ガルパン日和   作:アセルヤバイジャン

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主人公強化案!(´・ω・`)


はたらくアマゾン細胞を入れる!(´・ω・`)





ケケーーー!!(´・ω・`)


BCじゆうがくえん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇみぽりん、長野さんのお母さんってどんな人?」

 

「え、叢真さんのお母さん?」

 

お昼の戦車倉庫、相棒であるⅣ号戦車の上に、購買のパンやお惣菜、お弁当を広げて食事をするみほ達。

 

週に一度はこうして戦車の上で食事をするあんこうチーム。

 

真似をしてカバさんチームやレオポンさんチーム、ウサギさんチームもやっている。

 

定番の焼きそばパンやサンドイッチ、メロンパン、変わり種のあん肝パンやしらすパン、そして優花里の戦車デコ弁当。

 

今日は沙織が作ってきた唐揚げとポテトもある。

 

「んなー」

 

沙織の質問に興味がないお猫先輩は、用意されたキャットフードをもりもり食べている。

 

唐突な沙織の質問に、面食らうみほだが、唇に指を当てて思い出す。

 

「んー、私もお姉ちゃんのお見合いの時と、後は大会で挨拶した時くらいしか接点がないから…」

 

「それでもいいよ、こう、印象とか性格とか。やっぱり相手の両親って重要なファクターじゃん?恋愛でどうしても避けられない壁でもある訳だし!」

 

「恋人ですらないのにもう親への挨拶考えてるのか」

 

「沙織さんたら、意識されてるかも分からないのに…」

 

苦笑するみほに、熱弁する沙織。

 

呆れ顔の麻子と笑顔の華の言葉に頬を膨らませるが、みほにそれでも良いから教えてと強請る。

 

「えっと…性格は明るくて元気な人って感じで…あ、ケイさんとアンチョビさんが近いかな、2人を足すと1番近いかも」

 

「ふむふむ、明るくてフレンドリーで、それでいて気さくな人って事か…」

 

「人見知りだった私にも、笑顔で挨拶してくれる人だったよ。ただ、ウチのお母さんが落ち着きがないって言ってたかな…」

 

「子供っぽいって事か…」

 

メモをとる沙織と、メロンパンを齧りながら想像する麻子。

 

「そういえば、黒森峰の卒業生で陸上自衛隊の出身、現役時代は戦車10両抜きや相手フラッグ車を1両で12時間も追いかけ続けたから、黒森峰の暴走特急って渾名があるらしいですね、長野殿が言ってました」

 

「うわぁ、蝶野教官みたい…陸上自衛隊に行く人ってみんなそんな感じなのかな」

 

「逃げた方も凄いな」

 

陸自への酷い誤解である。

 

優花里からの情報で、叢真の母親像に余計な修正が入る。

 

「見た目はどんな方なんですか?長野さんがあの顔ですから、かなり美人と思うんですけど」

 

「うん、綺麗な人だよ。どっちかって言うと可愛いって感じで、麻子さんや華さんみたいな長い髪をしてて」

 

「まぁ」

 

「ほぅ…」

 

「ちょっと麻子、なんで私に向かってドヤ顔するのよ」

 

華の質問に、彼女や麻子の髪を指さしながら説明するみほ。

 

その事に頬を押さえてちょっと嬉しい華と、沙織に向かってドヤ顔する麻子。

 

「でも、背は小さくて…」

 

「ふ…」

 

「だからなんでドヤ顔するのよ!」

 

「おりょうさんみたいなスタイルしてたよ」

 

「…………」

 

「冷泉殿、ドンマイです」

 

最後のオチに、自分の胸を触りながら肩を落とす麻子、優花里が優しく肩を叩いた。

 

おりょう、背は小さいのにボンキュボンのトランジスタグラマーである。

 

麻子とは180度方向性が違う。

 

「童顔だから体型も相まって、私初めてみた時は叢真さんのお姉さんだと思ってたんだよね」

 

「へ~、そりゃ長野さんもイケメンに生まれる訳だわ」

 

「長野殿が卓上演習や戦車道でのアイドルをやる切掛も、お母さんだって話ですよね」

 

「らしいね、私もお母さんから聞いた話だから詳しくないけど…特にアイドルの話と、お見合いの話は叢真さんのお母さんが主導したって」

 

「なんでだろうね?お金目当てとか?」

 

沙織の当然な疑問に、普通ならそう考えるよねと苦笑するみほ。

 

「お金は違うみたい、アイドル活動とかの収入は全部叢真さんの口座に入るって言ってたし、お見合いも…ウチのお母さんが言うには仕方がない事だったみたい、相手が名家や色々な流派の人間だから…」

 

「なんで?断ったっていいじゃん」

 

「あぁ…そういう事ですか…」

 

「名家の面子って奴か」

 

「え、どういう事?」

 

みほの困ったような口ぶりに、事情を察するのは同じく華道の家元の娘である華と、頭のいい麻子。

 

「普通なら縁のない話ですが…名家、特に家元や流派の重要な位置に居る家ともなると、面子というのを大事にするんです。お見合いを申し込んで断られると、その面子が潰された事になってしまうんですよ…」

 

「名家のプライドって奴だな、由緒正しい自分の家が申し込んだのに、断るなんて許せないってな…」

 

「なにそれ!?勝手に申し込んできてそんなの理不尽じゃん!?」

 

華と麻子の説明に、憤慨する沙織。

 

一般家庭の子である沙織や優花里からは理不尽だと思う事だが、名家や流派というのはそういうモノだ。

 

断られた事を他の家に知られれば、笑いものにされる、だからまさか断らないよな?と脅し付きで申し込んでくるのだ。

 

「当時の長野殿はアイドルもやっていた事もあって、それはもう有名人でしたから…どこの流派も欲しがったと聞きますし」

 

「うん…ウチも真っ先に申し込んだんだ…お母さんは断られたら別の方法を考えてたみたいだけど」

 

脅し付きの申込みをしなかったのは西住流と島田流、後は小さな力のない名家だけである。

 

なお、戦車道最大流派である西住流と島田流である、申し込まれただけでも断ることが出来ないのは言うまでもない。

 

なにせ叢真の家は、何の後ろ盾もない一般家庭だ。

 

名家や流派の人間に目の敵にされたら太刀打ちが出来ない。

 

「そんな…それじゃ長野さんがたくさんお見合いしたのって…」

 

「申し込まれたら断れなかったから、だと思うんだ」

 

叢真がそんな事情があってお見合いをしていたなんて思わなかった沙織。

 

知らないのは無理もない、何せ叢真自身知らない事なのだから。

 

母が、自慢する為にお見合いを受けた!と堂々と言い放ったから。

 

ただでさえ、ストーカーに生活を脅かされていたのにこれ以上大人の汚い世界を見せて、折角頑張っている卓上演習から離れる事にならないようにと、母が気遣っての行動。

 

アイドル活動もそうである、本来女性の武道である戦車道に、男性である叢真が居る事を快く思わない人間は一定数居た。

 

その連中からの風当たりを緩和する為に、戦車道を盛り上げる為のアイドルである、という立場を作り、大多数に受け入れられ認められる事で、少数派になった反叢真派を抑え込む為のアイドル活動。

 

アイドルになってしまえば、迂闊に批難や文句も言えない、周りに叩かれるから、それを狙ってのアイドル活動。

 

しかも愛する息子の自慢にもなるし戦車道も盛り上がる、1石3鳥である。

 

なお叢真はその裏を知らない。

 

母が、折角カッコよく生まれたんだから自慢しなきゃ!と笑顔で宣言しているから。

 

「ただ、流石は叢真さんのお母さんと言うか、申し込んでくるのを逆手に取って、どんな家からのお見合いも受けたんだって」

 

「……それの何処が凄いの?いや、全部のお見合いを受けたのは凄いと思うけど」

 

「…………そういう事か」

 

「あぁ…相手の面子を潰さず、それでいて何処にも長野さんを渡さない、そういう事ですか」

 

「ちょっと、華と麻子ばっかり納得しないで教えてよ~!」

 

みほの言葉に、勘のいい麻子と、同じく家元の娘でありその辺りの仕組を理解している華だけは察した。

 

「えっとね、ウチのお母さんの予想なんだけど…断ると面子を潰されたって怒るでしょ?だからあえて受けて、お見合いはしたけど上手く行きませんでしたって形にしちゃうの」

 

「門前払いされるのとお見合いを一応したじゃ、全然周りからの評価が違うからな」

 

「ですねぇ、お見合いの中身は長野さんと相手の問題ですから、余計な口出しは出来ませんし…」

 

「あぁ、余計な口出ししたら、自分で自分の家の面子を潰すって事になるんですね!」

 

華の言葉に、そういう事かと理解する優花里。

 

お見合いを受ける事で申し込んだ相手の面子を立てて、お見合い自体は上手く行きませんでしたで終わらせる。

 

ここで下手に脅したり口出しすれば、お見合い相手を怒らせたと周りから笑い者。

 

叢真が早々に席を立ったどこぞの流派のようになる。

 

「お母さんも頭を抱えてたけど、片っ端からお見合いの話を受けるからどの家もお見合いに失敗してる、お見合いを申し込むだけ無駄だって流れになるようにしたみたい、叢真さんのお母さん」

 

おかげでウチも、お姉ちゃんとのお見合いが失敗したって思われてるんだよねと苦笑するみほ。

 

それだけに、まほが自称婚約者を名乗っていたのは驚いた。

 

実際は保留だったのだが。

 

叢真の母も、黒森峰の卒業生なので西住流との縁を切ることは出来なかった模様。

 

とは言え周りには、あの西住流の長女でも駄目だったから仕方ない…という流れが出来た。

 

その上、お見合いはどんな家でも受ける、論外な家は除いて。

 

なので、長野叢真には家柄や流派の立場が効かないと思われ、お見合いの数はガッツリ減少。

 

叢真の母の目論見通り、現在ではお見合いの話は来ていない。

 

叢真が戦車道から離れたのも原因ではあるが。

 

なお母が叢真にしょっちゅう「大丈夫?お見合いする?」と言うのは軽いネタである。

 

もし叢真がするよと答えたら、あ、そう言えば来てなかったわテヘペロと答えるだけだ。

 

親子の軽いスキンシップである。

 

「西住流もその流れにする為に利用されたって事か…そりゃ西住さんのお母さんも頭を抱えるな」

 

「お姉ちゃんが凄い乗り気だったから余計にね…」

 

麻子の言葉に苦笑するみほ。

 

普通はお見合いした後はデートなりなんなりを重ねるのだが、そんな事になった相手はほぼ居ない。

 

叢真にはお見合いを受けさせるだけ、後の事は母が丁寧に断っていたりする。

 

勿論、叢真が乗り気な相手は話を通すが。

 

そうなった相手は、デートではなく遊び相手として会ってくれと頼まれた島田流だけだが。

 

西住流であるまほですら、デートらしいデートはしておらず、大会で会った時に会話する程度だ。

 

みほは知らないが、1人だけデートらしい行為まで行った相手が居るが、置いておく。

 

「あれ、じゃぁみぽりんのお姉さんも、許嫁って言ってる子も…」

 

「うん、本当に自称。叢真さんが認めてる人は居ないらしいよ…」

 

これには全員苦笑である。

 

因みに許嫁を自称しているのは1人だけ、他は全員叢真を諦めている。

 

それはそうだ、お見合いをしてもその後進展がない上に、叢真が戦車道から離れてしまったのだから。

 

色々な学園艦に進学しているお見合い相手も、昔長野叢真とお見合いしたことあるんだー程度の思い出である。

 

連絡を取ってないので、叢真の母も、どの家のどの娘がどの学園艦に居るかなんて知るわけない。

 

恋人ですらないのだ、離れていて募る恋なんて彼女達には無い。

 

まほ達が特別なのである。

 

「なんて言うか、蝶野教官ばりに無茶苦茶なお母さんだね…」

 

「うん、お母さんももっと他に方法があったでしょうにって愚痴ってた…」

 

沙織の言葉に苦笑して愚痴るしほの姿を思い出すみほ。

 

珍しくみほにお酌をさせて飲んでいたのだが、その時愚痴ったのだ、この時まほは不在。

 

散々愚痴った後で、明確に断られた訳じゃないから婚約者を自称させて認めさせようと思いついたしほ。

 

これがまほの自称婚約者の切掛である。

 

人、これを済し崩しと言う。

 

因みにしほが言う他の方法とは、まほとの仲を認めて他のお見合い話を西住流と上手く行っているからと断る方法だ。

 

そうすれば戦車道最大流派である西住流が相手じゃ…と他の木っ端な流派は諦める。

 

島田流は逆にヒートアップする。

 

下手にどんな家でも受けるから、「あそこの家も受けたんだからウチも受けるよな?」と言われるのである。

 

無茶苦茶で甘いと、しほは酷評。

 

しかし仕方がない、叢真の母は選手としては優れているが、勘に頼って勝負を仕掛けるタイプの人間、指揮官適正が全く無くてフラッグ車を任されても「向いてないっぽい」とアッサリ辞退して、暴れまわれる一般車長に成りたがる。

 

家も一般家庭の生まれなので、謀略や策略は一切出来ないタイプなのだ。

 

そんな母が、息子を守りつつ息子が築いてきた立場を壊さないように、自分の我が儘に振り回す形で話を進めた。

 

優しい叢真の事だ、裏を知れば戦車道を辞めると言うのは簡単に想像出来る。

 

だから全部自分の、自慢の息子を自慢したいという欲求の為の行動として振る舞ってきた。

 

母親としての意地である。

 

とは言え勘で生きてる脳筋タイプ、しほや千代から見たらバレバレである。

 

当然叢真にも薄っすらバレている、具体的な事はバレていないが、母の行動には何か理由があるんだなと察して、文句を言いつつも受け入れている。

 

勿論度を超えたら怒るが、母からすればそれも織り込み済みなのだろう。

 

叢真が怒れば、温厚な息子が怒る位嫌がってるのでこの話は無かった事に♪と出来るから。

 

因みにストーカー事件以降、叢真にアイドル再開の話はそれとなく聞くだけだ。

 

もし叢真が希望するならバックアップはするが、叢真が望まない限りは連盟からのお願いも叢真が決める事ですからと断っている。

 

だから連盟も直接叢真にお願いするのだ、母親に話を持っていくと笑顔で断られるので。

 

「滅茶苦茶だけど…いいお母さんなんだね」

 

「うん、叢真さんもよく連絡してるし…羨ましいな」

 

沙織の言葉に寂しそうに微笑むみほ。

 

母親とほぼ絶縁状態であるみほからすると、羨ましい親子関係なのだろう。

 

「写真とかあったら見てみたいですね!長野殿が帰ってきたら聞いてみましょう」

 

「いいですねぇ、ついでに長野さんの幼い頃の写真とか無いか聞いてみましょうか」

 

「長野さんの幼い頃か…ショタコンが大量発生しそうだな」

 

みほの雰囲気を察して、声を張って別の話題を切り出す優花里。

 

それに乗って、ついでに自分の欲望を口にする華と、想像を口にする麻子。

 

「みぽりんはそういうの持ってないの?」

 

「あ、あるよ。大会での写真とかだけど、昔の叢真さんって可愛いんだよ~」

 

楽しそうに会話を続けるみほ達。

 

知らないところで、過去の自分の姿を晒される事になる叢真であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぷちんっ!うぃ~…」

 

「風邪かい?」

 

「うぅん、この感じ……美少女5人が私の事を噂してるっぽい」

 

「なんでそんな正確に分かるんだい…?」

 

「勘」

 

「勘」

 

夫の言葉に真顔で答える母、流石脳筋族勘属性である。

 

叢真の勘の良さもこの母譲りだったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えーしー…もといびーしー自由学園の場合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでね、私が凶暴な野獣に襲われそうになった時に、叢真様が颯爽と現れてこう言ったの、『凶悪な魔獣め!我の愛する姫に手出しはさせぬ!颯爽登場、銀河美少年!長野叢真ッ!!』と…そして野獣に腕を噛み付かれながらも強力な一撃で、見事に野獣を倒して、恐怖で震えていた私の前に跪き、微笑みならが手を差し出してくれたのよ、『もう大丈夫だよ、我のプリンセス…』って!」

 

「「へ、へぇ~…」」

 

「……………」

 

ドヤ顔で話すマリーと、頬を引きつかせながら相槌を打つ押田と安藤。

 

全て嘘である。

 

凶暴な野獣ではなくただの野良犬、そんな妙な台詞は言ってない、なんだ銀河美少年って。

 

腰抜かしてへたりこんでいたマリーに手を差し伸べたけど、そんなくさい台詞言ってないぞ。

 

あぁほら、安藤の視線が「この人やっぱりプリンス系か…」という疑惑の視線になってるじゃないか。

 

昼前の戦車倉庫前、用意された椅子とテーブルに座ってマリーの捏造過去話を聞く俺達。

 

あの後は大変だった、マリーに抱き着かれて許嫁と言われた俺を警戒する押田と、俺のことを少し知っていたらしい安藤が俺が長野叢真だと分かって大慌て。

 

マリーの「静かに!」の一言で一応静まったが。

 

そしてマリーのお付きの生徒が用意した椅子とテーブルに座って、俺とマリーの関係を説明したのだが。

 

途中からマリーの捏造話が始まったので、俺は遠くを見ながらげんなりしている。

 

俺とマリーの関係は、お見合い騒動の時からである。

 

30件ほどお見合いの話を消化して、母から「だいぶ噂も広がって落ち着いてきたし、もう平気かな」と言われた頃だ。

 

あの頃は何のことか理解出来なかったが、俺とお見合いをしても無駄だという噂が広がったって事だろうか。

 

いくらお見合いをしても、その後は2度と会う事がない人ばかりだったからな。

 

大会で会うまほさん達や、遊びに行ってたあの子位だ。

 

そんな、お見合いも一段落してまた大会とアイドル活動に専念しようかって時に、急にお見合いの話が入った。

 

戦車道の名家でも、流派の人間でも、便乗した行き遅れでもない。

 

何度かお見合いしたら、全然関係ない行き遅れの女性が申し込んできたんだよな…流石に母が断ったけど。

 

俺中学生なのに30代とか母より年上とかは勘弁してもらいたい。

 

そういったのではなく、申し込んできたのはなんと俺の大会でのスポンサー。

 

その親族の家らしい。

 

移動費や足の手配、ホテルやボディーガードの配備までお世話になっているスポンサーだけに断れないので、相手の顔を立てる為にもお見合いを受けた俺。

 

お見合い会場は、とある避暑地にある洋風の高級ホテル。

 

そのホテルのレストランにあるテラスでお見合いの予定だったのだが…。

 

そこに居たのは、お姫様みたいなドレスを着た、ケーキをドカ食いするマリーの姿。

 

うん、面食らったね、今までのお見合い相手は皆緊張してるか気合を漲らせていたのに、マリーは完全リラックスで優雅にケーキを食べていたのだから。

 

しかも大量に。

 

俺が到着しても、一瞥しただけでケーキを食べるのを止めない。

 

お見合いを申し込んできた相手であるマリーのお爺さんが声をかけて、やっと俺を見て挨拶するというレベルだ。

 

その後は相変わらずケーキを食べ続け、口を開いたかと思えば紅茶のお代わり。

 

これには俺もお爺さんも困惑である、母は美味しそうなケーキを見て食べたそうにしていたが。

 

マリーのお爺さんは財界にも政界にも顔が利くお金持ち。

 

本当かどうか不明だがフランス貴族の血を引いているらしい。

 

だから孫娘にマリーなんて名前を付けたのだろう。

 

その後いつもの早々に2人っきりにされる、この時席を外した両者の親も話し合いをするのだが、母がちゃんと話し合いをしているのか不安になる。

 

島田流の時は、俺と娘のお見合いが終わるまで延々俺の自慢話をされたと千代さんが苦笑していたし。

 

いつものお見合い後は交流が無くなるパターンだと思うが、一応話をしようとする俺。

 

だがマリーは聞いちゃいない。

 

そしてケーキを食べ終えると、「退屈だわ~」と言ってクレープ片手に席を立ち、そのままテラスからホテルの外に出ていってしまう。

 

初めて遭遇するフリーダムなマリーの行動に、唖然とする俺。

 

とりあえず紅茶を飲みながら素数を数えてみたが、意味はなかった。

 

マリーの姿がない事に気付いたお爺さん、心なしかゲッソリしていたが、孫娘の勝手な振る舞いに謝罪しつつも、お付きの子らしい女の子達に直ぐに探しに行かせる。

 

母もやってきて、女の子1人を出歩かせちゃダメでしょと正論を言われたので、急いで探しに行くことに。

 

あんなふわふわお姫様が山道や森の中に入るとは思えないので、ホテルから伸びる遊歩道を進むと、犬の鳴き声が。

 

急いで駆けつけると、野良犬に襲われているマリーの姿。

 

腰を抜かして座り込みながら、後退るマリーと、吠えながらにじり寄る野良犬。

 

たぶん目的は、マリーが持っているクレープだろう。

 

咄嗟に着ていたチョッキを脱いで、右手に巻く。

 

今回はお金持ちが相手という事で、中学の制服ではなくオーダーメイドのスーツだったりする。

 

そして今にも飛び掛かりそうな野良犬の前に割り込み、噛み付いてきた口に右手を突っ込む。

 

チョッキの厚みで牙は届かないので、そのまま右手で思いっきり野良犬の舌を掴んで引き上げる。

 

そして思い切り持ち上げて「失せろ」と頑張って殺気を叩きつけてから、野良犬を解放すると、キャインキャインと悲鳴を上げて逃げていった。

 

完全に見えなくなるまで逃げていったのを確認してから、犬の唾液が付いた手をチョッキで拭く。

 

野良犬の牙で切れてしまっている、これはもう駄目だな、高いのに、母に謝らないと、そんな事を考えながら震えて涙を流すマリーの前に。

 

俺にも怯えるマリーだが、極力怖がらせないように笑顔を浮かべて手を差し伸べ、帰ろう、と一言。

 

立ち上がらせようとしたが、腰が抜けたらしく動けないマリー、仕方ないので背負ってホテルまで帰った。

 

勝手にお見合いを抜け出して、その上野良犬に襲われたと聞いてマリーのお爺さんは激おこだったが、何とか宥める。

 

何度も俺にお礼を言うお爺さんと、泣きながら頭を下げさせられるマリー。

 

大した事をした訳でもないので、お孫さんが無事で良かったで終わらせましょうと伝え、お見合いを続けられる状態でもないので解散に。

 

予想外なお見合いだったが、まぁ、もう会うことも無いし…と思っていたら。

 

母から、お見合いのやり直しと改めてのお礼をしたいと申し出があったと言われた。

 

今度はマリーの両親も来るらしく、お見合いのやり直しは何とマリー本人が希望したとの事。

 

スポンサーからも是非にとお願いされたので、お見合いのやり直しとなった。

 

今度は都市部の高級ホテル、またケーキ喰ってるのかなと思ったら、今度はそわそわして笑顔で待っていたマリーの姿。

 

最初の時のあの態度はなんだったのかと思う位、積極的に話しかけてくるので面食らった。

 

その様子に満足げなお爺さんと、微笑ましそうなご両親。

 

母の提案でホテルの庭園を歩いたりしたが、腕を組んだり頭を預けてきたりと、最初の時の態度はなんだったのかと…。

 

そのままお見合いは終了し、帰りの車の中で母にどうだったか聞かれた。

 

ここで俺が良い返事をしなければ、今までの家のように会うこともなくなる、その位は察せれる。

 

何せ、遊ぶために今後も顔を出さないとかなと答えた島田流の時だけは、その後も連絡が来たのだから。

 

マリーの好意は嬉しかったが、やはりマジモノの貴族のお嬢様と俺では立場が釣り合わない。

 

それに、マリーのあの好意は野良犬に襲われた恐怖とそれから助けられた安堵感からくる、吊り橋効果だと理解していた。

 

だから母には色良い返事はしなかった。

 

母も叢真がそう言うならそうしましょうと、受け入れて貰えた。

 

これでマリーとの関係も終わりだな、そう思っていた。

 

 

 

 

 

ところがどっこい。

 

 

 

 

 

大会のスポンサー席には、満面の笑顔のマリーの姿が。

 

大会だけでなく、俺の宿泊するホテルや移動先にも現れた。

 

そりゃそうである、マリーはスポンサーの親族、そして俺のホテルや移動の足を用意するのはスポンサー。

 

他のお見合い相手と違って、簡単に俺と接触出来るのだ。

 

しかもこの時すでに俺の許嫁だと自称しており、他のスポンサーや大会関係者を驚愕させた。

 

母に聞いてみるが知らないと言われた、つまり完全な自称なのである。

 

婚約者もそうだが、許嫁は双方の両親の同意でなるモノだ。

 

だがマリーのは完全な一方的なモノ。

 

当然否定したが、お見合いの席で平気でケーキを食ってお散歩に出かけるような自由人であるマリーである。

 

照れなくてもよろしいのよと笑顔で言われた、そういう問題じゃない。

 

母もこの事態は想定外だったようで、珍しく慌てていた。

 

まぁ自称許嫁になったとはいえ、やることは俺の応援や押し掛けデート程度なので別に害は無かった。

 

むしろマリーが居る事で警備が更に厳重になり、ストーカーからの被害が減った位だが。

 

いや、被害があったか、大会でまほさんやみほちゃんと挨拶したらその姿を見られいていたらしく、控室で「浮気はダメよ!」と叱られた。

 

浮気も何も付き合ってませんがな…。

 

そんな関係は俺が事件に巻き込まれて入院するまで続いた。

 

俺が入院していた病院にも来たらしいが、母が面会謝絶にしていたので会うことはなかった。

 

そのまま俺が戦車道の公式大会から離れる事になると、スポンサーとの契約は解約に。

 

マリーとの繋がりが消えたので、その後は会うことがなかった。

 

まさかBC自由学園で、戦車道をやっていて、しかも隊長で、まーだ自称許嫁を続けているとは、このリハクの目をもってしても見抜けぬとは!!

 

リハクって誰だ、普通見抜けるかいこんな展開。

 

「今も忘れないわ、恐怖で震える私を優しく抱き上げ、お姫様抱っこで木漏れ日の中を歩いていくあのお姿を…!」

 

まーだトリップしてらっしゃる。

 

これも捏造である、腰が抜けたマリーをおんぶして移動しただけだ。

 

「まさかマリー様にそのような許嫁が居たとは、この押田、己の知識の無さを恥じるばかりです…!」

 

なんか押田って人は感涙してるし。

 

この人マリーの親衛隊かなんか?

 

「あの長野叢真が許嫁…凄かったんだな隊長…」

 

どの長野叢真ですかね、どの。

 

安藤という人も感心したように頷いている。

 

周りの生徒達は、マリーの捏造だらけの思い出話をきゃーきゃー言いながら聞いている。

 

そうね、乙女受けの良さそうな話になってるもんね、一部捏造が激しいのと俺が意味不明なキャラになってる事を除けば。

 

なんだ一人称が我って、なんだ銀河美少年って、ただの野良犬が赤カブト並の怪物みたいな表現してるし。

 

訂正する気力も無く、隣に座ったマリーに腕を組まれたまま遠くを見る俺。

 

別の意味で羞恥プレイだよこれ…。

 

俺に残されたのは、砂糖を入れてないのに甘い気がする紅茶を飲むだけ。

 

空になるとマリーのお付きの子…あのお見合いの時にも居た子だと今更気付いたが、その子がさり気なく紅茶を注いでくれる。

 

聖グロの生徒にも負けない見事な紅茶入れだった、マリーの家に仕えてる家の子らしいし、プロなんだろうなぁ。

 

「ふぅ~、たくさん話たらお腹が空いてしまったわ。叢真様、食堂へ参りましょう!」

 

「え、あ、終わった?俺の羞恥プレイ終わった?」

 

「もう、私の話を聞いていなかったの?相変わらずイケズなお方!」

 

ぷんぷんしながら俺の腕を抱き締めるマリーに、唖然とする押田と安藤のコンビ。

 

お付きの子はすました笑顔で立っているだけ、やはりプロだ。

 

その後、マリーに連れられて学園の食堂へ。

 

マリーと腕を組みながらなので超目立った、俺達の後ろを付いてくる押田と安藤も女子生徒からキャーキャー言われている、やはりヅカか、タカラのヅカか。

 

「好きな定食をお選びになって」

 

「………うどんとかカレーとか無いんだな」

 

「そんなお下品な物はありませんわ」

 

本当に、エスカルゴ定食とかフォアグラ定食とかテリーヌ定食とかポトフ定食とかクロックムッシュ定食とか…。

 

セットのメニューもフランスパンやバゲットにスープ、ご飯や味噌汁は存在しない。

 

うん、こりゃぁ受験組がデモ起こす筈だわ。

 

馴染みの料理が一切無いんだから。

 

「諦めてください長野さん、これがここの現実なんです…」

 

「苦労してるんだな安藤さん…」

 

「安藤でいいっすよ」

 

俺のショックを理解して肩を叩いてくる安藤、受験組だけあって結構気軽な子だ。

 

「おい安藤!マリー様の許嫁に何を気安く話しかけている!失礼だぞ!」

 

「うるさいぞ押田!長野さんの凄さを知らない温室育ちの箱入り娘が!」

 

「喧嘩なら他所でやってちょうだい、お昼が不味くなるわ。私は今日はこれにしようかしら」

 

喧嘩を始める押田と安藤を他所に、メニューを選ぶマリー。

 

流石マリー、ゴーイングマイウェイである。

 

俺は…無難にフォアグラ定食にしておこう、エスカルゴ定食は勇気が出ない…。

 

なおそんなメニューしてる癖に、食堂なので自分で食券買ってカウンターで受け取るスタイルである。

 

配膳の女子、恐らく栄養科みたいな学科の生徒だと思うが、その女子が俺の姿を見て驚いていた。

 

そりゃそうだよな、女子校に男が、しかも見覚えのない奴が居るんだから。

 

「ど、どうぞ…!」

 

「ありがとう」

 

差し出されたフォアグラの皿を受け取りながら、微笑んでお礼を言う。

 

お礼を言う時は微笑む事、それが母から受けた教育である。

 

理由は知らんが。

 

「すげぇ、お礼だけで落とした…!」

 

「何がだ安藤?」

 

「いえ、何でも無いです!」

 

俺の後ろに並んでいた安藤が何やら驚愕していたが、なんだろうか。

 

マリー達が別のレーンに並んでいるので、同じメニューを選んだ安藤と待つ。

 

「あれ、量が違うな…」

 

「サービスだと思います」

 

安藤と俺でフォアグラの量が違う、俺の方は2切れ入っている。

 

なんのサービスだろう、謎だ。

 

マリー達も来たので空いているテーブルを探すが、こっちだと言われて付いていく。

 

「戦車道の選手が専有しているテーブルがあるんですよ」

 

「ほー、ここでもそういう扱いか」

 

聖グロとかプラウダは強豪校だからか、戦車道の選手が座る席が決まっている。

 

アンツィオと継続は早いもの勝ちである、つまり戦争。

 

そう考えると大洗は平和だな、食堂の席が空いてなかったら購買でパンとかおにぎり買って好きな場所で食べられるし。

 

男子が学園から抜け出してラーメン食べてきたらしく、園さん達に捕まって校門前で正座させられてお説教されていたが、あれは論外だな。

 

案内された席は、他が混んでいるのに誰も座っていない。

 

本当に戦車道専用なんだな。

 

「いただきます」

 

席に座って手を合わせる、俺の右隣には安藤、左にはマリー、安藤の正面に押田、俺とマリーの正面にはマリーのお付きの子達。

 

「ふん、相変わらず箸か、ナイフとフォークもろくに使えないとは…これだから外様は」

 

「お前、その言葉長野さんにも刺さってるの理解してるか?」

 

「…………箸じゃ駄目なのか」

 

「い、いえ、今のは安藤に言ったのであって別にそんな!?」

 

「押田、叢真様を侮辱したら許さないわよ」

 

「ま、マリー様ぁ!?」

 

安定の押田、安藤に喧嘩を売ろうとしたら俺にも流れ弾がヒット。

 

すまねぇ、フランス式テーブルマナーはさっぱりなんだ。

 

箸でフォアグラを食べるとか違和感凄いな、付け合せがバゲットとスープだし。

 

「受験組が行動しなければ、箸すら無かったんですよここ…」

 

「徹底し過ぎだな…」

 

安藤の言葉に心底同情する。

 

聖グロだってちゃんとあるぞ、割り箸。

 

「叢真様、安藤とばかり仲良くして…浮気はダメよ?」

 

「だから付き合ってないから…浮気にならんだろ…」

 

「もう、照れちゃって!」

 

駄目だこのマリー、話を受け入れてくれない。

 

安藤に教えてもらいながらフォアグラ定食を食べる、味は普通に美味しかった。

 

ただメニューにバリエーションがないし、やはり米や味噌、醤油がないのは辛いだろう。

 

これは受験組を応援したくなる、頑張れ受験組、エスカレーター組に食わせておはだけさせれば勝ちだ。

 

食戟で勝てば…それあの学校だけか。

 

「叢真様、デザートはいかが?はい、あ~ん!」

 

「いや、こんな人が多い場所で……あ、あー…」

 

いつの間に持ってきたのか、ケーキを俺に差し出すマリー。

 

周りの目があるので拒否したいが、眼前に迫るケーキ、口を開けなければだちょうクラブ確実である。

 

ケーキを咀嚼する俺と、美味しいでしょうとニコニコのマリー、そしてそんな俺達を見て驚愕している押田と安藤。

 

「ま、マリー様が…!」

 

「自分のケーキを、人に食べさせる…だと…!」

 

驚いてるのそっちかーい!

 

確かにマリー、自分が食べてる物は人にあげないタイプだからな…。

 

だからか、戦車道の選手だけでなく、周りで様子を覗っていた生徒達も驚いている。

 

平然としているのはマリーのお付きの子達だけ、本当にプロですね、と言うか学生ですか本当に?

 

「ご安心下さい」

 

「高校生です」

 

ア、ハイ。

 

「デザートを食べたら、戦車道の様子を見学しましょうね」

 

「あ、一応俺の仕事させてくれるのね…」

 

このままマリーに付き合わされて終わるのかと思ってたよ、安心した。

 

「ふん、マリー様の許嫁とはいえ、我々の戦いが理解出来るかな?」

 

「お前、長野さん相手によくそんな事言えるな!?無知は罪って言葉知ってるか!?」

 

ドヤ顔の押田にツッコむ安藤、君達本当に仲いいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、なんで誰も居ないざます?お客様が来るから待機って言ってあった筈なのに…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




急遽Aパートを変更、原田の汚いHOT LIMIT、斎藤のグルメ、新キャラ登場はお蔵入りとなりました(´・ω・`)


本当は劇場版のストーリーの中でしほと主人公母の会話で明らかにする予定でしたが、感想で母親は火種ばかり、作者いいかげんにしろと言われてしまったので急遽変更してお送りしました(´・ω・`)

急な変更なので文が変だけど勘弁してね(´・ω・`)










婚約者や許嫁を名乗った人?(´・ω・`)


自称婚約者:まほ

自称許嫁:マリー

他の子:名乗ってないor名乗ったけど主人公は知らない、そしてもう過去の事にされている



こんな感じ(´・ω・`)

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