ロックマンEXE 〜Network CINDERELLA〜 作:オフィシャルネットバトラーウッキー
おっす!俺、光熱斗!秋原町に住むごくごく普通の小学6年生だ!
俺は今中学1年生!秋原町と才葉シティの合同卒業式が終わってから色々あって、今はまだパパがバンパクの手伝いやプログラムの補修なんかで必要だからって、俺は才葉シティのセントラルタウンの中学校にコジロー達と一緒に通ってる!
色々あったけど今じゃすっかりこの街に馴染んじゃった。因みに将来の夢はネットバトラーか、秋原町に戻ったら、科学省でパパみたいに科学者になって、あんな事件がもう起きない様な、ネットワークを平和にするすっげープログラムを作る事!
先生達はゼンシャの方が俺にとっては現実的だ、なんて言うけど………まぁそうだよなぁ。
『っ…と…ん…!っとく…!』
ぁ、そうだ!デカオ達ともメールで連絡は取り合ってるし、才葉シティとデンサンシティのネットワークにかなりの近道が出来たからそこを通じてナビでのやり取りも出来てる!ちょっと寂しいけど、コジロー達もいるし、慣れたもん!何とかなるさ!
『熱斗くん!!』
「うぉわっ!?」
………肘を着いていた机の端の方からの声に椅子から転げ落ちる。慌てて机に手を掛けて立ち上がれば、数年前から世界中に普及した携帯端末「PET」の中から声がしていた。熱斗はそれを手に取り、画面に映る少年に返事をする。
「何だよロックマン!脅かすなよ!」
『だって熱斗くん、さっきから独り言ばっかりなんだもの!しかもまるで自己紹介みたいだったし!』
「え"。こ、声出てた?」
『うん』
「ロックマン」、顔以外の殆どの部分を青いアーマーに包まれた画面の中の少年の名だ。この携帯端末PETの中に入っている人格付きのプログラムの事を「ネットナビ」と呼ぶ。今やナビは生活のお供となっており、様々な仕事をこなす。
…と言うのも、インターネットが普及も普及、「電脳」と呼ばれる世界が普通のコンピューターからPETの様な小型端末、TV局のアンテナや街の重要施設、はたまたTVやトイレ、古びたスピーカーや銅像といった場所にも広がっているこの西暦20XX年の世界だからこそだ。
ありとあらゆる場所に広がるネット世界はもう1つの地球と言っていい程に日々世界を広げている。それもこれも科学者達の努力の賜物である。こうしたネット世界がいつから普及したのか覚えている者も少ないだろうが、今やネット世界はナビを通じての人間の仕事場であったり、子供達の遊び場であったりもする
一時期このネット世界による教育への悪影響や体の未発達等も問題に取り上げられたがそうなる人間はごく少数。熱斗達の様な健全な少年達にとってネット世界はあくまで遊び場の1つであり、サッカーやバスケットといった遊びもしっかりと流行っている。
…無論、これだけ普及したネット世界で問題が起きない筈は無い。街の水道や電気の通り、データによる物資の運搬等もネットで行われている為、そういった仕事や日常への障害もしばしばある。
が、1番の問題はネット犯罪である。過去にネット世界の封鎖を提案させたレベルのネット犯罪………数件、数十件と行われた全てが解決されてはいるものの、一部の人間には恐怖として未だ巣食っていた。
光熱斗とロックマンも、そういった事件を解決して来た人物。知る人ぞ知る世界のヒーローといった所か。熱斗の小学校への来賓として来たがっている人物は皆、熱斗と事件で関わってきた人物である。
熱斗が引っ越して来てから1年、というか1月も経たない内にこの才葉シティでも熱斗の人生で5本の指に入る大きな壁にぶち当たった。
―電脳獣事件、ネットワーク全体の支配や消滅さえも有り得たこの事件はついこの間の出来事。熱斗は時折ある物を見ては懐かしく、そして哀しくも感じる事件だ。
才葉シティの後にも先にも最大となるこの事件は小学校や中学校でも語り継がれる事となった。現在、とある2つのプログラムが科学者達の間で開発中であるらしいが熱斗は詳しい事は知らない。
ただ、その2つのプログラムはいつか必ずネット世界に一時でも、完全なる平和を取り戻すだろうと熱斗は父から聞かされていた。
そのプログラムの完成や、今の人生を楽しみながら熱斗は中学生活を過ごしていた。
話は戻るが、どうやらロックマンは熱斗に用事があった様だ。
「で、俺の独り言はともかく、どうしたんだよ?」
『どうしたもこうしたもないよ!今日はコジローくんと明日太くんと一緒に、ミシロシティに行く約束だったでしょ!』
「・・・」
「あーーーーーーっ!!!忘れてたあああああああ!!何で言ってくれないんだよロックマン!?」
『今言ったし何度も言ったし何より熱斗くん珍しく余裕を持って起きてたのに独り言に夢中だったよね!?』
「こうしちゃいられない!行くぞロックマン!」
『チケット忘れないでね!!』
2階の部屋から飛び出せば、既に朝食も済ませて準備万端の熱斗は必要最低限の荷物を揃え、愛用のインラインスケート、というか自分の足を走らせる。
リビングの母と父に挨拶は忘れない。
「ママ!パパ!コジロー達とミシロシティ行ってくる!」
「行ってらっしゃい!あんまり遅くならないのよ〜」
「お金は出してあげるから、欲しい御土産があったら買っておいで。トーナメントも期待してるぞ熱斗!」
「『行ってきまーす!』」
元気よく飛び出せば、家からそう離れていない駅へと向かう。そこには不機嫌そうな不良っぽい少年と、帽子を被った気の良さそうな少年が待っていて2人で話していた。
「………おそい!」
「まぁまぁコジローさん、熱斗さんも流石に忘れちゃいないと思うっスよ?」
「忘れてたら大問題だろーが!折角3人分のチケットをやいとに用意してもらえたんだぞ!?」
「そういえばやいとさんも来るって話だったっスよね。」
「デカオ達のチケットは流石に無理だったって。んな幼馴染より俺達を優先してくれなくても……」
「おーーーーーーーーーーい!!!」
「あ"っ!!」
「熱斗さん!おはようっス!」
ローランスケートの音と熱斗の大声のする方を向き、不機嫌そうに怒り心頭といった感じの少年は新垣コジロー、熱斗がこの街に越して来てから最初に騒動を起こした人物でもあるが、今となっては才葉シティでのデカオポジション。熱斗の親友にまで昇格している。
もう一人の少年は大森明日太、こちらも熱斗の才葉シティでの親友、チップショップ「アスタランド」の一人息子であり熱斗が足を運ぶ休みの日や放課後はいつも店の手伝いをしている。
そんな2人とこの土曜日、最近話題となっているミシロシティでのイベントに行く筈だったのだが…
「集合時間30分過ぎてるぞ熱斗ォ!」
「ご、ごごごめんって!悪かった!この通り!」
パン!と音がするくらい強く手と手を合わせて頭を下げる。中学生にもなって遅刻なんて、と言いたげなコジローであったが、こういうの見越して早めに集合したんっスと収めるアスタに免じて気を沈めた様で。
「次やったら容赦なく置いてくからな!」
『へっ、相変わらずお前は熱斗に甘いなコジロー?』
「うるせぇ!」
『いつもごめんね、僕も注意してるんだけど…毎回恒例っていうか……』
『気にすんなよ、コジローのやつ、これはこれで楽しんでるからな!』
そう言うのはコジローのナビ、こちらはオレンジ色のノーマルタイプ(ロックマンの様なデザインは特別なデザインである)のナビであるが、目付きが如何にも不良といったイメージで、喧嘩っ早いオペレーターに似ている様だ。
ただ悪知恵が働き、且つ面倒見の良い性格故コジローとの仲は良好。一度問題は起きたがそれ以降は特に問題無く悪友コンビとしてやって行っている。
「たく……!行くぞ!ミシロシティまで1時間以上掛かるんだからな!」
「分かってるよ!それじゃあ出発だ!」
3人は最後にチケットの確認をしてモノレールの様な電車に乗る。熱斗が入場に必要なものな土を忘れてた誰かに譲って貰う為奔走するのはありそうな事なのでロックマンは一安心した様だ。
因みこの熱斗達の行き先であるミシロシティという場所、熱斗達が才葉シティ…セントラルタウンに越して来た頃に段々と名を各地に轟かせていた大都市らしい。
ミシロシティの掲げるテーマは「リアルとネットワークを通じたアイドルによるエンターテイメント」と言う事だそうで、一見するとネットアイドルやナビのアイドルと思われがちだが、あくまでミシロシティの登用しているアイドルは全てリアルの人間であり、リアルでの活動を広大なネットワークを利用し全世界に配信しているとの事。
ミシロシティ最大の街であるミシロタウンにある346プロダクションに所属するアイドル達は日々、人々の笑顔の為奔走していると言う
実はミシロシティはその広大な面積に関わらずネットワーク社会、電脳世界がつい最近まで発展途上だったもので、他の街とは一線を置いていた為今まで日の目を見なかったものの、ミシロシティ自体はアイドルによる盛り上がりはとてつもなく、一部地域からは注目を浴びていた。
今日、他の街と同等のネットワークが完成し引かれた為、掲示板でちょくちょく騒がれるのが関の山だったアイドル達は前面に押し出された。勿論ネットナビやネットワークの遊び場等の人気は健在であるが。それでもこの盛り上がりは一過性かもしれずとも歴史に残る程の物だったのだ。
そんな中、熱斗の小学校での親友の一人、綾小路やいとから一通の招待状が届いた。
「ネットワークシンデレラフェスティバル」……346プロダクションのアイドルが一同に介してミニライブや握手会、物販、ネットバトルトーナメントの実況解説、はたまたアイドル達も参加するトーナメント等が開かれるという一大イベントだ。
ただ、このイベントには一般枠と招待枠がある模様で、財閥のお嬢様であるやいとの所に一通、そして財閥自体に四通が届いたという事で、熱斗達も招待される事となった。どうやらやいとの両親は両親で招待を受けたらしく、そのせいで余ったのだとか。
同じ小学校時代の親友であるデカオやメイルは良いのかとメールで尋ねた所「2人は一般で行くらしいから会ったら挨拶しときなさいよ!というか会いなさい!」との事。要するに熱斗やコジロー達が来るのを忘れない様にする為のやいとなりの配慮なのだろう。デカオに関してはメイルがいれば心配無いだろう。
「それにしても………ミシロシティネットバトルトーナメント!これだよな〜!」
「熱斗!こないだの中学開催のトーナメントじゃ負けちまったが、今度こそ負けねぇからな!」
「ふ、2人共……アイドルはどうでも良いっスか……?」
「「よくない!!」」
『『………(はぁ)』』
実はやいとの招待が無くとも熱斗達が一般で行く可能性は充分過ぎる程にあった。理由は単純明快、つい先日、才葉シティのバンパクにアイドルユニット「Linkers(リンカー)」がやって来たからだ。
「Linker」とは346プロダクション内でつい最近(と言ってももう数月は経つか)出来たユニット、5人のアイドルと専用ネットナビで構成されたユニットである。各メンバーの腕っぷしも女の子とは思えない物で、今やアイドル業界のグループ式ネットバトルではトップ争いに参加している程。
その折にネットバトル自体はしなかったのだが、バンパクで彼女達がネットバトルが強いと言う事を知り、熱斗やコジローはすぐに帰って動画検索、その戦いぶりやアイドルの可愛らしさに心惹かれてしまったという訳だ。
………メイルに知られてはどうなるか分からない為ロックマンは気が気で無かったりするのだが。
兎にも角にも、熱斗達は今日は存分に楽しむつもりでいた。目的はLinkerの5人との握手や交流、そしてトーナメントへの参加である
「燃えるよなぁコジロー!ボンバーッ!!」
「あったりまえだ!!待ってろよ〜○○ちゃん!」
「僕は○○さん推しっスね〜」
『へぇ、奇遇だね明日太くん!僕もだよ!』
『コジローは大人の女が好きだからなぁ〜(ニヨニヨ)けどありゃぁ大人の女………て言うのか………??』
「う、うるせぇ!お前だってファンだろ?!」
メトロの電車の中で他愛の無いやり取りが繰り広げられる。目的地までは約2時間程。恐らく熱斗達の話題は尽きないだろう。
――この時、そしてイベントまではまだ、熱斗達の心はドキドキワクワクのみで満たされていた………