マダオ戦士Goddamn   作:はんがー

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ガラケーだったおれの携帯はついにスマホへと進化した。オカンはルパンからスマホを渡されていたが、電源を入れてなくて連絡が取れず、「こういうときの連絡手段だろォが」と呆れられていた。いや、そもそも電子機器が苦手みたいで、メールを送ろうと四苦八苦している。しょうがないなァと椅子から腰を上げ、「かして」とオカンのスマホを操作する。パパッとアイコンを押すと、あっという間にメールの作成画面になる。「………かたじけない」といいながら、なんとかルパンに連絡していた。できないというわけでなく、普段は刀をぶら下げ、電車やバスというような交通機関は滅多に使わず、基本的に自分の足で移動する。さらに気まぐれに修行と称して山ごもりをする。オカンはこういう現代人の必需品がいらない生活を日常に送っているから、機械オンチな一面がある。

 

 

 

スマホが登場したということは、世はIT革命まっただ中で、次々とパソコンやらWiーfiやら、ネット環境が整いつつあり、おれにとってはまさにパラダイスだった。そう、楽園だ。ネット通販、動画、まとめ掲示板………きょうもおれはネットサーフィンを楽しんでいた。そして、あるニュースが目にとまる。

 

 

【DNA探偵の「お手柄」】

 

 

………うわ。また探偵かよ。げェ!とうんざりしながら、記事を読む。

 

 

【DNA情報の公開データベースが事件の解決のために使用された。容疑者は「遺伝子系図」により特定された。犯行現場に残したDNAから容疑者の親族が突き止められ、次に本人が特定されたのである。警察は、何十年も前に起こった悪名高い未解決殺人事件を解決するため、本格的に遺伝子系図を使おうと検討している。

 

系図学者は犯行現場に残されたDNAを遺伝子情報の巨大なデータベースにアップロードし、未詳の容疑者の親族を特定する。そして家系図を作成し、その情報を探偵業務と組み合わせて、本人に照準を定める。】

 

 

なるほど。たしかに、如何に本人そっくりになりすましても、遺伝子に嘘はつけない。一昔前はDNA鑑定なんて、採取した唾から血液型を割り出すくらいだったっていうのに、今では本人かどうかわかってしまう。技術の進化ってすごいな………

 

ヘ~と感心しながら、画面をスクロールする。おっと、テンション上がって、写真やらデータやら保存しすぎたせいか、スマホが重くなってきた。SDカードに移すにしても、すぐに容量いっぱいになるしなァ。新しいものを買うのも面倒だし、クラウドに預けるか。

 

クラウドサービスというのは、スマホやPCのデータをネット上のサーバーに預けていつでも、どこからでも預けたデータを見れるようにすることだ。サーバーに預けるので画像を見たいときにはそのネット上の保管箱を漁ればいい。スマホからでもPCからでも見ることができ、それぞれの端末の容量を使うこともない。もちろん、保管箱にはパスワードを掛けて保護できるので中身を見れるのはパスワードを知っている人だけ。

 

 

 

そう、パスワードを知っている人だけのはずなのだが………

 

 

「ガッデム!!」

 

 

 

データを整理し終えた後、つい出来心…………いやいや、これは暇つぶしだ、うん。その暇つぶしの遊びで無造作に適当にアルファベットと数字を組み合わせて入力した。そしたら運良く、パスワードが解除され、ズラ~とデータがあふれ出す。まさかおれのスマホが乗っ取られたのか?と焦って、データを分析し始める。だが、読み進めていく内にヒヤリと背中が寒くなっていった。

 

 

 

 

もしかして、これ、一般人が知ってはいけない事だったのでは…………いまさらながら気づく。

 

 

とりあえずこのクラウドのユーザに一言もの申す。

 

 

なんでみんなが使う民間のクラウドにイージス艦の機密情報を保存してんだよ!!

 

 

 

 

 

 


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