艦これ ~Bullet Of Fleet~   作:クロス・アラベル

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こんにちは!クロス・アラベルです。
引き続き投稿します。
どうぞ!


第1話《流れ着いた少女達》

 

 

 

 

「……はあ、はあ、はあ、はあ、あ、あと少しで陸地に……」

 

「………」

 

「大丈夫……あと少しだから……」

 

「……」

 

海の上を滑るように走る茶髪の女の子2人を運ぶ白髪の少女と紺色の髪の少女。4人全員の服はボロボロになっており出血も酷い。普通なら気を失っていてもおかしくはない。だが、彼女達は普通の人間ではない。

 

『ひびきさん!もうすぐねんりょうがきれます!きかんもあと少しでとまるおそれがあります!』

 

彼女達は《艦娘》という特殊能力を持った……駆逐艦なのだ。

彼女達の中の1人、『響』の艤装から1人の妖精が警告を飛ばす。

 

「……あと少しなんだ!それぐらい、持たせて、くれないか?」

 

『さいぜんのどりょくはしています!あかつきさんもいそいでください!』

 

「分かってる、わよ!……こんな時に限って機関が止まりそうなんて…」

 

「……でも、絶対に……電と雷は、助けるんだ……」

 

響と暁は電、雷と呼ばれた2人を背負ってあと5メートルの海を渡りきり、陸に上がる。

渡りきったところで、二人はいきなり倒れ込んだ。疲れが溜まっていたんだろう。

 

『ぜんきかんていししました!まにあいましたよ、ひびきさん!』

 

妖精が響に向かって叫ぶものの、響は疲れ果てて聞こえていない。

そんな彼女達の前に誰かが走ってくる。

暁に黒い影が覆い被さる。

 

「……助けて……雷…と電と……響を……誰、か……」

 

この言葉を発した直後、彼女達は気絶したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

温かい。

私が目覚めて感じた。

目を開けるとそこは知らない天井だった。

所々黒ずんでいる。かなり古いのだろう。

 

「………い、電と雷は…〜〜ッ⁉︎」

 

無理に動いた反動が……それよりみんなは……

 

『あ…目が覚めた?』

 

その声を聞いて驚いた。私の横に男がいた。

白と黒のメッシュの髪。銀色の右目と黒色の左目。背丈は、私達よりかなり高い。175センチは超えるだろう。

 

「……目が覚めて良かったよ。僕以外に人がいるって分かってよかった……」

 

「……?」

 

「……僕は月駆星奈(つきかけせな)。君は……暁型駆逐艦二番艦の響、だよね?」

 

「……知って……?」

 

「……それなりには知識はあるつもりだけど……君の姉妹艦達は無事だよ。今……入渠してる。ここの施設は広いし施設も多いんだけど、使えるのが横の部屋とここしかなかったんだ。ごめんね、一人にしちゃって……」

 

「……この状況は、意図的に仕向けたのかい?人間。」

 

「……僕、自己紹介したはずなんだけどなぁ……まあ、意図的にと言えばそうかも知れないね……」

 

「……」

 

…人間……これだけは、許さない………なんなら、今打ってやるよ……

 

「君から話を聞いておきたかったんだ。僕も今この状況がどうなってるかわからないからね。」

 

「……本当に、そんな理由で…?」

 

「……そうだけど……どうしたの?」

 

「………私達は遠征中に大勢の深海棲艦に襲われて、逃げて来た……それで島を見つけてここに来た。」

 

「そっか……やっぱり、ここはVRMMOの中なのかな……」

 

「……?」

 

「あ、ごめんね。こっちの話だから気にしないで。」

 

「……ここは?」

 

「えっと…無人島、だと思うよ。人一人としていないから。」

 

無人島。ということはうまくいけば、ここに姉妹で仲良く暮らせる。鎮守府から逃げ出せた…

彼女達の鎮守府は世に言う『ブラック鎮守府』だ。休み無し、娯楽無し、補給や睡眠時間もほとんど無し。艦娘への暴言暴力は日常茶飯事。最悪の状況だった。鎮守府唯一の人間である指令官のせいで人間へのイメージは最悪だった。

そのせいもあり、星奈への接し方も良くないのだ。

 

「ここには高速修復剤が無くてね……多分あったとしても腐ってるだろうしね。」

 

「……」

 

響は星奈の話など全く聞いていなかった。どうやってこの人間を殺すか、どうやって妹達を助けるか。これだけしか考えていなかった。

 

「とにかく、安静にしててね?」

 

しかし、星奈はそれに気付かずそう言い残して部屋を出ていった。

 

「……今しかな、い、~~~ッ!?」

 

響は星奈が出ていって一分後、妹達を探すために立とうとした。が、まだ傷が癒えておらず、激痛が響を襲う。

 

「……くそっ…!」

 

そのまま動けない響だった。

 

 

 

 

 

 

「入るよ?」

 

ドアの向こうから少年の声が聞こえたのは出ていってから20分後の事だった。身構える響。沈黙が了承の合図ととったのか、星奈が部屋に入ってきた。

 

「お待たせ。お腹空いた?」

 

「……?」

 

少年が持っていたのは、一枚のお盆だった。それに何か乗せているようだ。そこからいい香りがする。

 

「雑炊を作ったんだけど…食べる?」

 

どうやらその香りの正体は雑炊だったようだ。

だが、それが危険なもの…薬物が入っているのではないかという警戒が解けず、黙っていた。

その時だった。

 

くぅ

 

そんな可愛らしい声が響のお腹から聞こえた。体は正直である。

「………////」

 

「……自分で食べられる?」ニガワライ

 

「……」フルフル

 

少し動いただけで激痛が走った響にとっては無理なので、素直に首を横に振った。

 

「こればかりはしょうがないね……ちょっと待って…」

 

星奈はスプーンで雑炊を一杯よそい、ふー、ふー、と雑炊をある程度冷ましてから響と口に差し出した。

 

「はい。これで食べられるでしょ?」

 

「……っ!?/////」

 

響は動揺した。とてもじゃないが、ここまで優しい人間…男に会ったことが無いのでこういうのに免疫がなかったようだ。いつも冷静な響が珍しく顔を赤くして動揺した。

 

「……////」アーン

 

響は恥ずかしく思いながらも、その小さな口を開けた。

「……はい。」

 

「……///」パクッ

 

美味しい。なんて美味しい雑炊なんだろう。

食べた時、響はそう思った。こんなにも美味しいものを食べたのは、いつ以来だろう。そうだ、間宮さんが指令官に内緒で作ってくれた、カレーだ。私が建造されて初めて食べた美味しいもの。それにも劣らない、美味しい雑炊だ。

 

「……っ!!」ポロポロ

 

いつの間にか、響は涙を流していた。

 

「……!」

 

星奈はそれに気付き驚いたが、何も聞かず、静かに微笑みながら響に雑炊を食べさせ続けた。

 




次回《第六艦隊と少年》
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