空には隅々まで蒼天の晴れ模様、外で運動するにはもってこいの天候。1人、織斑一夏はアリーナ上空にそびえ立つケンシロウの前に百式を展開し飛んで行く。
ケン「来たな一夏よ、互いに悔いの残らないよう拳を交えよう。」
一夏「くっ、こっちだってただでは負けねぇ・・・!勝負だ!」
ケン「迷いは消えたようだな」
一夏(とりあえず5分食い付いていけばラオウが来る・・・、それまで耐えてチャンスが来たら一気に叩く!!)
「試合開始いいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!」
やけにテンションの高い審判の声と共に試合は始まった。
箒「一夏!相手は強敵だ、とりあえずお前は防御に専念しろ!」
一夏「言われなくても・・・!」
ケンシロウは一夏に向かって突撃、拳を振るう。一夏は反応が遅れたが専用武器の雪片で何とかこれを捌く。
一夏「ぐっ、何て威力だ・・・!?一発貰ったら即アウトだぞこれ!?」
ケン「どうした?守ってばかりでは俺には勝てんぞ!あ~たたたたたたたたたたたたたたたたたたたた!!」
更にラッシュをかけるケンシロウ。一夏は全力でこれをかわす。一夏の百式はセシリアとの戦いの中ファーストシフトを経て本来の姿に変化し、その機体性能は格段に上がっている。百式とのシンクロ率も相まってケンシロウより僅かに行動が速い。
一夏(何とかこれなら受けられる!今なら・・・!)
一夏「うおおおおおぉ──────!!」
ガキイィィン!
一夏の剣は惜しくもケンシロウの拳に防がれた。
ケン(この剣・・・、レイに似たものを感じるな)
かつてライバルであり友であった南斗水鳥拳のレイを思わせる太刀筋と感じたケンシロウ。単なる気の迷いだろうか、一旦一夏から距離を取る。
一夏「行ける!あのケンシロウとやりあえてる!」
対等だと思い浮かれる一夏は掌を握ったり開いたりを繰り返す。
千冬「あの馬鹿者・・・、浮かれているな。」
山田「え?でも調子が良いように見えますけど?」
千冬「さっきから掌を握ったり開いたりしているだろう?あの癖が出るとき大抵あいつは簡単なミスをする。」
山田「流石姉弟・・・!よく見ていらっしゃるんですね!」
ラオウ「べ、べーこん・・・」
箒「それはブラコ・・・」
千冬「何か言ったか篠乃?」ポキッポキッ
箒「何でもありません!すいませんでした!!」
ラオウ「うぬ、ケンシロウに似てきておらんか?」
一夏はこのままケンシロウに斬りかかる。ラオウが来るまであと1分。その前に決着を着けようと言わんばかりの攻め様。ケンシロウが動きに慣れる前に、攻撃を受ける前に。
ラオウが来るまであと30秒
ケン「あたっ!」
一夏「ぐっ!!」
一夏はケンシロウからカウンターを貰いそうになり左腕で受ける。いや、受けてしまった。
ケン「一夏、お前はなかなか面白いやつだ。戦いの中どんどん強くなっている。」
一夏「何だよ急に?今流れは俺の方にあるんだぜ!」
ラオウが来るまであと20秒
ケン「お前はもっと強くなれる。いずれは大事な人を守るために命を捨てそうな男。焦らず一歩ずつ強くなれ!」
一夏「何を言ってやがる!今は戦いの最中だろ!?」
一夏はケンシロウに向かって斬りかかる。 零落白夜発動!
ラオウ「・・・惜しい男よ、一夏」
ラオウはゆっくりとアリーナへ飛び立つ。ラオウの一言を千冬は理解した。そうか、あの一発でもう試合は終わっていたのだと。
お 前 は も う 死 ん で い る
一夏「うおおおおおおぉぉ!!」
3 2 1 ・・・
ケン「0だ!」 ピブ───────
ミシミシミシッ ボヒューーン グシャァァ
一夏「うわああああぁぁぁぁ!?」
ケンシロウのカウントダウンともに百式の両腕は爆発、木っ端微塵になる。一夏の最後の剣はケンシロウに届くことはなかった。怪我はしていないものの、両腕がない今、雪片を握ることができない一夏。悔しがる一夏をケンシロウは悲しい目で見つめる。一夏の後ろにいたラオウもまた然り。
千冬「言わんこっちゃない、私でさえ彼に稽古をつけてもらっているのだからな、当たり前だ。」
山田「でも織斑くんもすごい頑張りましたよ。」
箒「一夏・・・」
観客席からも一夏を称える声援が贈られる。
ラオウ「ふん、うぬにしては惜しかったな。あとは北斗の闘いを見ているがいい!」
一夏「ちくしょう!やっぱり守りに徹するべきだったか・・・」ブツブツブツ
ラオウ「・・・」
ヒコウ トウイ!! ギャ───!?
ケン「哀れな、一夏よ。」
ラオウ「ふん、敗者は去るがよいわ!」
千冬「またしてもこの二人の対決を見ることになるとは・・・、全教員は緊急事態に備えて待機!少しでもアリーナのシールドが危険だと感じたら生徒を避難させろ!救護班も準備にかかれ!」
千冬の指示により万全な体制が構築される。たったあと4分の試合だというのに、その対決の危険度は空を見れば誰でも納得いくものである。先程まで快晴だった蒼天は黒雲に染まり強風が渦を巻く。まるでラオウとケンシロウを中心に世界が回っているかのように。
一夏「痛てて・・・、いったいこれから何が起きるんだ?」
箒「お前生きてたのか・・・。」
一夏「まだ頭が出っ張ってるけど何とか。」
千冬「おいお前たち、早くシールドの内側に・・・、織斑、その頭どうした?」
一夏「その内元に戻るさ!」
千冬「まぁいい。早くシールドの内側に戻れ。闘いに巻き込まれるぞ!」
救護室
セシリア「・・・どうやら寝てしまっていたようですわね。」
戦いの疲れからか眠りに落ちていたセシリア。アリーナからのざわめきにより目を覚ます。
デカイ看護婦「おやぁ?今起きたのかい嬢ちゃん?これからとんでもないバトルが始まるわよ!ヒャッハー!!」
セシリア「!?そういえば次はたしか・・・!」
あわててモニターを見るセシリア。二人の闘いの波動に導かれたのか、彼女の心は踊り始める。
セシリア「彼らの戦いが本当の『闘い』だというのなら見逃す訳にはいきませんわ!」
IS学園全体を震撼させる二人の闘いが今始まる!
BGM ~begining of the legend
ケン「いくぞラオウ!」
ラオウ「来いケンシロウ、雌雄を決せん!」
二人の体、機体から闘気が溢れだし、互いに相殺しあう。
千冬「おそらくだがこの闘いは一撃で決まる・・・!」
学園の全人間が唾を飲み、静かに見守る。そしてアリーナに稲妻が落ちる!その瞬間こそ闘いの合図!
ケン「ポウ───────!」
ラオウ「ジョイヤ────!」
二人は高く飛び上がり勢いをつけて互いに向かいあう。
ケン「 北 斗 七 死 騎 兵 斬 」
ラオウ「 ドリヤ────────────!」
ドギャ─────────────────ン
拳の衝撃は学園に留まらず近隣の街や施設にも響き渡る。海浜地域では津波に嵐、地上では震度5の地震。二人は地上に着地し互いに背中を向けている。どちらが勝ったのかまだわからない。ただわかるのは先に動いた方が負けであるということ。
一夏「どっちが勝ったんだ!?」
ミシッ
音はラオウから聞こえてきた。瞬間黒王号の右腕は爆散、勝ったのはケンシロウである。
ラオウ「ばっばかな・・・!?」
ケン「天地を砕く剛拳もこの一握りの拳を砕くことはできぬ!」
ウオオオオオオオオオオオオオオ───────!!
観客席から大喝采、拍手の嵐。空はいつの間にか蒼天に変わり、闘いは終わりを告げた。
一夏「すげぇ・・・、これが北斗の闘い!」
千冬(学園が壊れなくて良かった・・・・・)
山田「ケンシロウくんも凄かったですけどラオウくんも惜しかったですねー!」
箒「バ、バケモノだな・・・。」
セシリア「すごい、これが殿方の本当の闘い・・・、ラオウさん・・・////」
ラオウ「ケンシロウ、今回は貴様の勝ちだ。負けを認めよう。だが・・・この俺にも生き返ってなお目指すものができたわい。」
ケン「ラオウ・・・、いい死合だった。」
生前、過去に一度も交わることのなかった拳が今ようやく重なりあう。
審判「以ぃ上で本日の試合は全て終ぅ了とするぅぅぅ!アリーナ内の生徒は全員移動開始ぃぃぃぃ!」
千冬「どうやら無事に終わったな」
一夏「あの審判の先生やけにテンション高かったよな?」
箒「知らないのか一夏?あれは審判や実況をやらせたら右に出る者はいない千葉しげ子先生だぞ?」
山田「そうですよ。すごく優しくて元日本の代表候補生で私の先輩です!」
しげ子「くおぉらぁ~そこの生徒~!早く移動せんか~~!?」
一夏「・・・女だよな?」
箒「女だ。」
山田「女です。」
試合後 生徒寮にて
箒「今日は残念だったな一夏」
一夏「まぁ仕方ないさ、俺はセシリアともケンシロウとも全力で戦ったんだ。悔いはないさ!」
箒「そうか・・・、そうだな!お前は良くやった!」
一夏「あ、そうだ箒。」
箒「何だ一夏?」
一夏「試合前に俺を鍛えてくれてありがとうな!また時間があったら頼めるか?」
箒「な、なんだそんなことか////れ、礼には及ばん!私はお前の力になれたのだからそれで十分だ////予定が合えばいつでも稽古をつけてやるから遠慮はいらん!」
一夏「おう!頼りにしてるぜ!」
一夏(今日俺は目標を見つけたんだ!絶対強くなってあの二人に、ケンシロウとラオウに追い付いて、大事な人達を守れる男になるって!)
生徒会室
楯無「いやーまさかケンシロウくんがあんなに強いなんて正直お姉さんドン引きしちゃったわよ。」
ケン「手加減は相手に失礼だからな」
楯無「だからって一夏くんの両腕が爆発した時は本当にびびったわよ?」
ケン「あれは北斗神拳の奥義が一つ、五指烈断と言って・・・」
楯無「その北斗神拳についてちょっと調べさせてもらったわ。」
ケン「何?」
楯無「元々中国で2X00年前に創始された伝説の暗殺拳・・・、秘孔という人間の部位をを自らの闘気を纏った指や足で突いて内部から破壊する憲法と言ったとこかしら?」
ケン「どうやってそれを?」
楯無「私の家系も代々昔から日本の政治を裏から支えてきたものなの。本気を出せば調べられるわ。」
ケン「以外としっかりしているんだな」
楯無「レディに向かって失礼ね!そんなんじゃ同級生の子にモテないわよ?」
ケン「俺には愛しのユリアが ・・」
楯無「で話はこっからよ。」
ケン「・・・(´・ω・`)」
楯無「調べた結果、歴代の伝承者の中で偶然にもあなたと同じ名前を2つ見つけたのよ。一つは62代目の霞拳志郎、そして64代目のケンシロウ。こんな偶然中々ないとは思うけど。」
ケン「・・・」
楯無「もしかして貴方はこの時代の人間ではなく過去の人間だったりして・・・」
ケン(この子には話しても大丈夫だろう。)
ケン「そうだ。俺は元々第64代北斗神拳伝承者ケンシロウだ。霞は師父の性からかってに付けた。」
楯無「やっぱり!私って探偵の才能あるかも?」
ケン「流石としか言いようがないな。楯無、この事は・・・」
楯無「大丈夫よ、私口が固いほうだから!にしても過去の、しかも亡くなった人間が現代にってどういう原理なのかしらね?」
ケン「ラオウも同じく伝承者争いに加わった血の繋がらない俺の兄だ。何故甦ったのか理由はわからん(流石に戦争が起きるなんて知ったらまずいからな)」
楯無「そう、不思議ね。何故貴方達がこの時代に来たのか・・・、何かとんでもない事がおこるんじゃないかしら?」
ケン(鋭いな)
楯無「まぁ気になった事については解消したことだしケンシロウの祝勝会でもする?お姉さんがたっぷり労ってあげるわよ?」
ケン「ユリアはこんなにけしからん女ではない!」
楯無「じゃあユリアさんって人がエッチな事してるのを想像してみたら?」
ケン「何?」
楯無に促され妄想するケンシロウ。途端にケンシロウの鼻から大量の血が噴き出す。
ケン「ぐはあぁぁぁぁぁ─────!?」
楯無「ち、ちょっと!ケンシロウくん!?」
ケン「む、無念・・・」バタッ
楯無「冗談だったのに、案外男の子してるじゃない?面白いんだから笑」
この日人生で初めてケンシロウは女性に負けた。