全部、お兄ちゃんのものですっ!   作:雨宮照

13 / 41
私、実は爆乳なんですよ?

湯船の中で、ひとり。

私は、ここ数日の生活の変化について、思いを巡らせます。

一番大きかった出来事は、ずっと前から想いを寄せていたお兄ちゃんと、結ばれたこと。

考えると、冬の湯船からたつ真っ白な湯気とともに、私の頭からもぷしゅぅと音を立てて湯気がたち上りそうなほどの幸福感、気恥ずかしさに包まれます。

……早くも、私はのぼせてしまいそうです。

それに、学校生活にも大きな変化がありました。

いえ、こうして家にまで泊まりに来ているんですから、学校生活なんて狭い範囲の変化ではありませんね。

交友関係の、変化です。

私は長い間、いえ、生まれてこのかた。

友達というものを、作ったことがありませんでした。

それは、お兄ちゃんがいれば、他の人間関係なんて必要ないと私が思っていたからで。

でも、蓋を開けてみたら、友達っていうのは、なんというか、なんというんでしょう。

言葉には言い表せない幸せとともにありました。

……まぁ、何度も言うように私はオタクではないのですが。

 

お風呂の時間というものは、やはりいいものです。

どこにいても、何かしらの音が耳に入ってくる現代において、変わらずに継承される人工の密閉空間。

この音の遮りは、人間の思考を、より冷静に。かつ、深めてくれます。

もう少し、浸かっていましょうか。

秋川さんはあれで礼儀をきちんと考えてはいるらしく、居候の分際で家主より先に風呂に入れるわけがないじゃない! と、居間で持参した深夜アニメのブルーレイを視聴しています。

私は、そんな秋川さんに、少し感心しました。

と、そのとき。

脱衣所の木製の扉が、からからからと音を立てているではありませんか。

先ほども言ったとおり、このお風呂場の静寂の中では、脱衣所の音くらいしか耳には届きません。

ま、まさか……!

私は、とっさに三つの考えられるケースを頭の中で映像化します。

一つは、不審者が自宅に侵入してきたケース。

文字通りはだかの私は、なんの抵抗もすることが出来ないので、このケースは考えたくありません。

……出来ることがあるとすれば、そこに掛けてあるアカスリで首を絞めることくらいでしょうか。

でもやはり、女子中学生の力でなんとか出来る相手が襲ってくるとは考えられないので、せむかたなしです。

二つ目に考えられるケースは、お兄ちゃんが突入してくることです!

昂奮したお兄ちゃんが、私のお風呂に、はだかのままで扉を開けて……。

湯船に浸かる私を見ると、お兄ちゃんの男の子の部分が抑えられなくなって私の乳房を揉みしだいて曰く……。

「Oh, what a wonderful fruit」

きたぁーーーーーーー!

きました! きました!

私の大勝利です!

京香ちゃん大勝利です!

……ほんとにのぼせそうです。

本当にそんなことがあったら、私は人が抱えられる幸せをはるかに超えて、死んでしまうでしょう。

危ない危ない、溺死は嫌です。

 

そして、三つ目のケース。

これは、一番考えられるケースです。

……秋川さんが礼儀を考えていたのは実は演技で、あとから私にちょっかいを出すために仕組んでいたことだったとしたら……。

っていうか、絶対そうです!

だってここから曇って見える脱衣所で、秋川さんが服を脱いでいくのが見えるんですから!

あの赤い二つに結んだ髪は、絶対にそうです!

……とんだストリップショーですよ。

誰かとお風呂に入るのなんて、小学校の修学旅行以来じゃないでしょうか。

あ、脱ぎ終えたみたいです。

さあ秋川さん、来るのです。

私は逃げも隠れもしませんっ!

自慢じゃないですが、私の乳は、割と大きいのです。

二年生のときは確かに、妹の名に恥じない、かわいらしい大きさの胸囲でした。

しかし、ここ一年の間に胸囲は脅威の盛り上がり(文字通り)を見せました!

Aが3つ並んでいた大きさの乳が急成長して、Bになったのです!

さぁ秋川さん、ご覧なさい!

私のこの爆乳をっ!

……しかし、秋川さんが突入してくる気配は一向にありません。

それどころか、秋川さんは一度脱衣所から出ていってしまいました。

……何をしているのですか。

来るなら早く来てください!

 

……それから十分ほどが経って。

気になった私は、服を着てリビングに様子を見に行くことにしました。

まあ、ただお風呂から出ただけと言われるとそうなのですが。

 

クマさんのプリントが施された少しぶかぶかのTシャツに、袖を通します。

そして、灰色のパジャマのズボンを履きます。

これで、愛されいもうとのクマさんコーデが完成です!

……自分で言ってて恥ずかしくなりましたやめましょう今のなしです。

 

服を着ると、私はリビングに向かったのですが、なにやら扉の向こう側から軽快な足音とテンポの良い音楽が流れてきます。

私は、不審に思いながら、すりガラスの窓がついたドアを一気に横にずらします。

 

するとそこには、全裸で子供向け魔法少女アニメのダンスを踊る、私の唯一の友人の姿がありました。

 

続く。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。