藤丸立香ちゃんの無個性ヒロアカ   作:夢ノ語部

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コスチュームお披露目


戦闘訓練とコスチューム

 時は遡り、雄英入学前の藤丸邸。

 

『カルデアの戦闘服が欲しい〜……?』

「あ、やっぱ駄目?」

 

 藤丸立香は国際通話で、コスチュームについて相談していた。

 雄英高校ヒーロー科では被服控除という制度があり、企業がヒーローコスチュームを作ってくれるのだが、立香はあまり気が乗らなかった。

 人理修復の折によく着ていたカルデア戦闘服の高性能っぷりを知っているからだ。あれ以上というのが立香には考えづらかったのである。

 

「凄く軽くて丈夫で動きやすいから、コスチュームって聞いて真っ先に浮かんできたんだけど」

『駄目駄目。きみはこっちじゃ普段着みたいにしてたけど、あの礼装だってカルデアの叡智と技術の結晶なんだよ。きみの頼みでも表に出すわけにいかないよ』

 

 そもそも魔術と関わりを持ってると知られれば命を狙われるからと、カルデアとの繋がりが分からないよう工作しているのだ。テレビに映るヒーロー稼業で礼装を纏うのは本末転倒といえる。

 

 なので、この件はキッパリはっきりと断られた訳だ。仕方なく被服控除で企業にコスチュームを作ってもらう事にしたのだが……。

 

 ◇◇◇

 

「あの、オールマイト、これは……」

 

 初めてのヒーロー基礎学の授業。

 戦闘訓練だという内容と共に、被服控除によって作られたヒーローコスチュームが配られた。

 壁から各ヒーローコスチュームの入ったコンテナが出てくる様に、映画のようなギミックだと興奮した。

 ヒーローコスチュームに、初めての戦闘訓練、そしてイカしたギミック、何より平和の象徴たるオールマイトに対して、クラスメート達の興奮は最高潮に達していた。立香ももちろん全開である。

 

 そんな中、オールマイトが立香を呼び止めた。

「藤丸少女はこっちね」

 と。

 

 立香がオールマイトを見れば、オールマイトは廊下から大量のダンボールを持ってきていた。

「え?」

「まだまだあるからね」

「え?」

 

 そして教室に積み上がるダンボールの山。

 何事だと立香は戦慄する。まさかこのamaz○nのようなダンボールに私のヒーローコスチュームが入っているのか、と。

 

「あの、オールマイト、これは……」

「藤丸少女のヒーローコスチュームさ」

 

 いやいやいやおかしい、何故私にはあの素敵ギミックじゃないのか。

 じゃなくて、被服控除の申請にもただ丈夫で動きやすい服でってぐらいしか書いてないのに、なんでこんなダンボールの山が。

 

「そうそう藤丸少女には手紙も来てたんだ」

「は、はぁ」

 

 呆然としたまま手紙を受け取る。そこにはこう書いていた。

 

『やっほー! きみのダ・ヴィンチちゃんだよ♪

 なんとなーくきみのコスチュームを作ってる企業を調べたら、無個性だからってすごい手抜きしてたのさ。これは見捨てておけないと、私が一肌脱いでコスチュームを作って認識阻害の魔術ですり替えようと思っていたんだよ』

 

「お、おおう……」

 

 ダ・ヴィンチちゃん何やってんのとツッコミたいけど、手抜きコスチュームを防いでくれたのはありがたい。

 

『そのコスチュームを作っている最中にマーリンのクソ野郎に見つかって、面白がって吹聴して回ってくれやがってね。おかげでカルデアでは、皆が皆、きみのコスチュームを作りはじめちゃって……おかげでカルデアの倉庫はからっぽ、予算もほぼ使いきって……とりあえず皆が作ったコスチュームを送るから、よろしく』

 

(…………。よく見たらamaz○nes.comって書いてる……)

 

 このダンボールの山は立香と契約していた英霊達が、立香の為に作ったコスチューム群である。と、立香は正しく理解した。

 

(清姫以外のコスチュームを着てテレビに映ったら清姫に殺される気がする。いや、バーサーカーは他の人も多分そう。バーサーカー以外でも問題ありそうなのがひのふのみ……)

 

 よく人理修復できたなという問題児の多さである。

 

 とにかく考えていても時間がいたずらに過ぎるばかり。

 幸い今回はヒーロー基礎学の授業であり、テレビに映る訳でもないのでどのコスチュームを着ても良いだろう。

 逆に言えば今はもう授業時間なので、はやくコスチュームを決めて更衣室に行かなければ時間がなくなってしまう。

 

 これでいいやと適当なダンボールを選んで開けてみる。

 

――――――――――――――――

中身:超ミニセーラー服

差出人:エドワード・ティーチ

一言:日本のヒロインといえば、やっぱりコレでござるよマスター。デュフフ。

――――――――――――――――

 

「分かるけど着たくない!」

「ど、どうした藤丸少女」

「い、いえ、なんでも……」

 

 立香ちゃんの普段も大概ミニだけど、黒髭が用意したというのでマイナスに振り切った。

 次だ次。と、さっきのダンボールは記憶から消して次のダンボールに手をかける。

 

――――――――――――――――

中身:日本刀

差出人:両儀式

一言:殺るにはこれで十分だろ

――――――――――――――――

 

「アウトオオオオオオオ!」

「だ、大丈夫か藤丸少女!」

「大丈夫です! 大丈夫ですから見ないでください!」

 

 絶対にヒーローが何か理解してない! 次次!

 

――――――――――――――――

中身:キャリコ M950A

差出人:殺エミヤ

一言:殺るにはこれで十分だ

――――――――――――――――

 

「もろ被りぃいいいいいい!」

「藤丸少女ぉ!」

「大丈夫ですぅうううううう!」

 

 これだけで外伝が一つ出来そうだ。

 早く着替えて授業を受けたいのに、こんな所で文字数を稼いでいる場合ではないのである。

 次こそは!

 

――――――――――――――――

中身:愉快型魔術礼装

差出人:マジカルルビー

一言:愛と正義のマジカルステッキ、 マジカルルビーちゃんですよー! グランドマスターがヒーローなんておもしrげふん、大変に素晴らしい事をすると聞いて私が力になれればとぉおお、ちょ、グランドマスター! ステッキはそんな風に曲がりませんよ!? 折れる、折れる折れるぅ! あ、ちょ、仕舞わないで! この中無駄に封印術式がぁぁぁ!

――――――――――――――――

 

「藤丸少女、今、ステッキが喋っていたような」

「気のせいです」

「え、でも」

「気のせいです」

「あ、はい」

「すいません、オールマイト先生、私、戦闘訓練に、少し……少し? 遅れます……」

「あ、ああ、分かった。出来るだけ急いでくるようにな」

 

 まだ、ダンボールの山は、ある。

 

 ◇◇◇

 

「という訳で、藤丸少女は遅れてくるとの事だ」

「あのコスチュームの数は凄かったですものね」

「そんだけ色んな企業に期待されてるって訳だよな! あいつパネェな!」

「うーん、立香ちゃんってコスチュームを使い分けないといけないような個性なのかな?」

「どうかしら、個性把握テストでは単純な増強系に見えたわ」

 

「諸君静かにしたまえ! 授業は始まっているのだぞ!」

 

(((真面目だ)))

(正直、助かるなぁ)

 

 ◇◇◇

 

「今のところ一番マシなのがトナカイ……!」

 まだまだ、ダンボールの山はある。

 

 ◇◇◇

 

「『頑張れ!』って感じの“デク”だ!」

「“個性”使えよデク。全力のテメェをねじ伏せる……!」

「君が凄い奴だから勝ちたいんじゃないか! 勝って超えたいんじゃないか! バカヤロー!」

「その面やめろやクソナード!」

 

 当作品の主人公不在の中、授業は進む……。

 

 ◇◇◇

 

「ううーん、スカサハ師匠作で橙色のタイツがあったけど、思いっきりルーン文字が刻まれてるのは大丈夫なのかな……? あと一個か二個ぐらい開けて目ぼしいのがなければ、とりあえず今日はこれかなぁ……」

 

 ダ・ヴィンチちゃんから、魔術との関わりを見せるのは不味いからやめろって通達があったのに、隠蔽すれば大丈夫だろとばかりに自重してないのがスカサハ以外にもちらほら。

 もう疲れてきてる立香ちゃんは、次のダンボールに手をかける。

 

「こ、これは……!」

 

 ◇◇◇

 

 戦闘訓練は最初に決めた組み合わせが終わり、これから遅れてくる藤丸立香と、二回目が出来そうな生徒三人で最後の戦闘訓練を行う予定だった。

 しかし、その藤丸立香はまだ姿を現していない。

 

「んんー、どうしたものか……」

「先生、あのコスチュームの数ですから見るだけで精一杯になるのは仕方ないのではないでしょうか。来ていないのは仕方ないとしてこの時間を無駄にしない為にまた無作為の四人で戦闘訓練を行うべきかと」

「そ、そうだね」

 

 新米教師オールマイトは授業進行に慣れていない!

 

(藤丸少女の戦闘スタイルは一度見ておきたかったんだが、仕方ないか)

 

「それじゃあクジを……」

『すいません、遅れましたー』

「んん!?」

 

 それは……鉄の塊だった。

 オールマイトですら見上げる3mを超える人型は、白い蒸気を吐き出しながら歩みを進める。

 

「んんんー……!?」

『あれ、先生? オールマイト先生? もしもーし』

 

 スピーカーのような機関から声がする。その度にシュコーと白い蒸気を吹き出す様はシュールを通り越してなんか怖かった。

 生徒達は口をあんぐり開けて固まっている者、他の生徒の影に隠れる者、尻もちをついている者等、概ねマイナスの反応だ。

 一部、上鳴電気と芦戸三奈だけはテンションが上がっている。「やべー」「すごーい」とペタペタと鉄の塊に指紋をつけるバカ2人。

 

『ああ! 新品なのに!』

 

 このコスチューム(?)を選んできた藤丸立香も含めてバカ3人か。

 言うまでもないと思うが、この鉄の塊は蒸気王チャールズ・バベッジの作ったコスチューム(?)だ。

 チャールズ・バベッジが普段着ている鎧よりも肥大化しているが、魔力によらない蒸気機関でも長時間の駆動が可能という……蒸気機関とは、と首を傾げてはいけない。

 

「もしかして:藤丸少女?」

『もしかせずとも藤丸少女です』

「いや、無理があるだろ」

 

 比較的冷静な轟くんがツッコミをいれる。

 だが、藤丸立香は気にしていない。ノリにはとことんノル女である。

 

(HAHA……こういう時はどうしたらいいのかな!)

 

 新米教師オールマイト。

 新米にこういうイレギュラーな対応をさせるべきではないと、心の底から思っていたが口には出さなかった。

 個性把握テストの時に「日本は理不尽にまみれている。そういう理不尽を覆していくのがヒーロー」とか相澤くんが言っちゃってるからね!

 

 頑張れオールマイト! 授業の成否は君の手にかかっている! 頑張れ頑張れオールマイト!

 

 ◇◇◇

 

『フォォムチェーンジ!』

 

 監視カメラの映像で、コスチューム(?)が変形(!?)して、四脚になる。

 そして巨体では不利かと思われた室内戦闘で、通路を縦横無尽に駆け回り、逆に通路を埋め尽くすような形で巨体を活かし、尾白を追い詰めていた。

 

『うわああああああ!』

 

「うわぁ、あれ良いのかなぁ」

「コスチュームってなんだっけ」

「あれを解析して創造できれば……」

「八百万ちゃん、色物扱いされるからやめといた方が良いと思うわ」

 

『ロケットパーンチ!』

『待っ……ぐふぅっ!』

 

「絶対アレ楽しんでんなぁ、気持ちは分かるけど。借りれねぇかな」

「テンションあがるよねっ! ねっ!」

「色気がねぇよ色気がよぉ。女性ヒーローはもっと露出してこそだろぉぉん?」

「サイテーね峰田ちゃん」

 

(楽しそうだな、あれ)

 

 それで良いのかオールマイト!

 彼女を止められるのは君だけだ!

 ちょっとワクワクしてるんじゃないよ!

 頑張れオールマイト!




立香ちゃんなら変形機能のあるメカがあれば選ぶよなぁ!
出オチなので戦闘シーンは大幅カット。
多分このコスチュームはもう出てこない。
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