神様を殴る為に神を目指すのは間違っているだろうか   作:-恵-

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『1番!女神フィアナ。
ケイト、あなたへの猛り狂う愛を歌います!

聞いて下さい。あなたを愛して無限大』
要らんよ!!

って言うか何でマイク片手に歌う光景がパネルに映ってんのさ!!?
って今気付いた!!タッチパネルかい!!!

『行きたいよ~あなたの傍へ♪
何より愛した君だから♪あなたの隣で生きてたい♪
どこま~で行っても大丈夫♪

数え切れない幸運が♪
今も、ずぅっとここにあるのよ♪』
プラネタリウムの替え歌かい!!

…まあ…嬉しいし、ありがとうだけどさ//
『赤面するあなたに鼻血ぶー♪』
それは要らん!!!

『だって中々表情変えないじゃない。
気を許した人なんてあっちでは中々いなかったでしょ?

楽しい時はまあ笑ってはいたけれど、ああいう風に笑いかけられてなかったじゃない』

…だから…ありがとうって言ってるんだよ。

『ええ…わかっている。

だから…あなたの在りたいように、在っていいのよ。
もう…押さえ込もうとする人なんていないんだから』

……っ…女神様って、意外と
『そんな純粋なあなたが好き♪だってたくさん遊べるから、その反応で♪』
見直しかけた私の純情を返せええええ!!!!

涙ぐんだ矢先にかけられた声に、怒ることは罪ではないはずだ。


『怒ぉっちゃ嫌んー♪』
待てこらあああああ!!!!

パネルをひたすらに追い掛け回す中、パネルは楽しそうにぴょんぴょん空中を弾むようにスキップして飛んでいった。


夢の中でも会話できるなど、私は知りたくも無かった。


スキル?

目を覚ますと…

 

そこは、見たことのない天井だった。

 

 

ベッドが設置されていて、起き上がって辺りを見渡すと家具がほぼほぼ少なく、左端と後ろ際に壁があった。

 

ベッドから見て右に椅子、その奥に丸い机、一番右の壁際にタンスが置かれていた。

前方にあたる場所、その真ん中にドアはあった。

 

机の上にある置き時計を見ると、針は9時15分を指していた。

 

 

周囲には誰もおらず、何もなかったはずの空間からパネルが目の前に浮かんできた。

 

何故…夢の中でも現れたのに、今もまた目の前に現れるんだ!(汗)

 

 

 

『殴っても解決しないわよ』

 

いつか必ず神になって一発だけ殴りに行くよ。

『軽くお願い♪』

 

何か…段々と慣れてきた(遠い目)

 

 

「ぁ…」

 

掠れた声を出しながら、ようやく思い出した。

 

そりゃマグマの上に倒れたら声も涸れるよ。喉も乾燥するよ。

いや、そもそも燃え尽きてないとおかしいよね!!?

『私の愛♪』

 

あー、喉乾いたな(現実逃避)

『出せばいいじゃない』

 

そう言いながら画面を浮かばせてきた。

 

そのパネルは縁から1.8cmほど黒いもので覆われていて、画像はタッチパネルのように煌々と輝いていた。

2段3列と6つに分かれていて、左右にスライドさせると他のものが見えた。

 

 

フィアナが操作して眼前に見せた画面の中には『井戸製作』があり、自動で水を好きなだけ汲み取るというタライも付いていた。

その使用の際に魔力を使うそうで、量はそれに起因するようだ。

 

しかし…問題は、それをあげることで発生するものだ。

 

何を使用して上げるんだ?

『私の愛♪』

よし、使おう。減っても構わん。

『ひどいわ』しくしく

 

なんだか…この神様の人格がわかってきた気がする。

 

でも…それで嫌な思いをさせるのは忍びないし、何より…助けられた。

 

 

ごめん…減ったら、困る。というか…嫌だよ。

 

フィアナには心から感謝してるし、やっぱり…何より代え難い存在だっていうのは解り切っている。

 

だから…愛しているよ。でも…できれば、ちゃんと話を聞いて欲しい。

『わかったわ!』

 

わかってくれたのか!?

『話し半分ぐらいには聞くわ♪』

 

…うん。それでもいいよ。全く聞かないよりはいい(苦笑)

 

 

『マグマの中でも燃えなかったのは、私の愛があってこそよ?魔力を供給したのだから』

 

「ごくごく…ぷはっ。

なるほど…と言うか、これってどこから汲んでいるの?」

 

タライで汲んだ水を飲んだ後、ある素朴な疑問から質問した。

 

 

『ふふっ。地下から水を汲み上げているのよ。

とっても美味しい水が

「地下にいる人達、ビックリしない?」

 

『………』

考えてなかったな?迷宮のこと(汗)

 

『ちゃちゃちゃちゃ、ちゃんと考えていたわよ?』たらたら

 

そっぽを向いて震えながら言われても説得力ないぞ、それも冷や汗全開で(じとー)

 

 

その頃、迷宮から見て北部に突如として現れた頑丈過ぎる円柱状の筒にざわついていた。

 

それは18階層の湖まで続いており…リヴィラの街の人達は「何だこれは」とばかりにその筒の先を確認する為、覗く為に潜ろうとしていた所だった。

 

が、それは程なくして消えた。

 

 

『え、ええっへん!実はちゃんと空間を捻じ曲げて周囲に見えず影響を及ぼさないようにもできるのよ?』

「後付けだな」

『嘘よ!?ちゃんと考えていたんだからね!?』

 

「…うん…そこは素直に言ってくれると嬉しい」

『………

 

言ってくれてありがとう』

 

「こっちこそ機能を新たに付属してくれてありがとう」

 

互いにお辞儀し合い、ようやく一息ついて笑うことが出来たようにも感じた。

 

 

 

で…これは何だろう?

 

『魔法欄ね。魔力が無限大だから、何でもできるわよ?それに関するものも全て無限大!

そう…精神力(マインド)も魔力操作も全部無限大なんだから!!』

うん。それは置いておこう。

 

『ええ!?』

いや、だって戦闘能力が必要でしょ?迷宮に潜るのなら

 

『これも必要なのよ!?魔力での身体能力強化、無限大!!魔力による身体回復蘇生、無限大!』

なるほど。そっちも取ってたんだ。

 

って蘇生まで!!?

おっかなびっくりして叫ぶと、憮然と言葉が返ってきた。

 

『当然よ!あなたに今度こそ幸せになって欲しい。この想いに嘘偽りはないわ』

 

………その眼は…本気だ。心から言っている。

霊感があるからこそか、持って生まれたからこそか、怒りの波動やそういった感情は大体伝わってくる。

 

だから…嬉しく感じて笑ってしまった(ふっ)

『本当よ!?信じてね!!?』

 

わかってる…信じるよ。

 

『…ありがとう//』

 

こっちこそ(お辞儀)

 

 

そうしてある程度全体を見渡すことにした。

 

何というか…ステイタスはステイタスでも、基本アビリティの分もあるんだなあ。

 

どれどれ?

 

 

魔力はLv.∞、これはもう知っている。

力と敏捷がLv.7、耐久がLv.9…マグマにいたからだな、これは(汗)

 

器用がLv.10…これはおかしいだろう。

 

『戦闘技術からちゃんと判断しました。

人体の構造と機能を利用して再び攻撃するまでに時間がかかるようにいなしてたじゃない!』

 

…まあ…ね。

 

 

人の身体は、構造上内向きに対して一番力を強く出せる。

 

両手の合掌然り。右腕は左へ、左腕は右への方がより強く力を入れられる。

振り抜く際に内向きなのも中心、つまりは軸を通らせる為だ。

 

そして脱力している時が一番スピードが出る。逆に力を加えている時は一番スピードが遅い。

だから常に脱力した状態で腕を振るい、当たった瞬間、つまりインパクト時にだけ全力で力を入れるようにしている。

 

そして攻撃の向き、ベクトルは自身にとって横向きの力に対して一番無防備となる。つまりは影響を受けやすく、軌道を変える方がやりやすい。

前方に右腕による正拳突きで攻撃するとして、攻撃側からして左に払われると右へすぐ裏拳で返そうにも威力は正拳突きに比べれば弱まる。

 

そうでなければ10歳で30代男性の本気の一撃を凌げるはずもない。

それを理解し、実践できるようになったのはまだ8歳の頃だ。

 

薬学に通ってからこの考えは正しかったのだと実感し、確信に変わったことが心底嬉しかったのは今でも忘れられない。

学ばずにその考えに辿り着けたからこそ、余計に嬉しくて仕方なかったのだ。

 

 

ちなみに、右正拳突きを避けられた際の正しい対処法を一例だけ挙げておく。

 

右前腕部を相手の顔面に近付けて死角を作りながら左拳でボディブローを食らわすのが最善だ。

そして前のめりになった瞬間に顎へ右拳でアッパー、即座に右拳を開いて首(自分から見て左側)を掴んで手前かつ下へと引き寄せながら右膝を胸部へと叩き込む。

その時に左手を相手の背に添えてインパクトの瞬間に押さえ込んでおくことをお忘れなく。衝撃を逃がさない為にも切り離してはいけない必須事項だ。

ここまでを『一つの流れ』として自然に出来れば二重丸だろう。

 

花丸はその後の動きに少し動きを付け加える。

右足を地面に下ろした瞬間に軸足を右へ、左足で相手の後ろから両足を払いながら右掌の付け根で眉間を突き飛ばす。

そして間髪入れずに軸足で相手の上空へジャンプ。左肘と左膝で胸部と鳩尾へ全体重をかけるように叩き込めば大抵は気絶するだろうと思う。

 

いや…打たれ強い人はどうなんだろうか?

 

『やり過ぎよ。誰がどう見ても』きっぱり

 

え?

『どこの殺人剣よ!戦術考えるだけでも異常そのものじゃない!合理的にもほどがあるわ!!』

 

だって前世の記憶もあるし…戦国時代で殺されて死んだ記憶まであるわけだし?

『確かにそうね。

最初の前々世では2800年前、それも白呪術師だったわ。

 

でもそれよりも!…少しは息抜きしたらどうなの?過労で死んだ意味分かってる?』

 

……うーん…そんなに切羽詰まらなくてもいいの?

『当たり前よ!戦国じゃないんだし。

 

器用がLv.10の意味は分かった?』

 

うーん…見切りと身体の操作が凄い、無駄をなくしていたことが要因かな?

『そ・れ・よ』

 

わかった。でもあれ?上げれるんだね?

 

よくよくLv.を示す数字の右隣を見ると、左下から右斜め上へ向けて曲線の矢印があった。

嫌いな数字である9の隣のそれを押すと…即座に数字がすぐに+1され、10へと切り替わった。

 

ラ○ナ○クのスキル?(汗)

え?上げ方同じなの?(困惑)

 

 

『ええ。私とあなたの愛があれば障害なんて…キャッ//』

うん、スルーで(遠い目)

『ひどいわ!』涙目

 

扱いが段々とわかってきたぞ。

 

ふっ。振りなのはもうわかっている!(キラーン!!)

『大正解♪

 

賞品として一つ教えます!

このパネルの中に入れるものがどれだけ重くっても総合量が無限大でも、この重さは一切変動はないの。

つまりパネルの重さは変わらず50g!世界でどこにもないもので他人に奪われたって瞬間移動ですぐ手元へ戻るわ!』

 

情報提供、ありがとうございます。

 

 

そう思いながら、私はお辞儀をした。

パネルは何故か腰に手を当てて胸を張っているそれを表現しているが敢えて何も言うまい。

 

器用のLv.上限が10だったこともあって、一番嫌いな数字である7と9を一つずつ上げることにした。

 

 

よし!

 

力:Lv.8 耐久:Lv.10 器用:Lv.10

敏捷:Lv.8 魔力:Lv.∞ 気:Lv.∞

 

…って、気って何?

『気功を我流で極めてたからに決まってるじゃない。武術にも治療にも使用できるぐらい極めていたから…

サービスしちゃった♪』ウィンク

 

ありがt

ごぷっ

 

礼を言おうとした矢先、その途中で思考は遮られた…

 

猛烈な激痛と共に、口や両目から血が止めどなく出てきた。

 

 

「ごふっ!けふっ!!

ぅっ、ぁあああああああああ!!!」

 

ガタン!!

「どうした!!?

!!フィン!水を持ってきてくれ!!」

 

「ああ!わかった!」

だっ!!

 

扉が乱暴に開け放たれ、騒がしい喧騒が耳を刺す。

 

咳き込んで意識が消えゆく最中、心配そうなリヴェリアの顔と必死に何度も呼び掛ける声を認識したのが最後だった。

 

 

『愛されてるわね(必要とされている)』

うるさい

 

その言葉に、私は顔を顰めた。

利用しようとされている。それがひどく、嫌だった。

自らの「聞きたくない」という意思など顧みず、ただひたすらに話したいことだけを一方的に叫び続ける母…それと同じように感じてか、そんな独善的な「利用」や「打算」を含んだ愛ならば要らないと…心底、嫌気が差していた。

 

 

 

時刻にして数十分経ったのか…時計の針だけが進み、10時56分になっていた。

 

未だ口の中に感じる血の味に、思わず咳き込んだ。

 

 

 

「けふっ」

 

「気が付いたかい?」

 

咳き込むと右から声が聞こえ、顔を僅かに右へ動かすと…金髪の髪が見えた。

 

 

それが…フィン・ディムナとの初めての邂逅だった。

 

後に、女神フィアナのそれもあって結婚まで行き着くなど…この時は思いもしなかった。

だって初対面だし。

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