今回は燐視点になりますが....ムズカシイ.....
とっても難産でした...。しかも短い_:(´ཀ`」 ∠):
あいも変わらず駄文ですが、お楽しみいただければ幸いです!
よろしくお願いします。
「じゃあ、料理のほうがひと段落したんでそろそろ燐くんは上がりでいいよ!透ちゃんもありがとう!」
おかみさんが額の汗をぬぐいながら元気よく言った。
正直、一気に入って来たいろんな注文に目が回っていたのでありがたい。
『え、大丈夫ですか?おかみさん。』
「うーん、でも雨降って来て、この後ドッっと来ることもなさそうでしょ。透ちゃんは稼ぎたいかもだけど....。」
『あー、それもそうですね。奥村は?稼ぎたいとか無いの?』
ぼーっとどこか不満そうな透とおかみさんのやり取りを見守っていたら、急に話を振られた。
『奥村?』
「へ...?あ、ああ俺は見習いだし...。」
そういうの言っていい立場じゃねェし....
クソ、ついゴニョゴニョしちまう。
ホールに入ったときに、それで散々怒られたのに。
また透がハァーっとため息をついた後で、なにかを失敗して下向いた時と同じように、俺の背中をバァンッと叩く。マジで痛ェ....
『なぁに言ってんの!おかみさんの前で言うのもなんだけど、バイトってある程度自分のやりたいようにできるからバイトなんだよ?
そんなに気を使ったら、それはもう仕事だよ。』
フンと鼻で笑うように軽々という透は、あんまりにもさっぱりしていて、むしろなんだかキラキラして見えた。
「あら!言うねぇ透ちゃん。でも結局そういうもんね。学校とか収入の少ない本職とかの片手間に、その隙間を自分で調整してやるのがバイトだもんね。だから燐くんも遠慮しなくていいんだよ?」
『ほら!言ったでしょ、奥村。アンタはそろそろ見習い卒業だし、シフト組むようになったらバツ(=休み)争奪戦になるぞー?今のうちに休み方も覚えないと。』
このキラキラ(バッサリさっぱり)が、“当たり前”なのか。
こんなにバッサリ言ったら、人を傷つけると思ってた。
けど、ここで見習いしてると、冗談と本気の使い分けとか、いろんな話し方をしているのに気づく。
バァンって背中を叩くのだって、痛いけどそれが失敗した時の嫌な気持ちを吹っ飛ばしてくれるように思う。
たぶん、バイトのやり方だけじゃなくて、ジジイが言ってた「力の優しい使い方」みたいなものも透は教えてくれているような気がする。
ずっと、だれか困っている人を助けるとかそういうのだと思ってたけど。他にもいろんなやり方で、「力」は使えるんだ、きっと。
やっぱり俺、なぁんも知らないな。
結局今日は上がらせてもらうことにして、背中を丸めて歩く。これはもうクセみたいなもんで、どうしようもない。仕込みと厨房の料理オーダーが多い時のヘルプのような立場なので、上がりは夜10時くらい。この時間帯だと酔っ払いや不良はまだどこかの店にいて、野良猫がたまに走り去って行くくらい。割と静かなもんだ。
今日は期限が切れそうということで、なんとサーモンの切り身をいくらかもらえた。明日はムニエルかホイル焼き....皆喜ぶな。
パタパタと音がして、透が後ろから走って来た。俺が背中を曲げているのに気づいたのか、またまたバァンと背中を叩かれる。
痛いけど、なんとなく予期していたから耐えられた。透が背中を叩くときは、大抵「シャキッとしろよぉ〜」とでもいいそうな空気の時だ。たしか剣道か何かをやっているらしい透は、ジジイ以上に姿勢とか態度にうるさい。
初対面でしばき倒されて「お前は姿勢から世の中に僻んでる。だから外にはじき出されちまうんだ。」とキレられたのは苦い思い出だ。でも、透は結局根っこのところがあったかいって分かるから凄ェよな〜。
「力」を振るってるのに、それは「優しい使い方」じゃないのに、ちゃんと「優しい力」なんだもんな〜(遠い目)。
....あんまり頭使うのは得意じゃねェから、話しかけてくる透をガンスルーしてたらしい。三度背中をバシバシ叩かれる。本当に痛い。地味に痛い。
『...おい、おい聴いてる??奥村、今週で見習い卒業だって!やったな!
銀行口座ひらけないなら、ナマでくれるって言ってたよ。これ、シフト表。さっき渡しそびれちゃったから持って来た。入れる日に丸と時間書いて、無理な日にはバツを書いて提出ね。.....どうしたの?』
矢継ぎ早にいう透だけど、最初の言葉の後は全然入ってこなかった。
“見習い卒業だって”
ってことは....
「俺...一人前ってやつになったのか?」
言っててちょっと恥ずかしいけど、嬉しくて口がピクピク動く。
『は..?え、うん。そうだけど。』
「そっか...そっか!」
へへへへ......口が我慢できなくなって変な笑い方をしちまう。案の定透に横目で睨まれた。
『なーにニマニマしてんだよ。言っとくけど、仮免みたいなもんで、時給は正規バイトより低いから。ミスもない、1人である程度回せるってなると時給1000円くらいになって来る訳。引き続き頑張らなくちゃだなんだよ....?』
「うん!オレイチニンマエ...イチニンマエ!!」
『大丈夫かな....』
つい嬉しくなって鼻歌を歌いながら帰った俺は、道端にシフト表を落としていたらしく、翌日オヤジさんを教会に送りに来た透に竹刀でしばき倒された。
まだまだ真のイチニンマエへの道は遠いらしい。
ムズカシイ!!!
バッサリサッパリキラキラのくだりは自分でも納得いってないんですが、あえて補足させていただくと「キラキラ」して見えるほど清々しく(バッサリサッパリ)言葉を交わせちゃう“思ってたより強かな普通”への感動を燐君の語彙(あくまでイメージです)で表現しようとした結果ああなりました。ごめんなさい。
次話で入れると思いますので、どうか見捨てずお付き合いください.....泣