神様を殴る為に神を目指すのは間違っているだろうか 作:-恵-
黄昏の館、大食堂――
「私達の攻撃はお前の目には映らないはずだが、どのようにして避けたんだ?」
身体能力自体は一般人と同じ、そのフィアナの言葉を思い返したリヴェリアから疑問を投げかけられた。
でも筋肉が割れるぐらい鍛え込んでるんだけどなあ…
『一般人の中ではかなり強いですよ?ですがLv.1には値しません。
力と敏捷がLv.7と判断したのは、あなたの全身の動き、力を自在に操る技術によるものです。
防ぐ際にかかる相手の弾く力まで利用して円運動で勢いを殺さず、逆に加速させて20発叩き込んでた人がどの口で言いますか。10発が限度のくせに』
「わかった。わかったから、もう技術を暴露しないで…(汗)
えっと…攻撃等の「動き」には必ず、動いた箇所の周りにあった空気が付いて回ります」
フィアナに向けてそう言った後、私はリヴェリアへと向き直って説明を始める。
「どういうことだ?何が言いたい?」
「まずその動きと共に「加速する空気」があります。ですが私は動かずに防御に専念し、最小限の動きだけをし相手の動きを利用していました。
そこには2つの目的があります。
1つ目は自身の動きによる周囲の空気の変化を限りなく無とすることで、相手の動きによる大気の流れの変化から予測を立てます。
もう1つは体力の回復、脱力と共に相手の動きと力の向きに対して横向きに力を加えてそのまま仲間の方へ返してその者の攻撃へ当てて防ぐこと。うまくいけば連鎖的に防げます。
真っ直ぐ自身に向かう攻撃に対してならば、添えながら上下左右へ振り分ければ逸らせます。最初はいきなり背後だったので後れを取りましたが。
つまりを言うと自身が動いた瞬間から速度の違いに応じて、早ければ早いほど強く風が生じ、必ず周囲にまで変化を及ぼしますので」
「なるほどなあ。全身の感覚に対して鋭く集中して、周囲の空気の微細な変化に意識を集中してたってわけか」
「目で見るのではなく、全身で観る…中々の高等技術だね」
『一般人でありながら極めてLv.10まで上り詰めてますから、器用だけ。父親のDVのせいで耐久Lv.9になりましたが』
「それと、人体の構造上、力の入れやすい方向は決まっています。
右側のものなら左、左側のものなら右。なので逸らす際に逸らす方向を統一させています。
例えば、左側…左腕からの掌底や正拳突き、左足蹴りによる攻撃なら私は右後ろへ引きながら右手で私から見て左へ逸らし…右側もまた同様に左後ろへ引きながら左手で私から見て右へ逸らすようにしています。
手で届かないほど低い位置からの攻撃ならば、手ではなく足の蹴りで逸らしますが。
ベートの私から見て右下からの右足蹴りに対して、右手を下に向けながら途中まで動きにピッタリと添わせながら右後ろへ引き、十分引き付けた後で腰を左回転させながら右掌底を左へ向けて放って逸らしてましたよね?
それが、先程言った技術です」
「あの蹴り、私に飛んできて吹っ飛ばされたんだよねえ。
「何で俺を見てくんだ」
「いや、それだけケイトの技術が凄いんだろうなあって」
ティオナとベートの会話の中、私は説明を続けた。
「でも…槍の突きに関しては間合いが長く、なおかつ鋭く速いので避けにくかったです。それ以外にも攻撃が来てましたし。
皆の攻撃の隙間を縫ってましたし、必ず死角から、気配も殺気も害意も無く来られたので…逸らすので手一杯でした」
「だからフィンのばかり当たったんだ、3回ほど」
「左右の脇腹と背ね。見事でした!団長!//」キラキラ
「その後ですぐ当たらなくなってしまったけれどね^^;」
「それは動きのパターンがある程度掴めたからです。所謂慣れかと」
「で…敬語は抜きにしていいと言ったはずなんだが…どうなっているのかな?そこの所は」
「ごめんなさい。頭からすっぽ抜けてました」
「それより酒飲み!ケイト!!お前が主役やで!!」
ビシッ!!と指を向けながら叫ぶロキに、私は苦笑交じりに頷いて酒を飲み始めた。
そんな時、アイズが言葉を挟んできた。
「どうやって…それほど強くなったの?」
「ん?死ぬほど殴られて蹴られて殺されかけた。生みの父親に。
後は自分で考えて技術を確立させていっただけだ。武術が完成したのは10歳程度だから、私にとってはもう児戯に等しい。
構造に伴う力の入りやすい方向に関しては自分で動きながら身に付けていったなあ…その努力だけは、裏切らないでくれた」
左手を見つめながら、初めて父親の拳を受け止めることに成功したことを思い返していると…
周囲は静まり返り、痛んだような目で見つめられていることに今になって気付いた。
「あ!ごめんなさい!つい…」
「ううん…そんなこと、考えたことが無かったから…嫌なこと、思い出させてごめんね?」
「いやいや、そのお陰で強くなれたと言っても過言じゃないから。大丈夫だよ^^」
「…そう…?」
「うん!!うん!!」こくこく
「…よかった//」にこ
可愛い!!!
そう考える中、私はある疑問を口にした。
「あのー…夕飯食べた後なのに晩飯って…」
「主神の提案だからね。僕としても君の歓迎をちゃんとしたい。軽く、少しでいいから食べてくれ。
それは皆も同じだということを理解してもらえると助かる」微笑
「…わかった…3時間ほど前に食べたばかりだから、あんまり入んないけど…できる限り、少しずつ食べる!」
「ああ。助かるよ」
そう笑みを向けられる最中、私もまた笑みを返した。
不思議と頬が赤くなる中…何故かフィンまで赤くなっていた。
見つめ合う中、まるで…時間が止まったかのように、互いのことしか頭に入ってこなかった。
周りの喧騒など、全然で…
「団長に色目使ってんじゃねえええええ!!!」
「ティオネ!落ち着いて!!フィンだって見惚れてるじゃん!!」
「そういう問題じゃないのよ!!!横からかっさられて堪るもんですかあああああ!!!!」
「ケイトの方がよっぽどお淑やかだし別にいいんじゃない!?ティオネと違って天然物だし!」
「全然よくないわよ!!」
「そりゃ確かに短髪で筋骨隆々だけどさ!!」
「私の団長と言葉を交わすなあああああ!!!!」
必死に羽交い絞めして押さえるティオナと、決死の表情で殺気まで出して我を忘れて暴れ回るティオネ…
その喧騒など、頭に全くもって入ってこなかった。
「おーおー。いい雰囲気やなあ。
フィンがそこまで見入るなんてこと今の今まで無かったやんか…初恋かあ。グフフ~」によによ
「見つめ合ったまま固まってるっすね」
「一目惚れじゃない?あれ、どう見ても互いしか目に入ってないわよ」
ロキの一言に対し、ラウルとアキが言葉を続けた。
(初恋の相手はメリサたんかと思ったんやけどなあ…口説くかと思ったけどせんかったし)
ロキの頭によぎるのは今からすれば27年前のこと。
出会った頃に眷属となる交換条件として挙げられたのが「フィンの抱く野望、それを邪魔しないこと」だった。
その中には伴侶探しについてもあった。
「(まあしゃあないわな…勇気が必要なわけやし。
結婚して
その点、ケイたんはメリサたんに
実力も恩恵抜きでピカ一、古代の英雄に匹敵するほどの強さを見せつけた。
その上とんでもない技巧を合わせもっとる。頭の回転も速い。フィンも追い付かんほど未知の戦術を続け様に組み合わせ続けとった)
フィンのお嫁さん計画(笑)も、ようやく進展か…」ぽつり
そう呟きながらロキが目を向けると、互いへ向き合ったまま頬を染めて見つめ合い…どちらも動かずにいた。
「「……////」」
「はははっ…間違いなく恋に落ちとるわ、互いに^^」
『そうですねえ。お互い、人生初めての恋ですねえ』にまにま
「フィンに至ってはもう42歳になったとこなんやけどなあ」
『15歳差の結婚ですか。華やかに行きたいものですねえ』しみじみ
「そうやなあ。全員で祝えればええんやけど……ティオネがなあ…」汗
『今はともかく楽しみましょう』
そうして…宴が終わったのは20時を回った頃だった。
「ほらほらケイたん!
「でもまだ後片付けが!」
「ええから早う!ウチは更新したい!行くでほら!」
「えっと、でも」
「行っておいで。僕としても君のステイタスに興味がある。
今後、遠征に君の力は不可欠だ。是非とも把握しておきたい。冒険者としての指導をする際においてもね」
「…後で、見せに来ます//」
「ありがとう。ただ、他の人には見せない方がいいということだけは覚えておいてくれ」
「わかった!」
「じゃあロキ、道案内を頼むよ」
「おう!任せとき!!後で執務室連れてくわ!」
ぐいぐいと手を引っ張られるがままに、私はロキの神室へと移動させられた。
ロキの神室――
「んじゃケイト!脱ぎ脱ぎしよなー?」
「???え?全部?」
「んなわけ…
いいや!その通りやで?全身脱がないと恩恵は刻まれへんねん。わかるやろ?ぐっへっへ」
「……え?…そうなの?」
『大嘘つかないで下さい!!!恥ずかしくないんですか!!?』
「ウチの生き甲斐を邪魔すんなや!!!」
『黙らっしゃい!!ケイトへのセクハラはフィン以外許しませんよ!!?』
ギャーギャー!!
「……どうすればいいの?」汗
置いてけぼり感が凄い…
そう感じながらも落ち着くまで待った後、どうすればいいかを尋ねた。
脱ぐのは上半身だけでいいらしく、背中に
「ずっるっ!!でかっ!!C以上あるやんかああ!!」
「???邪魔なだけ
「嫌味に聞こえるからやめい!!揉んだるわああ!!」キラーン!!
『誰がさせるもんですかああ!!』
まるでル○ンみたいなダイブを敢行しようとするロキに、パネルが何度も何度も立ち塞がって止め続けた。
…私は…何分待てばいいのだろう…?
そんな思いが胸をよぎる中、ようやく恩恵を刻み込むこととなった。
「って待って!ロキの血!?」
「ん?せやないと刻めるわけが
「痛くない!!?大丈夫!?そんなのやだよやっぱり!!やめとく!」
「アホ抜かせ!できんかったら他の神に恩恵刻まれてかっさられてまうやろ!!」
「でも!」
「あのなあ…そんなん言うとったら恩恵刻めんわ。なりたないんか?家族に」
「………なりたい」ぽつり
「ならやることは一つや。ほら背を向けてベッドにうつ伏せに横たわり!」
「…治すから、魔法で」
「…はあ。アホやなあ、ホンマに。優しいにも限度があるで?」
苦笑交じりに言葉を返される中、私はロキのベッドへうつ伏せに横たわる。
「んじゃ、刻むで?」
「くす、ぐったい///」
「おお。ええ反応やなあ」にやにや
『セクハラ禁止令第一条、ケイトの肌へ触れてにやつくな。殺すよ今すぐに』
「こわっ!!堪能できんやんか!」汗
『させたくないから言ってるに決まってるでしょう!!』
何か…刻み終えるまでも時間かかりそう…耳元で続く喧騒に、私は冷や汗交じりに固まるばかりだった。
動けない…(汗)
「お~、出た出た。
ってぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「どしたの!?(汗)
一体何が」
「は、話は後や!ともかく服を着るんや、ケイト!!」
「え?」
「執務室からここは近いんや!はい起き上がって着る!!」
「えっと、はい」
「後で
「え?
(よくわかんないけど)はい!」
ばあんっ!!
「ロキ!一体どう、し!?//」
『ラッキースケベおめでとうございます!!』
「!!?//」「何言ってんの!!?///」
『胸だけは見れたじゃないですか!これはもう嫁に取る外ないですねえ』にまにま
「お前仕組んだやろ!!?」『え~?何のことですかー?』によによ
「そんな嫁の取られ方はやだ!相思相愛で結婚した…い////」俯
「………あ…その…ワザとでは、なく…済まない///」しどろもどろ
「結婚せえへんって意味か!?」
「いや、そういう意味ではなく!//ケイトの意思もあるだろうし
「完璧相思相愛のくせして今更何言っとんねん!!」
「だがまだ出会ったばかりで//」
「男は度胸や!根性見せんかい!!腹決めええい!!!」
『さあケイト!フィンに止めを刺すんです!!胸を押し付けなさい!!!』
「「!!!??/////」」
「せやせやいったれ!!」
「私達で遊ぶな!滅茶苦茶にも程があるわ!!怒ってもいいですかああ!!!?」
『いいから生の乳をフィンの手に押し付けるんです!!
手に!!手に!!!手にいいい!!!』
「(ブチンッ!!!)やかましいわああああ!!!プロミネえええええンス!!!!!」ごおっ!!
「「落ち着け!!!!」」
怒りと共に魔力の桁違いの奔流が両手に集まる最中、朝に中庭をマグマへと変えた純白の炎へと変わる。
そのままパネルへと撃とうとしたが、ぎょっとして顔を歪ませた二人にしがみ付かれてそれは止められる。
「ウチのお気にが燃える!!頼むからやめてくれええ!!」
「落ち着いてくれ!酒に引火する!!火事になるぞ!!!」
「酒がああ!!お気にがあああああ!!!」
『カオス、ここに極まれり』キラン
「燃え上がれフィアナああああああ!!!!」
「せやから落ち着け!!!!」「だから落ち着け!!!!」
ギャーギャー!!
数分かかった後、ようやく怒りから解放された私は服を着た。
リヴェリアが拳骨を、ロキとフィアナに食らわせてくれたのだ。それも手痛く。
フィンは必死に私を見ないようにしてくれてたので怒られていない。まあ、私もフィンも被害者だし。
そうして、いよいよステイタスが開示された。
Lv:8
力:I0
耐久:Lv.10
器用:Lv.10
敏捷:I0
魔力:∞
気:∞
・自らも含め全ての魔力を体外体内に拘らず自らのものとして支配する技能向上。体内の魔力集中に伴い身体能力の大幅強化。
・魔力の支配権の奪取、超高補正。魔法が完成した後でも魔力を抜き取り、それに使用された
・魔法を詠唱無く自らの意思で扱う技能向上。
・感情と共に出された場合、威力の超高補正。魔力及び
・魔法の威力・持続時間・対象数・効果範囲等を強化、
・
・体術時、武器及び防具使用時、威力強化、効果範囲拡大、体力効率化。体術と武術に伴う衝撃波もまた同様。
・
・『体力』を行使した側から回復。
・『魔法』を行使した側から
・体力及び
・気功と魔力を体内・体外で使用した際の戦闘力変換向上。
・
・神の十八番の『奇跡』を発動させる。
スキル
【
・槍の装備時、発展アビリティ『槍士』の一時発現。
・補正効果はLv.に依存。
【
・数値・発展アビリティ・スキル・魔法の制限解除及び限界突破及び【経験値】倍加。
・魔力を下に常時全快、全状態異常無効化、呪詛無効化。
・本人の望んだ成長を促す。
魔法
【
・魔力を身体能力へと置き換える強化魔法、効果は魔力量に依存。
ただし、強化効果が著しい場合、副次効果として戦意を高揚させる。その場合、戦闘意欲、燃え滾る好戦欲を引き出し術者の諸能力を大幅に引き上げる代わり、力の代償としてまともな判断力を失う。
・使用中は忘我状態となり鬼神の如く戦うが、使用後は虚脱状態へと陥る。
・詠唱式【魔槍よ、血を捧げし我が身を焦がせ。フィアナの下に誓え。如何なる逆境をも打ち払い、長き戦に終焉を
・解呪式【終焉は齎された】
【
・無詠唱魔法。
・感情に応じて魔法の属性、種類は変化する。
「恩恵刻むと同時にLv.8になったんやで!?しかも発展アビリティ勝手に自動で選択されてったねんで!!?
複数あったのは勝手に複合されて一つになりおったんやで!!?しかも互いに影響し合う奴まであるんやで!!?
スキルもえげつないし!魔法もえげつないし!これで一体どないして落ち着け言うねんやああああ!!!!??」
『「「「………」」」』
「なんか言えやあ!!!!」汗
目の前のあまりにも信じられない結果に対し、私達は沈黙する外なかった。