アクセル・ビルド   作:ナツ・ドラグニル

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兎美「バーストリンカーであり、仮面ライダークローズである有田春雪は、学校に向かうとそこにはなぜかファウストが使用するメカ、ガーディアンの姿があった」


美空「また、別の場所ではブラッド・スタークに呼びだされた兎美だったが、現場に向かうと様子のおかしいスマッシュがいた」


千百合「ハルユキと協力し何とか倒した兎美だったが、スマッシュにされていたのはハルユキをいじめていた荒谷だった」」


黒雪姫「2度目の実験による副作用か、荒谷は記憶を失ってしまったのでありました」


兎美「さあどうなる、第10話!」


第10話

「準備はいいのか?兎美」

 

 

「ええ、いつでも始めて頂戴」

 

 

そう言う兎美だったが、どこか緊張している様子だった。

 

 

リビングにて、2人はある事をしようとしていた。

 

 

「じゃあ...入れるぞ...」

 

 

ハルユキも何処か緊張している様子で、手が震えていた。

 

 

「痛っ!そこじゃないわよハル」

 

 

「ご、ごめん」

 

 

震えているせいか、ハルユキは上手く入れることが出来なかった。

 

 

「次はもっと上手くやってね...」

 

 

その声は、何処かしおらしくいつもの兎美とは想像出来なかった。

 

 

「兎美...」

 

 

2人はしばらく、見つめ合っていた。

 

 

「って!直結するのにどんだけ時間かけてんのよ!」

 

 

するとそこに、チユリの突っ込みが入った。

 

 

「只直結するだけなのに、何そんなに緊張してんのよ!」

 

 

「いや、だって俺から直結したことないから」

 

 

なぜこうなったかと言うと、ハルユキの子になるのがどっちかという話を兎美とチユリがしていた為である。

 

 

じゃんけんの結果、ハルユキの子の権利を手に入れたのは兎美だった。

 

 

「まったく、それ貸しなさいよ!」

 

 

そう言うと、チユリはハルユキの手からXSBケーブルを奪い取り2人のニューロリンカーに挿入した。

 

 

「最後にもう一度確認するが、本気なのか兎美?お前もバーストリンカーになりたいって」

 

 

ハルユキの言葉通り、兎美はブレインバーストをインストールする為に直結をしようとしていた。

 

 

「ブレイン・バーストは只のゲームじゃないんだ、いつか後悔するかもしれないぞ」

 

 

「あのねハル、私は既に仮面ライダーとして戦っているのよ。何を心配することがあるのよ」

 

 

「それもそうだな」

 

 

ハルユキはそう言って、ブレイン・バーストを兎美のニューロリンカーに送った。

 

 

心配するハルユキだったが、一番心配していることは兎美が変わってしまうんではないかという事。

 

 

無制限中立フィールドに入った際、黒雪姫が言っていた言葉。

 

 

人が変わってしまう、その言葉がハルユキの頭から離れなかった。

 

 

もし、ブレイン・バーストをインストールし、自分の知っている兎美がいなくなったらどうしようという考えがあった。

 

 

そんな事を考えていると、兎美がぼそりと呟いた。

 

 

「これって...」

 

 

兎美が呟いたのは、ハルユキに覚悟を決めさせるには十分の言葉だった。

 

 

「ウェルカム・トゥ・ジ・アクセラレーテッド・ワールド...」

 

 

その言葉は、ブレイン・バーストが正常にインストール出来たという事を証明する物だった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

兎美のブレイン・バーストがインストール出来た事を確認したハルユキ達は、今後について確認する。

 

 

「この後どうする?ハル」

 

 

ハルユキに質問するタクムだったが、それを突如リビングに入ってきた者が阻んだ。

 

 

「特ダネを持ってきたぞ!」

 

 

入ってきたのは、現在生徒会の仕事をしているはずの黒雪姫だった。

 

 

「先輩!?生徒会の用事があったんじゃ...」

 

 

「そんなもの、直ぐに終わらせてきたよ。それよりも特ダネだ!」

 

 

そう言うと、黒雪姫は兎美に向かって指を指す。

 

 

「兎美君の過去を知っている人が見つかったぞ!」

 

 

ハルユキ達は、直ぐにその言葉の意味を理解することが出来なかったが、しばらく呆然とした後に意味を理解し驚愕の声を上げる。

 

 

『えぇぇぇぇぇぇ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒雪姫の案内の元、ハルユキ達は兎美を知っているという人物と待ち合わせする為、杉並駅に訪れた。

 

 

「それでマスター、どうやって兎美さんを知ってる人を見つけたんですか?」

 

 

待っている間、タクムは疑問に思っていた事を黒雪姫に質問する。

 

 

「兎美君の写真をばら撒いたら、ライブハウスのオーナー経由で兎美君のバンド仲間が見つかったんだ」

 

 

「バンド!?私が!?」

 

 

自分がバンドをやっているという、衝撃の事実を知った兎美は驚愕の声を上げる。

 

 

「兎美がバンドか...全然想像つかないな」

 

 

ハルユキが驚いてそう呟くが、一番衝撃を受けているのは兎美本人だった。

 

 

岸田立弥(きしだたつや)君っていう後輩と、一緒に住んでたみたいだ」

 

 

黒雪姫が説明していたその時、ハルユキ達の後ろから誰かが叫ぶ声が聞こえた。

 

 

「姉貴!」

 

 

ハルユキ達が声の方に振り返ると、タンクトップにつなぎの格好をしたもじゃもじゃ頭の男がいた。

 

 

「いやぁ...」

 

 

その格好には清潔感がまったくなく、兎美は思わず人違いなのではと思ってしまう。

 

 

「姉貴!姉貴ー!あーねーきー!」

 

 

その男は嬉しそうに叫びながら、兎美に向かって走ってくる。

 

 

「姉貴!」

 

 

男は抱きつこうとしたが、兎美は男の腕を掴み一本背負いを決めた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

ハルユキ達は兎美の記憶を戻すために、何か思い出すのではと思い立弥の住んでいるアパートへと向かう。

 

 

「佐藤花子!?」

 

 

「そうなんすよ、それが姉貴の名前なんすよ!」

 

 

自分の名前を聞き、兎美を頭を押さえふらつく。

 

 

「ねぇ、ねぇ、ねぇ!兎美って本名じゃ無かったの!?」

 

 

ハルユキにチユリが質問する。

 

 

「俺がつけたんだよ、拾った時に身分書が無くて」

 

 

「それでも佐藤花子って...全然ピンとこないわよ...」

 

 

「へぇー、本当に記憶ないんすねぇ」

 

 

そんなやり取りしている間に、目的地に到着した。

 

 

「姉貴ここっす!ここ!ここが姉貴と一緒に住んでいたアパートっす」

 

 

「いや...え...」

 

 

立弥が指を指す先には、今時では見ることが少ないニューロリンカーの認証が必要の無いボロいアパートだった。

 

 

立弥を先頭に中に入ると、一番奥の部屋の鍵を開け扉を開いた。

 

 

「姉貴、こちらっす!おかえりなさい姉貴!」

 

 

『うっ!』

 

 

立弥が扉を開けた瞬間、部屋の中から漂ってきた異臭に顔を歪ませる。

 

 

「うわっ!汚い!」

 

 

ハルユキ達が部屋を覗くと、中はゴミ袋で溢れごみ屋敷となっていた。

 

 

「姉貴、何か思い出しました?」

 

 

「いや...思い出すも何も...絶対住まないわよ!私綺麗好きなのよ!」

 

 

ゴミの悪臭で充満してた部屋を、ハルユキは急いで窓を開けて換気した。

 

 

「やっぱり、何かの間違いでしょ...」

 

 

言葉の途中でいきなり固まる兎美に疑問を持ったが、ハルユキは壁に貼ってある写真を見て理解した。

 

 

そこには、赤いつなぎを着て髪の毛が癖っ毛だらけの兎美が写っていた。

 

 

「ああー!本当にバンドやってる!」

 

 

「ツナ義ーズっす!」

 

 

チユリが写真に近づき、大声を上げる。

 

 

「これは間違いないんじゃないか?ハル」

 

 

そこで、タクムが発言する。

 

 

「姉貴いつも言ってましたよね、バンド売れたら俳優と結婚して、牛丼卵つき100杯食べて、ビル千件買うって」

 

 

立弥がそういうが、兎美はショックのせいか窓際に座り現実逃避をしており話を聞いていなかった。

 

 

「すまないが、佐藤花子君がいなくなったのはいつなんだ?」

 

 

「ああ~、たしか...9月5日っす」

 

 

「俺が兎美を拾った日だ...」

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ハルユキ達は立弥を連れ、兎美を見つけた場所に訪れた。

 

 

その場所は、梅里中学とは目の鼻の先だった。

 

 

途中、黒雪姫が急用があるという事でその場を後にした。

 

 

「それで?どうゆうふうに倒れてたの?」

 

 

「どうって、普通に...」

 

 

チユリと兎美がそんなやり取りをしてる中、ハルユキは立弥に質問する。

 

 

「あのさ...ちょっといいかな?」

 

 

「なんすか兄貴!」

 

 

「兄貴?」

 

 

自分を兄貴と呼んだ事に、ハルユキは疑問符を浮かべる。

 

 

「姉貴から聞きましたよ!兄貴が姉貴の旦那さんだって!」

 

 

その話を聞き、ハルユキはまたかと頭を押さえた。

 

 

「それは、兎美の冗談で...」

 

 

「照れなくてもいいですよ兄貴!それで質問て何すか?」

 

 

ハルユキは訂正するのを諦め、立弥に質問する。

 

 

「ここって、見覚えある所なの?」

 

 

「いえ、初めてきたっす」

 

 

2人がそんなやり取りをしている中、今度はチユリが近づいてきて質問する。

 

 

「ねぇ、9月5日って佐藤花子は何をしてたの?」

 

 

「開発中の新薬を試すバイトに行くって、それきりっす」

 

 

「新薬?」

 

 

新薬という言葉に反応し、兎美は立弥に詰め寄る。

 

 

「その話、詳しく聞かせてちょうだい!」

 

 

「はい、はい」

 

 

『うわぁぁぁぁ!!』

 

 

『きゃぁぁぁぁ!!』

 

 

その時、学校の方から悲鳴が聞こえた。

 

 

 

 

ハルユキ達が駆けつけると、ファウストのガーディアン3体が部活で登校していた生徒達を襲っていた。

 

 

「ファウストのメカ」

 

 

そう呟き、兎美がビルドドライバーを取り出す。

 

 

「うわぁ!」

 

 

「きゃあ」

 

 

兎美がビルドドライバーを腰に装着しようとした瞬間、立弥が後ろからぶつかって前に転倒してしまう。

 

 

「あっ、びっくりしたごめんなさい!」

 

 

「大丈夫か?兎美」

 

 

倒れた兎美を、ハルユキが起こす。

 

 

「ハル!あれ!」

 

 

タクムが示す先には、梅里中学を警備しているガーディアン達が駆け付けてきた所だった。

 

 

警備のガーディアンが銃を構え、発砲する。

 

 

瞬く間に、3体のガーディアン達は倒されて爆破する。

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

助かった生徒達は、警備のガーディアンに頭を下げて感謝する。

 

 

そこに、学校の屋上から下の様子を見ていた者がいた。

 

 

その人物は何かの合図なのか、指を鳴らした。

 

 

すると突如、警備のガーディアンの顔の装甲が弾ける。

 

 

「#$%&+*」

 

 

突如、警備のガーディアンが生徒達を襲いだした。

 

 

「うわぁぁぁぁ!」

 

 

「何で警備のガーディアンがファウストに?」

 

 

タクムがそう考える中、兎美とハルユキは目を合わせ頷き合う。

 

 

兎美が前に出ると、腰にビルドドライバーを装着する。

 

 

兎美はタカとガトリングのボトルを取り出し、ハルユキはチユリ達を下がらせる。

 

 

『タカ!ガトリング!ベストマッチ!』

 

 

ドライバーを回すことで、前後にハーフボディが出現する。

 

 

「えぇ!?何これ!?」

 

 

いきなりの事で、立弥は驚愕する。

 

 

『Are you Ready?』

 

 

「変身!」

 

 

『天空の暴れん坊!ホークガトリング!イエーイ!』

 

 

ハーフボディが結合し、兎美は仮面ライダーへと変身する。

 

 

「えぇー!姉貴が仮面ライダー!?」

 

 

「危ない!」

 

 

兎美のもう1つ姿を知り、立弥は驚愕で前に出るが直ぐにハルユキが後ろに下がらせる。

 

 

「はあ!」

 

 

ビルドはホークガトリンガーの引き金を引くと、一瞬で警備のガーディアンが倒れる。

 

 

「早く逃げて下さい!」

 

 

「すげぇ!仮面ライダーだ!」

 

 

「本物だ!」

 

 

「早く!」

 

 

仮面ライダーに助けられたという事に、興奮する生徒達だったが2度目の促しによってその場から逃げ出した。

 

 

「やったー!」

 

 

ガーディアン達を倒したことに、チユリとハルユキはハイタッチをしながらビルドに近づく。

 

 

「姉貴格好良いっす!」

 

 

立弥とタクムも近づくが、そこに声をかける存在がいた。

 

 

「正義のヒーローのお出ましか」

 

 

ハルユキ達が声のした方に視線を向けると、屋上からハルユキ達を見下ろしているブラッド・スタークがいた。

 

 

「ブラッド・スターク!」

 

 

ハルユキが叫んだ名前を聞き、その場にいる立弥以外に緊張が走る。

 

 

「よぉ、久しぶりだなハル」

 

 

スタークはまるで久しぶりに合った知人に挨拶するように、ハルユキに向かって手を振った。

 

 

「荒谷をスマッシュに変えたのは、お前かスターク!」

 

 

「そういう事だ、正解したご褒美に遊んでやるよ」

 

 

スタークはそう言うと、トランスチームライフルを取り出しハルユキ達に向け発砲する。

 

 

「きゃああああ!」

 

 

「うわぁ!」

 

 

ハルユキ達の前に銃弾が着弾し、チユリと立弥が悲鳴を上げる。

 

 

ビルドは、空高く飛行する。

 

 

スタークはライフルで撃ち落そうとするが、弾は当たらなかった。

 

 

ライフルでは不利だと思ったのか、ライフルを左手に持ち替え右腕からスティングヴァイパーを伸ばし攻撃する。

 

 

スティングヴァイパーを鞭のようにしならせ、ビルドに攻撃する。

 

 

攻撃方法が急に変わったせいか、ビルドは何発か食らってしまう。

 

 

それでも、直ぐに立て直し上空からホークガトリンガーを連射しながら接近する。

 

 

「ああっ、ああ」

 

 

ビルドが横切った際に発生した風圧により、スタークは屋上から落ちる。

 

 

スタークは何とか地面に着地し、ビルドも地面に着地する。

 

 

カシャッカシャッカシャッ!

 

 

ビルドはラビットとタンクのボトルを取り出し、差し替える。

 

 

『ラビット!タンク!ベストマッチ!Are you Ready?』

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

『鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イエーイ!』

 

 

ビルドはホークガトリングフォームから、ラビットタンクフォームにフォームチェンジする。

 

 

フォームチェンジと共に、武器をホークガトリンガーからドリルクラッシャーへと変わる。

 

 

「はぁ!はぁ!はぁ!」

 

 

ドリルクラッシャーで何度も斬り付けるが、全てトランスチームガンで受け止められてしまう。

 

 

もう一度攻撃し、またも受け止められてしまうがそのまま押し切り、ブラッド・スタークを怯ませた。

 

 

怯ませた際に見せた隙をビルドは見逃さず、ドリルクラッシャーを横薙ぎにして始めて一撃を与えた。

 

 

好機を逃しまいと、今度は上段からの振り下ろしを繰り出す。

 

 

だが、敵も馬鹿では無かった。

 

 

スタークは、ドリルクラッシャーをもう一度受け止める。

 

 

だが、ただ受け止めただけでなく、ドリルクラッシャーの回転を利用し横へと逸らさせた。

 

 

攻撃が逸れた事でがら空きになったビルドの腹部に、スタークはすかさず後ろ回し蹴りを叩き込んだ。

 

 

「きゃあっ!」

 

 

重い一撃を受け、ビルドは後方へと吹き飛ばされ地面を転がった。

 

 

ビルドは直ぐに起き上がると、ドリルクラッシャーを捨てレバーを再度回して必殺技の体制に入る。

 

 

『Ready Go!』

 

 

左右からグラフを模したエネルギーの滑走路が出現し、ビルドは空高く跳躍する。

 

 

『ボルテック・フィニッシュ!』

 

 

必殺技を放つが、スタークは左腕のみで簡単に受け止めてしまう。

 

 

「何!?」

 

 

「良いキックだ」

 

 

そう言うと、スタークはビルドを横へと放り投げた。

 

 

「ハザードレベル3.2って所だな、お前もまだまだ伸びそうだな。じゃあな」

 

 

そう言うと、スタークは前回と同様笑いながらその場を立ち去った。

 

 

スタークがいなくなったのを確認したハルユキ達は、ビルドに駆け寄る。

 

 

「姉貴ー!」

 

 

「大丈夫か?」

 

 

「ええ」

 

 

ハルユキは倒れているビルドの上半身を起こし、体を支える。

 

 

「なんなのよ、あいつ」

 

☆★☆★☆★

 

 

その後の方針を決める為、立弥を連れハルユキ達は自宅へと戻った。

 

 

ハルユキ達がリビングに入ると、美空が机の上でパズルをやっていた。

 

 

「ただいま」

 

 

「ただいま...」

 

 

「おかえりー」

 

 

兎美はそのまま机に突っ伏し、動かなくなった。

 

 

「それで?何か手がかり掴めたの?」

 

 

「うるさいわね、今は佐藤花子で一杯一杯なのよ」

 

 

美空が質問するが、兎美は佐藤花子のショックが大きかったせいか答えられる元気が無かった。

 

 

「誰よ、佐藤花子って」

 

 

全てを知っているハルユキ達は、苦笑するしか無かった。

 

 

「それで、これからどうするんだい?ハル」

 

 

今後の方針について、タクムが確認する。

 

 

「取りあえず、立弥君に聞いて記憶を思い出せる場所を探して」

 

 

「出来たー!」

 

 

話し合っていたハルユキとタクムだったが、急に美空が出来上がった牛を模したパズルをハルユキに見せてきた。

 

 

「あっ、ボトルも出来てるよ」

 

 

思い出したかのように呟いた美空の言葉に、兎美が一番反応した。

 

 

「嘘!?テンション上がるー!ひゃっふー!ボトルー!」

 

 

髪の毛の一部が跳ね上がり、兎美はハイテンションで部屋に戻っていく。

 

 

こうなった兎美は、しばらく自分の世界に没頭する事を知っているハルユキは、先程とは別の事をタクムに告げる。

 

 

「立弥君には来てもらって悪いけど、今日はもうお開きにしよう」

 

 

「そうだね」

 

 

「分かりました、兄貴!」

 

 

ハルユキ達は立弥を見送るため、玄関に向かう。

 

 

「じゃあ、俺帰ります!」

 

 

「うん、また明日ここに来てくれるかな?」

 

 

「はい!兄貴!」

 

 

立弥はそう言うと、玄関の扉を開け外に出て行った。

 

 

見送ったハルユキ達は、兎美の部屋に向かった。

 

 

「コミックボトルかー、相性良いのは...やっぱ海賊かな?いやでもタカ...うわー!どっちだろう!」

 

 

部屋に入ると、パネルの前にボトルを並べてベストマッチを探している兎美の姿があった。

 

 

「ちょっと!こんなことやってないで、あなたの記憶を取り戻す方法を...」

 

 

「うるさいわね、これも私の記憶を取り戻すのに必要な事なのよ」

 

 

兎美は怒るチユリに対して、説明する。

 

 

「スマッシュを使って、この町を襲ってるのはファウストでしょ?つまり奴等のアジトを突き止めて全貌を明かせば、何か分かるかもしれないって訳。そのためには...」

 

 

兎美が全てを話し終える前に、チユリは近くにあった忍者ボトルを手に取りパネルにセットする。

 

 

すると、ベストマッチした証であるN/Cのマークが浮かび上がる。

 

 

兎美の跳ね上がった髪の毛が元に戻り、テンションも下がった。

 

 

「うそーん...」

 

 

「これでいいでしょ?ほら、さっさと...」

 

 

「うわー!」

 

 

部屋から出そうとしたチユリだったが、兎美はいきなり奇声を上げた。

 

 

「こうなったら武器よ!ニンジャコミックで遇の音も出ない武器を作ってやる!」

 

 

「はあ?」

 

 

「チユ、やめろ。こうなった兎美は誰にも止められないんだ」

 

 

まだ諦めようとしないチユだったが、ハルユキが止める。

 

 

「忍者と漫画だから、やっぱ剣よね!火炎とか竜巻とか煙とか出して...」

 

 

ハルユキの言う通り、今の兎美を止められる者は誰一人としていなかった。

 

 

 

 

 

 

自分の家に帰る途中の立弥は、今日会った兎美について考えていた。

 

 

兎美と名前を変え、まるで別人のようなってしまった自分の姉貴分。

 

 

「なんで姉貴は、記憶を失っちゃったんだろう?」

 

 

「私が教えてやろうか?」

 

 

立弥からしてみれば、ただ独り言を呟いただけだったが返答が返ってくるとは思いもよらなかった。

 

 

立弥が後ろを振り返ると、そこにはスタークがいた。

 

 

立弥は首を絞められ、気を失ってしまう。

 

 

気を失った立弥を、ブラッドスタークはアジトに連れて行き人体実験を行う。

 

 

「そいつを使ってどうするつもりだ?」

 

 

「試すんだよ、私に相応しい相手かどうか」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「出来た!」

 

 

早朝の有田家に、兎美の声が響いた。

 

 

リビングでは美空が歯を磨き、ハルユキが朝食を食べていた。

 

 

「名づけて、4コマ忍法刀!」

 

 

兎美が見せた刀にはその名の通り、煙を出している絵、竜巻を出している絵、火炎を出している絵、分身を出している絵の4コマが描かれていた。

 

 

「うおおお!早く試したいわね!」

 

 

兎美はテンションを上げながら、4コマ忍法刀を振り回す。

 

 

「きゃあ!ちょっとー!」

 

 

美空の顔をすれすれで、忍法刀が横薙ぎされる。

 

 

その時、美空がニューロリンカーを操作してみーたんねっとを開く。

 

 

「スマッシュ情報来てるよー。梅郷中学校に向かってるみたいだってー」

 

 

美空の話を聞いたハルユキ達は、急いで上着とドライバーを手に取り梅里中学校へと向かった。

 

 

 

 

 

梅里中学校では、風紀委員の指示の元で警備用ガーディアンがスマッシュを相手していた。

 

 

「スマッシュを一歩たりとも、学校に入れないように」

 

 

屋上から、幻会長が指示を出す。

 

 

警備ガーディアンが発砲した銃弾が、スマッシュに命中する。

 

 

警備ガーディアンによって無力化されているスマッシュを、ハルユキ達は只見ていた。

 

 

「なんか...もう既に終わりそうだな」

 

 

「私達の出番ないかもね...」

 

 

駆けつけたにも関わらず、もう既に倒されかけている事にハルユキ達は驚きながら見ていた。

 

 

「よお、お前ら」

 

 

そんな時、2人の後ろからスタークが話しかけた。

 

 

「あのスマッシュの正体を知ってるか?ヒントは姉貴~!」

 

 

「立弥!」

 

 

スタークのモノマネで、スマッシュにされているのが立弥だという事を理解する。

 

 

「正解、けど勘違いしないでくれよ。あいつは自ら実験を志願したんだ」

 

 

「ああ...」

 

 

兎美はガーディアンにやられるスマッシュになった立弥を見て、口元を押さえた。

 

 

「健気だねぇ~。けど、どうしようもない馬鹿だ!」

 

 

『ふざけるな!』

 

 

ハルユキと兎美は同時に叫び、ドライバー腰に装着する。

 

 

『ラビット!タンク!ベストマッチ!』

 

 

『ウェイクアップ!クローズドラゴン!』

 

 

『変身!』

 

 

『ラビットタンク!』

 

 

『CROSS-Z DRAGON!』

 

 

ビルドとクローズに変身したハルユキ達は、交互に構える。

 

 

「ハル、アレの調整は既に済んでるわ!」

 

 

「了解!」

 

 

『ビートクローザー!』

 

 

クローズはドライバーから、クローズの剣型武器『ビートクローザー』を召喚する。

 

 

ビルドもドリルクラッシャーを召喚し、スタークに攻撃する。

 

 

怒りに任せに振るわれたドリルクラッシャーは、スタークに向けて振るわれるが前回と同じように受け止められてしまう。

 

 

しかし、前回と違う所は今回はクローズもいるということだ。

 

 

クローズはビートクローザーの持ち手にあるグリップ、『グリップエンド』を引っ張る。

 

 

『ヒッパレー!』

 

 

ビートクローザーから音声が鳴り、剣身についているイコライザーのようなメーターが緑のゲージが上下する。

 

 

『スマッシュヒット!』

 

 

「おらぁ!」

 

 

ビートクローザーの刀身に蒼炎が纏い、クローズは下から右斜めに振り上げた。

 

 

スタークは焦ることなく、その場で側転してクローズの攻撃を避ける。

 

 

「はぁ!」

 

 

ビルドはスタークの足めがけて、ドリルクラッシャーを振り下ろす。

 

 

スタークの足から火花が散り、初めてダメージを与えた。

 

 

ビルドとクローズは、同じタイミングで武器を投げ捨てる。

 

 

『はぁぁぁぁ!』

 

 

『Ready Go!』

 

 

グラフを模した滑走路を使ったビルドのキックと、クローズドラゴン・ブレイズを纏ったクローズのキックがスタークを襲う。

 

 

『ボルテックフィニッシュ!』

 

 

『ドラグニックフィニッシュ!』

 

 

スタークは2人の攻撃を、片手ずつで受け止める。

 

 

だが、今度は受け止めきれずに後ろに吹き飛ばされてしまう。

 

 

地面を転がるスタークは、起き上がると自分の両手を見る。

 

 

スタークの両手は、必殺技に耐えることが出来なかったのか火花を散らしていた。

 

 

「ハザードレベル3.5に3.7か、怒りでレベルが上がるとはな」

 

 

そう言うと、スタークはビルド達に背中を向ける。

 

 

「やっぱり期待通りだったよ、早くスマッシュを助けてやれ」

 

 

そのままスタークは、その場からいなくなった。

 

 

追いかけようとするビルドだったが、一瞬躊躇して2本のボトルを取り出しスマッシュの元に向かう。

 

 

『タカ!ガトリング!ベストマッチ!Are you ready?』

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

『天空の暴れん坊!ホークガトリング!イエーイ!』

 

 

ホークガトリングにフォームチェンジしたビルドは、空へ飛びスマッシュに向かう。

 

 

「あれは...」

 

 

屋上で指揮を取っていた幻は、空から急降下してくるビルドの存在に気付いた。

 

 

「仮面ライダー...」

 

 

急降下したビルドは、片手でスマッシュを捕まえて急上昇しその場から離れた。

 

 

☆★☆★☆★

 

人気のない河川敷まで移動したビルドは、その場にスマッシュを落とし自分も着地する。

 

 

地面に落とされたにも関わらず、尚も暴れるスマッシュにビルドは向かい合う。

 

 

「立弥、今助けるわ」

 

 

ビルドは今朝見つけた新しいベストマッチ、忍者とコミックのボトルを取り出す。

 

 

『忍者!コミック!ベストマッチ!』

 

 

ドライバーからスナップライドビルダーが伸び、前に忍者、後ろにコミックのハーフボディが生成される。

 

 

『Are you ready?』

 

 

「ビルドアップ!」

 

 

ハーフボディか結合し、『仮面ライダービルド ニンニンコミックフォーム』へと変身する。

 

 

ニンニンコミックに変身したことで、ビルドの手に4コマ忍法刀が召喚される。

 

 

スマッシュはビルドに向かって拳を振るうが、大振りだった為に簡単に避けることが出来た。

 

 

「勝利の法則は決まった!」

 

 

ビルドは、4コマ忍法刀のトリガーを1回引く。

 

 

『分身の術!』

 

 

ビルドが4コマ忍法刀を振るうと、スマッシュの周りに幾つものビルドの分身が実体化する

 

 

『はぁ!はぁ!はぁ!』

 

 

分身達がスマッシュの周りを飛び回ることで翻弄し、その間に本体がスマッシュに攻撃する。

 

 

『はぁ!はぁ!』

 

 

本体がスマッシュを斬り、分身の一体が蹴りを放つ。

 

 

『はぁ!』

 

 

本体と分身達が、スマッシュの周りを円を描くように回りだす。

 

 

『ふっ!はぁ!』

 

 

周囲を回るビルド達を見て、スマッシュは目を回す。

 

 

『火遁の術!』

 

 

ビルドはトリガーを2回引くと、回転しているビルド達が炎を纏いだした。

 

 

『火炎斬り!』

 

 

本体が跳躍し、炎を纏った4コマ忍法刀を振り下ろす。

 

 

斬られたスマッシュは、爆発し無力化される。

 

 

ビルドはドライバーに刺しているボトルを抜き、変身を解除する。

 

 

兎美は直ぐに空のエンプティボトルを取り出し、スマッシュの成分を抜き取る。

 

 

「立弥!大丈夫!」

 

 

兎美は、直ぐに立弥に駈け寄った。

 

 

「姉貴...すいません...」

 

 

「いいから」

 

 

謝る立弥に、兎美は気にせず抱え起こす。

 

 

「姉貴...姉貴が新薬のバイト始めたのって...俺が...金に困ってるから...」

 

 

立弥の口から告げられた話を聞いて、兎美は言葉が出なかった。

 

 

「姉貴に...俺も...姉貴の役に立ちたかったんです!でも...駄目でした...。どうしようもないやつで...本当にすうみません!」

 

 

「もういいから喋るな」

 

 

涙ながらに答える立弥に、兎美は複雑な気持ちで立弥を起こす。

 

 

だが、立弥の話はまだ終わっていなかった。

 

 

「あいつが...言ってたんです。姉貴が記憶を失ったのは...俺のせいだって...」

 

 

立弥が言っているあいつとは、ブラッド・スタークの事で間違いないだろう。

 

 

立弥に伝えた事も嘘の可能性もあるが、兎美は黙って話を聞いていた。

 

 

「姉貴が消えた9月5日...新薬のバイトで姉貴を車で送って行ったんですが...、それが...葛城巧未っていう科学者の部屋なんです...」

 

 

立弥の口から告げられた衝撃の真実に、兎美は言葉を失った。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

立弥を安全な場所へ送り届けた兎美は、ハルユキと合流し家へと帰宅した。

 

 

家に帰えったハルユキ達を出迎えたのは、リビングのテーブルに乗った大量の料理を食べている美空、千百合、拓武だった。

 

 

「おかえり、2人共」

 

 

『おかえりー』

 

 

「あ、ああ、ただいま...じゃねぇよ!もしかしてその料理って!」

 

 

テーブルの上に置いてある料理に、ハルユキは驚愕する。

 

 

机の上に並べられた料理は、昔千百合の家に遊びに行った際に食べさせてもらった千百合のお母さんの料理だった。

 

 

「ママにハルの家に行くって言ったら、張り切って作ってくれたの」

 

 

「ずるいぞ、お前らだけ!」

 

 

ハルユキは急いで椅子に座り、自分も料理を食べ始める。

 

 

ハルユキに続いて、兎美も自分の椅子に座り料理に手を出す。

 

 

料理を食べ続ける中、ハルユキ達は今日起こった事を説明する。

 

 

立弥がスマッシュにされていた事、立弥が言っていたバイトというのが葛城巧未が関係していた事を。

 

 

「じゃあ、兎美が記憶を失ったのは葛城巧未が関係してるって事?」

 

 

「絶対とは言い切れないけど、無関係とは言えないだろうね」

 

 

話を聞いた千百合と拓武は、自分の推測を語る。

 

 

「兎美の記憶を戻すためにも、葛城巧未についてもっと調べないとな」

 

 

ハルユキが今後の方針を決める中、兎美はあくびをする。

 

 

「ふわぁ...悪いけど、私もう寝るわね」

 

 

兎美はハルユキ達にそう告げると、自分の部屋に戻った。

 

 

「そういえば、兎美は4コマ忍法刀を作ってたせいで一睡もしてなかったな」

 

 

兎美が眠そうにしてる事に、ハルユキは今更ながら思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の部屋に戻った兎美は、ベッドにダイブしてそのまま眠りに落ちた。

 

 

だがこの時、一日過ぎていた為に全員が忘れていた。

 

 

一睡もしていないと言う事は、プログラムが兎美の深層イメージにアクセスしていないという事を。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

その夜、兎美は悪夢に魘された。

 

 

多くの白衣を着た科学者達から囲まれ、兎美は責められていた。

 

 

『お前がライダーシステムなんか作らなければ、こうならなかったんだ!』

 

 

『お前のせいで、何人の人が犠牲になっていると思ってる!』

 

 

『お前が作ったのは、只の軍事兵器だ!』

 

 

違う!ライダーシステムを作ったのは私じゃない!

 

 

自分を責める人に対して、兎美は声を荒げながら否定する。

 

 

悪夢はそれだけでは終わらず、今度は科学者達と入れ替わるように千百合と拓武が現れた。

 

 

『君がいなければ、僕達の日常も壊れる事は無かったんだ!』

 

 

『私達の平和な日常を返して!』

 

 

千百合の涙ながらの告白に、兎美は胸が引き裂かれそうだった。

 

 

私のせいで...何の関係のない人達が...

 

 

色んな人達から非難され耐える事が出来ず、兎美の心は既にボロボロだった。

 

 

そんな兎美の前に、ハルユキが姿を現す。

 

 

ハル...

 

 

目の前のハルユキに縋りつこうとした兎美だったが、ハルユキの口から告げられた言葉によって阻まれてしまう。

 

 

『お前なんか、拾わなかければ良かった...』

 

 

そう告げるハルユキの眼は、今まで見たことのない冷たい目だった。

 

 

やめてハル...あなたまで私を見捨てないで!

 

 

兎美が涙を流しながら叫ぶが、ハルユキは興味を失くしたかのように兎美から離れる。

 

 

行かないでハル!私を1人にしないで!

 

 

兎美が手を差し伸べる先には、ハルユキの姿はなく誰かの背中が見えた。

 

 

その姿は逆光で見えなかったが、赤と青の装甲がちらっと見えた。

 

 

見覚えのある後ろ姿を見た兎美は、なぜ自分が仮面ライダーとして戦っているのか思い出した。

 

 

そうだ、仮面ライダーは軍事兵器じゃない。

 

 

私はこの力を、ハルユキや美空、街の人々を守る正義として使う!




どうも、ナツ・ドラグニルです。


作品は如何だったでしょうか?


今回、兎美がバーストリンカーとして参戦が決定しました。


次回の話を投稿した後に、兎美のバーストリンカーとしての軽い設定を投稿しようと思います。


まあ、最後を見れば何を元にしたのかは解ると思いますが。


そして、今回の話ですが本編では万丈が立弥をスマッシュに戻してアジトを見つけようとしますが、うちのハルユキはそんなことをしません!


なので、アジト捜索はまた次回で出します。


それでは次回、第3章 第1話もしくは、激獣拳を極めし者第26話でお会いしましょう!


それじゃあ、またな!

文字数の調度いい長さを教えてください!

  • 7000~10000 第3章第3話参考
  • 10000~15000 第2章第8話参考
  • 15000~20000 第3章第2話参考
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