魔法科高校の楽園の巫女 作:にゃんくる
感想の方でご指摘いただきましたが、霊夢は赤いリボンをつけてます。描写忘れです。ごめんなさい。今後そこのところを修正するかもしれません。
先生によるオリエンテーションの説明が終わり、先生は早々にクラスを立ち去る。オリエンテーション、つまり上級生の授業の見学だが、見学したい授業があれば自主的に行動しても構わないと先生は言っていた。私、一応まだ引っ越したばかりだし、家の見学がしたいので帰っても構わないだろうか……
「霊夢さん!一緒に集合場所まで行きましょ!」
そうは問屋が卸さないようで即座に同志ほのかに捕まってしまった。このままオリエンテーションの集合場所まで連行されるようだ。
「司波さんも!集合場所に急ぎましょ!」
私の手を引いたまま、男子生徒の間を押し通り、囲まれて困っていたらしい深雪のことも確保するほのか。
「そうですね、光井さん、四葉さん、北山さん、行きましょうか」
深雪のその言葉に周囲の男子生徒は凍りついたかのように動きが止まった。その隙に四人は集団を抜け出していった。
「やっぱり、四葉の名の効果は絶大だね」
そう雫に言われて思いだす。メイドさんに四葉の名前がどうたらこうたらでヤのつく職業のように名前を出すだけで一般魔法使いは震え上がる。みたいなことを教えられた覚えがある。
「ごめんなさいね、霊夢。あなたの名前を使ってしまって」
深雪は本当に申し訳なさそうにしていたが特に気にしていなかったので首を振る。自分が四葉だということを早めに知らしめておきなさいとお母様からも言われていたのできっと深雪のしたことは間違っていないのだろう。四葉の名は実際に効果があったこともわかったのでこれから話しかけてくる人が減るならば願ったりかなったりだ。
「私は!霊夢さんが四葉だとかそういうのは何も気にしません!」
「当然私も」
ほのかも雫もとてもいい子だ。慢性コミュ障である私だがこの二人には友達になってもらえてとてもうれしく思っている。私なら友達の家がヤのつく家業だったりしたら普通に接することができるとは思えない。まあそもそも普通に接すること自体が現状難しいのだが。
「ありがと……」
そう呟くとほのかに強く手を握りしめられた。私はいつまで捕えられているのだろう。
オリエンテーション午前の部が終わり、昼休憩の時間となった。当然四人で食べる気まんまんであったが深雪が人気者のせいかわらわらとクラスメイトが集まってくる。時折こちらの様子を窺うような視線を向けてくる人がいるのは名前が広まりつつあるからであろう。
「では食堂の席が埋まらないうちに急ぎましょう!」
そう言って集団を仕切り始めたのは先ほど私が呪っていた仮名ハゲの人だ。私が異議を唱えられるはずもなく、深雪も押しに弱いのか困った顔ではあるが反論はないようだ。
それに気をよくしたのかハゲの人はドヤ顔で先頭を歩いた。いつの間にかかなりの集団になってしまい、その中でもハゲの人を含む三人はしきりに話しかけてくるのでうっとうしいことこの上ない。私に対しても少しおびえた様子を見せつつも話しかけてくるが無視していれば言葉も少なくなったため助かった。
「深雪ーっ、こっちだよー!」
食堂に入ってすぐ、深雪の友人らしき人がこちらに手を振っていた。私と言う友人がいながら、知らないところで友人を作るなんて、これは浮気か?
食堂に着いたことでそれまで一緒だったA組の多くの人はちりじりになってくれたのだが、どうやらこのハゲの人は一緒に来る気らしく深雪が友達のところへ向かうとついてきた。
「じゃあ、私たちはあっちで……」
「おい君たち、ここの席を譲ってくれないか?」
雫が気を利かせてそう提案しようとしたがハゲの人はさも当然のように上から目線でそう被せて言った。
「二科は一科のただの補欠だろう?実力行使をしてもいいんだが、学内ではCADの使用は禁じられているからな」
威圧的な態度で深雪の友人たちに告げるハゲの人。それに対して相手も目つきが鋭く、今にも一波乱起きそうなにらみ合いになっていた。
「わかった、俺はもう終わったから行くよ」
「あ、おい達也」
どうやら衝突を避けるためか、メイドさんもとい達也は身を引くらしい。食べ終わった食器を片づけ始めた。
「いい心がけだ、他の三人も見習ってほしいものだ……
さ、司波さん、空きましたよ……司波さん?」
ハゲの人は一人相撲を取っていた。まあすでに深雪を引っ張り四人席を確保して食堂の列に並んでいる私たちには関係のないことだ。無関係を装うとしよう。
「いい加減にしてください!深雪さんはお兄さんと帰るって言ってるでしょう!!」
学習能力がないのか、それともなまじ学習能力があるため昼時に彼らを追い払う事ができたことに優越感を覚え同じことを繰り返したのかは知らないが、ハゲの人はオリエンテーションが終わって帰るというときに再び問題発言をしていた。それに対して言い返していたのは見た目は大人しそうな女の子。大人しそうな子でもキレるのはしょうがない。100%ハゲの人が悪い。
私は迎えの車が来ているので、一人先に帰ろうとするがいつの間にかまたほのかに手を捕まえられている。なんで?
「あの……」
「大丈夫だよ、霊夢さん」
大丈夫じゃないです。
この騒動は深雪と一緒に帰りたいという子供のわがままから発展した騒動なので一緒にいて仲間だと思われたくありません。恥ずかしいです。
「これは1-Aの問題だ!他のクラス、ましてやウィードごときが、僕たちブルームに口出しするな!」
「お、同じ新入生なのにっ、今の時点であなたたちがどれだけ優れているって言うんですかっ」
先ほどの大人しそうな子が再び叫ぶ。私のスカウターにはコミュ力低めと出ているのに、かなりガッツがあるというか、友達想いの良い子のようだ。
「どれだけ優れているか、知りたいなら教えてやるぞ」
瞬時にCADを抜き、決め台詞を言う。
「二科生風情が!!」
その場に一瞬の静寂が訪れた。いくらたっても魔法は発動せず、焦るハゲの人。それを見て、警棒を取りだしていた子がぷっと笑う。
「一科生さんは魔法の発動もままならないのかしら」
警棒の子は挑発するが警棒を構えたまま警戒は解かない。そしてどうやら私のことも警戒ではないようだが意識はされているようである。
そして挑発を受けた一科生の生徒は今にも一発触発の雰囲気で警棒の子をにらむ。
「あなたたち、何しているの!」
喧嘩していることを何かしらで通報した人がいたのだろうか、生徒会長が現れた。それを見て私はそっとほのかの影に隠れた。
「すみません、森崎一門のクイックドロウは有名ですから、後学のために見せてもらっていました」
いけしゃあしゃあと述べる達也。魔法も発動しなかったことだし、この発言に問題はないはずである。
「問題はなかったのですね?」
「はい、もちろんです」
「なるほど、生徒同士で教え合うことは禁止されているわけではありませんが、周囲から勘違いされるような真似は控えてくださいね。
それと四葉さんこの後時間あるかしら、なければ明日の昼の時間でもいいのだけれども」
突如呼ばれたことにぴくっと体が反応してしまう。仕方なくほのかの影から出て生徒会長の方を見る。やはり苦手だ。どことなくリア充オーラがあふれ、先ほどの件があるのも相まって目を合わせられない。
「明日で……」
それ以上追及などはなく、どうやら今のところは不問にしてくれるようだ。おそらく生徒会長以外にもほのか、達也、警棒の子には見られただろう。私がハゲの人、森崎に撃ち込んだ夢想封印を。