「さっきは私がプレイするゲームを選んだので、次はお兄ちゃんに選ばせてあげますっ」
私は、お兄ちゃんにツーンとした態度を貫き通したまま、第二回兄妹ゲーム対決を迎えます。
「何だお前偉そうに。器が広そうな言動をしているように見せかけて、当たり前のことを言っているだけじゃないか」
「黙って選んでください! さもないと私が勝手に次のゲームを選んじゃいますよ!」
「ほら見ろ器が小さい。その貧相なおっぱいのようにな!」
「ほんっとに失礼ですね!」
議論の結果、第二試合のゲームは格闘ゲームになりました。
それも、昔お兄ちゃんとよく対戦した、アーケードの古い格ゲーです。
『セレクトキャラクター、リョウ!』
お兄ちゃんは、このゲームをやるときは必ず、主人公のリョウを選びます。
スタンダードなキャラながら、近接格闘にも飛び道具にも優れている、万能キャラでもあります。
それに、お兄ちゃんの名前、涼介と少し被っているところがありますっ!
それに対して私が選ぶのは、敵の四天王の一人、ベルロガです。
ベルロガはコマンドは難しいものの、対戦相手を混乱させるエキセントリックな立ち回りが可能となります。
宙を舞ったり、回転したり。
この奇妙な闘い方に、コンピューター相手の勝ち抜き戦では、いつも苦労していた思い出があります。
それにこのゲームも、秋川さんと特訓したうちの一つです。
アーケード版ではありませんが、携帯ゲーム機でのインターネット対戦で、コマンドは熟知しています。
そんな私が、このゲームを最近やっていないお兄ちゃんに負けるはずがありませんっ!
「ほほう、ベルロガを使うのか」
「ふふん。昔のようにボタンをただ連打する私だと思わないでくださいね!」
「ベルロガは強いが、コマンドが難しいはず。コマンドが簡単で使いやすいリョウに勝てると思うなぁっ!」
「お兄ちゃんなんて、一捻りにしてやりますよ!」
そうして、三ラウンドあるうちの一回戦の始まりを告げるゴングが鳴った。
開幕と同時に、壁にキックをしてリョウの足元を攻撃するベルロガ!
しかし、リョウはガードを固めていて致命傷にはなっていない!
だが、そこでべルロガは一回転。
間合いを詰めてリョウを掴んだ!
そして、そのままスープレックスが決まる!
「くっ、やるな」
「まだまだ、こんなものじゃありませんよ!」
「でも、俺だって兄としてただやられてるだけじゃないぞ!」
リョウは、投げられた体制から回転蹴りを仕掛ける。
それを、スープレックスの反動で怯んでいるベルロガは直撃してしまう!
それを好機ととったか、リョウはそこから猛攻撃を開始する!
回転蹴り、波動砲、昇顎拳。
かつての京香がそうであったように、今の涼介は、勝つことだけを考え、取り敢えずボタンを連打していた。
「ず、ずるいですっ! なんですかその運指は!」
「ふはは、手も足も出ないだろう! これは適当に押してるように見えて、長年の経験から編み出された特殊な運指方法でボタンが押されている!」
「そ、そんなの嘘ですっ!」
「嘘だ!」
「嘘なのかよです!」
しかし、そんなデタラメな操作では、色々と空きが出てしまうのは当たり前のことで。
リョウは、あっさりと猛攻撃から抜け出したベルロガにスープレックスを決められ、ヒットポイントがなくなってしまった……。
「ふふん、お兄ちゃん。私の強さを思い知りましたね!」
「くっ、くそぅ。俺が選んだゲームで負けるとは、一生の不覚!」
二ラウンド目は試合中に耳元でえっちなことを言われたので力が抜けて負けてしまいましたが、三ラウンド目はまたボタン連打をしてきたので、余裕で勝てました!
えへへ、これでお兄ちゃんともう一回ゲームが出来ますっ!
お兄ちゃんにゲームで二回戦を勝ったことよりも、決着がつかずにもう一回お兄ちゃんと遊べることが嬉しい私なのでした。
続く