マダオ戦士Goddamn   作:はんがー

24 / 40
23

黒の組織はノックが紛れ込むある意味スパイ天国なところがある。だが、バレたら銀髪兄貴に制裁されるからスパイ地獄というべきだろうか?意外と組織の内部にスパイが潜り込み放題ということだ。

 

 

同様にこの国もしばしばスパイ天国と揶揄される。その一因として考えられるのは罰則規定のゆるさ。公務員が国家の機密情報をリークした場合は最大でも懲役1年、自衛隊で最大10年にしかならない。

 

 

刑罰の水準は保護法益(その罪を規定することによって守られる利益)との比較衡量によって決まる。だが、現状の罰則は保護法益に鑑みると緩すぎる。それこそ某ウィ⚪ペディアとか、ましてや民間クラウドなんかにうっかり漏らしてはいけない。

 

 

いや、今回はパスワードを解除したおれがわるいのか?でも、「50:50だ」と沖矢さんならしれっと言いそう。

 

 

本題に入るが、イージス艦の機密情報を民間クラウドに保存した間抜けな男が判明した。

 

 

 

【笹浦洋介 海上自衛隊一等海尉。若狭地方隊情報官】

 

 

 

 

情報官は、通常、港でイージス艦の情報を守る任務についている。 しかし、彼は某国のスパイとそのデータの取引を行おうとした。 彼にどんな思惑があったのかしらないが、とてもみなかったことにできない事案である。しかも午前5時30分に舞鶴港の崖の上で旗を振っている所を目撃されるのをさいごに、その後は行方不明になっていた。 

 

 

 

運がいいのか、わるいのか、おれはこのイージス艦に乗れるチャンスがあった。自分の後始末は自分で片付けねば......グッと引き締めるおれをみて、歩美ちゃんに「今日のテム君、キラキラしてる~!」と見抜かれた。正直に言おう。楽しみにしてた!!だって、あの【ほだか】に乗れるんだぞ!?クワッと力説していると、江戸川君に「ハハハ......(そういや軍曹ってあだ名だったなコイツ......)」と白けた眼でみられた。案内役の自衛官についていき、少年探偵団とともに内部を見て回る。ホォー......もしかして、これ機密情報に記載されてた最新鋭の砲台じゃないか?うぉ!これ、レーダーあるじゃん!......とまぁ、おれのテンションは昇りきっていた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

ちなみにいうと、分析した結果、機密データは笹浦が管理していたものと、イージス艦の内部でしか手に入らないものの2種類がある。つまり、スパイはこの艦に乗り込んでいる可能性が高い。

 

 

 

例のごとく「ちょっとトイレ!」と抜け出す江戸川君を追いかける。おれはコソコソと人気のない建物の影で電話をかける江戸川君に近づいた。

 

 

「このデータは一体......」

 

眉間に皺を寄せた江戸川君の隣に立ち、その疑問の答えを告げた。

 

「イージス艦の機密情報だよ、それ」

 

「んなっ!テ、テム、くん......!」

 

ビクッと肩を揺らして、江戸川君はパッと携帯を隠した。江戸川君の会話を聞いた様子なら、笹浦は亡くなっているみたいだ。(当然のごとく、殺人事件だ)

 

 

「どういうことだよ?」と視線を向けられるので、軽くかいつまみながら、機密情報が漏れていることやスパイの可能性を示唆した。すると「そういうことか!」と江戸川君は閃いた。よしよし、これでおれの役目はおわりだろう。この名探偵に任せれば問題ないハズ。さぁて、カレーでも食べに行こうとするが、ガシリと腕を捕まれる。

 

 

「なんやて工藤!その坊主の言うことがホンマやったら、えらいことになるな......」

「あぁ......服部、こっちはテム君とそのXを捕まえる。そっちは任せたぜ」

 

 

電話が繋がってたらしく、要約すると服部兄さんと連携して犯人を捕まえるらしい。そして、江戸川君の中ではおれもその戦力に数えられてる。いつもならここで抵抗していたが......これに関しては自分から首を突っ込んだようなものだ。後始末は自分で片をつける。

 

 

 

***

 

 

 

江戸川君は一旦捜査会議の様子を見にいき、おれはXを捜すことにした。

 

 

Xは自分の正体が他に知られないように子どもを捕らえて共に甲板に出ていた。 しかしそこで蘭さんに出くわし、事情を察知した彼女とその場で交戦する。ちょっ!なんだあの技!本当に空手なのか!?超次元空手だろ!さすが電柱にヒビいれたパンチングヒロイン............

 

 

だが、やはり男女の差がどうしてもあらわれる。足元のバランスを崩した蘭さんにXは拳を振り上げる。このままじゃ、危ない!蘭さんは小さく「しんいち......」と呟く。咄嗟に手に持っていたスマホをハット帽の鍔で狙いを定め、振りかぶる。スマホはきれいに放物線を描きながら、Xの顎にその角が直撃した。グホォとXは呻き、おれをギラリと睨む。おれのスマホは甲板に叩きつけられ、液晶にヒビが入った。

 

 

 

蘭さんの呼掛けが聞こえたのか、江戸川君は焦った顔で「らァーん!!」と駆けつけてきた。

Xはレーダー塔で乗員を人質にして逃走しようとする。だが、下からの江戸川君の強力なシュートをまともに受け、上空に吹っ飛ばされた。......た~まや~。 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

事件は一旦解決。Xと殺人事件の犯人、Xの共犯者も捕まった。おれのスマホもいずれ特定されるからまずは処分しないとな。ちょうど目の前には海が広がってるし、そのまま供養しよう。ジャボンと音をたて、スマホは海へ沈んでいった。

 

 

 

さて、これはどうしようか。先ほどXからくすねたUSBメモリー。中身はこのイージス艦や各国の軍事設備というような極秘情報だ。ぼんやりそれを眺めていると、おれの背後からタタタと足音が近づいてくる。海へ視線を向けたまま訊ねた。

 

 

「どうしてスパイを送るとおもう?」

 

 

江戸川君は「へ?」とポカンと口を半開きに目をパチパチさせた。太陽に照らされ、毛利探偵が撒き散らした金ピカの名刺がキラキラ反射する。江戸川君は何か考え込むようにじっとおれをうかがうので、おれは口を開いた。

 

 

「情報化社会の今日、公開情報で手に入れられない情報はない。その情報をもとにすれば、Aという結論も、Bという結論も成り立つから、正解は外からみただけじゃわからない。Aの方が確率が高いからといってとそうなるとは限らない。............つまり、現場にいかなければわからないってことだ。」

 

 

風で舞い上がった1枚の名刺を人指し指と中指で掴み、USBメモリーを江戸川君へ渡す。

 

 

(ホームズ)

「探偵 くんに預けるよ。江戸川君なら、ちゃんと元の持ち主に返してくれそうだし」

 

「......それは探偵への依頼ってこと?

 

 

 

 

 

それとも―――何か、企んでる?」

 

 

 

江戸川の大きな目がレンズ越しにキラリと光り、おれはハット帽を目深に被り直した。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。