな。 トゥッ!ヘァー!
実は結構な期間、トワだと思っていた。ほら、その方が名前っぽいじゃん。
原作での出番は、ポッと出て、フッと消えたな。
いや、消え方はそんな薄いっつうか、アッサリ風味じゃなかったけども。
まずトウの登場シーンだが。
ユリアを求めて攻めてきたラオウ相手に、南斗最後の将の甲冑を装備して、ユリアのフリをして代わりに捕まろうとしたのが初出だな。
で、即効でバレる。
ひと目でバレてたあたり、どんだけバレバレだったんだろうな。
仮面一つで、親兄弟ですら騙せそうな北斗ワールドで、即バレだぞ。逆にスゴいわ。
それでお前に用は無いとばかりに、立ち去ろうとするラオウにだ。
ずっと前から好きでした。と、なぜか告白。
一応、面識はあったっぽい。
でもそんな空気は、ラオウもそこに至るまで一切感じてなかったらしく。
えっ?
みたいな軽い驚きのみで、それをスルー。
すると、トウは突然
テメーもユリア狙いかよ!
と、言わんばかりのキレで、取り出したナイフで唐突に自殺。
その理由が、目の前で自殺したら、少しはラオウの心に残るだろう、という……
こう…… なんともよくわからない理由で。
一瞬だけの出番で、そんな歯切れの悪い、もやっとしたものを残していった。
俺にとっては、そんな微妙なキャラだ。
しかも化粧が濃いし。
なんか、若くなさそうだし。
というか、父親のリハク自体が白髪の老人なんで実際に若くない疑惑が。
あれ? 俺、なんで結婚したんだっけ?
声がDD北斗の拳だと、釘宮だったから?
そんな風に疑問に思いながらも。
朝起こしてもらって、一緒に朝飯作って食べて。
秋山師匠の食堂の仕込みに出かける俺を見送ってもらって。
お昼のピークを過ぎたあたりで、食堂から開放される俺と合流して。
二人乗りのバイクで、手下の特殊モヒカンどもの見回りに出て。
日が暮れる前に帰って来て、一緒に食卓を囲む。
牛肉、トモサンカクのステーキを、ボルドー産の赤ワインでいただく。
トモサンカクは牛の後ろ足、モモの付け根あたり、最もサシ(網の目状に入った脂肪)が入ってると言われる希少部位。
全体重600~700Kgが平均の牛1頭に付き、3kgほどしか取れないのだ。
それに、じっくりと熱を通す。焼くのではなく、熱を通す。
色が黒くなって状態が変わってるのは、あれ火傷してるのと同じようなもんだからね。
ほんの表面だけ、肉汁が逃げていかないようにそうした後は、弱火で、もしくは余熱でじっくりいく。
火の通ったレアとは、そういうことだ。
熱が通され、脂肪が肉汁となって旨みに変わり。
肉自体も、極力柔らかさを保ったまま弾力は増し、それでいて繊維はほぐれて最高の食感になる。
生肉のままでは細胞内で眠るだけだったうまみを引き出す。
ああ。調理ってのは、まったく素晴らしいじゃねーか。
ナイフでスッ… と切れる柔らかさ。一口食べれば、脂が普通の肉とは明らかに違う軽さと、なのに濃いうまみが舌を驚かせる。
赤ワイン、酢、醤油に砂糖と玉ねぎ他で作り上げた、秋山ジャン式シャリアピンソース風XO醤がまた、ソースとしてそれとからんで。
幾層もの絹を重ねたような、柔らかな肉を噛み切る心地よい感触とともに、口いっぱいに広がって。そして消えてゆく。
そんな、これがいい牛肉だ。というくらいのしっかりした、インパクトのある味に合わせるワインは、どっしりとした赤がいい。
だが、まずは食前酒だ。我慢できずに、一口食べちゃったけれども、食前酒だ。
これも赤ワインで行こう。
フランス、ボルドー産。バロン・ド・ロートシルト サガR 赤
直訳すると、 ロスチャイルド男爵の伝説 になってしまう、ネーミングがちょっとアレなせいで覚えていた一本だ。
ロートシルトって、ロスチャイルドのフランス語読みなのな。というのでも覚えてた。
男爵なのは作ってる畑のオーナーがそうなんであって、このワインの味わいが高貴というわけではない。
が、実際の味わいはエレガントさを感じるので、そういう意味でもいい気はする。
カベルネ・ソーヴィニヨンだったか。そういう種類のブドウから作ったミディアムワイン。
その種のワインの特徴でもある、ベリー系の香りが心地よい。
味に広がりがあると、複雑さと繊細さを感じるが、パンチと印象はボヤけるものだが。
ほど良い凝縮感でもって、そのあたりのバランスの取れたいいワインだ。さすが伝説。
そしてそのバランスを、次の一本でふっ飛ばす。
ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト ポーイヤック・レゼルブ スペシアル
フランスのワイン用ブドウ畑は、畑ごとにブランド化されていて、そこで取れたぶどうやそこから作ったワインなども当然区別され、特別視される。
その有名どころの畑、それも2箇所の畑から取れたブドウを使った、ブランドワインだ。
まあ、全部じゃなくて 一部使用 という、商業的なアレさはあるけどな。
だが味はいいんだ。それにこっちはフルボディワインだ。ガツンと来るぞ。
圧倒的なお肉のうまみに負けないぜ。
むしろ、うまみが液体になったような脂と、口内で溶け合って喉奥へと流れていくようだ。
どれ。流れていったところで、もう一口。
グビリとやれば、さっきは肉の香りと混ざって弱かった、ベリー系の香り。
それもブラックベリーなどの強い香りと、なぜかシナモンっぽいスパイシーな香りが口から鼻へと抜けていく。
濃い赤にありがちな、タンニン由来の渋みのある後味も、やけに滑らかだ。
ブドウの果実味が強く、それと合わさって。
うん、悪くない。この後口は悪くないぞ。
でもここに肉を追加で放り込むのはさすがにクドいんで、伊賀○炭酸水でも飲むか。
そんなこんなで一日が終わって。
ワインも飲んだし、さあ今日は夜のヒャッハーするか! ヒャッハー!
というところで、秋山師匠に起こされた俺が居るわけで。
「まったく、こんなこったろうと思ったぜ! 外では気楽にやってたみたいだが、帰ってきたからには、キッチリ朝から働け! いいな!」
え? なに?
いや、ちょっと待って。待ってください、師匠。
「なんだ、まだ寝ぼけてるのか? いいからサッサと起きろ!」
は? え? あ?
ゆ…… 夢オチなんてサイテー!!