艦これ ~Bullet Of Fleet~   作:クロス・アラベル

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こんにちは!クロス・アラベルです!
まずはプロローグから。プロローグなので艦これ要素は皆無です。御了承下さい。


プロローグ《運命の歯車は動き出す》

 

 

 

とあるマンションの一室。質素なベッドや机、箪笥がポツンと置かれている。そして、ベッドに横たわり、アミュスフィアを装着する。

 

「……リンクスタート。」

 

僕は銃弾の飛び交う荒野の世界へ飛び立った。僕のこれからを決める決戦。これからこのアミュスフィアを使って行くかどうか……これで決める。

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

あれから1時間が経過した。

 

とある荒廃した街のビルの上。

 

黒光りする大型の銃。その銃口が狙うのは、ダイアンというプレイヤー。

「……ッ!」

 

そして、僕の激レア銃《ウルティマラティオ・へカートⅡ》が火を噴く。

 

ダイアンの目が銃弾で吹き飛んだ。顔に穴が開く。それに続いて横からのもう一弾がダイアンの右足を吹き飛ばす。

 

「ナイス、シノン!」

 

「あんたもね…キリト!」

 

互いに褒め合い、僕の数少ない友達、僕の武器と同じ、《へカートⅡ》を持ったスカイブルーの髪を持つここでは珍しい女性プレイヤー『シノン』がとあるプレイヤーの名を呼ぶ。すると後ろから黒い影が僕達の前に飛び出す。

 

長い黒髪に髪と似た漆黒の瞳、真っ黒装備をパッと見た時、見かけは守ってあげたくなるようなか弱そうな女の子。だが、女の子ではない。このGGOの世界ではアバターがランダム生成される。そこで稀に…いや、よく起こるのが見かけが現実の姿と全く異なると言うこと。そして、その例が彼なのだ。彼は現実では正真正銘の男なのだが、激レアアバターとして生成されたせいで女の子のように見える。が、体の方は男らしい。

 

相手はダイアンを抜いてももう1人。追撃させぬとばかりに銃を撃つ。連射された弾丸はその『キリト』と呼ばれた少年に当たる……ことは無かった。全ての弾丸は紫紺の光によって防がれた。

 

光剣『ムラサメ』。それが彼の主武装だ。その名の通り、スイッチ一つで光で出来た刃ができる。このGGOでも数少ない近接武器の1つだ。

フィールドをチカチカ照らす火花。そう、彼が弾丸を斬ったのだ。

 

「打て!シノン、セナ!」

 

「言われなくとも…ッ!」

 

「分かってるよ…ッ!」

 

キリトの声に応えるため、もう1人のプレイヤーに向けて撃つ。

 

僕が敵のプレイヤーの腹部に風穴を開け、シノンが頭を撃ち抜く。撃たれたプレイヤーは致命傷を負い、HPゲージを吹き飛ばされて倒れる。

 

「当たったね。」

 

「クリティカルヒット…って感じね。ありがとう、キリト。ナイスフォローだったわ。」

 

「間一髪だったけど、対応できて良かったぜ。予測線が飛んでるとはいえ、いきなり前に出ては結構きついからな。セナもシノンもナイスショットだった。2人がいなきゃ無理だったよ。」

 

「みんながいてこそだよ。このBoBでいい結果を残せるように頑張らなきゃね。」

 

「そうね……あなた、本当に入賞出来なかったら、今回で決めるの?」

 

「……まあね。」

 

僕の親は小さい時に他界し、祖父母に育てられた。が、祖父母は今から三年前に他界した。妹もいるのだが、血は繋がっていない。なぜGGOを……VRを止めようとしているか、それは単にお金がないからだ。家にはパソコンもスマホもあるにはあるが、それだけでも厳しい。妹はもう16歳、高校生になってバイトも出来るのだから、仕送りは不要だと強く念を押され、していない。僕は18歳で高校三年生。受験真っ只中だ。

 

「……セナがGGOを続けられるように頑張らないとな。よし、もう一戦行くか!」

 

「うん、行こうか」

 

「次のターゲットは……あの高層ビルで待ちましょう。あそこがベストだわ」

 

「分かった。護衛は任せてくれよ?」

 

「ええ、もちろんよ。言われなくとも全部あなたに一任するつもりだから」

 

「……オイオイ、冷たいな…」

 

「あはは……」

 

たわいも無い話をしながら次の待機場所へと移動する。

ビルを出て道路を走り始めた、その時だった。

大量の予測線が飛んで来たのは。

 

「「「⁉︎」」」

 

全員が驚き、うち2人はバラバラに散ろうとするが反応が少し遅かった。

だけど僕は、退避ではなく反撃に出た。

素早く敵を視認し、ターゲットする。

そして、弾丸が飛んでくる寸前に第一弾を発射した。

その弾丸はプレイヤーの左腹部を削り取っていった。

その直後、弾丸の嵐が僕たちを襲った。

必死に防御体勢を取ろうとするが防ぐのは不可能。

 

僕がふとシノンを見たとき、予測線がまっすぐシノンの頭に当たっていた。

 

不味い。そう判断した僕は《へカートⅡ》をシノンに向けて投げてその頭に直撃するはずの弾丸を防いだ。

そして、弾丸が止むと僕は左腰に掛けてあったあるアイテムを掴み、そのプレイヤーの元へ疾駆する。

そのアイテムのスイッチを押して一本の蒼い光を出す。その時、一発残っていたのか、僕の腰に心臓に向かって撃ってきた。僕はその瞬間、予測線に合わせて左腰から右上へ斬りあげる。

それによって弾丸は斬られた。

そして、プレイヤーに向かってとどめと言わんばかりに斬撃を食らわせる。アインクラッドで幾度となく使ったソードスキル7連撃《デッドリー・シンズ》を出来るだけ擬似させて放つ。

 

そのプレイヤーは僕の斬撃によってHPゲージを吹き飛ばされた。

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

「……はあ、はあ、はあ……よ、良かった……みんな無事で……」

 

「だ、大丈夫か⁉︎」

 

「あ、ありがとう、セナ。あなたのおかげで助かったわ。」

 

2人のHPゲージは7割がた残っているが僕の方はもう後2、3ドット。

 

「いや、いいよ。」

 

「……それに………あなたのへカートⅡ……惜しいことをしたわね……ごめんなさい…」

 

「……いいんだよ。もうそろそろ別れ時が来てたからね……ッ⁉︎」

 

苦しい……HPゲージが減り始めた……⁉︎これってやっぱり……

 

「ど、どうしたのか⁉︎」

 

「……!ま、まさか……特殊効果付きの銃弾……」

 

「……みたい、だね………ごめん、戦えそうに無いや……もうあと10秒くらいでHPゲージが無くなる…ごめんね、2人とも。僕の我儘につき合わせちゃって……それじゃあ、またね。」

 

僕はこのBoBのためにキリトから弾丸斬りの練習をして、ついさっきも成功させた。成功率は6割ほど。まだまだ成功の余地ありだ。

 

「分かったわ、また学校でね。」

 

「……まあ、もう会えないってわけじゃ無いしな。またオフ会しようぜ。……お疲れ、セナ。」

 

「……ありがとう。」

 

その言葉を聞いて僕の意識は街へと飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

《YOU ARE DEAD.》

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

「……」

 

いつもの天井。帰ってきた感触を思い出して黙る。

 

「………はあ、やっぱりね……」

 

予想はしていた。僕もそこまで強くはない。自分で決めていた通り、あとでアミュスフィアを売りに行こう。

 

「……行こうか。」

 

 

 

 

僕はアミュスフィアを元の箱の中に入れていつでも売ることができるようにしてその30分後、近くにある店に売った。

帰ってきたお金は11万5,600円。元々の値段が15万円ちょっとなので、3万円程下がっている。

これで少しくらいはマシになるだろう。そして家に帰って、夕食を済ませた。

 

寝る前にあることをやっておこう。というより、やってみよう。

 

「……ええっと……か、ん、こ、れ……あ、あった。」

 

友達から勧められたオンラインゲーム。かなり人気を博しているらしく、テレビでもこの間取り上げられていた。1ヶ月前に勧められてyou○ubeでプレイ動画を見たり、Goog○eで調べて、キャラクター一人一人の説明や解説を読んだ。中々に面白いものだったのでGGOを辞めた時にはやってみようとずっと思っていた。

 

「……まあ、憂さ晴らしにはなる……かな?」

 

艦これを起動して早速プレイしてみよう。

その時、こんなメッセージが来た。

『プレイヤーネーム《セナ》のデータをコンバートします。

 

アイテム

 

ウルティマラティオ・へカートⅡ

弾倉×8(7×8)

フォトンソード《青龍》

グレネード×8

 

 

よろしいですか?

《YES》

 

「……コンバート?僕はGGOのデータを消したはずだし、売ったんだけど…でも、選択肢が一つしかないって……まあ、いいかな。」

YESのところをクリックした。すると、急に意識が遠のいていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

波の音。

僕が意識を取り戻して聞いたのは波の音だった。

目を開くと晴天の蒼い空が見える。

「……?」

起き上がり周りを見渡す。

そこは僕の来たことのない、砂浜だった。

1人ポツンと立ち尽くす。

「……僕は家にいたはずなんだけど……夢?」

そう思って頰をつねろうとした時、足に冷たい海水がかかった。ソードアートオンラインで使ったナーヴギアもガンゲイルオンラインで使っていたアミュスフィアも水中環境の表現が得意ではなく、ここまでリアルに感じることはない。それに、妙にリアルな暑さ。

「……VR……なの?」

そう思って右手でメインメニューを呼び出そうとしたが、何も出ない。

「……ログアウト!」

そう叫んで見たものの、応答なし。

「…じゃあ、ここは現実……?」

…こんなこと信じたくはないが、ここは現実、らしい。

「……ここは、何処なんだろう。」

ここから僕の不可思議な物語が始まる。

 




次回《流れ着いた少女達》

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