夜に太陽なんて必要ない   作:望月(もちづき)

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4 真っ黒な梟と手紙

昨日のあんな豪華な食事が嘘のように大広間には、朝食が並べられていた。あんなに立派なクリスマスツリーも、色とりどりの装飾品もすっかり片付けられた大広間は、少し寂しい感じもした。

上から降ってくる白くて軽い雪だけが、クリスマスパーティーの時と変わらずふわふわと降り続いている。

 

 

朝食を食べていると、ちらほらと梟達が、上を飛び回り、手紙や配達物をホグワーツに残っている生徒達に届けていた。

皿の上に乗っかってあるパンを取ろうと手を伸ばすと勢いよく私の前を何かが突進した。驚いて手を引っ込めたのが大正解。突進した黒い何かはもぞもぞっと起き上がって私の方を首だけでくるりと向いた。

 

真っ黒な梟だった。ぴょこぴょこと、歩み寄ってきては咥えている二つの手紙を渡してくる。少し戸惑いながらも手にとって、宛名を見てみると、兄と母からの手紙だとすぐに分かった。

 

 

───────────────────

 

可愛いレイラへ

 

この手紙が無事に読まれているということは、その子にとっての初仕事は完璧だったということだね。

 

怪我の治り具合は順調だよ。母さんが、煎じた薬を無理矢理飲ませてきたらね。この手紙が届く頃にはもう治ってるだろうな。

 

さて、本題に入るよ。この手紙を届けてくれたその黒い梟が僕からのクリスマスプレゼントだ。

レイラは、まだ梟を持ってなかったし、手紙とか色々届けてくれるから持ってると何かと便利だろ?

 

男の子だからかっこいい名前をつけて、可愛がってあげて。大丈夫。動物が少し苦手なレイラの為を思って人懐っこい子を選んどいたから。

 

 

返事を待っています。

 

兄、ノアより

 

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私は、手紙を少し握りつぶしながら真っ黒な梟を見つめた。ふわふわな黒い羽根に覆われ、キラキラと輝く真っ黒くてまん丸い瞳で私を捉えながら不思議そうに頭を傾ける。

 

「…名前…………か…」

 

私は、動物が大の苦手、いや嫌いだ。猫といい、犬という王道のものから、昆虫類まで全てのものが嫌いだ。見ただけで体が受けつけない。それなのに、兄からのクリスマスプレゼントは梟⁈……嫌がらせだと受け取っていいだろう。

動物なんてどう意思疎通を図ればいいというのだ。

人間関係もろくに上手く出来ない私が言葉も通じない動物を相手にできると思うか?答えはNOだ。

 

 

私は、少し溜息をついて、もう1つの手紙を開いた。

 

 

───────────────────

 

愛しいレイラへ

 

 

元気にしていますか?ホグワーツでのクリスマスは楽しく過ごせましたか?

 

ノアの怪我の具合もだんだんとよくなってきているので、心配はいりません。

そんなに酷い怪我ではありませんが、一応怪我人であるノアと一緒にお酒を飲もうとする馬鹿がいるので、こちらは大変です。

 

次会うのは夏の長期休みですね。…1年もあってないとなると少し寂しいですが元気で勉強も頑張ってください。

 

 

①きちんと睡眠をとること

②ご飯は、ちゃんと三食食べること

③少なくとも一ヶ月に一回ぐらいはお手紙で近況を教えてください。

 

この3つのことを忘れずに、特に3つ目をちゃんと頭に入れておいてくださいね。

 

母より

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私は、まだ机の上にいる梟に視線を移して、名前を考えた。

 

「…貴方……今日からアテールね」

 

結局私は、ラテン語で黒という意味の誰でも浮かびそうな単語を適当に名前としてつけてやった。すると、アテールはその名前が気に入ったのか何なのか分からないが、歩み寄ってきて私の腕に体を擦ってくる。

意味のわからない行動に私は行き場のない手を空中に浮かしたまま、アテールを少し睨みつけるように視線を落とすと、潤んだ瞳で見つめてきた。

 

 

 

…これだから動物は嫌いなんだ!

 

 

 

私は、アテールを抱えて走りながら梟小屋まで連れていった。此処が貴方の帰る場所だと教えるようにアテールを空いているスペースに置いてやって逃げるようにその場を後にした。

 

最悪だ!梟の毛はつくし!なんか動物臭くなったし!

 

全然嬉しくないクリスマスプレゼントを受け取った私は、兄に文句の1つでも書いてやろうかと思って羽根ペンを走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

母と兄への返事を書き終えて、梟小屋に向かおうとすると、談話室のソファーに腰掛けゆったりと時間を過ごしているセブルスを横目に寮を後にした。………名前をお互い知ったところで何も変わることなんてなかった。ただ、彼にとっての私はレイラ・ヘルキャットという自分と同じスリザリンの女子生徒が、クリスマスの夜に本をくれたという認識ぐらいだろう。

実際、話しかける勇気なんてなかったし、闇の魔術に熱心な様子のレギュラスがセブルスに何かと話しかけているもんだからそんな隙さえなかった。

セブルスも、前よりも闇の魔術に熱中しているようだったし、どうやら原作の流れは順調に進んでいるらしい。

 

 

私は、このまま関わりなく過ごすのが妥当だろう。

 

 

 

そんなことを思ってクリスマス休暇を過ごしていると、引き出しの奥に隠した本のことなどはすっかりと忘れてしまっていて、静まり返っていたホグワーツにも休暇を終えた生徒達が戻ってきた。

 

 

 

 

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