神様を殴る為に神を目指すのは間違っているだろうか   作:-恵-

15 / 31
変化

ギルド内にて――

 

 

『ああ!』

「どうしたの!!?」

 

『間違えました!』

 

「何を?」

『あの別居の頃、4回生への進学できてましたね!DVが失業と共に激しくなり、それと共に3回生から4回生への進学が潰れたのはその昨年。

その年はもう1回目の3回生で無事4回生に進学できてましたし…

 

間違えてしまってすみません!!』

「別にいいよ。と言うか個人情報はばらさないで;苦い;」

 

『すみません。でも赦せなかったんです…

 

私としたことが!あなたを27年間ずっと見続けていたというのに…!!』くぅっ!!

「まさかのストーカー発言!?;」ぎょっ!!

 

そう出る前に会話を交わすフィアナとケイトを前に、僕はあることを思い出した。

 

 

「ああ、そうだ。

 

昼からリヴェリアが共通語(コイネー)の読み書きを教えてくれるそうだ。

教えるのが遅くなってしまい、済まない」

 

「うん、わかった!」

 

「僕もまた付き合うよ。冒険者としての知識を教える為にもね」微笑

 

「ありがとう、フィン^^//」

 

「////」

 

ぎゅうっ!!

「!//

 

あ、あの…フィン?//」

 

「……(今度こそ…護り抜いてみせる!)」

 

そのさらに先を睨視した。

 

 

あの日の喪失感は、昨日のことのように覚えている。

あの日の後悔も、哀しみも、苦しみも…両親の愛しさも、痛みもっ!

 

たとえ、何を失うことになろうとも…是が非でも護ると、腕の中の温もりに誓った。

 

 

 

その日…僕の大切なものは、二つに増えた。

 

一つは、あの日を境に誓った「一族の再興」。

 

 

もう一つは…彼女と共に、生きていきたいという「願い」。

 

フィアナでは一族の希望たり得なかったという環境…

それを経て、女神フィアナが彼女を送ってくれたことは…今にしてみれば、どこか感慨深いものがあった。

 

 

 

そして…

 

 

「ど、どうしたの?//可愛いよ?

じゃなかった!愛しいよ?

でもない!!大好きで

わああああああああん!!;何言いたいんだ私いいいいいい;」半泣&頭抱

 

「ぷっ//ふふっ^^//」くすくす

「笑わないでよ!!テンパり過ぎてまともなこと何も言えてないだけなんだからさ!;」

 

「う、うん//…(思ったことが口に出るタイプなのかな?(くすくす))

 

その素のケイトが、僕は…好きで、堪らな、ぶはっ//」ぷるぷる

「吹き出しながら言われても説得力ないわ!!;フィンの意地悪!!もぉっ!//;」

 

「でも好きなんだろう?」微笑

「大好きだよ!何よりも愛してるよ!!

(はっ)何で勝手に出てくるんだよおおおおお!!!;

 

私のバカ!嘘を付け!嘘でも嫌いだって言うんだああ!(ガンガンッ!!)

でも好きだあああ!!!」

「あっはっはっはっはっはっはっ!!^^//

はっはっはっはっはっ^^//」

 

壁に打ち付けながらもなお、どうしてもこの好きという気持ちが揺るがないというのが目に見えるケイトに…

 

僕は腹がねじ切れるかというほど笑い、それをケイトは涙目で睨みながら怒った。

 

 

「本気で思い悩んでいるのに!!」

「それさえも愛しくて堪らないんだよ^^//」くすくす

 

「……こっちだって…負けてない//」ふいっ&かああっ

 

「ああ…

フィアナが君と魂の相性がいいと言った意味が、よくわかったよ。

 

君のその反応は…実に、僕の好みにピッタリとあてはまる^^//

笑いのツボにもね」くすくす

「!!//

こ…こっちだって、負けてない!!//(ぷりぷり)

 

何でか、嫌なのに…そういうことされたら、嫌なはずなのに…

とっても嬉しくって…それさえも、幸せだって想えるから///」ぼそぼそ

 

「そこがいいんだよ^^//」

ぎゅうっ!!

 

そう抱き締める中、ケイトもまた抱き返した。

 

 

「一生離さない。逃がすつもりもない。

 

よく覚えておいてくれ」真剣

 

「…私だって、離さない。フィアナを連れ戻す時以外は」

 

「そうか。ならトイレも風呂も全部一緒ということでいいんだね?」にやり

「え!?//」ぼんっ!!

 

「ベッドも食事も仕事も迷宮(ダンジョン)も遠征も勉強も何もかもが一緒で

「ち、違う違う違う!!;そういうわけじゃなくって!//(あわあわ)

いやそりゃ居たいよ!?//確かに一緒に居たいけども!!///」ごにょごにょ

 

「風呂の時は背を流してもらおうかな?//」ちらっ&にや

「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ//////」ばっくんばっくん

『ドッキドキですね…きゃああ//(はらはら)

その時は見えないように空気に紛れてます//』両手で両目を覆う

 

いつもならやめろとツッコむはずのケイトは、その余裕さえも無いのか…未だに真っ赤でうろたえていた。

 

 

「はっはっはっはっはっ^^///」

「え?何?え?え?//」おろおろ

 

「あっはっはっはっはっはっはっ!!^^//」

「…あ(はっ!)

 

謀られたあああああああ!!;」がくっ!

 

反応で遊ばれていたことにようやく気付いたケイトは、その場に跪いて地面を叩いた。

 

 

幸せで仕方がない…

 

不思議と、温かみが…そんな感情が、胸の内を占めていくのを感じた。

 

 

 

「謀ったなフィイン!!!」目くじら

 

「うん(頷)

 

君の表裏のないその性格が、本当に大好きだ^^//」くすくす

「!!//

わ、私はその意地悪な部分が大っ嫌いだ!!でもそれごとそれ以上に大好きだああ!!!

 

あ…意味ないじゃんかああああ!!!;」

再び跪き地面を叩くケイトに、僕は笑うばかりだった。

 

「あっはっはっはっはっはっはっ!!^^//」

『よくわかりました!大正解!♪』

「フィアナやかまし!;」

 

これほどに腹の底から、心の底から笑い声を上げたのは…初めてのことだった。

 

 

 

僕からのからかいに、ありのままで素の想いをさらけ出してぶつかってくるケイトに対し…

 

愛しさと笑いが込み上げて仕方なかった。

 

 

普段ならば、何でもないはずの時間…それさえもが、彼女と居るだけで…幸せで、仕方が無かった。

 

 

 

 

結婚も…僕にとっては…ただの、一族の光となる為の足掛かりのつもりだった。

 

利用も打算も、それまでの僕は…全てを切り捨て、全てを利用してでも…清濁を併せて呑んででも、フィアナになろうとしていた。

 

そこへ辿り着こうとした…理屈もまた、あの日に置いてきた。

この身は、一族再興の為だけに捧げると…そう決めて、ここまで来た。

 

 

野望から始まった冒険だったが

今となっては増えた家族(ファミリア)に愛着を持っているし、守らなきゃいけない場所だと思っている。

 

それでも…小人族(パルゥム)の未来のことだけを考えていた。

再興の為に、僕を守って死んだ両親に報いる為に全てを捧げる気だった。

 

 

人並みの幸せなど…求めてはいけないものだと思っていた。

 

求めてしまえば…あの日の誓いも、これまでの全てが無駄になると…そう、思っていた。

 

 

それらの価値観は、一人の女性(ケイト)によって壊された。

 

その全てを捧げた道の先が彼女の進む道へと通じており、こうして出会えたことで…

 

 

 

名声に縋り、小人族(パルゥム)の『希望』になろうとした。

 

理想ではなく『野望』、僕ならば確実に彼女の両親を見捨てていた。

彼女と比べれば非情、しかしそんな現状は吐いて捨てるほど見てきた。

 

所謂、英雄は英雄でも僕は人工物に他ならなかった。【勇者】という二つ名も、ロキに頼んで得たものだから。

 

 

しかし…彼女の歩んできた人生を、フィアナから映像で見せつけられた後…学び得たものは数多くあった。

 

いくら合わせようにも限界があること。人をいくら思い遣っても届かないこともあること。

人によって抱く考えは違うこと、育った環境によって見方も考え方も抱く価値観もそれらは全てまちまちだ。

 

僕自身もまた、自分という固定観念を捨てられない人間なのだと、彼女との会話の中で気付いた。

相容れない人は、必ずいるものだ。全員に受け入れられる存在など、決してないのだと悟った。

 

 

…『答えは、正解と言える道は一つではない』

 

それを、身を持って教えられた。彼女の人生と、人柄に触れて…

 

 

 

いつからか…切り捨てることが普通となっていた。

その自らを脱却しなければならないと、彼女を見ていて感じた。

 

彼女は、その人生の中で『秤』を壊した。何かよりも大事という理屈は、そこにはない。

純然たる「助けたい」という想いがそこにはあった。

 

 

誰かと比べず、差別せず、意思があればそれを汲もうとする。立てようとする。助けを求めれば助ける。

悲鳴のように感じるそれを受け入れ、付き合い続ける。たとえそれが…自らを殺す行為だとしても。

 

たとえ周囲から正当な評価を受けられなくとも、悪と捉えられて罵られようとも、彼女の人への態度は変わらなかった。

傷付けまいと懸命に尽力し、距離を取り、それでいながら目の前の誰かが助けが必要とあらば必ず助けた。

 

たとえそれが…自らを否定する者であったとしても。

その行為に対する見返りなど決して求めず、助かったのならばよかったと安堵し、そこ(相手の幸せ)に自ら幸せを感じるほどだった。

 

その想いごと自身の全てを否定されようとも、心と感情が壊れ果ててもなお、最期の瞬間までその生き方を貫き、人としての生涯を全うした。

 

そして死後、神に相応しい人物として…神界へと呼ばれ、年齢はそのままに小人族(パルゥム)として転移及び転生させられた。

 

 

その生き方が、ひどく眩しかった。

 

敵わないなと…心のどこかで、彼女に嫉妬する僕がいた。

 

 

毒されている。感化されている。貫くと決めたのではなかったのか。手を幾度汚してでも!

そう頭の奥で掻き立てる(ディムナ)に、僕は答える。

 

わかっている。それでも…僕は、それでもいいから…ああなりたいと思わされた。

 

僕が思い描いていた、理想の人であり…『英雄』そのものだった。

 

 

僕自身もまた、そのような扱いを受けるかもしれない。

 

間違いだと誹られ、転落することもあるかもしれない。彼女のような目に遭い続けるかもしれない。

 

だが…彼女はどうだ?

 

 

不遇な扱いを死ぬまで受け、それでもなお傷付け返さず、助け、想い、何度も何度も折れぬ姿は、不屈そのもの。

 

自らの不当な評価、しかしそれを否定してもなお受け入れられず、周囲は身を固め、他に訴えかけ、ケイト一人を皆で囲い、貶め、謗り、吹聴し、暴言を吐き掛け続ける、言葉の暴力を正当化させるものとし続ける。

だがしかし、それでもなお彼女は傷付ける言葉を投げかけず、傷付ける行動も示さなかった。「助ける」という信念を貫き続ける、勇気を持って孤軍奮闘し続ける姿は勇猛果敢…

 

その彼女の気高く、どこまでも熱く胸を焦がすそれは…(まさ)しく、『冒険』そのもの。

 

最終的に正当な評価を得れたのは総合して僅か3人のみ。だが…僕自身はそれに、『希望』を見出した。

 

 

 

(うずっ!!)

 

今までにない親指の疼きと共に、その映像を前に笑みを浮かべた。

 

胸をよぎった疑念に、恐れに、映像の中の彼女は猛り狂うかのように叫んでいた。

 

 

「不当な扱いを受けることを恐れるな!!!!

 

自らが考え、精一杯のことをしたならば、それには何も言うな!

その者が何度も訴えかけるならば、その者個人の価値観として受け止めろ!!

 

次に生かせばいいだけの話だ!!次に生かし尽力すればいいだけの話だ!

生きている限り、それは何度でも目の前に立ちはだかる!!

 

恐れるな!勇気を振り絞れ!!何度でも立ち向かえ!!!何度でも立ち上がれ!!!!

怒りに震える我を払い!!!「私は私だ」と態度で何度でも示せ!!!!

 

私は自ら関わり、他を傷付けるようなことはせん!!!

悪人というその評価は、他が勝手に決め付け、偶像を押し付けているだけなのだということを!!!!」

 

そう態度で示し続ける彼女が…胸の内を熱く焦がした。

 

 

最期の瞬間まで好きに言われながらも自らは言わず、言い返さず

疲れでいっぱいいっぱいの時は多少言ってはいたが、聞き入れない母から逃げず、そのストレス…苦しみや痛みの処理に付き合う。

 

逃げること等、いつでもできただろうに…自分はそれ以上に捌け口も無く、ただただ摩耗し、倒れ、死ぬ寸前だったというのに…

自己犠牲とも言える姿勢を貫き続けるそれに、他を思い遣り、見捨てず、助けようとするそれに…優しさという名の『勇気』を見た。

 

両親が見せた、それと同じで…その姿が、僕を庇った時の光景と重なった。

 

 

 

「くっくっ。はっはっはっはっはっ!^^」

「ん?」「フィン?」

「何や?どないした?」

 

「いいね、彼女は…本当に、いい!」

 

目の前でフィアナによって映されたそれを見続ける中、彼女の『冒険』に、僕は魅せられた。

 

「ここで立ち止まっては、『冒険者』ですらない」とさえ思わされるほどに――

 

 

返り咲くその瞬間まで、貫き続ければいい。尽力すればいい。正当な評価を得た後もなお、何度でも…

 

そう、彼女の生き様から教わった。

 

 

 

今までの僕ならばきっと…こんな想いを知ることさえも無かっただろう。

 

是が非でも…何が何でも、何をしてでも護り抜きたいという…狂おしく、温かな想いさえも……

 

 

僕は英雄になろうとした。フィアナのようになりたかった。

 

人工物の英雄と言ってもいいほどに尽力し、それに全てを捧げてきた。

 

 

 

だが…彼女を知り、寄り添う内…その生き方さえも一変していくのを感じた。

 

それまでになかった何かを、彼女が与えてくれていた。それも、何の惜しげもなく…

 

 

 

 

「あのさ、フィン」

 

「ん?」

 

散々笑った後…僕に向けて「もぉっ!それでも大好きだー!!//」と叫んで飛びついてこられ、迷わず抱き締めた。

 

そんな抱き締め合っている時に、ケイトがある言葉を投げかけた。

 

 

「フィアナって…一族の希望になり得なかったんだよね?」

 

「ああ…そうだね。結果的に見ればそうなる」

 

「そっか。

 

それじゃあ、それ以上にならなきゃ皆を助けられないね!」

「!!」

 

「よぉし!目標は決まった!!頑張るぞおお!!」

 

そう拳を天に掲げるその姿に…僕は目を見張った。

 

と同時に、それまでの想いが覆されていった。

 

 

 

フィアナのようになりたいでは駄目だ。

 

フィアナになるだけでは、駄目だ!

 

そう胸の内で叫び声が上がり、ピシリと音を立てて崩れていく。

 

 

大事なことを、大事な人に気付かされた。

 

言われてみれば、誰しもが考えつくような当たり前のこと…

だが…それは、今までに誰もが指摘した試しなど「一度として無かったもの」だった。

 

 

 

「ああ…そうだね(うずっ)

 

僕も、その道を行くよ」

 

「え?フィンもライバル?

じゃあさ、助け合えばいいよ!」

 

「?それはまた…何でだい?

普通なら蹴落としてでも上り詰めようとするはずだが…」

 

「だってさ…その方が、もっともっと高くまで行けるでしょ?

 

二人三脚だと、そりゃ速い人がペースを合わさなきゃいけなくって遅くなるかもしれない。

でもさ…隣で支えてくれる人がいれば、それだけで心はそれ以上に助けられる!

 

寄り添ってくれる誰かがいれば、きっと…長く長く頑張れると思うんだ//」微笑

「!!」

 

「だからさ!

一番を競い合うより、互いに助け合いながらの方が確実に一番になれるよ!!高さの総合量は!

 

個人の誰よりも、最終的に総合量で勝てれば…なんて考えてるんだけど…変かな?^^;」

 

「………」瞠目

「私、ずっと一人で頑張ってきたから…だから//…うん//(頷)

 

あはは;嫌?;」苦笑&汗

 

「……

 

本当に…君には、いつも驚かされてばかりだね」くす

「?何が?」首傾

 

ポリポリと頬を掻きながらも頷き、瞠目する僕へなおも疑問を投げかけるケイトに…僕は笑った。

 

 

今もなお貫き続ける、美しいとも言える生き方に、その穢れも無き純粋さに…心が洗われる想いだった。

凄惨たる環境の中でもなお抱き続け、今もまた持ち続けているそれに、尊さを感じた。

 

強さを鼻にかけず、誇示もせず、正面から相手と向かい合おうとする真っ直ぐ過ぎる態度に…そのままでいてくれた彼女に、心から感謝した。

 

彼女を助け、護り、共に越えて行く…彼女の『英雄』になりたいと、その時に想った。

 

 

 

湧き上がる愛しい想い…それが恋愛感情だと、最初は気付かなかった。

それを理解したと同時に、最初こそ決意が鈍ったのかと動揺した。あの決意はその程度かと抑え込もうともした。

 

それでも…できなかった。

それほどに君に惚れた。心の底から今も惚れ込んでいる。

 

終いには、一族の復興も…君を護ることも両立しようとするほどに…

 

 

野望を貫く以前に…僕は、一人の男だった。

 

愛しい同胞に…一人の女に恋に落ち、愛し、心から求める…どこにでもいる、一人の男だった。

 

 

 

「本当に…敵わないよ、君には^^」くすくす

 

「?????…ごめん、教えてくんなきゃわかんない;」

 

「いや…ただ、こう想っただけだよ」

「え?何々?」ずいっ

 

「^^(くすり)

 

君を妻に選んで…本当によかったと思うよ。心からね」

ぐいっ!!

 

そう言って微笑みかけた後、誰にも見えないよう角度を調整して…人生初めてのキスを、彼女へと捧げた。

 

 

「//////////////」かああっ!!

「共に行こう…志を同じくする愛しい同胞よ」

 

そう微笑みかける中、なおもケイトは硬直し続けていた。

 

 

「なんて…臭かったかな?//」

 

苦笑を浮かべる中、ケイトはようやく反応を返す。

 

 

 

「………負っけるもんか!!///」

「!?///」

チュッ

 

「よし、勝った!//」ふんすっ!

 

「/////…君は一体、何と戦ってるんだい?^^///」くすくす

 

「え?決まってるでしょ!

私からもファーストキスを捧げた!これで一対一!つまりは同点だ!!」ぐっ!

「ぶふっ!!//

 

あっはっはっはっはっはっはっ!!^^//」

「何でまた笑うのさ!!;すっごい勇気要ったんだよ!!?;」

 

「嘘を付けないにしても限度が、あっはっはっはっはっ!!^^///」ばんばんばん!

「むぅ~~~!!!////(ぷるぷる)

 

馬鹿!//(ぱあんっ!)

馬鹿!!///(ぺちんっ!)

馬鹿あああああ!!!////」ぽかぽか

 

「やめてくれ。本当に、済まな//あっはっはっはっはっはっはっ!!^^//」腹抱

「だから何が可笑しいの!?;そこいい加減はっきりと教えてよ!!;

真面目に言ってるのに笑ってばっかしてええ!!;」ぺしぺし

 

頬を膨らませながら何度も何度も叩いてくる彼女に、愛しさが込み上げるばかりだった。

 

その後、彼女は見るからにむくれていて、目を合わせる度に「ふんっ!!」と丁寧にそっぽを向いていた。

 

 

それが逆に僕の胸を掻き立て、焦がし、気付けば後ろから抱き締めていた。

 

「離してよ馬鹿!//」

「別に隠すことはないだろう?//

君はもう、名実共に僕の妻なんだから」

 

「………じゃあ…フィンは、私の夫なんだよね?///」おず

「!!/////」ぼんっ!!

 

唇を尖らせて目を逸らしながらも呟かれた言葉、思わぬカウンターに赤面してしまった。

 

彼女の夫となったことを文字通り受け止め、それを深く実感した結果…赤面のあまり、蒸気が上がっていくのを感じた。

 

 

「よし!//赦す!!///」かああっ

 

その反応を見て満足気に頷いた直後、耳まで真っ赤になった顔を隠すかのように…ケイトは、アイズの下へと駆けていった。

 

 

 

「………反則だっ////」かあああっ

 

口元に手を当てながら、僕は今もなお湧き上がり猛威を晒し続ける想いに「落ち着け」と何度も何度も言い聞かせ続けた。

 

それでもなお、耳まで真っ赤になった「顔の熱」が引くまで数分もかかった。そしてそれは…ケイトもまた、同じだった。

 

 

「?何で耳まで真っ赤になってるの?」きょとん

 

「「何でもない///」」

『青春です♪』

 

「?青春?」

 

待っているアイズの下へ辿り着いてもなお引かない熱に尋ねられ、二人で返事を返した後のフィアナの言葉に、アイズは首を傾げた。

 

 

 

両親の死を境に、止まっていた時間…それが、彼女という刺激を受けて音を立てて動くのを感じた。

 

その想いで、判断が鈍るかもしれない。

…それでも前に進むと決めた。彼女となら、それができると信じてやまなかった。

 

 

恋をするということ…人生で初めてのそれに、彼女と出会う前までの僕は「野望の妨げとなるもの」として捉えていた。

 

だが、しかし…それ以上に得た学びに、身を知って得たこの想いに…それまでの概念を振り払い、初めて感謝した。

 

 

 

そうしてアイズは服と下着を買うのを手伝うと言い出し、僕自身はそれに付き合うわけにも行かず…

 

「斬っちゃったから」

「ああ。下着も切れたね。上のだけ」

ぐさっ!!

 

「本当に…済まない」

 

次の瞬間、果てのない罪悪感が胸の内を占め、頭を深々と下げた。

 

 

「いやいや、楽しかったから気にしないで^^

寧ろ買ってもらう側だから申し訳ないのはこっちの方で;」

「私も楽しかった…それと…教えて欲しい、あなたの流派を」

 

「……わかった。フィンも一緒にやろ?いっそ皆にも教えるよ!」

「あ、ああ(頷)

 

ありがとう//」微笑

 

そう服屋までの道のりを共にする中、あることを考えていた。

 

 

 

恋とは、非常に厄介極まりない存在…

恋愛についての本を手に、その現場を見てもなお、「何故そう動く?」と何度も疑問に思っていた。

 

わかってはいた。知識として分かってはいたんだが…

 

 

実際に振り回されるそれを前に、僕は無力で…

実際に見ると聞くとでは大違い。いや…身を持って今もなお味わい続けているこの実体験は、見聞とは大違いだった。

 

そんな比ではないとばかりに、激しく脈打つ胸に思いを馳せるばかりだった。

 

恐らくそれは…ケイトもまた同じなのだろう。

落ち着け落ち着けという小さな声が(ケイト)から聞こえてきて、それさえも「可愛い」「愛しい」と感じ、自然とその頭を撫でてしまう自分がいた。

 

 

それに対してケイトは、まるで手にじゃれるかのように頬を摺り寄せ…

 

安心しているかのように堪能しているケイトとは裏腹に、顔が上気と共に赤くなっていくのを感じた。

 

不思議そうな眼でアイズは見てきていたが、「ちっ」「リア充め!」「バカップル…だと?!」という言葉が周囲から聞こえてきた。

 

 

 

服屋に入っていく二人を見送り、着替え終わるのを待ち…たまたま見つけたという僕と似た服、長袖の服と長ズボンを着たケイトが照れ臭そうに俯きながらも、おずおずと聞いてこられ…何かが胸を貫くのを感じた。

 

「その…似合ってる?//」

「あ…ああ///」

 

「そっか…よかったあ^^//」

心底ほっとしたように満面の笑みを無邪気に浮かべる彼女に…僕は精神に大打撃を受けた。

 

無理だ。死ぬ!死んでしまう!!

迷宮でも感じたことがない想い、それが心の内から湧き立っては暴れ、早鐘を立て、胸を掻き立て続けていた。

 

その場に跪いて処理をしようと奮闘する僕に、ケイトは何事かと慌てたようで「大丈夫!?;」と叫びながら背に手を添えてくれた。

 

 

「済まない。大丈夫だ//

君の無邪気さに、あてられてね?^^///;」汗

「???どゆこと?」首傾

 

きっと、無邪気だとあちらの世界では捉えられず、ワザとしていると叫ばれ、異物として処理され、不当な扱いを受けるに至ったのだろう。

あんな環境でありながらもなお、そんな性質を抱くわけもないという考えもまた離れなかったのだろうね。

 

きょとんと目を丸くして首を傾げる彼女に、改めて見て…そう感じた。

 

 

彼女はただ、素直で真面目なだけなんだが…^^;

 

そう捉える人がいれば、それを伝搬してこのものはこういう人だという認識が広まれば、いくら否定しようとも誰も聞きはしない。

所謂、集団洗脳…

 

それがいじめであり、一方的な理不尽であり、他を不当に扱う為に正当性を他に訴えかけ、ストレスを発散し、己の欲求を満たす為に掲げられる「彼等彼女等の抱く正義」。

 

 

不当な扱いを受けながらもなお、仕返しもせずに嫌な思いをさせまいと振る舞い続ける彼女の方が、僕は好感が持てる。

彼女のしていることの難しさは、身を持ってよく知っていることだから。

 

と同時に…そういう者達がいたと考えるだけで、苛立ちが増して仕方が無かった。

 

 

 

人の数ほど、正義の形は違う。

 

何に嫌と感じるか、何が嫌で、何をされると嫌なことなのか…

実際に周囲全てからその己がした扱い(いじめ)をされない限り、いじめた者達は撤回などしないだろう。

 

 

教えるべきは共通して持つべき常識だけでなく

そこから外れたものを一方的に貶めて差別の象徴とする者を諫め

 

自らの持つ常識と他の常識の折り合いの付け所を互いに探し、落とし所、付き合い方を見つけるやり方ではないだろうか?

 

 

彼女の人生を見た上で、僕はそう考えを纏めた。

 

 

 

会計も終えて、オラリオ中を巡り歩きながら案内をした。

 

 

一通り案内を終えた後…

 

僕とケイトとアイズはケイトの武器と防具を注文する為

北東のメインストリートを使って、ヘファイストス・ファミリアのホームへと歩を進めた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。