「ごめん、おまたせ!」
「球場に行くのなんて久しぶりだから、準備に手間取っちゃって」
「それじゃちょっと早いけど、球場に向かっちゃおっか」
「今日は来てくれてありがとね」
「チケットをもらったはいいけど、周りに野球観る人がいなくてさー」
「でもよかったよ、あんたと応援してるチームが同じで」
「あんまりチームのこと知らない人と観るのと、ファンの人と観るのだと全然違うからね」
「現地応援がいつ以来か? ……んー、一年ぶりくらいかなー」
「一人で行くと、ちょっと浮くからさー。かと言って誘うような人もいないし」
「だから、今日は楽しみ」
「……あ、もう次の駅だ」
「やっぱり観に来た人でいっぱいだね」
「……あたしさー、この球場の最寄り駅から球場まで歩いていく時間が好きなんだよね」
「段々球場に近づくにつれて、ファンの人達が多くなって、熱量が上がってきて」
「日常から、非日常の世界に入っていく感じ」
「わかる? よかったー、わかってくれて」
「いいよねー、この感じ」
「おー、結構座席埋まってる」
「こうしてみると指定席でよかったよね」
「あたしはとりあえずユニフォームに着替えてくるけど、どうする? 練習見てる?」
「……おっけ、先に買い物しとこっか」
「グッズショップって、何か買うわけじゃなくても楽しいよね」
「そうそう、『好きな選手のグッズがこんなにある! 』って」
「球場に行くたびに新しいグッズ買っちゃうんだよねー」
「……あ、これ欲しい」
「……うん、こんな感じで……」
「何食べる?」
「球場で食べるご飯ってなんでも美味しく感じるから悩むよね」
「飲めるならビールもきっと美味しいんだろうなー……」
「選手弁当にするの? じゃああたしもそうしよっかな」
「結構美味しいのが多いからいいよね」
「……あ、スタメン発表だって」
「先発は予告されるからわかってるけど、スタメン発表は毎回ドキドキするんだよね」
「好きな選手が出るかわからないし、出るとしてもどこで使われるのか楽しみだしね」
「この選手が読み上げられるごとに、その選手の応援歌を歌うのいいよね」
「『試合に入っていくぞー』って感じで」
「さぁ、今日はどんなオーダーかなー」
「いよいよプレイボールだね……」
「今日はエース同士の投げ合いだから、どうなるかな」
「彼もメジャー挑戦の噂とかあったけど、結局今年も残ってくれたからね」
「やっぱりシーズン通して安心して見てられるよね」
「……よっし!」
「三者凡退、いい立ち上がり!」
「さて、こっちの攻撃だけど……」
「向こうも代表クラスのエースだからなぁ……」
「……うわー、かなり調子良さそう」
「……こっちも三者凡退かー……」
「今日は投手戦かな」
「なんとかお互いゼロ行進で来たけど……」
「ツーアウト二塁三塁のピンチ……」
「……一点は覚悟しとこ……」
「追い込んだけど粘られてる……」
「またファールに……」
「……ってその位置からライト追いつくの?!」
「うわー捕った! すっご!」
「見た今の?!」
「……あはは、ごめん」
「好きな選手だったから、ついね」
「結局お互い譲らず九回まで来たね……」
「このままだと延長までありそう……」
「ここはなんとか一本頑張って……さっきファインプレーもしたし……」
「……打った!」
「行け、行け……!」
「入ったー!!」
「やった!」
「現地サヨナラ勝ちとか、初めて!」
「もうホント、最高!」
「あー楽しかった……」
「あたしなんか、まだちょっとドキドキしてるもん」
「現地で勝てただけでも嬉しいのに、サヨナラ勝ちとかホントにもうさ……」
「……それに、楽しかったのは多分」
「……あんたと一緒に応援できたから、かなって」
「……同じ気持ち? ……そ」
「……また、誘うから」