北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~ 作:far
他の格ゲーキャラも出るわ、ネタキャラな人に弟子入りするわ、アメリカ出張してケンにボコられるわと修行一色でなくて、色々楽しい。
あの世の住人のミスで死ぬのはよくあるが、ミスでストリートファイター世界に生まれるはずが現実世界に生まれてて、そのせいで事故率上がってて死んで転生は珍しい。
またミスる担当の神様が、鬼灯の冷徹世界の方々で、三話かけてあの世の描写があるのも珍しい。
気付けば、俺は1分の1サイズ、リアルフィギュア ユリアを作っていた。
な、なにを言っているのかわからねーと思うが、大丈夫だ。俺もわからない。
ただハンパでもチャチでもない、恐ろしいナニカを感じ取ってくれれば、それでいい。
あ、ありのまま起こった事を話すぜっ!
俺は都市の造り方と、その運営方法を南斗孤鷲拳のシンに教わりに来たと思ったら、シンの黒歴史を目撃していた。
具体的に言うと、だ。
親友の彼女に横恋慕した結果。何を思ったのか、1分の1の、等身大 超リアルフィギュア ユリアちゃんを作成している現場に、入り込んでしまったのだ。
即座に見なかったことにして、逃げようとしたのだが、捕まってしまった。
あれは超スピードとか催眠術とか、そんなチャチなもんじゃなかった。いつの間にか捕まって、イスに座らされていた。しかも目の前のテーブルには、飲み物とお菓子も置かれていた。
人間、追い詰められたら、ここまで限界を超えられるんだという、恐ろしいものを味わったぜ…!
「あ、あ~…。うん。俺の支配するサザンクロスへ、よく来たな。歓迎しよう」
色んな意味で戦慄が走りっぱなしで、リアクションに困っていた俺に、シンは取り繕ったようにそう言った。
どうやら、先程の衝撃的なシーンは、無かった事にしたいらしい。ですよね。
床に座り込んで、胴体の部分をかかえこみ、サンドペーパーで丁寧に削りながら「こうか? いや、違うな。ユリアの腰のクビレは、もっと…」とか言ってる所に出くわしちゃったからなあ。
うん。俺なら、そんな所を見られたら、相手を消すな。そんなヤツは、生かしちゃおけないわ。
……あれ? 俺、今、ピンチ? こんな理由で!?
「ん? どうした? 紅茶は苦手だったか?」
いかん。怪しんでおられる。
今は弱みを握られたと思って、動揺しているからいいが、冷静になったらヤバい。
シンは初期ケンシロウを倒して、胸に七つの傷をつけた男。今の俺の北斗神拳のスキルレベル2では、おそらく勝負にすらならん。絶対に勝てない。
ここは話を合わせて、撤退せねば。
「いやあ。こんな上品な物は、飲むのが久しぶりでして。つい、緊張してしまいました」
「ははは。なんだそうだったか。気にするな」
おっ。シンの雰囲気が柔らかくなったぞ。これはイケるか…?
「それがお前の末期の水だからな。遠慮するな。ゆっくりと味わえ」
はい、ダメだったぁー!
いかん。よく見たら、シンの目がグルグルしている。
コイツ、まだ衝撃から立ち直ってないわ。混乱してるわ。
パニクったまま、とにかく行動せねばと、動いてるだけだわ。
ならば仕方が無い。目には目を。歯には歯を。脅迫には脅迫で対抗してやるぜ! ヒャッハー!
「いいのか? 俺の配下は100人いる。そして今、あのラオウも用心棒として食客をしている…… 俺が帰らなかったら、このサザンクロスはどうなるかな?」
「なんだと?」
マユがピクリと反応した。
よし。少しは効いたな。ならば、たたみ掛ける。
「それに俺も、少しは拳法をカジった男よ。死ぬ前に、何かを叫ぶくらいは出来ると思うぜぇ~」
「キサマァ……」
正直、精神的にも余裕は無い。だがニヤリと笑ってみせた。
そして冷めかけている紅茶をすする、菓子をほうばる。
死にたくはない。だからこそ危険なまでに余裕を見せろ。ハッタリに命を懸けろ、俺。
しばし、俺の菓子を食べ、紅茶を飲む音だけが部屋に響いた。
「…………何が、望みだ」
俺が菓子を半分食べたところで、シンが折れた。
よし。勝ったな。
「知識だ。さっきも言ったが、配下が100人いてな。食わせていくのも、住み処を用意するのも大変なのさ。是非、先輩に教えを乞いたいほどに」
シンが、そういえば、そうだったな。みたいな顔をした。
このあたりは、事前に手紙で伝えてあったのだ。今日の面会も、きちんとアポを事前に入れてあったのだ。
フィギュア造りに熱中しすぎて時間を忘れていたっぽい、目の前のバカのせいでヒドい事になったがな。
「そうだな。ふむ。……よし、こうしよう。条件がある」
少し考え込んだ後に、シンがそう口にしたのだが。イヤな予感しかしなかった。
そして、冒頭に戻る。
そういう経緯を経ての、超リアルタイプフィギュア、1分の1ユリア作製である。
うん。わかんないと思うんで、もう少し説明しよう。
シンは弱みをそのままにしておきたくなかった。だが俺を消すのは、面倒そうだ。
そこでヤツは、発想を転換した。
俺にも弱みを作ってしまえばいい。それも、フィギュアの件をバラした時に、俺にもダメージが行くように出来れば最高だ。
つまり。俺にユリアちゃんを作らせる手伝いをさせれば、俺がシンのこの秘密の趣味をバラしたとしても、だ。
「シンはお人形遊び(意味深)が大好きです!」
「そこのモヒカンも製作に手を貸してくれたぞ」
こんな感じで、連鎖爆発を狙えるわけだな。
うん。シンってバカなんだな。逆に頭いいのかもしれないけど、間違いなくバカだわ。
ああ、北斗神拳のスキルのおかげで、人体の構造が分かっているのが役立つのがとてもイヤだ。
調理技術の恩恵のおかげか、細かい作業が器用にこなせるのも、イヤだ。
[P:1→0 デク作製:1 を習得しますか?(Y/N)]
そんなスキルが存在するという事実も、イヤだ。
もうヤダこの世界。
なお、当たり前だがデク作製スキルは習得しなかった。
ポイントも少ないのに、こんなニッチなスキルが取っていられるかというハナシだ。
最初にモヒカンを轢き逃げアタックで倒した時、ポイントが入ったのだが、あれはチュートルアルの中でのサービスのようなものであったらしい。
あれ以降、モヒカンを轢き殺してもポイントは入っていない。
いや、待てよ。別の殺し方をすれば、ポイントが入るかもしれないのか?
あるいは、だ。モヒカンではない、別の種類の敵キャラを殺せば、ポイントゲットがワンチャンありえるか?
よし、今度試してみよう。
と言っても、荒野でモヒカン以外の敵キャラには、ラオウとかのネームドは除いて会った事が無いけどな。
まっさか、村人とかを狩るわけにもいかんしなあ。
いや、でも、しかし……
いやいや、いかんだろ。うん。
でも村人でも、色々いると思うしなあ。中には、殺っちゃってもセーフなヤツとか居たりして。
よし、今度試してみよう。
ゲームだしな。取説も攻略サイトも無い以上は、色々やってみないと、知らない間に詰んだりしそうだからなあ。
まあ、世紀末世界だし。弱肉強食なのはしゃーない。
今回の俺も、ラオウを仲間にしてなかったら、普通に消されてたっぽい。理不尽に抗うには、力が要る。
そして力を手に入れるのは、ポイントが要る。北斗神拳:3のためには6ポイントも要る。
調理技術も上げたいし、バイク取り扱いも上げたい。というか、どのスキルも3までは上げておきたい。
ほら。スキルって3まで育てて、一人前って感じじゃん?
1で、何も出来ない素人と違う、しかし駆け出しのレベル。中盤以降だと、持っていたら便利というスキルは1レベルで抑えておくのもアリ。
2は、駆け出しのメインスキルのレベルという感じか。2に上げても、1レベルとレベル無しの差ほどには成長した感じがしない、ガッカリ感がある。
3で、明らかに段階が変わったような効果や内容が追加されて、一人前になったような気分が味わえる。
ゲーム脳というか、そんな記憶というか。ともあれ、そんなニュアンスが脳内のどこかに残っているんだ。
それに、だいたい合ってる気はする。
シンに会いに来たのは、知識目当てでもあるが、何かイベントなり何なりでのトロフィーでのポイント目当てでもあったんだよなあ。
なぜか、ぜんぜん違う方向のイベントとブチ当たったがな。
違うんだ。求めていた方向は、こうじゃないんだ。レアではありそうだけど、これじゃないんだ。
しかも、レアだってのに、トロフィーとかは出ないでやんの。
まあ、あんなんで出られてもイヤだからいいけどさあ。
はぁ~……
安西先生…… マトモなイベントが欲しいです……