「兄妹ゲーム対決、最終戦だ!」
お兄ちゃんが、ゲーム対決最終戦の開始を高らかに宣言します。
「とは言ってもお兄ちゃん。もう対戦系のゲームはありませんよ?」
「……そうだな」
あたりの筐体を見回したお兄ちゃんが、うーんと唸ります。
「よし、じゃあ、レースゲームなんてどうだ? ほら、昔よくやったろ?」
「あ、ほんとだ! 端っこにありましたね! じゃあ、あのゲームで決着をつけましょう!」
そうして、私たちのゲーム対決、最終戦はレースゲームに決定したのでした!
レースゲームは秋川さんと練習していないので、きっと負けてしまいますけどね!
『さぁ、期待のルーキーリョウスケ! トップとの差を縮めます!』
お兄ちゃんの車が近づいて来たことをアナウンスが知らせます。
遡ってみるとこのレースゲームは、最初からおかしかったんです!
だって私がスリップして回転した時もお兄ちゃんは抜いて行かなかったですし、私がガードレールに突進してしまったときも、お兄ちゃんはのんびりと運転していました!
そして今、トップを走る私に対してお兄ちゃんはというと……。
これまでにない物凄いスピードで私を追いかけて来ています!
「ずるいですよお兄ちゃん! なんで最後になって急に加速するんですか!」
「そんなの決まってるじゃないか。京香が前の障害物に当たるとそれで俺は障害物がどこにあるのか把握できるからな」
「酷いですっ! 悪魔ですっ!」
お兄ちゃんは、涙目で叫ぶ私を、驚異のスピードですいすいと抜いて行きます。
そして、今。
お兄ちゃんがゴールテープを切り、一着になりました……。
「はっはっは、兄の偉大さを思い知ったか!」
お兄ちゃんは、上を向いて楽しそうに笑います。
「むうぅ。私には兄の偉大さなんて伝わりませんでしたー! お兄ちゃんなんて負けず嫌いの卑怯者だもんっ!」
それに対して私は、拗ねたふりをしてみます。
するとお兄ちゃんは焦って、謝ってくれて。
そんなお兄ちゃんの姿が可愛くて。
「……お兄ちゃん」
「な、なんだ京香」
「……なでなでしてくれたら、許してあげます」
そんなお兄ちゃんに私は、妹として、彼女として。
最大限に甘えてみるのでした。
目を細めてお兄ちゃんになでなでしてもらって、そのあと。
御手洗いに行っているお兄ちゃんを待ちながら、私はこれからの予定を考えます。
時計を見ると、既に夕方。
楽しい時間は早く過ぎ去ってしまうものなのです。
パンフレットを開くと、このショッピングセンターの目玉、屋上の観覧車が目に飛び込んで来ます。
(絶対に、これにお兄ちゃんと一緒に乗ります!)
私は、観覧車での出来事をあれやこれやと妄想し、お兄ちゃんの帰りを待つのでした。
続く