艦これ ~Bullet Of Fleet~   作:クロス・アラベル

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引き続き投稿していきます。クロス・アラベルです。
それではどうぞ。


第2話《第六艦隊と少年》

 

「……んぅ……?」

 

ボロボロの部屋。そこでお湯に浸かっている少女達がいた。そして、その中の一人…紺色の髪の少女が目を覚ました。

 

「………ここ、は……」

 

少女は眠気眼を擦りながら、辺りを見回す。意識が覚醒していくにつれてだんだん気絶する前の記憶が蘇る。

 

「…あたし、確か深海棲艦から逃げてて……それで…ッ!!」

 

全てを思いだし、妹である電と雷の姿を見つけ、一安心したのも束の間、響の姿が見当たらず、探そうと立ち上がろうとすると足に痛みが走る。

 

「っ……!」

 

そして、ここで少女はお風呂に入っていることに気づいた。傷もほとんど治っている。艤装はお風呂の中に沈んでおり、こちらも修復がほとんど済んでいる。

 

「……あたし、なんでこんなとこに…」

 

響がここまで連れてきてくれたことを考えるもそれは不可能だ。4人の中で一番敵の攻撃を受けて負傷していたので、普通なら4人を運ぶのは可能とは言いにくい。もう一つ思い浮かぶのは、

 

「……響以外の、誰か?」

 

そうとしか思えない。だが、なんのために?響と暁は誰の反応もない陸地に行ったはずだ。艦娘の反応はなかったので近くに鎮守府はないはずだ。

人間が…というのは無いはずだ。彼等は面倒ごとには首を突っ込もうとはしない。というより、そんな奴らに助けられたくなんか無い。

 

「人間、なんかに…」

 

その時、妖精さんがお風呂の縁に現れた。

 

『あかつきさん!よかった、めがさめたんですね!』

 

「え……う、うん…ありがと……そっそれより、響はどこ!?」

 

『ひびきさんですか?ひびきさんならもうかんぜんかいふくしましたよ』

 

「よ、良かった……」

 

響が無事だと言うことを聞いて暁は安堵した。

 

『ひびきさんはべつのへやにいます。』

 

「でも、ここはどこなの?」

 

『ここはどこかのむじんとうのふるいちんじゅふだとおもわれます。しょうこにこうそくしゅうふくざいも、しょくりょうもほとんどないみたいですし……でもないというわけではないんです。星奈さんがこのちんじゅふからさがしてくれたおかげで…』

 

「……星奈?誰なの?」

 

『えっと……にんげんのかたですけど…』

 

「!?」

 

人間。暁はその答えを聞いたとたんに鳥肌が立った。まさか、響に暴力を…そう考えると虫酸が走る。

 

「ふっ二人とも起きて!響がっ、響が!!」

 

「…んん…お、姉ちゃん…?」

 

「暁……?」

 

すぐさま他の二人、電と雷を起こして説明を済ませ、扉を睨む。

 

「人間がいるってことは……帰ってきたんじゃないの……?」

 

「どう考えても違うわ。だって、帰ってきたんなら入渠なんかさせてくれないわよ。あの提督は…」

 

雷の言葉を聞いて、静かに、そして怒気を含んだ反論をぶつける暁。

 

「……ひ、響お姉ちゃん……」

 

不安そうにうつむく電。

 

「二人とも犠装は展開したわね?」

 

「うん」

 

「な、なのです…」

 

三人は完全修復された儀装を展開していた。

 

「……じゃあ、行くわよ。妖精さんもナビゲートお願い」

 

『わかりましたが……そんなにけいかいしなくても…』

 

妖精さんのこぼす言葉を無視し、三人は扉を開けた。

 

「……敵なし」

 

扉を開けるとそこは廊下だった。三人は電波探知機で響の反応を発見し、妖精さんのナビゲートを聞きながらそこへと急ぐ。

そして、反応がある部屋の前にたどり着いた。

 

「いいわね?突撃するわよ。3、2、1…今!」

 

三人が部屋に勢いよく入ると、そこに響はいた。

 

「……!皆、起きたのかい!」

 

「響っ!」

 

「響お姉ちゃん!」

 

「響!大丈夫!?」

 

響は三人を見てあまり感情を出さない顔が喜びを露にした。

 

「私は大丈夫だよ」

 

響は抱きついてくる電と雷の頭を撫でながらいう。

 

「響、人間は……!?」

 

「……人間、かい?…………そこにいるよ」

 

響が指をさす方に暁は素早く主砲を向ける。

 

「ッ………!?」

 

そして、驚いた。

 

『……zzz』

 

その人間は、ぐっすりと眠りこけているのだ。

 

「……こいつ、本当に寝てる、の……?」

 

「多分ね。今から二時間くらい前からこれだよ。」

 

微妙な顔で響が言う。

 

「この人間、少なくとも私達に危害を加える気はないと思うよ。この4日間、襲われることも無ければ、暴言暴力さえも受けなかったから……それどころか、私に食事を用意してくれたし、三人の世話もしてくれてたしね。」

 

「う、嘘よ!」

 

「……人間がそんなこと…」

 

「現に皆完全回復してるだろう?」

 

「……本当なのですか?」

 

「まあ100パーセントって訳じゃないから、しっかりと見ておかないといけないけど…」

 

「……分かった。しばらく様子見ね。」

 

「分かったわ」

 

「な、なのです」

 

「分かった」

 

こうして第六艦隊の四人は人間……月駆星奈を監視していくこととなった。

 

 

 

 

「……ん?あれ……寝ちゃってたかな?」

 

星奈は起きた。昨日、遅くまでこの無人鎮守府を掃除して、物の整理をして書類を読んで……そこで記憶は途切れている。

 

「今…朝の7時か……よし、朝ごはんを……おろ?」

 

懐からGGOで地図をスキャンし相手の位置を確認するために使っていた端末……今ではスマートフォンと同じ機能を持っているそれで時間を見て体を起こそうとしたその時、星奈はその部屋……書類管理室の向かいの壁側に固まる小さな4つの体を見つける。暁、響、雷、電だ。昨日、響以外はまだ起きていなかったが意識を取り戻したのだろう。

 

「……仲がいい姉妹だね」

 

星奈は優しく微笑みながら呟いた。

 

「…さて、朝ごはんの用意をしないとね」

 

星奈は立ち上がり、部屋を出ていった。

 

 

 

 

いい香りがする。まるで……

 

「……お魚を焼いてるようなのです…」

 

電が一番に目を覚ました。辺りをキョロキョロと見渡すと姉達は電とひとかたまりになっているが、人間の姿が見えない。

 

「お姉ちゃん!起きるのです」

 

電は姉達を起こした。

その時、人間が部屋に入ってきた。

 

「あ、起きたんだね。おはよう」

 

カートに幾つかのお皿を乗せて。

 

「………」

 

「朝ごはんが出来たから食べよう。覚めないうちにね」

 

人間は部屋の奥から大きめのテーブルと椅子五つを出してきた。

そして、カートに乗っていた皿をテーブルに置く。

その皿の上には20センチほどの魚と少しの野菜が盛り付けられていた。

 

「ごめんね、量が少なくて……」

 

『『…………』』

 

「さあ、食べよっか。頂きます。」

 

「…頂きます」

 

そういって料理を食べ始めた。それに倣って響も食べ始める。

 

「「「………」」」

 

「三人とも食べないの?ほら、冷めちゃうよ」

 

響を除く三人が黙っていると星奈が三人を誘う。

 

「………食べて、いいのですか?」

 

小さな声で電が聞くと星奈は笑顔で答える。

 

「もちろんだよ!みんなのために作ったからね。」

 

そう言って三人を受け入れた。

三人は恐る恐る料理を食べ始める。何ヵ月か振りの食事。自然に進む箸。三人はいつしか笑みを浮かべていたのだった。

 




次回《少年と鎮守府》
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