北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~   作:far

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明日から突然の仕事再開を告げられた私は、この三週間の休みを快適に引きこもってしまった感覚から日常に戻れるのか。

それはそうと、この長期のお休みで復活した作品も多いので、あの作品は… と思い当たるものがあったら、検索してみるのをお勧めします。

卍解しないと極限生存F世界に怒られガンド目が覚めたらオビ=緑セミをよろしく

――――敬称他を略した事をお許し下さい


私の夢は現実です

 気付けば、サウザーが高笑いをしていた。

 今日は結婚式だから、そういう意味なら解らないではない。

 

 結婚するの、あいつじゃないけどな。

 

 そもそもサウザーは、常日頃から「愛などいらぬ!」と言いまくってるし。

 原作でも付き合える可能性のある存在すら、いなかったはずだし。

 なんなら、弟子的存在もいないし。

 多分、何もかもうまく行った人生でも、老後はお察しなんじゃねえかなあ……

 

 あっ。高笑いやめて、こっち見た。

 こっち見んな。

 あっ、また笑い出した。

 

 

「はーっはっはっは! 哀れ! 自ら望んで人生の墓場に入ろうなどとは! 哀れぞ、レイ!」

 

 

 めでたい場で、そういう事言うなや。

 

 そう俺がツッコミを入れようとしたが、それより先にレイの妹のアイリをはじめとする女たちから、ボウガンの矢の雨がサウザーに。

 やはり結婚とか、そういう事を茶化したり否定すると、女を敵に回すらしいな。

 

 おー、おー、さすがサウザー。全部避けてる。

 高笑いしながら避けてる。

 でも、そういう事やってると、来ちゃうだろ。アイツが。

 

 

「はーはっはっは! 南斗鳳凰拳に致命のって、ぐわぁぁあああ!! き、キサマどこから……」

 

 

 久々に出たな、妖怪ターバンのガキ

 ここサザンクロスで戸籍なんぞも作ってみたというのに、どこの誰だか誰も知らなかった少年。

 オマケにいつまで経っても成長しないという、マジで妖怪なのか、またはヨガの達人なのか謎な少年。

 

 だがとりあえずはよくやった。

 よし、今だ。みんな、このモヒカンリーダースキルで出したボウガンその他を使うんだ。

 

 モヒカン、キサマ裏切ったなー! と叫ぶサウザーに矢がいくつか刺さる。

 全部刺さってヒドい事になったとしても、きっとギャグ補正かなんかで、大丈夫だと 思う が。

 そんなもんなんか無くても、大丈夫っぽいな。

 うん、良かった。ちょっとだけ俺のせいでもある気がするが、まあ良かった。

 

 はいはい。全員そこまでなー。今日はおめでたい席だから、血とかやめようねー。

 特にそこの南斗六星の面々。こっそりトドメを刺そうとしない。

 

 

 

 さて。

 

 ちょっとばかりオープニングが長引いたが、あらためて説明しよう。

 今日は南斗水鳥拳のレイの結婚式だ。

 お相手は、マミヤ。ちなみに できちゃった結婚 だったりする。

 

 まあ、それはそれとして。

 

 今日の結婚式に至るまで、実は俺も結構がんばった。

 妨害してくる奴らを、何とかしようとがんばった。

 

 以前脱衣麻雀で、マミヤが天帝ルイさまに脱がされた結果できてしまった、マミヤのオッパイを崇める謎集団

 あれの過激派がレイを襲撃したり、結婚式の会場をことごとく先回りして予約し倒したり、婚約指輪を隠したりと。

 単純なものから、よくわからん方法まで。

 いや、よくわからん方法の方が多かったが、とにかく妨害に走ったんだわ。

 

 一番厄介だったのは、マミヤの父親を反対派に巻き込んだことだったがな。

 

 あればっかりは、殴って解決できなかったからなあ……

 

 まあ親父さんも、ウチの娘はやらん! というのをやってみたかっただけで、レイが腹をくくって説得に出たらアッサリ許してくれたけどな。

 裏で俺が、娘さんのお腹が大きくなる前に式を挙げた方がいいですよ、とアドバイスしておいたのも効いたかもしれん。

 

 

 それとユダが、な……?

 

 

 アイツさあ。レイにもマミヤにもこじらせてるじゃん。

 自分が誰よりも美しいとか言いつつさあ。

 水鳥拳で空に舞うレイの動きと、マミヤのオッパイに美しさで負けたと感じてさあ。

 でも認めたくなくて、こじらせてるじゃん。

 

 原作だと、壊して無かった事にしてやるわー! と暴走してたけど。

 それでもマミヤに焼き印だか入れ墨を入れたのは、オッパイじゃなくて背中にだったし。

 いや、腕にだったか? 原作とアニメとか、原作でも場面によって色々違うから困るが、まあよくある事だ。

 

 しかも原作でのユダの死に様が「せめてその胸の中で…」と、倒れながらレイに寄りかかっていくというアレッぷり。

 しかも日常的に化粧をしていて、レイに「お前の血で化粧がしたい」という意図不明なキメ台詞 ――キメェ台詞?―― を吐いていた。

 

 今回も、許さん。俺は決して、許しはせんぞー! と全力でダダを捏ねていた。

 修行しなおして、ゴッドランドとか牙一族とか、そのへんのエネミー集団を壊滅させて従えてサザンクロスに殴りこんでくるくらい暴れやがった。

 

 だが許してやろうと思う。

 だってオールマイト in デビルリバースな八木さんに、吹っ飛ばされたからな。

 全部まとめてスマッシュ一発だったわ。さす八木。

 

 しかも今回の式場、ユダの城だしな。

 

 ちょくちょく南斗六星の面々が集まってダベッてたんで、交通の便とか道中の治安が、地味にいいんだ。

 あと、マミヤさまが見てる教会が、ここには無いし。

 

 

「ううっ、俺はなあ… 俺はっ!」

 

「ま、まあ飲め。式の間くらいは付き合ってやる」

 

「いや、ユダが酔いつぶれたら、俺たちの余興はどうする」

 

 

 今もなんか飲んだくれて、シュウとシンに慰められてるみたいだし。

 まあ、ユダはもういいかなって。

 

 

 

 さて。

 

 周りを見渡せば、飾り付けられた室内にいるのは、皆だいたいが笑っている。

 

 あの仏頂面で、怒り以外は表情がほぼ変わらないケンシロウさえも、ユリアと共に微笑んでいる。でもお前等の式はいいのか?

 やったらやったで、今回さりげなくハブった北斗関係者らで面倒が多そうだが。

 やらないと多分、いくらユリアでも根に持つぞ。

 

 サウザーも気分がいいのか、特別に祝ってやらんでもない。特別だぞ。今日だけだからな。と言い訳をしながら、照れくさそうにだが、笑顔でいるな。

 南斗つながりで来ている、五車星の奴らは ―――― うん。あれ飲み食いに来ただけだ。笑ってるけど、あれただの宴会だ。

 こういう時だけはちゃっかりいるジュウザが、サークルの飲み会だけ参加する幽霊部員みたいな、軽い扱いなのは残当ってやつだな。

 

 マミヤの側の招待客に幼女がいるけど、あの娘と、その父親として来てるあいつら誰だったっけ…? 星条旗の模様の肩パッドに、なんか覚えはあるんだが。

 話してみたけど、Ah Hah? とか Dream come とか Something else とか状況に合わない英語をテキトーに言うだけで、わかんねえんだよなあ。

 

 まあ、いいか。わからないのは、他にもいるし。

 というか、モブ村人とか正直誰が誰やら見分けがつかんし。

 カサンドラから3つ手前の村の村長です、とか村の名前すら言われてもわかんねーよ。てか、なぜ来た。

 え? レイが行き倒れてたのを拾った事がある?

 お、おう。そりゃ悪かった。今日は思う存分飲み食いしていってくれ。

 

 なお料理は秋山師匠をはじめ、サザンクロスの料理人らが出張して作ってくれたが。

 例によって素材と酒は、俺の提供だ。

 

 がんばったぜ。

 今日、この日にまでこぎつけて、無事に乗り切るために。本当に俺は、がんばったんだ。

 だから。

 

 

 実はお腹の子の父親がレイとは違う という、南斗家庭板案拳はカンベンしてくださいお願いします何でもしたでしょう!?

 

 レイだよな? レイでいいんですよね?

 以前、マミヤとお互い酔っ払ってそのまま同じ部屋で寝ちゃってた事があったけど。

 俺じゃないですよね???

 

 ウィンドウさん教えてくれ…………

 

 ………………なくていいです。なんでもないです。

 

 ユダ! シュウ! シン! 俺も飲むわ!

 もう浴びるほど飲むわ! 付き合え!

 行くぜ、ヒャッハーー!!

 

 


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