マダオ戦士Goddamn   作:はんがー

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プロローグ

「ガッデム!!」

 

英語のスラングで「ちくしょう!」という意味。

 

英語で神を意味する「God」と地獄に落とすという「damn」という言葉を組み合わせた言葉である。スペルは「goddamn」となる。

 

 

ついでにつけ加えていうと、おれが今世で初めてしゃべった言葉である。

 

おれは、そこら辺にいるまるでダメなおっさん略してマダオだった。毎日、自宅警備員よろしくグウタラ過ごしては、ゲームとアニメとネット三昧な日々を送っていた。ときどき「働け、ニート」という世間の冷たい目を向けられ、そのたびにカレンダーをみて、「明日から本気出す」と誓ったのはいい思い出だ。

 

そんなおれに悲劇が襲った。ある日、マダオなおれがコンビニのバイトを始めた。心機一転、おれも社会人として一歩踏み出したのだ。

 

品だし、レジ打ち、商品のチェック、中華まんを温めたり、カフェラテの補充をしたり、チケットを発券したり、etc.......コンビニってやること多いんだな、と遠い目をしながらも、なんとか仕事に慣れてきた。そしていつものように出勤すると、「金を出せェ!!!」......コンビニ強盗に刃物を突き付けられた。Oh、ガッデム!!......しかしここは冷静にマニュアル通りに対応しよう。

 

「いらっしゃいませー」

「聞こえなかったのかッ!金を出せェ!!!」

 

ふむ。お客さまは神さまだ。例え、強盗犯でも丁寧に対応しよう。

 

「すみません、お客さまのなかに柿を持っている方はいませんか?」

 

ひとり年配の方がサッと渡し、そのままおれはそれをスッと差し出した。

 

「そうそう、この柿食って鐘をならす......法隆寺じゃねぇよ!カネだっつってんだろ!諭吉を出せ!!」

 

じゃあ、こっちか?おれは怯える周囲の客に声をかけた。

 

「すみません、お客さまのなかにご兄弟のいらっしゃる方はいませんか?こちらのお客さまがお姉さんをご要望でして」

 

「おれはシスコンじゃねーよ!!!?アネじゃない!カネだっつーの!!!」

 

すみません、新人なものでね。そしておれと強盗犯がバカ騒ぎしている間に警察が到着し、そのままお縄となった。

 

ふー。今日も一日終わった。なんて油断していた帰り道。背後からトラックのクラクションが響いて、後ろを振り返って、おれの意識は遮断された。

 

 

 

 

 

 

そして、目を開けると、知らない天井が目に入る。どうやら親切な誰かがおれを病院まで運んでくれたみたいだ。起き上がろうとするが、あれ?手が小さいような......天井に向かって両手を伸ばしていると、横から「お腹でもすいたのかしら」と声がかかる。そのまま抱き抱えられ、漸くおれは自分が赤ん坊であることに気がついた。いったいなにがどうなっている??頭のなかが混乱し、思考回路はショート寸前だ。

 

 

「ふふっ......あの人にそっくりね」

 

おれを抱える女性はおれをあやしながらにっこり微笑んだ。

 

 

そうしておれの第2の人生の幕があがった。

 

 


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