アクセル・ビルド   作:ナツ・ドラグニル

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兎美「バーストリンカーであり、杉並の市民を守る仮面ライダーである有田春雪は!加速世界でのトラブルを解決し、無事現実世界に戻るのであった」


チユリ「戻ってきたハルユキだったが、突如送られてきたメッセージで兎美の危機を知った」


美空「助けに向かったハルユキの前に、新たな敵が現れ苦戦を強いられる」


黒雪姫「何とか兎美君を助けたハルユキ君は、後日ニコの話を聞いてなぜチェリー・ルークが災禍の鎧に手を出したのか知るのでありました」


兎美「さて、どうなる第9話!」


第9話

赤の王、スカーレット・レインこと、ニコが訪れた2日後の月曜日。

 

 

「へぇー、ブラッド・スタークねぇ...」

 

 

早朝、まだ殆どの人が寝てる時間、タクムとチユリはハルユキの家に集まっていた。

 

 

そこで、今まで蚊帳の外だったチユリにブラッド・スタークの説明する。

 

 

「また新しい敵が出てくるなんて、大丈夫なの?ハル」

 

 

「どうだろうな」

 

 

チユリの質問に、ハルユキはブラッド・スタークとの戦いを思い出しながら要領得ない返事をした。

 

 

「何よ、その返事」

 

 

曖昧なハルユキの言葉に、チユリは突っ込みを入れる。

 

 

「正直に言って、ブラッド・スタークは今までの敵とは全然違う。俺の攻撃がまったく効いていなかったからな」

 

 

ハルユキの言葉に、2人は言葉が出なかった。

 

 

タクムは実際、災禍の鎧とクローズの戦いを目撃してるのだ。

 

 

あのクロム・ディザスターを簡単に倒したクローズでも苦戦する相手、よほどの強敵に違いないとタクムはすぐ推測した。

 

 

「それにしても、兎美さんに何事も無くて良かったね」

 

 

「ああ、今回はドラゴン様々だな」

 

 

「そうね、ハル達がいなかったら本当に危なかったわ」

 

 

そう呟いたのは、まだ具合が悪いのかベッドに横になっている兎美だった。

 

 

 

ブー、チーン!

 

 

その時、部屋のボトル変換装置からボトルが出来上がった音が鳴った。

 

 

「おっ、ボトルが完成したんだな」

 

 

ハルユキがそう呟くと同時に、今まで寝込んでいた兎美が物凄い勢いで布団を引っぺがし、変換装置まで走る。

 

 

「どいて!」

 

 

「うわっ!」

 

 

たまたま、変換装置の前にいたタクムを突き飛ばし、ボトルの入っている扉に張り付いた。

 

 

「そうやってボトルが作られるんだ!凄ーい!」

 

 

今までボトルが出来上がった所を見たことが無かったチユリも、一緒に中を覗き込む。

 

 

「これは...何じゃ?」

 

 

チユリがボトルを手に取りそう呟くと、兎美がボトル奪い取った。

 

 

「忍者?」

 

 

すると、隣の大き目の扉が開いて中から美空が出てくる。

 

 

「疲れたし...眠いし...寝るし...」

 

 

「ぐあっ」

 

 

ベッドに戻る途中、先ほど突き飛ばされ床に転がっていたタクムを踏むが、美空は気にすることなくベッドの中に入っていった。

 

 

タクムは自分の扱いの悪さに、涙が出そうになった。

 

 

兎美は勿論、チユリでさえも興味がボトルにいっており、タクムの事は眼中に無かった。

 

 

そんな中、タクムの肩にハルユキが手を置いた。

 

 

「ハル...」

 

 

この中で自分を気にかけてくれる存在がいた事に、タクムは涙を流した。

 

 

タクムは、ハルユキのふくよかなお腹に顔を埋めた。

 

 

ハルユキはタクムの背中をさすり、落ち着かせた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

研究室の一角。

 

 

ベッドが複数あり、そこに多くの人間が鎖で縛られていた。

 

 

縛り付けられた人達は、恐ろしい物を見る目で必死に抜けだそうとしていた。

 

 

「ああああ、ああああ!!」

 

 

捕らえられている人達の視線の先には、四角い立方体の様な頭部を持ったスマッシュ『スクエアスマッシュ』が暴れていた。

 

 

「やはり、2度目の投与は破壊力が違う」

 

 

そこに現れたのは、ナイトローグだった。

 

 

スクエアスマッシュは、目の前に現れたナイトローグに攻撃を仕掛けるが、簡単に受け止められてしまう。

 

 

ナイトローグはスクエアスマッシュを自分と一緒に前に放り投げ、ナイトローグはそのまま天井へぶら下がった。

 

 

ナイトローグは天井から、弾丸の雨をスクエアスマッシュに浴びせた。

 

 

「ああああ!!」

 

 

その後も何度も攻撃し、スクエアスマッシュの動きを止める。

 

 

「究極の生命体を作ることは、我々の目的の1つだ。スマッシュの成分を注入した人間に再び人体実験をしたらどうなるか、試さない手は無い。そうだろう?荒谷(・・)

 

 

☆★☆★☆★

 

 

朝から色んな事があったが、ハルユキ達は学校へと向かった。

 

 

「そうだ、新しい敵で思い出したけど、今日から新しい警備システムが導入されるんだよね」

 

 

「新しい警備システム?」

 

 

チユリの言葉にハルユキは聞き覚えが無かった為、首を傾げた。

 

 

「今朝、学校から送信されてるはずだよ。以前の襲撃の事もあって、スマッシュ対策で今日から新しい警備システムが設けられるって」

 

 

「へぇー...」

 

 

そんな会話をしてる中、ハルユキ達は梅里中学校に到着した。

 

 

『なっ!』

 

 

そして校舎内に入った瞬間、ハルユキとタクムは足を止め驚愕する。

 

 

「ハル、タッくんどうしたの?」

 

 

いきなり足を止めた2人に、チユリは不審に思う。

 

 

チユリに問い掛けられるハルユキ達だったが、2人には答える余裕が無かった。

 

 

ハルユキ達の前に、一見人間のように見えるが首から上が機械になっている、アンドロイドが数体立っていた。

 

 

「は、ハル、あれって...」

 

 

「ファウストのガーディアン!」

 

 

ハルユキは鞄にしまっているベルトを取り出そうとするが、それを止める者がいた。

 

 

「待て、ハルユキ君」

 

 

ハルユキ達に声を掛けたのは、黒雪姫だった。

 

 

「黒雪姫先輩!」

 

 

「マスター、おはようございます」

 

 

「おはよう、ハルユキ君、タクム君、チユリ君」

 

 

ハルユキは事情を知っているであろう黒雪姫に、質問する。

 

 

「先輩、あれはいったい...」

 

 

「悪いがその質問は後だ、もうすぐHR(ホームルーム)が始まる。まずは自分のクラスに向かうんだ」

 

 

釈然としないハルユキ達だったが、黒雪姫の言う通りもうすぐ朝のHRが始まってしまう。

 

 

「話は昼休みに屋上でしよう、あそこなら生徒も少ないし聞かれることもないだろう」

 

 

「分かりました」

 

 

「了解です、マスター」

 

 

すると、黒雪姫はチユリに視線を向けた。

 

 

「チユリ君、君もくるといい。今回ばかりは無関係とは言え無いからな」

 

 

「分かりました...」

 

 

その後も朝のHRと午前の授業を終え、ハルユキ達は昼休みを向かえた。

 

 

ガーディアンの存在も気になる中、ハルユキ達は屋上に向かった。

 

 

朝のHRで先生から説明を受け、ガーディアンこそが新しい警備システムだということを知った。

 

 

他の生徒は初めて見るガーディアンを見て、カッコいい等の感想を告げていたがファウストのガーディアンを知っているハルユキ達は、そんな事を言える筈が無かった。

 

 

ハルユキ達が屋上の入り口を開けると、もう既に黒雪姫が既に待っていた。

 

 

「来たな、3人共」

 

 

ハルユキ達が来たことに気づいた黒雪姫は、さっそくガーディアンについて説明を始める。

 

 

「まずあのガーディアンだが、難波重工が使用している警備システムらしい」

 

 

「難波重工って、CMとかで見るあの難波重工?」

 

 

チユリが難波重工について質問する。

 

 

「重工業の国大最大手、表向きは優良企業だが、裏では武器の製造、密売、相当やばい商売をしてるらしいよ」

 

 

難波重工について、タクムが説明する。

 

 

「そうだ、梅里中学に支援していた難波重工が、今回の警備システムの導入を提案したんだ」

 

 

「ですがマスター、あのガーディアンはファウストの...」

 

 

タクムがこの話の核心をついた。

 

 

「そう思って、私もその話を難波重工の社長、難波会長にその話をしたのだがまったく関係ないと言われてしまったよ」

 

 

黒雪姫の話を聞き、それぞれが推測をする。

 

 

「じゃあ、ファウストが難波重工のガーディアンに似せて作っているってこと?」

 

 

「それか...難波重工が裏で糸を引いてるか...」

 

 

チユリとタクムが、自分の推測を口にする。

 

 

「どちらにしても、警戒は必要だ。今はまだ大丈夫だが、いつ生徒に牙を向くのか分からないからな」

 

 

「分かりました」

 

 

「了解ですマスター」

 

 

黒雪姫に返事をするハルユキ達だったが、チユリだけが何か考えるような仕草をする。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ハルユキ宅。

 

 

兎美が日課である、家事をこなしていた。

 

 

「兎美――!」

 

 

掃除をしていると、美空が声を張り上げて部屋から出てきた。

 

 

「スマッシュが現れた」

 

 

兎美はすぐさまみーたんねっとを開き、内容を確認する。

 

 

届いたメッセージを確認すると、おかしな内容のメッセージが届いていた。

 

 

『 スマッシュがエリアC4の公園に出現。

 

 

  2回目の実験体だから早く成分を採取

  しないと死ぬよ。

 

 

  あと3時間もつかな。

 

 

  ファイト!

 

 

 

             ブラッド・スターク』

 

 

「スマッシュの目撃情報なんだけど、なーんか変なの。実験体とか、成分とか一般の情報じゃないよね」

 

 

「ブラッド・スターク...」

 

 

兎美はメッセージの最後に書かれている名前を、口に出す。

 

 

罠かもしれないと危惧する2人だったが、無視するわけにはいかなかった。

 

 

バイクを使い、エリアC4の公園へと急いだ。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

エリアC4の公園で、スクエアスマッシュが暴れていた。

 

 

暴れているスマッシュだったが、突如目の前にいくつもの公式が現れた。

 

 

カシャカシャ、カシャカシャ、カシャカシャ、カシャカシャ。

 

 

2本のフルボトルを振り、腰にドライバーを装着した兎美が現れた。

 

 

「さあ、実験を始めるわよ」

 

 

兎美はボトルのキャップを開けると、ドライバーに装填する。

 

 

「ゴリラ!ダイヤモンド!ベストマッチ!」

 

 

ドライバーのレバーを回転させると、前方にゴリラハーフボディが、後方にダイヤモンドハーフボディが出現する。

 

 

『Are you Ready?』

 

 

「変身!」

 

 

兎美の掛け声と共に、ハーフボディが結合し仮面ライダーへと変身する。

 

 

『輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イエーイ!』

 

 

スマッシュは右手に装着されている、ペンを振るって攻撃を仕掛ける。

 

 

ビルドはゴリラアームで殴って弾いたり、ダイヤモンドアームで受け止める。

 

 

スマッシュの攻撃は何一つ当たっておらず、逆にビルドの攻撃がスマッシュにヒットしている。

 

 

ゴリラアームによる、渾身の一撃がスマッシュに繰り出される。

 

 

強烈なパンチを受け、スマッシュは後ろに吹き飛ばされる。

 

 

起き上がったスマッシュは、先程までとはまったく違う攻撃を仕掛けてきた。

 

 

スマッシュは近くにあった遊具にペンを走らせると、遊具が立方体に切り取られる。

 

 

遊具だけでなく、近くにあった木や茂み等も立方体に切り取られて、ビルドへと襲い掛かった。

 

 

これがスクエアスマッシュの能力、右手の『エリアカットペン』を使い空間を切り取る事が出来る。

 

 

ビルドはゴリラアームで殴って立方体を粉砕する。

 

 

全ての立方体を対処したビルドだったが、スクエアスマッシュの姿が消えている事に気づいた。

 

 

「はあ!」

 

 

スクエアスマッシュが突如後ろから現れ、ビルドに頭突きを繰り出した。

 

 

「ああっ」

 

 

頭突きを食らったビルドは、前に吹っ飛び地面を転がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルドとスクエアスマッシュの戦いを、遠くでベンチで寛いで見ている存在がいた。

 

 

「よっと」

 

 

その人物は、以前ハルユキが戦い、今朝話の話題になっていたブラッド・スタークだった。

 

 

ブラッド。スタークの手には、銃と剣を組み合わせたような武器が握られていた。

 

 

「そろそろ...時間かな」

 

 

『デビルスチーム!』

 

 

銃剣から不気味な音声がなり、ブラッド・スタークは戦っているビルドとスクエアスマッシュに向けて銃剣を向け引き金を引く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スクエアスマッシュと戦っていたビルドだったが、スマッシュに不規則な軌道で迫ってきた弾丸が命中する。

 

 

「グアアアア、グアアアアアア!!」

 

 

「なっ!」

 

 

銃弾を浴びたスクエアスマッシュは、呻き声を上げながら体からガスを噴出した。

 

 

 

ガスがスクエアスマッシュを包み込み、姿が隠れる。

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 

ガスの中からスクエアスマッシュが姿を見せるが、何故か巨大化していた。

 

 

驚くビルドだったが、巨大化したスクエアスマッシュの攻撃に気づいた。

 

 

「あっぶな!」

 

 

地面を転がることで、スクエアスマッシュの攻撃を避ける。

 

 

立ち上がったビルドの手の中には、2本のボトルが握られていた。

 

 

『ラビット!ガトリング!』

 

 

ビルドはラビットガトリングとなって、スクエアスマッシュに攻撃を仕掛ける。

 

 

ラビットの跳躍力を利用し、スクエアスマッシュの横薙ぎされたエリアカットペンを避け、上空からホークガトリンガーを連射する。

 

 

だが、着地の瞬間にエリアカットペンによる攻撃を受け、空中にいたビルドは為す術もなく吹っ飛ばされてしまった。

 

 

ビルドは諦める事無く、もう一度攻撃を仕掛けようとした時、何処からか声が聞こえた。

 

 

「そのスマッシュには、新たなガスを注入した」

 

 

「誰!?」

 

 

ビルドは辺りを見回すが、声の主を見つけることが出来なかった。

 

 

「助かったとしても後遺症は残るだろう、精々奮闘してくれよ」

 

 

声の主を探す事に集中していたビルドだったが、そこにスクエアスマッシュの左手が振り落とされた。

 

 

ビルドは両手を交差することで左手は受け止めたが、その後に繰り出されたエリアカットペンの攻撃を無防備となった腹部へと放たれた。

 

 

吹き飛ばされたビルドは、公園の遊具に衝突した。

 

 

ダメージが大きすぎたのか、ビルドは立ち上がれなかった。

 

 

何とか起き上がろうとするビルドだったが、そこにスクエアスマッシュが迫る。

 

 

ビルドの目の前まで来たスクエアスマッシュは、左手を大きく振りかぶりビルドの頭目掛けて振り下ろした。

 

 

体が動かせないビルドは、只見ていることしか出来なかったがビルドに拳が衝突するぎりぎりの所で、スクエアスマッシュの動きが止まった。

 

 

「!?」

 

 

何が起こったのか分からないビルドだったが、スクエアスマッシュの横腹に何かが刺さっていることに気づいた。

 

 

それはビルドの武器、ドリルクラッシャーだった。

 

 

そして、スクエアスマッシュが重なって見えなかったが、スクエアスマッシュの後ろにドラゴンフルボトルを手に持ったハルユキが立っている事に気づいた。

 

 

「ハル!」

 

 

「今だ!行けぇ!」

 

 

「分かった!」

 

 

ビルドは立ち上がり、ラビットボトルとガトリングボトルを抜き取る。

 

 

ラビットボトルとタカボトルを入れ替え、タカボトルとガトリングボトルを装填する。

 

 

『タカ!ガトリング!ベストマッチ!』

 

 

ビルドドライバーのレバーを回し、タカハーフボディとガトリングハーフボディが前後に出現する。

 

 

『Are you Ready!』

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

前後のハーフボディが結合され、ビルドはホークガトリングフォームへと変身する。

 

 

『天空の暴れん坊!ホークガトリング!イェーイ!』

 

 

ビルドは翼を広げ、空へと飛翔する。

 

 

「勝利の法則は決まった!はあ!はあああ!」

 

 

スクエアスマッシュに向け、ビルドは幾つもの弾丸を放った。

 

 

スクエアスマッシュも負けじと、地面から幾つもの突起物を出現させる。

 

 

放たれた弾丸は小さな鳥となり、障害物を避けながら全てがスクエアスマッシュに命中する。

 

 

無数の弾丸を浴びせた後、ビルドはさらに上空へと飛翔する。

 

 

「はあ!」

 

 

10(テン)!20(トゥエンティー)30(サーティー)40(フォーティー)50(フィフティー)!』

 

 

ホークガトリンガーのトリガーを回すと、スクエアスマッシュが球状の特殊なフィールドに隔離する。

 

 

スクエアスマッシュを隔離したフィールドは、そのまま空へと浮き上がらせる。

 

 

60(シックスティー)70(セブンティー)80(エイティー)90(ナインティー)100(ワンハンドレッド)!』

 

 

ホークガトリンガーにエネルギーが充填される。

 

 

『フルバレット!』

 

 

「はあ!」

 

 

100発もの弾丸が、スクエアスマッシュに向けて放たれた。

 

 

「ぐああああ!!」

 

 

ビルドの必殺技を受け、スクエアスマッシュは爆発する。

 

 

「よっしゃ!」

 

 

スマッシュが倒された事に、ハルユキも喜ぶ。

 

 

ビルドは地面に降り立ち、ドライバーからボトルを抜いた。

 

 

変身を解除した兎美は、地面に刺さったドリルクラッシャーを引き抜いた。

 

 

「まさかこれを投げ飛ばすとはね」

 

 

「まあ、こいつのお陰だな」

 

 

そう言ってハルユキは、兎美にドラゴンフルボトルを見せた。

 

 

「なるほどね」

 

 

兎美はエンプティボトルを取り出し、スクエアスマッシュの成分を抜き取った。

 

 

成分を抜かれたスクエアスマッシュは、元の人間の姿に戻った。

 

 

その人物は、ハルユキが一番よく知る人物『荒谷』だった。

 

 

「荒谷!?」

 

 

スマッシュにされていたのが荒谷だと知り、ハルユキ達は驚愕する。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ハルユキを長い間苦しめていた相手ではあるが、そのままにしておくわけにもいかず、後遺症の事もあり荒谷をハルユキ達の家に連れ帰った。

 

 

荒谷を連れて帰った事で、後から駆けつけたチユリと美空の2人と一悶着があったが現在はハルユキの部屋で寝かせている。

 

 

荒谷の両親に迎えに来て貰うように連絡を取り、到着を待っている。

 

 

「そういえば、ハル。あんた学校どうしたのよ?」

 

 

荒谷のことがあって忘れていたが、本来ならハルユキが駆けつけた時はまだ学校にいる時間であった。

 

 

「早退してきたに決まってるだろ」

 

 

美空の質問にハルユキが答えると、2人は呆れた様にため息をつく。

 

 

ピンポーン!

 

 

その時、ハルユキ達のニューロリンカーに来客の知らせが届いた。

 

 

4人揃って玄関へと赴き、玄関のドアを開けた。

 

 

そこには荒谷の両親と思われる2人と、女性の腕の中には小さな女の子がいた。

 

 

ハルユキ達は3人をリビングへと通し、話を始める。

 

 

「まず質問ですが、ファウストという組織はご存知でしょうか?」

 

 

「いえ」

 

 

「私も知りません」

 

 

さすがに一般の市民である荒谷の両親は、ファウストの事は知らなかった。

 

 

「ファウストというのは、今この杉並で出現している怪物、『スマッシュ』を作り出している組織です」

 

 

「そして息子さんが、今回そのスマッシュに変えられたんです」

 

 

兎美の話を聞き、荒谷の両親は顔の色を変える。

 

 

「怪物に変えられたって...息子は大丈夫なんですか!?」

 

 

荒谷の父親が、心配そうに質問する。

 

 

「ええ、成分を抜いていますので今は大丈夫です。只、怪物にされたのが2度目ということもあり、後遺症があるかもしれませんが」

 

 

後遺症という言葉を聞き、2人は言葉を失った。

 

 

「ねぇ、ねぇ!」

 

 

その時、ハルユキに荒谷の妹であるはるかちゃんが話しかけてきた。

 

 

「てっきょう、かーめ、ごーむ、へりこぷたー!凄い?」

 

 

はるかちゃんはあやとりで幾つもの技を、ハルユキに見せた。

 

 

「ごめんね、お兄ちゃんやった事がないから分からないんだ...」

 

 

「これがへりこぷたーのしっぽで、これがへりこぷたーのあたま!」

 

 

分からないハルユキに、はるかちゃんは最後に見せたヘリコプターの説明をする。

 

 

「取りあえず、息子さんは今別室で休ませています」

 

 

両親に荒谷を休ませている事を伝える兎美だったが、そこにはるかちゃんが駆け寄った。

 

 

「お兄ちゃんに会えるの?やった!やった!やったー!!」

 

 

嬉しそうなはるかちゃんの様子を見て、ハルユキははるかちゃんに話しかける。

 

 

「ねぇ、そんなにお兄ちゃんの事が好きなの?」

 

 

「うん!大好きだよ!あやとり見せてはるちゃんえらいねって、いっぱいいっぱい褒めて貰うんだ」

 

 

はるかちゃんの言葉を聞いて、ハルユキは何も言えなくなってしまった。

 

 

その時、リビングの外から物音が聞こえた。

 

 

荒谷の家族、そしてこの家の住人であるハルユキ達全員がリビングにいる為、物音を立てる人物はこの家にいる人物で一人しかいなかった。

 

 

ハルユキと兎美は目配せをして、荒谷を寝かせているハルユキの部屋に向かった。

 

 

2人の後を、チユリも追いかけた。

 

 

部屋の扉を開けると、ハルユキ達の予想通り荒谷が目を覚ましていた。

 

 

荒谷は部屋を見回し、不安そうな様子だった。

 

 

「久しぶりだな、荒谷」

 

 

ハルユキが声を掛けるが、荒谷の様子が可笑しかった。

 

 

「誰だお前?」

 

 

「え?」

 

 

「知らない...俺は誰なんだ...」

 

 

様子の可笑しい荒谷だったが、チユリが荒谷の胸倉を掴んで壁に叩き付けた。

 

 

「ふざけんじゃないわよ!あんたのせいで、ハルがどれだけ苦しんだと思ってるのよ!それも全部忘れたって言うの!ねぇ!」

 

 

その時、壁に叩き付けた時の音を聞いたのか、美空が荒谷の家族を連れて部屋に入ってきた。

 

 

「どうしたのよ、何があったの?」

 

 

美空達が来たことにより、頭が冷えたのかチユリは荒谷から離れた。

 

 

「お兄ちゃーん!!」

 

 

はるかちゃんは荒谷に抱きついた。

 

 

いきなり抱きついてきたはるかちゃんに、荒谷は直ぐに自分から引き剥がした。

 

 

「記憶を...失っているみたいです...」

 

 

『え...』

 

 

ハルユキが荒谷の両親にそう告げると、2人は信じられない顔をして荒谷に近づく。

 

 

「本当に何も思い出せないの?」

 

 

美空の質問に、ハルユキは静かに頷いた。

 

 

「見て、お兄ちゃん!」

 

 

状況を理解していないはるかちゃんは、いつものように荒谷にあやとりを見せる。

 

 

「てっきょう、かーめ、ごーむ、へりこぷたー!凄い?」

 

 

先程のはるかちゃんの言葉通りなら、いつもならここで荒谷が褒める所だが、今の荒谷は記憶がなくなっているのではるかちゃんの顔を覚えていなかった。

 

 

その場にいる全員が悲しそうな目で、はるかちゃんを見つめる。

 

 

荒谷自身も、いきなりの事で理解できず下を向いてしまった。

 

 

その様子をずっと見ていたハルユキが、荒谷に近づいた。

 

 

「見てやれよ...お前に見て貰いたくて練習したんだぞ。お前の事が大好きで、褒めて貰いたくて...」

 

 

ハルユキの言葉に聞き、荒谷の両親とチユリの目から涙が零れた。

 

 

「俺からしたら、お前は嫌なやつだったよ。暴力を振るわれたり、かつ上げされたり、ぱしりにされた事だって何度もある」

 

 

ハルユキ自身の目からも涙が溢れており、嗚咽混じりに荒谷に語り続ける。

 

 

「だけどな!この子からしたら、お前は大好きな兄貴なんだぞ!お前が見ないで誰が見てやるんだよ!」

 

 

ハルユキは荒谷の胸倉を掴んだ。

 

 

「俺のことはどうでもいい、でもせめてこの子のことぐらい...家族のことぐらい思い出してやれよ!」

 

 

ハルユキは荒谷から手を離し、荒谷の隣に膝立ちする。

 

 

「頼むから...思い出してやれよ...」

 

 

ハルユキの言葉を聞いて、はるかちゃんはようやく今の状況を理解した。

 

 

「お兄ちゃん...私のこと...分からないの?」

 

 

はるかちゃんの言葉に、何も言えなくなってしまった荒谷はまた俯いてしまう。

 

 

ハルユキもその場から離れ、涙が溢れてくるのをおさえた。

 

 

その時、兎美が部屋から飛び出した。

 

 

全員何事かと思い、部屋の扉を凝視した。

 

 

しばらくすると、兎美は工具や部品をいくつか持って戻ってきた。

 

 

「はるかちゃん」

 

 

兎美は手に電池BOXに接続されたLEDを持って、はるかちゃんに話しかけた。

 

 

「お兄ちゃんはね...君との楽しい思い出を、こんな風に取られちゃったんだ」

 

 

兎美はそう言うと、2本ある電池の内1本を抜く、すると先程まで点灯していたLEDが消灯する。

 

 

「だからね...」

 

 

LEDが繋がっていたケーブルを取り外し、先端に別のものを用意する。

 

 

「君とパパとママが、また新しい思い出を作ってあげて...そうすれば」

 

 

小さい鉄板とアルミニウムを重ね合わせ、LEDに接続するともう一度ライトが点灯した。

 

 

「きっと戻れるはずだから...」

 

 

「分かった!」

 

 

兎美に諭され、はるかちゃんは元気を取り戻した。

 

 

「じゃあお兄ちゃんに、あやとりを教えてあげるね」

 

 

その様子を見て、荒谷の両親も笑顔になった。

 

 

荒谷の両親がはるかちゃんの手に自分達の手を重ねる、するとそこに荒谷も自分の手を重ねた。

 

 

「ふふふ」

 

 

その様子を見て、兎美達も笑顔になる。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ファウストの研究室。

 

 

そこには、ナイトローグとブラッド・スタークの姿があった。

 

 

「どうして止めを刺さなかった...スターク」

 

 

「私はゲームメイカーだ、あらゆる状況を鑑みて最上の戦術を考える。全ては計画通りだ」

 

 

ブラッドスタークは怪しい笑い声を上げながら、その場を後にした。




はい!如何だったでしょうか?


投稿が遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。


最近寒い日が続いていますが、皆様も風邪には気をつけてください。


私は先週まで、喉風邪で苦しんでいました。


さて、今回はビルド本編の4話を題材にしておりますが、世界観が違うので色々変えております。


パンドラボックスは存在しますが、後ほど出てきます。

それでは次回、第10話もしくは激獣拳を極めし者第25話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!

文字数の調度いい長さを教えてください!

  • 7000~10000 第3章第3話参考
  • 10000~15000 第2章第8話参考
  • 15000~20000 第3章第2話参考
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