神様を殴る為に神を目指すのは間違っているだろうか   作:-恵-

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冒険者1日目(6月7日)
告白


6月7日、黄昏の館――

 

日が昇ると同時に、目が覚めた。

 

 

『あ。起きましたか。おはようございます^^』

 

そう言葉をすぐ向けてくるフィアナに…私は思わず毒づいてしまった。

 

 

「馬鹿野郎…

 

私を送り込むよりも、自分を送り込めよ」

 

『あなたを見ていられなかったから……

 

それが理由じゃいけませんか?』

 

「…その台詞、そのまま返すよ。退屈な神界に、飽きていたくせにさ…

心から…帰りたいと望んでいたんだろう?

 

視えてるよ…私の(霊視)には、ちゃんと」

 

『そこはもういいっこなしにしましょう。ほら、朝ですよ?』

 

「…うん……絶対…必ず、こちらに連れ戻す。

お前のいる空間に殴り込みに行って、帰ってくる神界での居場所を壊した上で」

 

『ええ…いずれにせよ、きっともう帰ってはこれないでしょうからね』

 

「そもそも…お前の本当に居たいと望む場所はここ(異世界)だろう。

何故そっちにいる?」

 

『言ったじゃないですか…こちらの世界の方を任されたと……

ただ、こちらの神から戻る許可が下りないので…つい、やっちゃいました♪テヘペロ♪』

「言ってる場合か!?

厳罰受けたらどうする!?そっちの方がよっぽど怒りのもとだ!!」

 

『………あなたは…本当に馬鹿みたいに優しいですね…損ばかりしてきたでしょうに。

 

勝手に勘違いされて、早とちりされて…散々な目に遭わされ続けてもなお、あなたはなおも立ち上がり…他が為に動く……

たとえ自らが崩壊しようとも、心も感情も壊れて死に絶えようとも!それこそ死に物狂いで…

 

そうでなければ、狂神化(ベルセルク)なんて魔法が発現するものですか…!

 

そんなあなたを…見捨てられるわけがないじゃないですか……!!(天を仰ぐ)

 

 

フィアナ騎士団を信仰してくれたのに、それを心の支えに最期まで人生全てをかけてきたのに…

 

それを……心も感情も壊れたままなんて…赦せなかった』

「!…」

 

涙が滲んだ。

 

 

『私には…そんなこと、とてもできなかった。

 

過労死で死んだのは本当です…

ただ…見ていて、あまりにも気分が悪かったので』

 

「…………馬鹿だよ…本当にっ……蘇らせてまで、したいことがあったのかよ」

 

『ええ。ありますよ?』

「!」顔を上げる

 

『あなたの笑う顔が見たい。心からの笑顔が見たい。

笑って、泣いて、怒って…素直に感情を表に出して…そんなあなたが、私は見たいんです。心から…』

「っ」うるっ

 

ぷるぷると握った拳が震える。

胸の奥にまで言葉が沁み入り…涙が溢れ、言葉が見えなくなる。

 

それでもなお…その言葉は、頭の中に流れ込んできていた。笑みを浮かべるフィアナの姿と共に…

 

 

『そんなあなたを…私は、ずっと見てきたから。

 

そんなあなたの報われた姿を、見たかったんです。

 

 

だから…

 

ちゃんと幸せになって、その上で神様になって…迎えに来て下さいね^^//

 

 

私は…ずっと待っています。

あなたが迎えに来るその時まで…魂が消滅するその時まで……

 

あなたへの愛の証として、今いる世界で貫き続けることを決めます。

 

 

あなたが、人に向けてそうしたように……

 

私も…あなたを信じ、待ち続けることをあなたに誓います^^//』

 

ぽろぽろと涙が零れ落ちる姿までもが、伝わってきた。

 

間違いなく、このパネルと元の世界の神界は繋がっている。

 

憶測だったそれが、伝わってくる光景と共に確信へと変わった。

 

 

日差しが濃くなっていく最中、その温かみもまた増えていく。

 

温度だけでは無く…温かな何かが、パネルから私へ直接伝わってくるのを感じた。

 

 

『フィアナ騎士団を信仰する前から、気掛かりだったんです。他ならぬあなたのことが』目を伏せる

「!」

 

『この子もまた、壊れるのかな…と。

 

でも、あなたは壊れなかった。

 

フィアナ騎士団のように、助けを求める者が目の前にいれば是が非でも助けた。

助けてから何事も無かったかのように颯爽と立ち去るそれに、高校の時には「兄貴」とあだ名をつけられるほどに…

 

そう言えば、足音も無く走る姿から中学では「忍者」と呼ばれてましたね』

 

「う、それは今は関係ないだろう?//」汗

 

『ええ。

…ただ、ずっと見守っていたことを伝えたかったんです。

 

その上で…あなたを愛した。あなたのファンになったんです。

 

だから…あなたの幸せを、念頭に置いて下さい』

 

「……ありがとう…フィアナ。

それでも私は…助けを必要とする者がいるとわかったら、幸せよりも助けることを求める。

 

それでも…いい?」

『ええ。

普段は思う存分、生を謳歌して楽しんで下さい。そして幸せを掴んで下さい。

 

そこの所、お願いしますよ?』

 

「……頑張るよ。お前の望みなら…」

『よしっ!!』

 

「これからは、女神フィアナを信仰したい。許してもらえるかな?」

『許可を得るものでもないでしょう(目を伏せる)

 

信仰したいのならば、ただ思うだけでいい。心から想い、信じ、突き進めばいい。

フィアナ騎士団を信仰していた時のように…

 

信仰に許可など要りません^^

要るのはただ…信じる心のみです』

 

「…うん。ありがとう」微笑

『どう致しまして!♪』

 

「今後とも…よろしく頼むよ、フィアナ」

『勿論です!』

 

右手を差し出す中、パネルから魔力が出て腕のように形作り、その手で握手を交わしてくれた。

 

そんな時…何かを憂うような視線を感じた。

 

 

『(私は…あなたの記憶にある感情を封印している。

知識として残っているだけの状態とでは全く違う。

 

あなたは…いつか必ず、記憶を取り戻して当時の感情を生々しく、今起こっていることであるかのように思い出す。

と同時に、きっとあなたの心を…感情を蝕む。

 

それまでに、心の支えとなる人物に出会わせ…今度こそは、壊れずに背負えるようになって欲しい。

 

 

また…死に近付いた時のように…再び、壊れてしまうかもしれない。

 

 

それでも…私は、あなたに幸せになって欲しい。

 

たとえそれが…仮初めの幸せとなったとしても!)』

 

沈黙ばかりしてどうしたんだろうか?何か考え込んでるのかな?

 

そう考える最中、憂うかのような視線を帯びていたそれが突如、何かを決意したかのように変わるのを感じた。

 

 

それに負けじと、私は拳を「上ったばかりの太陽」へ向けて差し出しながら叫んだ。

 

 

「さあ!冒険者1日目、頑張るぞー!!」

「『おおー!!!』」

 

冒険者登録する日がやってきた。

 

その日の出に向けて叫ぶ中、最初の問題に気付いた。

 

 

「大食堂の場所がわからん!!」

『最初から難解、南海方面♪南海方面へお行き下さい♪』

「ごめん。意味わからん」

『えー。浪花育ちならそれぐらいおわかりなさい!』

「そもそも浪花育ちじゃないし、大阪人なだけだし」

『浪速の意味を考えなさい!大阪市で…ああ、違う場所でしたね』

「だからそう言ってるじゃん」

『ならば周囲の人に聞いてみては?』

 

「こんな時間に起きている人がいるとでも?5時だよ?」

『ジャガ丸くんを食べては?』

「人のものを食えるか!!」

『変な所で頑固ですよねえ、ケイトって』

「やかましっ!」ふいっ!

 

『ならば魔法を生み出しましょう』

 

「…え?」

 

『ゲームのことを思い出すんです。

ゲームのマップを思い浮かべるんです。

一度歩けばその周囲にあるもの全てをマッピングしてくれる、そんな夢の魔法を…』遠い目

 

その言葉に目を瞑りながら、そういった画面を思い浮かべた。

 

その階層に行けば全部のマップ情報、敵の位置、味方の位置を点で示してくれるようなものを…

 

 

「……あ、できた」

『速っ!!;

昔っからそうでしたけど飲み込みが早過ぎますよ!!

誕生日プレゼントとしてさせてもらった人生初のスケートでも30分経ったら普通に滑れてましたし!』

「そんなプチ情報は言わんでいい!;」

 

そうして…ようやく大食堂へと5時半に辿り着いた私は、一人もいない厨房に立って昨日の恩返しとばかりに料理へと奮闘することに決めた。

 

 

7時を回った頃、大食堂が少しずつ賑わい出していた。

 

出汁もちゃんと出した!味付けも完璧!よし、出そう!!

 

 

 

「おいっしー!!」

「何これ!」

 

最初に上がった声はティオナとティオネ、他の皆も舌鼓を打ちながら堪能しているようにも見えて嬉しく感じた。

 

 

「ほお。旨いな」

 

「朝から頑張ったからね!」

 

リヴェリアの声に答えた後、ある疑問が生じたようにも見えた。

 

 

「しかし…この鮮度は一体どういうことだ?」

「うむ。これほどに仕上げるとは…」

「一体どのようにして調理したんだい?」

 

味の感想よりも先に調理のそれに目が行っていたようで、教えることにした。

 

その時、今日届いたばかりの刺身を手にある言葉を唱えた。

 

 

「よく見ててね…

 

リザレクション!」

ぼんっ!!

ぴちぴちぴちっ

 

「「「「「「!!!??」」」」」」

その名を唱えた瞬間、刺身が生前の生きた状態の魚へと姿が変わり、それに驚きを隠せずに息を呑む人達が多くいた。

 

「リザレクション…蘇りか?!」

リヴェリアが思わず声を荒げる中、私は続ける。

 

「うん。腐ったのにもやってみるね。リザレクション!」

しーん

 

「「「ん?」」」

何も起こらないそれに、今度は一様に眉を顰めた。

 

 

「…と言ったように、腐ってさえいなければ蘇らせることができるんだ。

 

人間なら腕一本…いや、指一本ぐらいあれば蘇らせることができるよ?」

 

「これは…」

「凄まじいの」

「最早魔法という領域を逸脱している」

「…凄い…」

「材料が足りなくってさ、捌くのに時間もかかるけど…ないよりはいいでしょ?」

 

フィン、ガレス、リヴェリア、アイズという順に言葉が返ってくる中、私は呟いた。

 

 

「つまり、死人も生き返らせれるということか…」

「「「「「「!!!!」」」」」」

 

「うん。でも流石に髪の毛一本じゃ無理だよ?」

「なんて技術の無駄遣いだ…よもや調理の為に使うとは;」

 

「美味しい方がいいでしょ?植物にでも使えるから。

ただし、パンとか既に調理というか加工済みのものにはリザレクションやっても小麦には戻らなかったんだ」

 

フィンの呟きに皆は一様に瞠目し、視線が集まる。

それに頷いて答えると、額に手を当てながら汗を滲ませるリヴェリアに、そう情報を付け加えた。

 

 

『ケイト…今気付きましたが』

 

「?何?」

『この料理…あなたの魔力がガンガンに効いてますよ?;

 

美味しくなーれ♪美味しくなーれ♪皆の疲れも不調も吹っ飛ばせー♪ってルンルン気分で魔力がガンガン注ぎ込まれていったから…

ガチでその効果が出ちゃってます』

 

「……;」

『言いましたよね?

 

あなたの魔法は…感情通りに、思った通りのことが起きると!』ずいずい

 

「……(たらーり)

 

…つい…」ふいっ

『ついでこんなポーション以上の効力持たせた料理作ってどうすんですか!!!』

ビシャーン!!!!

 

そう雷を落とされる最中、フィンから言葉がかかった。

 

 

「この料理は全部、君が作ったのかい?皆の分まで」

「え?あ、うん!//腕によりをかけて//」

 

「そうか。ありがとう、とても美味しいよ」

「(ぱあっ!)やった!^^//」ぐっ!!(ガッツポーズ)

 

「いいお嫁さんになると思うよ」微笑

「(ドックン!)!//」

「「「「「「『おお!』」」」」」」ごくり

 

「毎日食べていたいぐらいだ^^//」にっこり

「(ドキューン!!)!!////」瞠目&ばぼぉんっ!!

にやにやにやにや

 

ドキドキがついに爆発し…顔面から蒸気を吹き出させた。

 

 

「ん?」汗

「なあフィン。それってプロポーズか?」にまにま

「!!//(しまった!//)

 

いや…そういうつもりではなく!//

自然とそう言葉が出ていただけで//」

「そんな焦るフィン見るの今まで1回もなかったもんなああ。

 

いつもは何があっても全然動揺もせんのになあ?

微塵も慌てたりしたことないくせになあああ?

 

奥手やなああ。告白せえへんなあああ。両想いやのになあああ。

げっへっへっへっへっ」

 

何でどいつもこいつもからかってくるんだ!!!//

 

そう考えた後、ドキドキがもう限界の為、赤面するフィンに背を向けた。

 

その先に目を向けると、そこにはベートが椅子に座って食べており、感想を零さなかったので聞いてみた。

 

 

「ベート…味、どう?」

 

「…まあまあだ」

 

『何でベートに聞いてんですか』

「聞くことないと思うよ?残念狼だし」

「あ゛あ!?」

 

「でも、やっぱり感想聞いておきたいし、言ってくれなきゃわかんないし…

 

所で、ベートってモテるよね?」

「ぶふっ」「「「「「!!!!」」」」」

ざわっ!!

 

「げほごほっ!!あ!!?//」

「だって優しいじゃん、ベートって。

私はモテてもおかしくないと思う」

「は!!?//何言ってんだ!!//」

「どこ見て言ってんのよ!!?」

思わず咳き込むベートに私が素直に感想を述べると

ベートは赤面し、ティオナがずいずいと迫りながら叫んでくる中、私は言葉を続けると、今度はティオネが叫んでこられた。

 

 

「いや…だって着替えの準備をリヴェリアに進言してくれてたし面倒見いいし」

「家族を罵倒されて何でそう思えるのよ!!」

「でも悪い所だけってわけじゃないでしょ?

 

私の場合、助けられること自体が異常だったから…余計に目に付いちゃうんだよ」

 

「だとしてもやめた方がいいよ」「だとしてもやめておきなさい」

あいつはやめておけとばかりに言うティオナとティオネに言葉を返そうとした矢先…

 

「私は…ベートみたいな人、結構好きだぞ?」さらり

「「「「「!!!!」」」」」

 

「(むっ)」

「お?」

「フィン?」

その言葉を聞き、がたんと椅子を蹴って立ち上がるフィンにロキとリヴェリアが声を上げる中、フィンはずかずかと私へ歩み寄っていった。

 

だが、私はまだ…背を向けていたこともあって、気付いていなかった。

 

 

「それって恋愛的な意味で!!?」

 

「いや、家族として好きという意味合いで

ぐいっ!!

 

ティオナに聞かれて恋愛感情ではないと明言した直後、突如として肩に手を置かれた。

 

かと思えば、急に服の背を握られてそのまま上へ持ち上げられ、肩の上へと担ぎ上げられた。

 

 

「え!?何!?

(金髪?)フィン!?」

「冒険者登録の前にオラリオを案内する!その為に早めに出る!!

行くぞ!」

「ちょっと待ってよフィン!私はまだ食べてなくって…

って言うか下ろしてええ!!」じたばた

「道中で食べろ!!」

「え!?;何で!!?;しかも予定の時刻とは違って」

「気が変わった!」

「(あせあせ)えっと…私、怒られるようなことしてな

「いいから黙れ!舌を噛むぞ!!」

 

何で怒ってるの!?;

 

見るからに怒り狂っているフィンに、私は突如として肩に担ぎ上げられたまま凄まじい速度で走られ、外へ出ることになってしまった。

 

フィアナがそれを見て一人分の食事を慌ただしく入れてから、ぴゅううううと飛んで付いてきてくれた為、朝御飯抜きにならずに済んだ。

 

 

フィンの叫びが響いてから、静けさが大食堂を包んでおり…そこに三人の呟きが響く。

 

 

「嫉妬やなあ…」

「嫉妬じゃな…」

「紛れもなく嫉妬だな…あそこまで行くといっそ清々しいぐらいだ」

 

「ホンマにはよ告白せいよなあ?;はああっ(肩すくめ)

ウチには、告白せん気持ちがさっぱりわからん」

「団長おおおおおお」涙目

ロキ、ガレス、リヴェリアの順に呟かれる中、ロキは肩をすくめながら溜息を零し、ティオネは走り去る背に向けて叫んでいた。

 

「諦めなってば、ティオネ。

誰がどう見てもフィンはもうケイトにゾッコンだし」

「そんな簡単に折り合い付けれたら苦労してないのよ!!!

誰が諦めるもんですかああ!!」

「ホンマにフィンが好きなら、フィンの意思尊重したりや」

「ああ!!?簡単に諦め切れるわけないでしょうがああ!!!」

 

「!アイズさん!?」

 

ティオナとロキの言葉とは裏腹に逆に闘志を燃やしてゴォッと燃え上がるティオネをよそに、食事を終えたアイズはギルドへと足を向けた。

 

 

 

冒険者登録をする為にギルドへと辿り着くまでの間…約数分で冷静さを取り戻したフィンから謝られた。

 

その時、変なことを聞かれた。

 

 

「もし仮に…僕が他の女性と親密に会話していた場合…どう思う?」

 

「ん?別に何とも…だって、そんなの言ってたら手続きも何も出来なくなっちゃうでしょ?

何言ってるの?」きょとん

 

「(くす)…随分と、君らしい意見だね。

 

じゃあ言葉を変えようか…

他の女性に向けて僕が好きだと言った場合、君はどんな気持ちになる?」

「嫌だ!!」きっぱり

 

その瞬間、我を忘れてある言葉が口を割いて出てきた。

 

それは…とっても嫌だという感情からのもので…27年という人生で、初めてのものだった。

 

 

 

フィン視点――

 

はっきりと、即答とも言える速度で断言するケイトに…

僕は思わず瞠目しながらも、顔に熱が集まるのを感じた。

 

 

「!//」

「あ、いや、そのっ!//

何か…そんなの、嫌で…気付いたら、口に//」ごにょごにょ

 

「いや…その言葉が聞きたかったんだ//

意地悪な真似をしてしまって、本当に済まない//」

「き、気にしなくていいよ!//

フィンの気持ち考えてなかったわけだし…その…そういう対象として、見ていいか…わかんなくって////」

 

俯いたままごにょごにょと口ごもりながらも言うケイトを見る中…不思議と、心がざわついていた。

 

 

嫌な感情ではない…

 

だが、生まれて初めての感情に…恋愛感情のままに、僕はあることを実行しようと動き出した。

 

 

「…じゃあ…この際だ。はっきりさせておこうか…」

 

「え?」

 

「僕は…君に惚れている。結婚を前提に付き合ってもらいたい」

「!!?//」

 

「君を護る伴侶として、生涯を共にしたい。

 

…君が許すのなら、今すぐにでもね//」

「付き合って、もし合わなかったら!」

「合うさ」

「!」

 

「勘だけれどね…」うずっ

 

親指が不思議と疼いた。

そう考えただけで…親指の疼きが止まらなくなった。

 

 

実力を見据える為の戦いの際、攻撃のインパクトの瞬間にでさえも疼くことはなかった。

恩恵抜きでLv.7という力と敏捷を出していたにも拘らず…

 

つまりを言うと…外へ出す強さの調節ができ、なおかつ僕の勘を狂わすほどに完璧にこなしているということ。

 

 

「もし…嫌に、なったら…?

私なら、それでもそれごと好きだって想える自信もあるよ?///(おずおず)

 

けど…

フィンは…切り離すんじゃ」

「その時は来ない」きっぱり

 

「!//」

「もし来たとしても…

きっと僕は、それごと好きになる。と思う//

 

こんな気持ちは…生涯の中でも、初めてなんだ。

正直、今もこの感情を持て余していて、それに振り回されている状態に近い//

 

そうでなければ、君の気持ちも聞かずに告白だなんてできない//」苦笑

 

「……//」

 

「プロポーズも兼ねた告白なんだけれど…

 

どうだい?受け入れてもらえるかな?//」

 

この声は、震えていないだろうか?

 

人生初めての告白は、どう終わるだろうか?

 

頭の中で浮かぶ疑問、もし断られればという恐れ…それがぐるぐると引っ切り無しに掻き立て続けていた。

 

 

「心配しなくとも通るやろ!」と脳内でロキが答える中、無視したまま彼女を見入り続けた。

 

彼女はただただ、赤面したまま何も言わず…考え込むばかりだった。

 

 

 

「………末永く、よろしくお願い致します//」ぺこり

 

「ああ^^

 

(よかった…本当に、よかった//(ぐっ!))」

 

内心ほっとすると同時に、気付けば拳を握り締めていた。

 

熱に浮かされているだけかもしれない。

それでも…たとえそうだとしても…誰かに取られるのだけは、死んでも嫌だった。

 

死ぬことよりも…嫌だった。

 

 

そんな思いに駆られ、恋というものの厄介さを身を持って知った。

 

しかし…何故か…この感覚が、嫌ではなかった。

 

 

「こちらこそ…//末永く//」

 

言葉が詰まる。喉につっかえて出辛くなる。

 

緊張からか、トキメキからか…いつもより彩が鮮やかに見える。

 

 

「よろしく…お願いします////」

 

心臓が口から出る錯覚にとらわれながらも、言葉を紡いだ。

 

 

恐らくケイトもまた、同じ気持ちなのだろう…

 

互いに手を繋ぎ合わせた後、ケイトは恍惚とも言える表情で頬を染めながら満面の笑みを浮かべ、その姿に見入りながらも、僕もまた満面の笑みを返した……

 

 

 

こうして…僕の人生初めての告白は無事、幕を下ろした――

 

 

 

その日の晩…

 

 

『どうですか!?この告白!!

カッコいいでしょ!?最強でしょ!?最高でしょ!!?

 

こんなつんのめりながらの告白最っ高!再興もできて完璧!!

いやあああ!受けも攻めも痺れるうううう!!///』

「ええぞええぞー!!!//」酒ジョッキ掲げ

「あまり囃し立てるな」片目瞑&溜息

 

パネルの語りにロキが答え、リヴェリアが諫める。

 

 

キャーキャーと暴露するだけでは飽き足らず映像まで映し出すパネル、もとい女神フィアナに…

 

僕もまたケイトと同じく怒りが込み上げることになるのは、もう少し先の話だった。

 

「……」わなわな

「…ね?怒りが込み上げてくるでしょ?」汗

「ああ、本当に…」ギラリ

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