遥かな、夢の11Rを見るために   作:パトラッシュS

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年末受賞式(パーティー)

 

 記念すべき私の初授賞式。

 

 朝日杯での功績が認められ、なんと、私は現在、年間受賞者が受けられるパーティーに参加しております。

 

 テンション上がりますよねー、にんじんジュースが美味い!

 

 でも、ドレスがエッチなのはダメだと思います。メジロドーベルさんに選んでもらったのは軽率じゃった。

 

 私のはVネックに濃い青が特徴のエンパイア・ウエストが特徴のドレスです。

 

 白い長手袋なんかも付けてます。

 

 やっばい、セレブ感ありますね、私、田舎の芋ウマ娘だったんですけど。

 

 お尻のラインから胸にかけてくっきりとした青く煌びやかなドレスなんですけど、胸元は空いてるわ太ももはドレスの間から見えるわでなんだか落ち着きませんね。

 

 

「アフちゃん先輩ー! 先輩も来てたんですかっ!」

「おー、スカーレットちゃんじゃないですか! …相変わらず元気そうですね」

「…先輩、どこ見て言ってます?」

 

 

 ドレスの谷間からバルンバルンと弾む胸をガン見しながら告げる私にジト目で告げてくるスカーレットちゃん。

 

 ハロースカーレットボインちゃん今日も元気だね、たゆんたゆんだね! え? 私? 絶好調だよ、いろんな意味でな!

 

 お前もやろがいという突っ込みがどこからか聞こえてきますが、多分、気のせいですね、私の奴は無駄に元気が良いですから、身長に行け身長に。

 

 目線が胸の位置にあるから仕方ないんですよね、私としては非常に不本意なんですよ本当に。

 

 そんな私の顔を見ながら、ドレス姿のダイワスカーレットちゃんはにこやかな笑顔でこんな話を振ってくる。

 

 

「朝日杯、先輩凄かったですね! 本当に! あそこからの一気の捲り! 痺れましたよ! あーあ! 私もあんな走りがしたいなー」

「えへへー、そんなに褒めて何が欲しいんですか? 人参くらいしか持ってないですけど」

「なんでこの会場に人参持って来てるんですか?」

「オグリ先輩の餌付け用です」

 

 

 そう言って、私はダイワスカーレットちゃんにドレスの太ももに巻きつけてある人参をスパイ映画みたく取り出して見せる。

 

 ダイワスカーレットちゃんはそれを見て若干引いていました。なんでや、ちょっとセクシーでカッコエエやないか。

 

 それはさておき、と私は気を取り直してコホンと咳払いをする。

 

 

「実は私もスカーレットちゃんとウオッカちゃんのレースは拝見してたんですよね」

「!? …えっ! 本当ですか! それ!」

「それはもちろんですよ、参考になりますから」

 

 

 他のウマ娘のレース振りは私自身、勉強になりますからね、もちろん、拝見する時はします。

 

 ただのトレーニング馬鹿というわけではありません、トレーニング馬鹿という部分に関しては間違ってはいませんけどね。

 

 スカーレットちゃんは目を輝かせながら、私にこう問いかけてくる。

 

 

「どうでした! 私のレース!」

「はい、ウオッカちゃんとスカーレットちゃんのブルマは最高ですね、特にお尻が最高だと思いました」

「……先輩…」

 

 

 お尻を急に両手で押さえて冷めた眼差しで私を見つめてくるスカーレットちゃん。

 

 あれー? 正直に話したんですけどね、ブルマ姿の二人の姿可愛かったですし、勝負服姿ももちろん可愛いんですけど。

 

 まあ、冗談はさておき、確かに差しという戦法に関しては二人の走りを参考にさせていただいた部分は多々あります。

 

 スピカでの共同練習の甲斐はありましたね、新走法に関しても取り入れる部分はたくさんありましたから。

 

 

「…まあ、真面目な話をすれば、脚の使い方や走法は実に参考にはさせてもらいましたね、助かりましたよ」

「本当ですか! それは良かったです!」

「ええ、ありがとうございます」

 

 

 私はそう言って、にこやかな笑みを浮かべ、持っていたニンジンジュースのグラスを軽く掲げるとクイッと飲み干す。

 

 うーん、キャロット味、これが癖になるんですよね、基本、ニンジンジュースしか飲んでないんですけども。

 

 そんな雑談をしている中、私の背後から忍び寄る白い影。

 

 そして、背後から忍び寄ったそれはドレスの上から私の胸を乱暴に両手で鷲掴みにしてきました。

 

 

「アフ〜! お前〜何話してんだ〜! この〜!」

「ほわぁ〜〜!?」

 

 

 いきなりの奇襲に私も思わずびっくりしてしまい普段出さないような声を上げてしまいます。

 

 そう、犯人は白いあんちくしょう、ゴールドシップちゃんです。

 

 馬鹿野郎、お前! びっくりするじゃろがい!

 

 まあ、いつもこんな感じに戯れてくるので、慣れてるっちゃ慣れてるんですけども、こういきなり来られるとね。

 

 ゴルシちゃんは好きですし、可愛いから許しますけど。

 

 振り返った私は慌てて顔を真っ赤にしながら私の胸を鷲掴みにしているゴルシちゃんの手をはたき落とします。

 

 

「こんのばかたれっ! ほんのこてひったまがっどっ! ないば考えちょるんかっ! もーっ!」

「何故に方言になった?」

 

 

 顔を真っ赤にして取り乱す私の方言に冷静な突っ込みを返してくるゴルシちゃん。

 

 私は冷静さを欠いてしまったようだ、いかんいかん、何故か薩摩言葉で返してしまった。

 

 ゴルシちゃんとスカーレットちゃんは私の発した言葉が理解できずにキョトンとしている様子でした。

 

 いきなり胸を掴まれたんじゃ仕方なか、そげんこつ、おいは知らん。

 

 さて、気を取り直した私はため息を吐くとゴルシちゃんにジト目を向ける。

 

 

「いきなり胸を掴むのはダメです。次やったらゴルシちゃんのそのでっかい胸を一日中こねくり回す刑に処します」

「…はははは! おいおいそりゃー」

「嘘、だと思いますか? 私にはその『覚悟』があります。やると言ったらやりますよ、人前であろうとなんであろうと摘まみますし問答無用で悶絶させてやります」

「ごめんなさい、もうしません」

 

 

 私のガチの眼差しを見て、流石のゴルシちゃんもこれには悪いと思ったのかすかさず頭を下げてきました。

 

 いえいえ、謝る必要は皆無なんですよ? えぇ、私は単にそうするだけなので、ギブアンドテイクです。

 

 やってやるぞ! 徹底的にな!

 

 きっとこの時の私は彫りが深くなって、凄味が増していたと思います。背後に効果音も出ていたかもしれませんね。

 

 さて、お二人のコーディネートを見てみましょう!

 

 ゴルシちゃんは胸が強調されている赤いストラップレスドレス、スカーレットちゃんはこれまた胸が強調される青が特徴のXラインのドレスを着ています。

 

 この二人見たら、胸がない人が、なんだこの野郎と喧嘩売りそう(こなみ)。

 

 さて、そんなアホなやり取りを私達が繰り広げていると遠くから、綺麗なドレス姿のスペシャルウィーク先輩とサイレンススズカ先輩がグラスを片手にやって来ました。

 

 ドレスアップしたお二人は実に可愛いと思いますね。

 

 スペ先輩は白いっぽいピンク色をしたバルーンシルエットのパーティードレス、そして、スズカ先輩は翠色が特徴のAラインドレスを着ていらっしゃいました。

 

 胸がAラインとか言ったらぶっ飛ばされるのでやめましょうね? 絶対に言ってはいけません、いいね?

 

 さて、話は戻しますが、こちらにやって来たお二人は笑みを浮かべながら私に話しかけて来ます。

 

 

「あー! アフちゃん! 久しぶり! 元気だった!」

「おー、スペ先輩! お久しぶりですっ! 出産おめでとうございます!」

「私何も産んでないよっ!?」

 

 

 いきなりの私のボケに盛大に驚いてくれるスペ先輩、やっぱり素直なところはほんとに可愛いですね。

 

 私ですか? …はい、もちろん素直ですよ? そう、時折ですけども(目逸らし)。

 

 私だって素直な時だってありましたよ、…スピカのスペ先輩とは比較にならないほど調教された際にね…(嘘)。

 

 こんなに私と皆さんの間で意識の差があるとは思わなかった…!

 

 おっと霧が濃くなってきましたね、いけない、いけない。

 

 そんな中、ドレス姿のスズカ先輩は私の側に近寄るとパシンッと両頬を引っ掴み、そのまま持ち上げてきました。

 

 いきなりの出来事に目をまん丸にした私は宙ぶらりんのままです。

 

 

「…アフちゃん、無茶なトレーニングはダメって言ったわよね?」

「ひゃふっ!? まっひぇくだひゃい!? ひょひぇひゃへふへ!」

「言ったわよね?」

「…ひゃい」

 

 

 スズカ先輩からにっこりと満面の笑みを向けられて迫られた私はそう返事を返すしかありませんでした。

 

 アンタレスですから、実際、致し方ない部分はあるんですけどね。

 

 スズカ先輩としては大きな怪我をした身として私の事を案じて下さっているんでしょうけれども。

 

 それを聞いたスズカ先輩はゆっくりと私を地面に降ろすと改めてこう話しをし始める。

 

 

「聞いたわよ? 吹雪の中、重石を積んだソリを引いて坂路を登ったって、しかも、その前はまたコンクリートを引いて登ったんでしょう?」

「あ、はい、そうなんですが、私は炬燵に入っていたところをライス先輩に誘われてですね…、と言いつつもガッツリ乗り気で行きました。後悔はしてません」

「スズカー、アンタレスだから仕方ねーよ、それはー」

 

 

 そう言って、言い切ってしまう私の言葉にゴルシちゃんは納得したように頷き、フォローしてくれる。

 

 うん、アンタレスだから仕方ないのである。この一言で尽きてしまうから本当にびっくりですよね。

 

 それを聞いたスズカ先輩も何かに気がついたようにハッとした表情を浮かべると私に申し訳なさそうにこう話しをし始める。

 

 

「…あっ、そうね…、確かに他所のチームの方針に私が口を出すのはお門違いだったわ、ごめんなさい」

「いえ、私はスズカ先輩のそんなとこは好きですから、私のことを心配してくださってるんですよね、分かりますよ」

「アフちゃん…」

「そうだよね! スズカさんは後輩想いで、私もたくさん助けられたからその気持ちすっごくわかる!」

 

 

 スペ先輩は私の言葉に同調するように頷き、スズカ先輩に笑いかけます。

 

 確かに、こんな風に支えてくれる先輩がいると頼もしいですし、安心できますよね、スピカにとってはそれはきっとスズカ先輩なんでしょう。

 

 改めて私に向き直ったスズカ先輩はニコリと笑みを浮かべると手を握りこう告げてきた。

 

 

「朝日杯、優勝おめでとう! アフちゃん! まだちゃんと言えてなかったから、今日、ちゃんと言えてよかったわ」

「はい! ありがとうございます!」

 

 

 そう言って、私は手を握って祝ってくれるスズカ先輩に素直にお礼を述べる。

 

 スズカ先輩は併走に付き合ってくれたりしてくださいましたし、私の朝日杯に向けたトレーニングに一役買っていただいきましたからね。

 

 こうやって祝ってくれるのは、やはり、素直に嬉しいです。

 

 しばらくして、私達が話し込んでいると次はライスシャワー先輩とメジロドーベルさんの二人がこちらにやってきました。

 

 

「どうも、アフちゃんがいつもお世話になってます」

「アフちゃん、やっぱりドレス似合うわね」

 

 

 そう言って、スズカ先輩の前に行き、頭を下げるライスシャワー先輩と私のドレスの感想を述べるメジロドーベルさん。

 

 この二人もこのパーティーにはアンタレス代表として招待を受けていました。

 

 アンタレスからは、後はタイキシャトル先輩とスプリンターズSで激闘を繰り広げたサクラバクシンオー先輩がパーティーに出席しています。

 

 ライスシャワー先輩はIラインの黒いロングドレスに全体的に落ち着いた感じの雰囲気があるドレスですね。

 

 メジロドーベル先輩はスラリと生足が見える色気ある金と黒が特徴のストラップレスミニドレスを着ていました。

 

 場面は戻り、ライス先輩から頭を下げられたスズカ先輩は慌てた様子で左右に首を振りながら笑顔を浮かべこう告げる。

 

 

「い、いえ!? 私は何も…」

「お話は伺っています。先日はありがとうございました」

「こちらこそ、ライスシャワーさん、私も良いトレーニングができましたから」

 

 

 スズカ先輩はそう言ってお礼を告げるライスシャワー先輩に笑みを浮かべた。

 

 二人がこうして仲睦まじく話をする姿を見ることができるなんて誰が予想できたでしょうかね。

 

 なんだかほっこりしてしまいます。

 

 そう、現実では決してお目にかかることができない組み合わせ、これは貴重な一場面が観れたのではないでしょうか?

 

 皆さん、私に感謝してくださいね? えっへん!

 

 さて、そんな私ですが、今、現在、珍妙な空気感が漂う空間に居ました。

 

 

「ドーベルじゃんかー! ひっさしぶりじゃーん!」

「げぇ、アンタも一緒かぁ…マックイーンは?」

「お? 呼ぶかい? おーい! マックイーンッ! ちょっと来いよー!」

「あ、いや、わざわざ呼ばなくても良いんだけど…」

 

 

 そう、なんと癖ウマ娘が総本家、メジロ家が集うこの場に私が居るのは非常に場違いな気がしてならないんですよね。

 

 そして、ゴルシちゃんは食事を楽しんでいるマックイーン先輩を無理矢理引きずって連れてくる始末ですし。

 

 全くもってマイペース、それが、ゴルシちゃんの良いところでもあるんですけど。

 

 あれ? よく考えたら癖ウマ娘が集結しつつありませんかね? これ?

 

 どうやら、年末のパーティーでの話はまだまだ続きそうですね。

 

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