夜に太陽なんて必要ない   作:望月(もちづき)

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9 嘘つきは誰

3年生になって1番の楽しみといえば、そうホグズミードに行くこと。

 

雪が降りつづける外で防寒着を着込み、生徒達が興奮したように友達と話している中私は独りで、行っていいという許可が出るまで体を縮こませながら待ち続けていた。フィルチが手元の資料と生徒の顔を一人一人見ながら、確認する姿を見て私は白い息をはく。

いくつかの注意点を聞き流しながらやっとのことで、ホグズミードへと移動して、イギリスで唯一魔法使いしか住んでいない村、ホグズミードの町並みを目にするとやっぱりそれなりにテンションが上がり体も熱くなる。白い雪が相変わらず降り続いていたが、寒さなどすっかり感じなくなってそれぞれ好きな所に散って行く生徒達の後ろ姿を見ながら、お店の看板に視線を移した。

 

何処に行こうかと悩んでいると、よく見覚えのある後ろ姿が目に入った。セブルスだ。少しヨレヨレの防寒着を着込んで、彼は迷うことなく、ゾンコと書かれたお店の中に入っていく。セブルスが、そんな所に行くとは少し驚いたがその理由もすぐに分かった。

ゾンコに入ったセブルスは商品には目もくれず相変わらず、ルーピンを目で追っていたのだ。きっと興味もないであろう悪戯道具を手にとって、楽しそうに商品を物色している彼らを見続けている。

 

少ししてルーピン達の後を追いながらお店を出るセブルスの後に続くように、私も一定の距離を保ちながらお店を後にした。

 

 

【記憶に頼りすぎるな】

 

 

セブルスを見守りながら浮かんだのは、忠告するように本に浮かび上がった言葉だった。

 

私は、マフラーを口元まで上げて、唾と一緒に不安な気持ちも飲み込む。

 

 

 

…物語の流れが変わるのは、とても怖い。

 

 

……でも、後から後悔するのも嫌だ

 

 

そう思った時には、もう体が自然と動き出していてまだ後を追おうとしていたセブルスの腕を握っていた。

私に腕を握られたセブルスは、驚いたように振り返って私の顔を見つめてくる。

 

……大丈夫、行動に移せたんだから次は一緒に回ろうと誘えばいいだけだ。

 

セブルスの顔を見ただけでも爆発しそうな心臓の鼓動を感じて、今すぐこの場から逃げ出したいという思いを抑えながら、話しかけた。

 

「………何を…しているの…」

 

よりによって出た声は、緊張しすぎて低く冷たいものだった。何をやっているんだろう。なんでこんなにも上手くいかないんだろうか。

 

セブルスの眉間のしわが深くなるのを見ながら、私は5秒前の自分自身を恨んだ。

 

 

「…別に何でもいいだろ……」

 

 

「…こんな所に来てまで、ポッター達の後を追いかけるなんて私には到底楽しいとは思えないけど」

 

 

何でこんなことしか言えないんだろう。もっと他にも上手く伝える方法なんていくらでもあるのに。

 

私は、心の中で自分自身を責めながら、だんだんと不快な雰囲気になっていくセブルスを見つめた。

 

「僕が何しようと、お前には関係ないだろ⁈ほっといてくれ!」

 

 

セブルスが少し大きな声で私の腕を払いのけようとする。全くもってセブルスが言っていることが正しいのだが、もうこうなったら意地でもセブルスを離さないと、私は思い黙ったまま強く握り返した。

 

「離せ。」

 

セブルスは、私を睨みつけながら冷たく言い放った。

 

 

……ごめんね、離してあげられないの。こんな時ぐらいセブルスには楽しんで欲しいから。

 

 

心の中ではすらすらと出た言葉は、喉に突っかかったように声には出ずに私は黙ったままだ。

 

「離せと言ってるだろ⁈」

 

明らかに怒っているセブルスが張り上げた声で、行き来していた人達の視線を集めてしまった。通り道の真ん中でやっているのだからしょうがない。

 

 

それでも何も言わずにただただセブルスの腕を握り続ける私を見て、苛立ったセブルスは私を挑発するように少し口角を上げ、冷静に淡々と話し出す。

 

 

「お前には話す口も、聞く耳もないのか?」

 

 

もうとっくに人混みに紛れて見えなくなったルーピン達を見て、私は静かに口を開いた。

 

 

「口も、耳もあるよ」

 

「じゃあその口で、言葉にしないと相手に伝わらないということは知ってるか?さっきからお前は黙ってばっかりじゃないか。正直言って鬱陶しい。僕はそんな奴に構っているほど暇じゃない」

 

 

セブルスの口から出た「鬱陶しい」という言葉が重くのしかかって来て、胸が息しづらくなる。

 

 

「…言葉にしないと伝わないことはもうとっくに知ってる。……けど、言葉にしても届かない声があることを貴方は知ってるの?」

 

私の言葉に、セブルスは何を言っているのか分からないといった表情を浮かべた。

 

……お願い、気づいてセブルス。

 

…近くにあるのが、エバンズや闇の魔術だけじゃなくて、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………私もいるって

 

私はそんなことを思ってしまった気待ちに蓋をするように、静かに息を呑んだ。

 

 

「セブ!!!何をしているの⁈」

 

 

結構目立っていた私達の間に入るように、エバンズの声が聞こえてくると、足音が近づいてくる。

 

……来るな来るな来るな来るな来るな来るな

 

心の中で、呪文のように何度も唱えてみたが、叶うこともなくふわふわとした髪を靡かせながら私達の間に入った。

 

「…リリー」

 

エバンズの名前を呼ぶセブルスの声を聞いて、私は静かに彼の腕を握る手の力を弱め離した。

 

彼女がセブルスに何か話しかけている声が聞こえてきたが、まるで体が聞くことを拒絶しているかのようにまるで遠くで話しているように微かにしか聞こえなかった。エバンズが一言か二言セブルスに何か言うと、彼は少し困ったように眉を下げて優しい笑みを浮かべ、彼女もまたつられて太陽みたいな笑顔になる。

 

 

胸らへんがぎゅーと苦しくなるのが分かり、私は目の前にいる2人を直視できずに立ち尽くす。

 

 

……やめて、そんな表情を彼女に向かないで

 

 

まるでどす黒いどろどろとした何かを吐き出すようにゆっくりと締め付けたり、膨張したりと動く心臓の鼓動を全身で感じながら、その場から逃げるように、背を向けた。

逃げようとする私を引き止めるように、誰かが私の腕を握った。

 

「待って、」

 

後ろから聞こえたのは彼の声ではなく、明るくハキハキとしていて私の嫌いな声で、もう心臓もドロドロとした何かで埋もれてしまいそうなほど限界に近かった。…ただただ、苦しくて、辛い。

 

……この腕を握っているのが、セブルスだったらどんなに良かったのだろう。

 

 

私の腕を握るエバンズの顔を見ながらそう思った。

 

 

「これからセブと三本の箒で、バタービールを飲むんだけど、貴女もどうかしら?」

 

彼女の後ろで、軽く私の方を睨むように見つめてくるセブルスが見えた。

 

それもそうだろう。

 

彼にとっては、せっかく大好きな女の子と2人っきりで過ごせるチャンスなのに、私が来たらそのチャンスもなくなってしまう。

 

断ろうとして、口を開いたが、一瞬セブルスと彼女が楽しそうにバタービールを飲みながら話す姿が脳裏によぎった。

 

「…丁度良かった。私もバタービールを飲みたい気分だったの」

 

私の言葉を聞いた彼女の嬉しそうな声が聞こえてくる。

 

「良かった。一度私も貴女とお話したかったの」

 

そう言う彼女の太陽のような笑みを見て、私は目の前にいる彼女という存在がこれまで以上に憎く、恐ろしく感じた。

 

………悪魔…

 

私の一番欲しいものを奪っていく彼女の笑みは、悪魔にしか見えなかった。

 

 

 

 

 

 

三本の箒と書かれた看板が掛かってあるお店に入ると、店内は暖かくて、他のお客さんの声で賑わっていた。空いている席に腰掛け、エバンズは注文を聞きにきた店員にバタービールを3つと、指を三本たて注文する。

もちろん座る位置は自然と決まった。エバンズの隣にセブルスが座り、机を挟んで彼女の前に私が腰掛けた。暖かい店内の中にいると暑くなりマフラーを隣の空いている席に畳んで置いた。

 

 

バタービールは、割りとすぐにきて飲もうと口につけるとエバンズがちょっと待ってと止めに入ってくる。

 

「乾杯がまだじゃない」

 

ほらほらと急かす彼女を見て、何がめでたくて乾杯をしないといけないんだと思いながらも付き合った。

 

「はい、じゃあかんぱ〜い」

 

エバンズの言葉で、3人のグラスが当たった音が響き、衝撃で少し溢れたバタービールが手にかかった。勿体無いなと思いながら、お手拭きで拭き取って初のバタービールを飲んだ。喉が渇いていたこともあってか、今まで飲んだジュースの中で何よりも断トツに美味しく感じた。

 

「美味しいわね。ね、セブ?」

 

セブルスは、飲み続けたまま頷く。

 

少し気まづい雰囲気が流れた後、彼女が元気よく私に話を振ってきた。

 

「ねぇ、貴女名前はなんていうの?」

 

その言葉に私は、飲んでいた手を止めて彼女を見つめた。

 

教えたくないという私の気持ちを察してなのか、エバンズはグラスを置いて説明しだした。

 

「去年、セブとポッターが喧嘩をしている時に貴女が何も言わずに私を連れてその場に連れて行った時あったじゃない?」

 

その言葉に、セブルスは驚いたようにエバンズを見て口走った。

 

「えっ?それってどの時の…」

 

ポッターとの喧嘩なんて数え切れないほどあるセブルスにとっては、どのことか分からなかったらしい。

 

「一回、中庭で酷いやつがあったじゃない」

 

セブルスは、その言葉を聞いて何か呟きながらまたバタービールを飲むためにグラスを傾ける。

 

「あの時本当にびっくりしたのよ?突然貴女が凄い形相で駆け寄ってくるし、何も言わずにただただ引っ張るし、腕も痛かったけど、何より少し怖かったわね」

 

笑いながら話すエバンズを見て、私は彼女から視線を逸らした。

 

「……私は、リリー・エバンズていうの。あの時から、少し貴女のことが気になってね。

 

それで、貴女はなんていうの?」

 

もう諦めた私は渋々自分の名前を口にした。

 

「…レイラ・ヘルキャット」

 

「私、貴女とは気が合う友達になれそうな気がするわ」

 

思いがけない彼女の言葉に、思考が停止しながらも顔を上げ、瞳を見つめた。

 

ただただ純粋な瞳で彼女が笑いかけてくる。

 

 

何を…言ってるの……

 

 

私の中のドロドロの醜い何かが歯止めが効かなくなったように溢れ出すと口が勝手に動き出す。

 

 

「………友達?…笑わせないで……なんの冗談のつもり……」

 

 

冷たい自分の声で、2人が驚いたように顔を上げ私を見てくるのが視界に入った。

 

 

「……貴女と私が気の合う友達?……やめて。そんな冗談笑えないわ。」

 

 

他のお客さんが楽しそうに話をしている声がやけにはっきりと聞こえてきた。私達のテーブルだけ明らかに他の人達に比べると小さな声で話していたが、まるで別次元に取り残されたようにしっかりと2人にも聞こえたらしい。

 

何か言いたげにエバンズが口を開いたのを見て、私は話させまいと声を出した。

 

 

「お互い名前を知っただけでお友達になれるなんていう考えをお持ちなら貴女の見ている世界はなんて平和なんでしょうね。……気の合う友達になれる気がする?……そんな嘘をよくすらすらとつけるわね」

 

 

「……嘘なんかじゃないわ…私本当に」

 

 

「残念だけど、私の目には貴女はそんな風に映ってない。…吐き気がする」

 

 

エバンズは、瞳に涙を溜め始めた。

 

 

いいじゃない、貴女にはその涙を拭ってくれる誰よりも人の痛みが分かって、自分を平気で犠牲にする優しいセブルスが隣に居続けてくれるんだから。

 

 

私はマフラーを手に取り、ポケットからバタービール代のコインを取り出して乱暴に机の上に置き、立ち上がって彼女を見下ろした。

 

 

「今後、貴女と友達なんて思える日なんて来ないわよ」

 

 

そう言い捨て、2人に背を向け店を出た。セブルスがどんな表情をしているかなんて怖くて見えなかったが、絶対凄い表情をしていたんだろう。店の入り口で、ポッター達にすれ違ったが私はそんなこと気にする余裕なんてなかった。もう何もかもどうでもいい。

 

気の合う友達になれそうだと嬉しそうな笑みを浮かべるエバンズの顔が脳裏によぎり、私の行き場のない苛立ちと怒りが湧いてくる。

 

私の気持ちもこの苦しみも、辛さも、虚しさも全然知らないくせに。

 

私にはどう頑張っても届かないのに、貴女はすぐ手を伸ばせば届く。

 

あんなことをよく飄々と、

好きになれるわけないじゃない。貴女を友達と思える日なんて来るわけがないじゃない。

 

 

………簡単にセブルスを切り捨てたあんたなんか大っ嫌いよ。

 

 

 

気づけば、叫びの館の前に来ていた。マフラーも巻いていなかったが、全然寒さなんか感じずに、遠くにそびえ立っている叫びの館を見つめた。

 

……そろそろ…帰る時間かな…

 

そう思って振り返ると、後ろには息を切らしたセブルスがいた。ゆっくり顔を上げた彼の瞳には怒りの色が浮かんでいるのが分かった。いつもの変わらず無表情なのが、逆に恐ろしい。

 

先に口を開いたセブルスの声は、いつもより一段と低く、聞きたくても耳に入るほど太く聞きやすいものだった。

 

「………どういうつもりだ…」

 

私が何も答えずにいると、怒りで震えたセブルスは少しずつ近づいて来る。

 

「……リリーをあんなに傷つけて、どういうつもりなんだって聞いてるんだ。」

 

「……彼女が、ご丁寧に友達になれそうなんて言ったから、お断りしただけ。……その何がいけないの?」

 

セブルス、近づいて来るのをやめて私を睨み続けてくる。私の中の大事な何かは、もうすっかりぼろぼろで彼に吐き出すように白い息と一緒に口から出てくる。

 

 

 

「…何が嫌いな奴とすきで、友達にならないといけないの?」

 

 

……どうして、貴方はそんなに彼女ばかりを見るの?

 

 

 

 

 

 

「…あんなすぐ平気で嘘がつけるような奴…」

 

 

 

……貴方を平気で切り捨ててしまう彼女なんか

 

 

セブルスを見つめながら、声を張り上げる私は怒りでなのか、悔しくてなのかそれとも単なる寒いだけなのか分からないが体が震えだす。

 

 

 

 

「あんな奴好きになれるわけがない!!!

 

 

あんな奴なんか大っ嫌いよ!!!」

 

 

 

どうして彼女なの!!!

 

 

 

どうして私じゃないの!!!

 

 

セブルスに怒鳴り散らすように言っても何も変わらないことぐらい分かってる。だけど今の私はもう歯止めを失っていた。セブルスが拳を力強く握って少しだけ体を震えているのが目に入ると、私はもう悔しくて、悲しくて、彼女が羨ましかった。

 

 

 

 

「………さっさと戻ったらどう?貴方の大事な大事なお友達が今頃嘘泣きでもしているんじゃない?」

 

 

…行かないで……どうか、お願い……

 

 

 

彼女じゃなくて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を見て……

 

 

 

 

私の言葉に完全に我を忘れたセブルスは血走った目を見開き、駆け寄ってくると私の胸ぐらを掴んできた。

 

 

…セブルス、女の子相手に暴力なんかしたら、彼女に嫌われちゃうよ…

 

 

そう思った時には、頰に衝撃を感じて痛みが襲ってきた。少しよろけて、彼に殴られた頰を触ると熱を帯びていた。彼は、真っ白い雪が積もった地面に私を押し倒すと、気が狂ったかのように目を見開いて、歯を食いしばりながら私を殴りつけてくる。口の中が切れ、血の味がした。

 

抵抗なんてしない。これでいい。だってセブルスは全然悪くない。私が、全部悪いんだ。

 

 

「リリーを、嘘つきよわばりするな!!!」

 

 

何故か涙を流しているセブルスが叫ぶ声が聞こえると私の中にある何が完全に崩れて壊れ落ちる音がした。

 

「あ…あっあはは、あははははははは」

 

私は壊れたおもちゃのように笑いがこみ上げてきて、笑いがでる。セブルスが驚き、力が弱まったのを感じて私の胸ぐらを掴んでいる彼の細い手首を握って、思いっきり押し倒した。簡単にバランスが崩れ、頭を打ち付けた衝撃に耐えるかのようにセブルスは顔を歪めた。セブルスの胸ぐらを両手で掴み、彼に跨る。

 

 

「こんな時までリリー、リリー、!!!!!もう、うんざりよ!!!!!!」

 

 

もうどうしようもなくなった私は叫びながら涙を流した。流れ続ける涙はセブルスの服に染み込んでいく。私の頭の中はもう何も考えられないほどに真っ白になっていた。

 

 

「何にも知らないくせに!!!!!!」

 

 

私は、セブルスの胸ぐらを掴んだまま上下に揺らした。抵抗する彼の頭が上下に動く。自分が張り上げた声で少し頭を痛めながら、セブルスに縋り付くように叫んだ。

 

 

 

「私がエバンズを嫌いになったのは!!!!

 

 

セブルスの所為よ!!!!!!」

 

 

私の言葉に、セブルスは抵抗するのをやめ、私たちが息を整えるように、呼吸する音だけが聞こえてきた。

 

 

私は、胸ぐらから手を離してゆっくりと立ち上がる。

 

 

……こんな時にしか名前を呼べないなんて…

 

 

誰か私を殺してほしい……今すぐ、死喰い人でも闇の帝王でも誰でもいいから、私を殺してほしい。

 

 

 

どうして余計なことをしてしまったんだろうと後悔の念に駆られた。何も言わずに、ポッター達の後を追うセブルスを見守っとけばこんなことなんておきなかった。

 

 

 

「……………ゆ……る……して………」

 

 

 

 

 

どうか許してほしい。

 

 

貴方も、貴方の大切な人を傷つけてしまったことも

 

 

貴方の所為だと言ったことも

 

 

彼女を嘘つきよわばりしたことも

 

 

貴方の1番の幸せを願ってあげられない私も

 

 

貴方を好きになってしまった私も

 

 

どうか許してほしい。

 

 

 

 

 

私が呟いた声は、隣にいても気づかないぐらいにか細いものだったからセブルスはきっと気づきもしなかっただろう。

 

 

 

 

私は、溢れ出てくる涙を独り拭いながらその場から駆けだした。

 

 

 

 

 

1番の嘘つきは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………私だ。

 

 

変わらず降り続いている雪を見て、春になったら一緒に溶けてしまいたいと思った。

 

 

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