The HERO 〜ロード・オブ・ガロウ〜 (仮題)   作:十五夜の月

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凄く久しぶりな投稿です!
待っていた方々、本当にお待たせ致しました!申し訳なかった!

と言うわけで、久しぶりの方も、そうでない方も
ゆくっり読んでって!




成長と、焦りと、退屈と

 

 

 

 

 

 

 汗を軽く拭き取り、もう着慣れた制服の袖を通す。

 慣れた動作をこなして、見慣れた通路を通り、見慣れたドアを開ける。

 

「けどあれ見てると──って、ガロウ!」

 

 何やら話をしていた上鳴が自身に気付くと、途中で話を切って驚いた様子で声を上げた。

 それに反応してクラスに居た全員の目が向けられ、何人か近づいてくる。

 

「無事だったんだな!」

「ニュースになってたよ!」

「怪我は大丈夫?」

 

 瀬呂や上鳴、切島や芦戸と言った面々が特にしつこく聞いてくるのが鬱陶しく、隙間を縫う様にして教室の中に入った。

 が、気になる一言があり、思わず聞き返していた。

 

「ニュースになってた、ってのは?」

「知らないのか?」

 

 ほら、と言って見せて来た携帯には、写真や動画に限らず燃える街を背景にヒーローとヴィランの戦う姿や、《ヒーロー殺し》ステインのニュースが数多くアップされている。

 特にステイン関連のアクセス数が増加している。

 理由は何となしに分かる気がする。あの本物の意思は、良くも悪くも人に何かを思わすことがあるだろう。

 

「ステインか、成る程な」

「そうそう、そのことで話してたんだけどさ。この動画見てるとさ、なんつーか……カッコいいつーか、何と言うか?」

「上鳴くん……!」

 

 緑谷が制止の声を掛けたが、直接戦ったことのあるガロウには理解できた。

 

「上鳴、お前の言ってることは合ってるぞ」

「ちょっ、拳獣くん!?」

 

 驚き慌てる緑谷を無視して話を続ける。

 

「ヒーローを職業としてではなく、その本質を捉えてるんだからカッコよく見えても可笑しくないだろ。

 まあ、ヒーロー殺しがヒーローとしての心構えを理解してるってのは、皮肉が効いているけどもな」

 

 クラスにいる誰もが、ガロウの話を聞いて言い返せなかった。納得できる部分が少なからずあるからだ。

 暫く誰も話そうとしなかったが、沈黙を破って飯田が口を開いた。

 

「……ああ、確かにそうだな」

「意外だな、真面目くんが認めるなんて」

「認めるさ、認めなければいけない。あの時の俺は確かにヒーローに相応しくなかった……ヒーロー殺しの言う通りだった」

 

 間違いを認めることは簡単そうで実は難しく、特に飯田のような真面目なタイプは追い求める目標ばかりを捉えようとして、そう言った傾向に走りやすいとガロウは考えている。

 つまらないプライドに邪魔をされて、柔軟な思考が出来ない。元の世界でも、似たような者を何人か見て来たから分かる。

 だが、と飯田は続ける。

 

「間違っていたなら変わればいい。俺は改めて、ヒーローの道を歩む!」

「あっそ……まあ、頑張れや」

 

 欠伸混じりに返事を返しつつ、ホームルームまで寝ることにした。

 

 

 

 

 

 ●○●○●○

 

 

 

 

「ハイ、私が来た。

 ってな感じでやっていくわけだけどもね。はい、ヒーロー基礎学ね!」

「何時ものテンションどうしたんだよ」

 

 何日も授業をしてなかったせいで最初の掴みの重要性を忘れたのか、ヌルッと入り始めたオールマイト。

 色々と言われながらも持ち直して授業を開始した。

 授業内容はいたってシンプル。工業地帯を想定した運動場γにて、救助者のオールマイトがいる目的地に誰が一番先に辿り着けるのかを競争する。そして、基本五人一組で行う。

 唯一の注意点は、建物の被害を最小限に抑えることらしいが──

 

「……指差してんじゃねぇよ」

 

 オールマイトは爆豪に指を向けて注意をしていたが、はっきり言って物を壊しそうなのは満場一致で誰もが爆豪だと言うだろう。

 

「ドンマイだな、爆豪」

「うっせぇ! 黙ってろ割れ髪‼︎」

 

 

 

 順番が回って来るまで観戦室で待っていると、最初の一組目から面白いものが見れた。

 

「おお! 緑谷凄え!」

「何だあの動き!?」

 

 今まで見たことも無いような動きで緑谷が進んでいく。

 見ていて分かるが、明らかに以前の緑谷と比べても動きが良い。と言うよりも、体の動かし方とそれに合わせた個性の扱いが上手くなっている。もしかすれば、インターンで最も成長したのは緑谷かもしれない。

 

「なあ爆豪、あれお前の動きに似てないか?」

「……うっせえ、黙ってろ」

 

 思っていたことを口に出して問いかけても、爆豪からまともな返事は返ってこないが間違いなくあの動きは爆豪が見せる動きだ。

 しかし、未だに慣れていないのか足を滑らせて落下する、情けない結果となった。

 

「お前、ちょっと焦ってるだろ?」

「……うるせぇ」

 

 からかい混じりに声を掛けても突っかかって来ないことから、少なく無い焦りが見て取れる。

 

「焦んなよ、まあ……怠けてたら、ヤバイかもな」

「──ッチ、何だ励ましのつもりか? あぁ!?」

「いや、焦ってるお前の反応を楽しんでる」

「おちょくってんのか‼︎」

「──おう」

「────!」

 

 声にならない怒声を上げて表情を変質させる爆豪を笑いつつ、ガロウはせっせとその場を後にした。

 上手くいけば、緑谷と爆豪の二人は化けることに成るかもしれないと、ガロウは少しだけ笑った。

 

 

 軽くその場で飛び跳ねてから、体の筋を伸ばす。

 退屈し始めた頃、ようやく回って来た自分の組みは六人、爆豪や常闇など機動力のある者もいる。その中でも爆豪は何か思うことでもあるのか、ずっとガロウのことを睨みつけていた。

 

「なんか用か?」

「澄ました顔してんじゃねーよ」

「ヴィランみたいな顔してんじゃねーよ」

「──殺す‼︎」

「……やはり、悪鬼羅刹」

 

 馬鹿なやり取りをしていると呆れたように常闇が呟いた。

 兎に角、始めるために位置につく。

 爆豪は何かと意識しているようだが、それに対して応えるつもりは特に無い。淡々と、目の前の退屈な課題を終わらすだけだ。

 

『スタート!!』

 

 スタートの合図が聞こえた瞬間、場所を確認して一直線に走る。

 障害物が道を遮っているように見えても、ガロウからすればそうでは無い。横や上に迂回するよりも、障害物であるパイプの隙間を潜り抜けるようにして走るのが最も効率的。着地を加速に置き換えれば減速はしない、結果として出せる最速で目的地に辿り着ける。

 観戦室から様子を見ている者からすれば、まるでガロウが障害物をすり抜けて移動しているようにしか見えなかった。

 

「──っえ、はや!? もう来たの拳獣少年!?」

 

 開始から僅か二十秒程で辿り着いたことに、オールマイトは驚きの声を上げる。もちろんガロウとオールマイト以外に生徒たちの姿は無い。

 

「す、凄いな……」

「先に戻っていても問題ないか?」

「へ? ああ、問題ないぞ」

 

 一応の確認を取ってからガロウは観戦室に足を向ける。

 オールマイトから称賛の声を受け取っても、特に喜びを感じることは無く、退屈だった。

 前の脳無や、ステインとの戦いの方がよっぽど刺激的で楽しかった──楽しすぎたからこそ、つまらない課題との落差が酷いのだろう。

 

「あー、暇だな」

 

 空を見上げながら、心の底からつまらなそうに呟いていた。

 

 

 

 

 

 

 

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