UNDEAD───不死人   作:カチカチチーズ

10 / 45
何故だろう意外と早く投稿できた
ヒロインアンケート現在
イビルアイ、ラキュース……4
ドラウディロン……8
聖棍棒……5
ネイア、アルシェ、レイナース……1

人気だなドラウディロン……


二代目

 

 

 

 

 はて、自分は今どうして戦っているのだろう。

 番外席次の一撃を剣で防ぎながらそんな事を考えていた。普通なら番外席次のレベルは九十代そこら、カンストプレイヤーで前衛を務めている私の実力ならば十分に番外席次を抑え込めたはずだ。

 にも関わらずこうして私は番外席次と戦っている。ついでにいえば一瞬、意識が飛んだ気もする。

 

 

 まあ、そこは覚えが無いというわけでもないが……

 

「私との戦い中に余所見かしら!!」

 

 余裕なもんで、ねっ!

 

「うっ」

 

 

 振るわれる戦鎌を剣の腹で受け止め、番外席次の腹に蹴りを打ち込む。いい所に入ったのか番外席次は口から胃液を吐いて呻く。

 流石に中身が出る事はなかったようだ……まあ、如何に戦っている敵とはいえ女の子に吐かせるのは男としてどうなのか、と思うから少し加減したのだが。

 まあ、そんな隙を見逃すほど甘くないのも事実なので更にそこから戦鎌の柄にシールドアタックを打ち込みよろけさせる。

 

 

「つぅ……小細工ばかり」

 

 レベルが格下なら十分その小細工も有効なんでね。

 

 

 ────まあ、格下って言ってもあくまでレベルの話で……ステータス上だと人化の指輪によって種族レベル由来のスキルが使えないから実質九十代……番外席次と大して変わらないんだが……。

 さて、ヘイト値稼いでスキルのクールタイムを短縮するのはいいが、わりとジリ貧……どうするか。

 

 

 まあ、なんとでもなるか────連鎖する龍雷(雷の大槍)

 

「ッ!!」

 

 

 付けていた指輪の一つに意識を向け、まるで槍を投擲するかのようにして指輪に込められていた魔法を放つ。

 第七位階魔法・連鎖する龍雷(チェイン・ドラゴン・ライトニング)……レベル九十代には対して効かんだろうがあいにくこの指輪に込められているそれは我らが悪魔閣下(ウルベルト)に込めてもらったものだ。充分九十代にも効くものだ……いや、ほんとチートじゃないか?悪魔閣下。

 

 

 まあ、その代わり使用回数が限られているんだが、な!

 

「ラァ!!」

 

 

 両手で振り抜かれた戦鎌の刀身に剣を滑らせつつ、身体を動かし戦鎌の間合いを潰してその右肩を切り裂く。

 だが、浅かったのだろう。呻きもせずにすぐさま鎌から片手を離し間合いを詰めた私の腹に拳を叩き込んできた。鎧をつけていたおかげでそこまでダメージは入らなかったが普通に腹が痛む。

 イザリスの楔デーモン並に痛いんだが……。

 ひとまず距離をとる。

 

 

「ふふ、ふふふ、いいじゃない。あいつなんかより貴方の方が強いわ」

 

 そりゃどうも。まあ、そのあいつって誰かは知らないからなんとも言えないがね

 

 

 にしても、PVPに比べれば圧倒的に暇な戦いだ。ゲームであるようなバフがけプレイヤースキルで戦うんじゃあなく、剣道とか武道の試合に近いな……いや、武道にあんな流水加速みたいなものは無いが……ないよな?仕方ない、人化の指輪を外してゴリ押しするか……。

 同レベルのカンストプレイヤーやカンストNPC相手ならともかくレベル的に格下相手にわざわざ律儀にPVPする必要も無いな。

 

 

 そもそも現状装備してるのがオール聖遺物級(レリック)なのもアレだしな

 

 

 番外席次の装備が何級なのかは知らないが、私の装備はカンストプレイヤーの装備としては些か心もとない。いや、アストラの上級騎士シリーズは伝説級(レジェンド)もあるんだが……それは装備する予定はない。ぶっちゃけ趣味の範疇だからな

 本気でやるならオール神器級(ゴッズ)の薪の王にあの指輪を装備すればいいが…………そうなると蹂躙になるからな。

 さて、どうするか────

 

 

「《鎌鼬》」

 

 チッ、《ミサイルパリィ》

 

 

 恐らく武技であろう遠距離攻撃をスキルで弾き、ショートカット機能を使いいくつかの指輪を別の指輪と取り替える。

 

 

 魔封じの指輪は限りがあるんでね、少し趣向を変えてみようか

 

 

 サモン・アップ・リング、二重の指輪、動死体召喚の指輪(リング・オブ・サモン・ゾンビ)。新たに付けた三つの指輪の能力を行使する。

 最後に使ったのはナザリック大侵攻で壁役を大量召喚した時か?ともかく指輪の力が発動され、眼前に広がる光景を私は少し下がりながら見る。

 アンデッド系種族レベルに応じて召喚できる動死体系のモンスターが増え、選んだモンスターを一日に最大八体まで召喚できる動死体召喚の指輪(リング・オブ・サモン・ゾンビ)により召喚される八体もの死の騎士(デス・ナイト)

 指輪系アイテムの能力を二重発動出来る二重の指輪により動死体召喚の指輪(リング・オブ・サモン・ゾンビ)の力が二重発動して更に八体もの死の騎士(デス・ナイト)が召喚される。そして、最後にサモン・アップ・リングの力で召喚された死の騎士らのステータスが上昇する。

 ぶっちゃけレベル九十代相手に最後のそれは大した意味は無いがそこは様式美ということで割り切ろう。

 

 

「っ、アンデッド……!!」

 

 さて、十六体の肉壁だ────どれだけ持つかね?

 

 

 死の騎士が。

 死の騎士の壁の後ろで私は早着替えの外套を準備する。選ぶのは薪の王とは言わずともそれなりに性能高い伝説級を。

 となるとファーナムか黒騎士だが…………

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 スレイン法国最強の戦士こと番外席次・絶死絶命は今回の任務に大した期待はしていなかった。自分の付き添いである第五席次・一人師団に対して期待するような事を呟いていたが実際の所退屈を紛らわす程度にしか今回の任務を考えていなかった。

 だから彼女は任務の目標である竜王国の英雄が神人かプレイヤーなどどうでもよく、とりあえず第一席次、漆黒聖典の隊長にやらせた様に馬の尿で顔でも洗わせようと思っていた。

 そして、エ・ランテルまでもう一時間と言うべき場所で感知した自分と同じぐらいの実力者を持ち前の直感で嗅ぎつけ鷲馬(ヒポグリフ)から飛び降り襲撃してから始まったこの戦い。

 互いに決定打の入らない戦い。隊長程度なら簡単にのせる一撃も、連撃も、簡単にいなされるか弾かれる。番外席次は苛立って来ていると自覚して────そんな自分の表情は笑みを浮かべているのに気づかない。

 

 

「ああ、もう、邪魔ッ!!」

 

 

 セレネが召喚した十六体もの死の騎士。一度だけ必ず体力が一残るという壁役として高い性能を誇る死の騎士に番外席次はイライラしていた。

 決して強いというわけではない。彼女や隊長を除く漆黒聖典の面子の誰よりも強いがそれでも彼女からすれば充分蹂躙できる程度の存在だ。しかし、彼女が苛立つのは先程述べた特性を持つ死の騎士は決して複数体で来ず一体一体足止めに来ている事だ。

 彼女なら一撃で死の騎士の体力を削れるだろう、しかし必ず一耐えるという特性上二撃入れねば倒せないのだ。

 

 

「同時で来るならともかく、一体一体とか……」

 

 

 段々と作業染みてきたそれ。

 死の騎士のもう一つの特性であるヘイト集中もあり、死の騎士の後方にいるセレネへは攻撃が出来ない。

 およそ十体は滅ぼし────ふと、番外席次は思い至った。

 

 

「あっちが複数体来るのを待つんじゃなくて、私が全員同時に殺せばいいじゃない」

 

 

 事実彼女の扱う武技の中には広範囲へのモノが存在する。決して馬鹿ではない彼女がそれを思い出すのは当たり前で…………。

 満面の笑みで彼女は武技を行使する。

 

 

「《真能力向上》《無双絶撃》《疾風迅雷》《能力超向上》《戦気梱封》」

 

 

 身体強化系の武技を次々と発動させていき、一番近くの死の騎士に飛び込んでその頭を蹴り砕きより高く飛んでその戦鎌を振りかぶる。

 それは番外席次が持つ最強の武技。

 神人故に放つ事が出来るこの世界の人間の誰も到達出来ない極地の一撃。

 白金の竜王(プラチナム・ドラゴン・ロード)が番外席次を自分に痛手を負わせられると危険視している所以。

 その武技の名を────

 

 

「《絶死絶命》────!!!」

 

 

 

 戦鎌は振るわれ、放たれるのは夜よりも暗い漆黒の嵐。

 範囲内のあらゆる命に絶対な死を与え絶命させる最強の武技。

 それを放った彼女は上手く地面に着地し漆黒の嵐が荒ぶる光景を目にしながら笑みを浮かべる。これを使わせたのは彼女の記憶の中で実の母親ただ一人。まさかの二人目に笑みを浮かべつつ心の中ではセレネが強いから出した訳では無い事に失望の色が漂っていた。

 

 

「番外席次……!!」

 

 

 そんな彼女に背後から声が届く。

 

 

「……何?」

 

「何って……いったい何をしているんですか!?」

 

 

 漸く追いついたのか、声の方へ振り向けばそこにいるのは鷲馬と付き添いである第五席次ことクワイエッセ。

 彼はこの目の前の光景を見て、恐怖しながらも彼女に憤怒の声をかける。それはこんな場でこんな一撃を放った事、人類の守護者になるかもしれない戦士を殺した事、そして白金の竜王を呼びかねない事態を起こした事。

 しかし、番外席次はクワイエッセの言葉などどうでもいいと無視してそのまま鷲馬とクワイエッセへと歩き始め

 

 

 

 

 

 

 

────────世界が斬られた。

 

 

 

 生命を蹂躙する黒い風は吹き払われ光が現れた。

 それは最初は小さな小さな光だった。

 騎士たちは唸り声を上げる、盾を足を大地に着いて音を上げる。

 光否、火は大きく熾る。

 火の粉が舞い、灰が散る。

 

 

 火の象徴とは不死なれば……

 

 

 

 クワイエッセは目を見開き、その火に神を視た。

 番外席次は恐怖した。不敬であろうが彼女は六大神ですら戦えば自分が勝つだろうと傲慢にも思っていたにも関わらず自分の最強のそれを吹き払う存在がいる事を。

 死の騎士らは歓喜した。自らの王の威に触れる事を。

 

 それは焼け爛れ歪んだ騎士鎧を身にまといその頭には異形の王冠を戴き、その身から火を絶やさずその手に握れているのは玉座無き彼らの前にずっとあった篝火に刺さる螺旋の大剣である。

 彼の名はギルド『アインズ・ウール・ゴウン』がギルドメンバーの一人、火継ぎの王(セレネ)火の無い灰(ネームレス)

 ユグドラシルの火を継いだ騎士(二代目ムスプルヘイム)である。

 

 

 ゆったりと歩んでくる。

 火継ぎの大剣を肩に乗せながらゆったりと番外席次に近づいてくる。

 ゆったりとした歩み、しかしそれは番外席次の脳裏に最大級の警鐘を鳴らさせる死神の歩みだ。

 だからだろう

 

 

「ァアアああぁ!!」

 

 

 汗ばむ手で戦鎌の柄を握りしめ、恐怖を紛らわす様に叫びながら突貫する番外席次。

 そんな番外席次を兜のスリットから覗く火の如き光は見守り、その手を振るった。

 

 

「ぁえ」

 

 

 焼け炭に変わる左腕、肩口から断ち切られ吹き飛んだそれに番外席次は一瞬目を奪われるがすぐに彼を睨み残った右腕だけで戦鎌を振るう。

 

 

「ぁ」

 

 

 だが、まあ、そんなものは格好の獲物でしかない。

 迫る戦鎌を左腕で弾く(パリィする)、するとそのまま番外席次は腕を広げてしまい守るものは何もなくただ自分の腹部へと迫る炎を纏った螺旋の大剣を見届けた。

 腹部を貫く大剣はそこから番外席次の身体を焼いていく。尋常ならざる熱が番外席次を襲うがしかし、番外席次はこの時その熱以外の熱を感じていた。

 下腹部が熱を帯びて疼くのだ。目の前の強者を求めて疼き始め、その熱に酔いしれて────

 

 

 私の勝ちだ

 

 

 その言葉を最後に番外席次はその内側から生まれた炎に焼かれた。

 

 

 




オリアイテム
・魔封じの指輪……第八位階までの魔法を一つ込められる。込めた魔法詠唱者によって威力は変動、一日に三回までしか使えない。
・サモン・アップ・リング……召喚モンスターのステータス上昇
・二重の指輪……指輪系アイテムの効果を二重発動できる。実はあの星の指輪も……
・動死体召喚の指輪……アンデッド系種族取得者しか使えない。アンデッド系種族の合計レベルによって召喚できるモンスターの選択数が増える。ネームレスはデス・ナイトを選んでる。デス・ナイトだと一日八体までしか召喚出来ない

オリジナル武技
・真能力向上……能力超向上の上位互換
・無双絶撃……剛腕豪撃の上位互換
・疾風迅雷……流水加速の上位互換


ネームレス「あ、やば、神器級装備しなきゃ」

ヒロインアンケートはまだまだやっておりますのでどうぞ御参加ください
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。