藤丸立香ちゃんの無個性ヒロアカ   作:夢ノ語部

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ジャンプ+でヒロアカの無料期間があって、全部読んだら熱が復活したので書きたくなっちゃった。
青山不在タグで書いてる人ら大変じゃない?????


雄英体育祭(ローマ

「ローマ!」

 

 雄英体育祭である。

 君が来たと知らしめて欲しいとか緑谷出久の決意を固めるパートとかすっ飛ばして雄英体育祭である。

 ただいまヒーロー科の入試主席が雄英体育祭の選手宣誓で、両手を高々と掲げて第一声を発したところ。

 

 ローマではない。

 

「祭りとは、あらゆる時間、場所において、あまねく人々が楽しめるであろう催しのこと――」

 

 雄英体育祭を楽しもうとしていた空気は、謎の宣誓に理解が追いつかずに死んでしまったが、立香ちゃんは気にしない。気付いていないとも言う。

 

「すなわちローマである!!」

 

 違う、雄英体育祭である。

 

「絢爛豪華なこの舞台において、各々が研鑽してきた肉体と技をもって、大いに楽しもうではないか!」

 

 お、ちょっと宣誓っぽい。死んでしまった空気が息を吹き返しかける。

 

「さぁ始めよう! ローマの祭典、オリンピアを!」

 

 ように見えた。現実は非常であり、今日は雄英体育祭である。オリンピアではない。

 

「ではここで一曲――」

「おいあのバカを降ろせ」

 

 かっこいいぜイレイザーヘッド!

 こうして雄英体育祭は、選手代表が18禁ヒーローミッドナイトに眠らされ、引きずり降ろされる前代未聞の珍事から始まった。

 史実で選手宣誓した爆豪でもやらかさなかった偉業である。

 

 ◇◇◇

 

「雄英体育祭は、かつてのオリンピックって呼ばれてる。藤丸さんは更に古いオリンピアという言い方をした。なんでオリンピアなんて言い方をしたんだろう、雄英体育祭とオリンピアの違い、国、規模、場所、時代……そうか、オリンピアは『個性』がない時代だ、純粋な体力勝負。あの脳無すら倒してみせた藤丸さんに、体力で勝てる生徒はいないと思っていい。自分の得意を押し付けて勝ち上がってみせるという彼女なりの覚悟の表れなんだ。一曲歌おうとしたのも軍隊では歌は士気の高揚に使われるって言うし、藤丸さんは宣誓の場を自分のコンディションを整えて勝つための準備に使ったんだ!」

 

「怖いわ緑谷ちゃん。あと多分藤丸ちゃんはそこまで考えてないわ」

 

 ◇◇◇

 

「さぁ!ゴタゴタしたけど早速第一種目行きましょう!」

 

「立香ちゃん起きて、始まっちゃうよ」

「zzz」

 

「……おかしいわね、そんな強く嗅がせてないから普通に起きる予定だったんだけど……でも時間おしちゃうし進行しないわけにいかないのよね」

 

 雄英体育祭は現代のオリンピックばりに世界から注目されており、テレビ局にスポンサーにとがっつり入ってるので、放送予定を遅らせるわけにはいかない。

 それが一番注視されていたヒーロー科主席が起きない大放送事故であろうと、だ。

 

(うう、後でめちゃくちゃ怒られそうだけど、仕方ないじゃない)

 

 18禁ヒーローミッドナイトは後でイレイザーヘッドから胃薬を貰おうと心に決めた。

 立香ちゃんが状態異常に弱くて良く寝るせいで、関係者一同の胃がやばい。

 

「さぁ第一種目はこれよ!!」

 

『障害物競争』

 

 計11クラスでの総当りレース、スタジアムの外周4kmを走る。何でもありのレース。

 

「さぁさぁ位置につきまくりなさい!」

 

 その言葉を聞いて、A組はスタート地点に即座についた。(立香ちゃんを除く)

 すぐに動くことが勝利に繋がっていると知って体験しているから。藤丸立香を心配していた面々も、藤丸立香を置いて、すでにレースへと気持ちを切り替えている。

 トップヒーローなどはその切り替えの早さを見て、ほぅと感嘆の声をあげた。

 

「あの……先生?」

 

 一方、他のクラスは身が入っていなかった。

 B組委員長の拳藤一佳が指をさす『アレ』をどうするのかと、ミッドナイト先生に質問を投げかけている。

 ミッドナイト先生の過失にしか見えていないし、本当にこの状況で始めるのかと不安そうに顔を見合わせている。

 

 ミッドナイト先生はその質問に答えない。

 

 答えようがないというのもそうだが、彼女はすでに『位置につく』ように指示したのだ。

 ならば勝負は始まっている。

 

 スタート地点の3つ点灯したランプ。

 

 1つ目のランプが消える。

 

 A組は体勢を整え、B組が気付き、他のクラスはまだ気付かない。

 

 2つ目のランプがつく。

 

 A組は力をこめ、B組は走り出し、そこではじめて他のクラスが異変に気付く。

 

 3つ目のランプがつく。

 

「スターーーーーーーート!!!!!」

 

 例年、多くの生徒が涙を飲んだ予選。勝ち上がるのは一握りの有精卵のみ。

 

 A組が走り出す。

 B組が遅れて続こうとする、が、狭いスタートゲートは氷に覆われた。

 

 ◇◇◇

 

「轟の奴、容赦ねぇー……」

 

 上鳴はすっかり氷で覆われたスタートゲートを見て身震いする。アレではスタジアムから出ることは出来ないだろう。

 少なくとも上鳴ではあの氷をどうにか出来るようには思えなかった。

 

「カッ! 妨害の為に手ぇ止めてりゃ世話ねぇな半分野郎!」

「チッ……」

 

 しかし先頭を飛んでいく爆豪の言うとおり、巨大な氷の生成の為に足を止めたので、轟はA組最後尾(立香ちゃんを除く)になってしまった。

 足元だけの氷生成なら足を止めず、A組に対しても若干の妨害になったはずだが、轟には予感があった。

 

(あの氷の厚みでも全く安心できねぇ、もっと……もっと強度を……)

 

 それはUSJで脳無に氷壁を砕かれたトラウマからくるものであり、その脳無を倒してしまったクラスメートに対する畏怖でもあった。

 

(俺は……負けない……!)

 

 勝つと言えなくなってる事を、轟はまだ自覚していない。

 

 ◇◇◇

 

「くそっ、A組がぁ!」

「骨抜たのむ……!」

「いけなくはないが、これだけ分厚いと時間がかかるな……すまん」

「ちくしょう!」

「おい、そこボサっとしてんじゃねぇ」

「あ、あぁ……?」

「おぅ……?」

 

「俺をゴールまで運べ!」

 

 ◇◇◇

 

 それは苦し紛れの発言だった。

 道などすでに無い。

 だからゴールに行く手段なんてない。

 だけど、これしかないから、これだけしかないから。

 出来る事をする、出来ないと思っても、足掻くしかない。

 足掻いて、駄目なら、ヒーロー科はすげぇって、諦める事が出来そうだから。

 目の前のどうしようもない力の差を、思い知ることが出来るから。

 

 ところで心操の心理描写は一旦置いといて立香ちゃんの話。

 眠りはもちろんとして、洗脳もアッサリかかるのはfateの主人公補正なのだろう。

 

 今回も例外ではない。

 

「フッ」

 

 一呼吸、それだけでスタートゲートに群がっていたB組をはじめとした生徒たちが弾き飛ばされる。

 

「ハァ!」

 

 重い震脚。スタジアムが揺れる。

 

「ヌゥォォオオオオッッッッラララララララァイ■■■■■■■ーーーー!!」

 

 そして、ただ暴力を叩きつける。

 マジカル八極拳由来の技に、バーサーカー由来の原始的な暴力。本来交わらない2つの流れは、見様見真似で未完成ゆえに混じり合う。

 

 そもそも……そもそも藤丸立香とは本質として戦う人ではない。

 身につけた技術も、はるか格上の相手からコンマ何秒生き残る為だけに教え込まれたものだ。

 このような攻撃偏重の無様な姿を晒せば、一部の英霊は藤丸立香を見限っていただろう。

 だから普段の藤丸立香なら、この技の選択肢は選ばず、巨大な氷を前に為す術がなかったはずだ。

 他人から見れば超人的に見えても、立香ちゃんは自分の事を普通の人間の範疇に収まると本気で思っていて……こういう力技は仲間の皆にお願いしてきた。

 

 しかし、心操に洗脳され、思い込んでいた限界は取り払われた。

 それでも足りない力は八極拳で大地から生み出す。

 

 これぞ、見様見真似・源流闘争(グレンデル・バスター)

 

 巨人をもふっ飛ばした超暴力、その劣化とはいえ、たかが氷で防げる道理はない。

 

 ◇◇◇

 

『オゥオゥどうなってんだどうなってんだ!? 1−A 藤丸! 起きたと思ったら氷の壁を粉砕! 喜べマスメディア! これが主席の力だ! シヴィー! レースはまだまだこれからだ!』

(無個性でやれることかよアレが、どうなってんだよイレイザーヘッド)

(あいつに関しては考えるだけ無駄だ)

 

『うんん? 藤丸が肩に抱えてるアイツ誰だ? えぇと……普通科 心操????』

『あいつに関しては考えるだけ無駄だ』

 

 レースは始まったばかりだ




雄英体育祭前に、ちょっとした修行パートとか考えてた記憶あるんですけどカットカット。
デクくんの強化は書くモチベーションの犠牲になったのだ……
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