艦これ ~Bullet Of Fleet~ 作:クロス・アラベル
とある無人島の古い鎮守府。その廊下を歩く少年がいた。
「……さて、今日は工廠に行く予定だったね。」
少年、月駆星奈はここの鎮守府の工廠、いわゆる工場に行くことを予定していた。
工廠は元々旧陸海軍直属で軍艦などの兵器や弾薬を造る施設だったが、ここは艦娘が存在する世界。ならば工廠は艦娘を建造される場所になっている筈。星奈はそう予想……確信し、鎮守府の離れにある工廠に向かっている。
「…艦娘を造ってるってことは……そこには妖精さんがいるってこと…?」
妖精さんは響達ので一度見ているので驚くことは無いが、妖精さんについてはあまり情報が無く、二次作品を見てみると妖精さんと意思疎通自体素質が無いと駄目とか色々設定があった。そう思うと、これから行っても意思疎通が出来なければ何かを造ってもらうことすら不可能ということになる。今から妖精さんに頼もうとしていることは、人間では不可能なことなのだ。
「…着いた」
黙考している間に工廠に着いた。やはり、人がいないからか蜘蛛の巣だらけだ。そんな工廠の扉を星奈は思いきって開けてみた。
「こ、こんにちは~……」
暗い。明かりは当然つけられていない。何かの気配は無いし、工廠に響くのは星奈の足音だけ。
だが、奥が少し明るく見える。
「…誰か、いる……?」
奥へ進み、光の元に辿り着いた。そこにいたのは、
『『『……zzz』』』
何人かの妖精達だった。
「あの、すいません…お、起きてくださーい…」
小さな体を揺すって起こそうとすると、一人の妖精が飛び起きた。
『!?』
「うわっ!?」
『……ていとくさん、ですか?』
起きて僕を見るなり、妖精さんはそう言った。
「えっと……この島の鎮守府にいる人間は僕一人だから、そうなのかな?」
『そうですか、ていとくさんですかー!みんな、おきてー!おしごとだよー!』
『おしごと?』
『久しぶりだなー!』
『おれのみぎてがうずいているー!』
『そんなことよりおうどんたべたい』
一番始めに起きた妖精さんはリーダー的存在だったのか他の妖精さんを起こして指示をしている。そのなかには個性的な妖精さんもいるようだ。
『それで、ごようけんは?』
「えっと……これを改造出来ませんか?深海棲艦にダメージを与えられるような……」
僕はあらかじめ持ってきたものを妖精さん達に見せてみる。
『これを、ですか?』
『わー、なにこれー』
『かっくいー!』
『しんかいせいかんにー?』
妖精さん達が例の物に群がっている。リーダーの妖精さんはうーんうーんと悩み、唸りながらも了承してくれた。
『いいですけど……できるかわかりませんよ?』
「いいんです、お願いします。」
『……わかりました!かいぞうにはすうじつかかるとおもいますが、ぼくたちがせきにんをもってかいぞうします!』
『『しまーす!』』
こうして、とある武器の改造を無事妖精さん達に依頼することが出来た。
次回《記憶》