マダオ戦士Goddamn   作:はんがー

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あのマスタング脱出作戦以来、少年探偵団のキッズから勧誘される毎日だ。遠回しに断ろうとするが、純粋な子どもたちの視線に良心が痛み、都合が合えば彼らとキャンプに行ったり、学校で謎解きしたり、キャンプに行ったり、サッカー観戦に行ったり、キャンプに行ったり…………あれ、こいつらキャンプ行き過ぎじゃね?しかし、今のところ直接事件に関わっていないことは非常に奇跡的である。なんせ、彼らと出かけた回数は片手で数えるほどだから、事件に遭遇する確率は低くなる。実質おれが関わったのは、あのツインタワービルだけだ。

 

 

 

だからこそ油断していたのだろう。

 

 

 

おれはいま豪華客船に乗船している。遠目に見えるのは蘭さんにだっこされている江戸川君。その様子をみた少年探偵団は江戸川君をからかっている。「バーロー。夕日のせいだっつーの」と、ラブコメ漫画よろしく照れていた。蘭さんの大会の優勝祝いという名目でみんなといっしょに食事をした。目の前には豪華な料理がならんでいて、ゴクリとのどをならしてロックオンする。隣で「テム君の目つきが変わった!」「いつも眠たそうにしてンのに」「よっぽどおなかがすいていたんですかね?」とざわついていたが、あいにくおれの耳には入ってこなかった。

 

たんまりとご飯を平らげると、歩美ちゃんの提案で蘭さんへ手作りの金メダルをプレゼントすることになった。歩美ちゃんが「だって、新一おにいさんから何ももらってないなんてかわいそう」と言うのをきいて、シラーとした目で江戸川君を見てしまった。いい加減素直になりなよ…………

 

しばらくすると、蘭さんと園子嬢が加わり、かくれんぼする。前世のサバゲーの血が騒ぎ、おれはこの状況にのめり込んでいた。蘭さんは「忍者」と二つ名がつけられていたが、おれも「無慈悲な銃火(クルーエル・ガンファイア)」と自他共に呼んでいた。中二病まる出しである。たかがかくれんぼ、されどかくれんぼ。サバイバルゲームはかくれんぼやケードロ(ドロケーともいう)の応用でもある。鬼は、園子嬢と灰原さん。フィールドはこの船内。制限時間は30分。スタートの合図と同時におれは駆けだした。

 

 

まずはさっと物陰に隠れ、これからの行動を思案した。こういうときは情報が鍵となる。ポケットに入っている携帯型FMラジオを取りだす。フードをかぶり、廊下へ進む。

 

FMラジオを受信できる状態にし、周波数選曲ダイヤルを低いところから徐々に高くしていく。ある部屋の前で止まる。すると、FMラジオから部屋で鳴っているのと同じ音が聞こえてくる。FM式の盗聴器が部屋に仕掛けられているのか?

 

部屋の番号は、【ロイヤルスイート604】

 

好奇心のままに部屋のドアを開ける。不用心だな、この部屋の人は鍵をかけていないらしい。FMラジオを持って部屋を移動すると、音がだんだん大きくなる。ハウリングを起こし、その部屋に盗聴器が仕掛けられていた。

 

 

………厄介なものを見つけてしまった。

 

さっきまでキリッとした目つきがだんだん光をなくしていくのがわかった。害虫は駆除するっていうし、この盗聴器も物騒なので撤去しておこう。

 

 

ラジオの時刻をみると、とっくに30分過ぎていたので、最初のスタート地点へおれは足を進めた。

 

 

 


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