全地球防衛戦争―EDF戦記―   作:スピオトフォズ

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第七十五話 苦境の要塞攻略と、轟炎の巨獣上陸

――4月11日 EDF第11軍 第六軍団作戦本部――

 

「ひ、光の壁じゃと……!?」

 

 通信と、スカウト部隊による映像を見た西原少将は驚愕する。

 映像からは、幾重にも複雑に重なる”光の壁”が、戦艦群による砲撃を完全に阻んでいた。

 

「おのれ……!! 構うなッ! 砲撃を続行せいッ!! ダメージを与え続ければ、光の壁を突破出来る筈じゃ!! そうでなけりゃあならん!!」

 

 西原少将は額に汗を浮かべながら、必死の思いで命令を発する。

 命令を受け取った戦艦打撃群は、再度全力砲撃を叩き込む。

 

 しかし――。

 

『こちら、スカウト7!! 駄目ですッ! 砲撃による効果は一切認められません! 光の壁は無傷です!!』

 

『本部! 応答願います!! 四つ足のハッチから、未確認の飛行物体が出現ッ!! 銀色に輝く円盤です!!』

 

 光の壁を突破出来ないどころか、新たな新型まで出始めた。

 

 ──その姿はまさに円盤だ。

 四つ足と比較すると小型な円盤状の飛行物体で、複雑な形状であるガンシップに比べ、簡素とも言える。

 

 同様に、一見ガンシップやレイドシップのような白銀の装甲を纏って見えるが、すぐにその比では無い事が分かる。

 

 色は白銀どころか完全なる銀色に近く、そして最大の特徴として、周囲の景色を完全に反射する、綺麗に磨かれた鏡のような性質を持っていた。

 

 外周と中央上下にアンテナのように突起が伸びており、それすらも目を凝らせば鏡のようになっている徹底ぶりだ。

 

 排出されるその数は増え続け、これまでのガンシップと同じタイプの量産型であることが推察される。

 鏡のようである事は欺瞞の意味も存在するのか、周囲の景色と溶け合って遠目では数も正確に確認し辛い。

 

「このタイミングで新型じゃと!? ええい構わん! なんかさせる前に砲撃せえッ! 出鼻を挫けフォーリナーめ!!」

 

 先手必勝を地で行く西原少将は、様子見も調査も飛ばして攻撃を命令。

 迅速である事は時に最適解となるが、この場合は失敗であった。

 何故ならば──

 

――伊勢湾内 カグツチ級EDFミサイル巡洋艦-23番艦クラミツハ――

 

「敵新型円盤、移動開始! 総数50超! 約半数が、光の壁を抜けましたッ!」

 

 銀色の小型円盤の半数が歩行要塞から離れ、沖合に鎮座するEDF艦隊へ向かった。

 地上への精密火力支援を終え、状況に応じて戦う力を残していた”クラミツハ”にも十数の円盤が迫る。

 

 大抵のフォーリナーは、射程に優れる種であっても接近する事を好むが、何もしないまま接近するという事は、射程はかなり短い事の証左となる。

 

 少しだけ安堵しつつ、油断せずクラミツハ艦長は声を張り上げる。

「射程はこちらに分があるな……! 全砲門、VLS開け! 照準を四つ足から円盤群中央へ! 自動迎撃起動!」

 

 輸送艦による給弾を終えた224mm単装砲やその他の武装に一斉に火が入り、僅か数秒の後に戦闘態勢へ移行する。

 身構えたクラミツハに迫る銀色の円盤の些細な変化を、オペレーターが総出で分析する。

 だが銀色の円盤は、どの様な機動でどの様な攻撃をするのか、そう思うこちらの予想を斜め上から裏切り、突然形を変えた。

 

「!? 円盤が形を変えた!?」

 

 オペレーターは思わず口に出す。

 円盤は、突如停止し、底面を真正面に回転させ、そして外側を展開し、広く大きくなる。

 

「ふん、まるで鏡だ! 撃ぇーーーッ!!」

 

 その円盤の様子を形容し、クラミツハ艦長は攻撃の隙を与えぬとばかりに命を下す。

 砲弾やミサイルは艦を飛び立ち、円盤群へ直撃コースを飛翔する。

 砲弾は運動エネルギーと化学エネルギーで対象を内部から爆散させ、ミサイルはその爆薬で周囲を灰塵と帰せるだろう。

 

 ――しかしそのどちらも効果は現れず、そればかりか直後に艦各所が次々と衝撃と轟音を伴い爆発した。

 

「なんだッ! ――報告しろ!」

 

「主砲一番、副砲三番爆発により大破! 主砲二番、基部中破、砲塔旋回不可能! 主装甲、一部が二層まで融解!!」

 

 クラミツハは甚大な被害を被る。

 

「敵の反撃か!? どうなっている!?」

 

 敵から、見間違いでなければ何か光線のようなものが見えた。

 しかし、それが反撃だとしても敵の方でミサイルや砲弾の爆発が見えないのはおかしい。

 

 間違いなく命中した筈だったが、仮に外したとしても一切爆炎が上がらないのは何故か。

 答えは艦橋の弾道観測員から伝えられた。

 

「弾が……、我々の砲弾が跳ね返されたんです!!」

 

「馬鹿な!?」

 

 攻撃の反射。

 それはつまり完全防御とこちらへの反撃を同時に行う完璧な戦闘スタイルだ。

 その常識の無さに一瞬否定から考えてしまった。

 

 だが、フォーリナー相手にもはや常識など通用しないのだ。

 

「敵機直上ーッ!! 突っ込んで──いや、形を変えましたッ!!」

 

 その思考の隙を突いたかのように、鏡のような円盤はクラミツハの真上に移動していた。

 数機が、まるで花でも咲かせるように、一斉に展開し、迎撃火器の正面に躍り出る。

 

「いかん!! 自動迎撃を切れ!! ――ぐわぁッ!!」

 

 クラミツハを酷い衝撃が包む。遅かった。

 

 迎撃に動いたCIWSのヘッジホッグや短距離ミサイルシステムが鏡のような円盤を攻撃し、そしてやはり攻撃は反射され、光線――レーザーとなってクラミツハを破壊する。

 敵接近に反応した迎撃火器類は軒並み沈黙した。

 

「――攻撃中止! 全砲門、撃つな! 撃つなぁーー!!」

 

『全艦に告げる! 敵新型円盤を攻撃するな! 円盤はこちらの攻撃を反射し、損害を与える! 繰り返す! こちらからは攻撃するな!!』

 

 艦長の命令と、大城提督からの通信は同時だった。

 

 鏡の様な新型円盤は、艦隊の周囲に展開と移動を繰り返す他、歩行要塞周囲にも、護衛するかのように漂い、今もその数を増やしている所だった。

 

――第六軍団作戦本部――

 

「ぐッ……何ちゅう事じゃ……! これでは歩行要塞を攻撃する事が出来んぞ……。ええい忌々しい新型を出してくれるな!! おのれぃ!」

 

 要塞周囲に攻撃を反射する円盤がいる以上、こちらからの攻撃は反撃と同等になり、向こうにダメージは一切ない。

 詰み、という言葉が西原少将の頭を過ぎり、思わず首を振って正気を取り戻す。

 

「軍団長! 歩行要塞が休止モードに入りました! プラズマ砲の修復が間もなく完了します!!」

 

 こちらが打つ手を迷っている間、あちらは着々と修復を進める。

 修復が完了すれば──最後の生命線、大阪神戸が火に包まれる情景もそう遠くは無い。

 

「分かっておるわい!! こうなれば……沿海域戦闘艦、前進じゃいッ!! 岸ギリギリまで接近し、先進速射砲で精密射撃じゃ! 新型円盤を回避し、歩行要塞のシールドに打撃を与えい!!」

 

「駄目ですッ! 既に一部の艦が独断で行っていますが、新型円盤に阻まれ効果無し!! 反射によって艦隊、攻撃能力を失いつつあります!!」

 

「ミサイルは!? 精密誘導ミサイルでも駄目か!?」

 

「敵の移動能力は、こちらの誘導性能を大きく上回っている模様!」

 

「おのれぇッ!! かくなる上は、核攻撃で周辺一帯を吹き飛ばすしか――」

 

「――苦戦しているようですね、西原少将」

 

 血迷う西原少将の前に訪れたのは、倒れていたという話の榊玄一中将だった。

 わざわざ作戦司令本部ではなく、前線の軍団作戦本部に顔を出したという事は、変化する状況により柔軟に対応する為であろう。

 

「榊!? ようここに顔出せたもんじゃな! 敬語なぞ使うな気色悪い」

 

「ではお言葉に甘えまして。……状況は粗方聞いている。業腹だが、一時四つ足への攻撃を中止せざるを得ない」

 

「プラズマ砲はどうする気じゃ。修復完了まで幾ばくもあらんと聞いちょるが」

 

「どうにもならん。完全修復が終わるまでに、あの光の壁の突破方法を解析しなければな。ただ、奴の巨大プラズマ砲の射程がデータ通り30km程度に収まるのであれば、厄介ではあるが最悪の事態とは言えない。……周辺都市は巨大生物の侵攻によってほぼ壊滅しているからな。ただし、攻略難度は各段に上がる。正面からの突破はまず不可能になる……。それに加え、あの光の壁と新型円盤だ。笑えもしない」

 

「……負けを認めよるか。無力化に失敗すれば、次に大阪や神戸が標的となるじゃろう。極東第一工廠を狙われれば、一溜まりもあらんが」

 

 周辺でまともな都市はそこだけであり、後は殆ど廃墟しか残っていない。

 とは言え、歩行要塞を極東第11軍単独で撃破するにあたって、唯一の希望であった巨大プラズマ砲機能不全というアドバンテージが無くなることは、非常に苦しい。

 海外での撃破例に習い、核攻撃を行うか、玉砕覚悟の突撃を行うか……どちらにしても、日本に明日は無くなると言える。

 巨大プラズマ砲が本来の性能を発揮出来ていない今こそ、撃破の好機だったと言うのに、みすみす逃してしまったのは腹立たしい。

 

 そんな思いを飲み込み、榊は平静を装う。

 

「分かっている。その場合は日本戦線は崩壊に直面しかねない。ここまで我々が善戦出来ているのは、極東最大の第一工廠と、豊かな海底資源のお陰だ。失う事は何としても避けたい。それより、あの新型円盤をどうにかしなければ」

 

 東シナ海の海底資源が無ければ、過去の様に輸入に頼って生きるしかなく、この鎖国の様な状況には持ってこれなかっただろう。

 

「……策はあるがか?」

 

 西原少将の訛った低い声が榊に問う。

 

「それをこれから分析する。必ず弱点はあるはずだ。……そうでなければ、人類は終わりだからな」

 

 榊の祈りを込める様な声の直後、女性の声。

 

『司令! 分析結果でました!』

 

 京都にある作戦司令本部のルアルディ中尉から通信だ。

 榊の返事を待たず、報告を行う。

 

『新型円盤の特殊装甲は、接触した物理運動をエネルギーに変換し、それを任意の確度で反転、エネルギーを発射した位置に放出します』

 

「射手の移動に限らず、撃った弾がそのまま返ってくるという事か。一体どういう原理なんだ……」

 

『原理は詳しく分析してみないと分かりませんが……、不可解な点が』

 

「なんだ?」

 

『撃墜されている機体が多数存在しているのです。特殊装甲を全身に纏う新型円盤ですが、確実に何か撃墜する手段があるようです! 残骸を回収し、分析してみるか、或いは……』

 

「映像解析か。だが、新たな戦闘映像を撮影するのは……」

 

 現状、攻撃は被害に直結する。

 どの程度の精度かは不明だが、戦艦類の被害を確認すると、射手も無事ではいられない事は明白だ。

 細かい報告はまだだが、艦の状態を見るに相当の死傷者が出ている事は間違いない。

 人命と装備の被害は甚大だ。

 

「反射時の映像が欲しいんじゃろ? じゃったらワシらがやっちょるき」

 

 名乗りを上げた西原少将は、軍服を脱ぎ、クローゼットに仕舞った戦闘服(アーマー)に手を掛ける。

 

「犠牲前提の作戦を部下に強いるというのか? いくら何でもそれは……」

 

「分かっちょるわい! しかっと考えとるしワシも出るがな! 命張らんと何が指揮官じゃボケ!」

 

 言い終わるころには、機甲部隊用の簡易なアーマーを着用し終え、いつの間にか戦闘準備は整っていた。

 軍団長ともあろう高級将校が、前線に出る気は十分のようだ。

 

「……ふっ、貴方はそういう人でしたね。その精神に色々学ばされたものですが、今となっては羨ましく思います」

 

 やや懐かしげに、遠い目をして榊は呟く。

 

 元々、榊の情に厚く現場主義な所は、かつての上官であった西原少将に影響を受けたところだ。

 しかし西原はその精神を部下に受け継がせることを嫌い、有能であった榊には有能な指揮官としての立場を弁えさせるように求めた。

 その結果、すれ違う事も多かったのがこの二人だ。

 

「フン、兵法的にゃぁ愚策じゃが、わしゃ好かん。安心せい、犬死にする気ぁ無か。そうと決まりゃぁすぐやっちょるけぇ、ここはきさんに任すぞ! そん代わり、砲自体の損害は許容せい。わしの砲兵旅団は、この戦いで壊滅すると思え。犠牲を無駄にすることは許さんけん、気張れよ!」

 

「頼む。こちらも最善を尽くそう!」

 

 その台詞に満足した様子もなく、不満げに鼻を鳴らして西原少将は出て行った。

 そんな彼の様子も気にする事無く、榊は通信機に向き直る。

 

「ルアルディ中尉、”光の壁”の方はどうだ? 何か分かったか?」

 

『はい! こちらも映像と観測による簡易的な分析ですがいくつか判明してます。”光の壁”の正体は歩行要塞のフォースフィールドと似たような性質があるみたいです」

 

 フォースフィールドとは、要塞側面と正面に展開している橙色の電磁防壁だ。

 一切の物質の通過を許さず、触れた物質全てを破壊する。

 光学、物理、化学エネルギー全てに強い耐性を持っており、現段階の人類の科学力では突破出来なかった。

 現状、科学力で押し切れた白銀の装甲よりも強固であり、マザーシップの防御力も、このフォースフィールドを応用した技術ではないかとみられている。

 

「とはいえ、少し見ただけでも違う点はいくつもあるので、区別の為、広く展開しているものを暫定的に”防御スクリーン”と呼ばせていただきます。防御スクリーンは、見た目の通り色素は薄く透明に近いです。展開範囲は半球状で極めて広く、発生装置が複数必要ですが歩行要塞全周を殆ど覆っています」

 

「現時点で複数の防御スクリーンが存在する。つまり発生装置が破壊可能だとしても、複数回の破壊工作が必要だという事か……」

 

 唯一の希望であった、発生装置の破壊が難解だと言うことに声を唸らせる。

 

「みたいです。それと、この防御スクリーンには周囲の物体を破壊する程の力は無いようです。つまり仮定ですが……、原理はともかく、フォースフィールドよりも出力が低く、その分広範囲に展開できるのが特徴かもしれません」

 

「出力が低いというのなら、火力投射で押し切れたりは……」

 

『はい……やって見なければわかりませんが、現実的ではないとは思います、すみません……。それと重要な事がもう一つ、歩行要塞下部から排出された複数個の発生装置ですが、その、”歩く”みたいです』

 

「なに!?」

 

『さっき出て来た防御スクリーン発生装置ですが、歩いて地上のヘクトルやダロガを護るように、防御スクリーンを展開しています』

 

「つまり、必要に応じて攻撃部隊に追従するという事か! 厄介な……! いや待て、装置が移動するというのなら、上手く釣り出して四つ足をがら空きに出来るかも知れない!」

 

『それは……確かに、やってみる価値はあると思います!』

 

 一つの光明が見えたところで、現場に出た西原少将から通信が入った。

 

『こちら第六軍団砲兵旅団じゃけえ! ワシらの準備は完了じゃい! さっさと指示を出せい榊!』

 

 別に怒っている訳では無いのだが、何も知らない人が聞けば怒髪天に達しているのでは無いかと思う怒声だ。

 

『こちらスカウト6! 安全地帯を確保! 映像記録、可能です!』

 

 軍団作戦本部と第11軍作戦司令本部に映像が繋がった。

 歩行要塞を中心に、幾つもの半球状のシールドが広がり、更に地上の機動兵器群を護るように同じ防御スクリーンが広がる様は、まさに”光の要塞”と形容すべきだった。

 

 榊は作戦開始の号令を出すべく、小さく深呼吸すると、通信機前に立つ。

 

『――作戦司令本部より全部隊へ! 敵の新型が現れた! 敵の新型兵器は二種類! 以後、鏡面円盤を”ミラーリング・ドローン”、自走式防御スクリーン発生装置を”シールド・ベアラー”と呼称する!! 新型の二種は四つ足を護り、より辺りを強固な要塞と化している。我々に取れる手はまだ少ない。この二つの新型の特性を分析し、後の勝利に繋げる為の任務を、第六軍団砲兵旅団の諸君らに任す!』

 

 榊の口上が終わり、間髪入れずに西原少将の怒声が無線機に割り込む。

 

『総員傾注じゃあ!! 四つ足に向けて中隊ごとに全力砲撃を叩き込めい!! 撃ったヤツは着弾を確認する前に砲を捨て速攻離れえ! 撃った弾がこちらに跳ね返ってくるけんなあ! 巻き込まれんよう注意するがじゃ! ワシも共に戦うき、きさんら、命張れやあ!!』

 

『『うおおおおおおぉぉぉぉーーー!!』』

 

 第六軍団砲兵旅団は雄叫びを上げる。

 軍団長と共に戦う彼らの士気は極まっていた。

 

『よし! 総員攻撃開始――』

 

 榊中将が命令を下そうとした瞬間、広域無線で凶報が割り込む。

 

『――第17観測所より緊急情報ッ!! ソラスが……、巨獣ソラスが舞鶴市長浜へ上陸ッ!! 海上自衛隊舞鶴基地と、EDF第248駐屯基地が壊滅ッ!! まっすぐ、大阪へ向かっているそうです!!』

 

『なんだと!? フォーリナーめ、大手を掛けに来たか!!』

 

『こちらスカウト6!! よ、四つ足が動き出しました!! 巨大プラズマ砲起動!! 西を指向ッ!! 被害想定地域は……――!? ほ、砲身の射線上には、大阪府中心街が含まれていますッ!』

 

『なんだと!? まさか……届くというのか!? あの距離を!! ――まずい!! 京都大阪に残る全ての人員を今すぐシェルターに移せ!! 砲台の修理――いや改造が終わっている可能性がある!!』

 

『これは……!? 周辺区域の全ての巨大生物が活性化!! 要塞周辺の敵陸戦兵器が第六軍団に向け移動開始!』

 

『歩行要塞周辺の機動兵器群が行動開始!! 第六軍団の砲兵陣地へ向かっています!』

 

『次から次へと!! 周辺の全陸戦部隊! 砲兵旅団の前面に展開し、巨大生物から防衛せよ!!  反射に巻き込まれないよう常に移動しつつ敵を迎撃! 砲兵旅団は直ちにミラーリングドローン及びシールドベアラーへの砲撃を開始せよ!! 一刻も早く歩行要塞を墜とさねばならん! スカウト、子細漏れず報告と記録を取れ! 各部隊、ここが正念場だ! 踏ん張れ!』

 

『榊ぃ! ソラスはどうする気じゃ!! ワシらはとても手が回らんが!!』

 

 ただでさえ困難な状況に拍車がかかり、西原少将も冷静では居られない。

 

『こちらで対処する! 西原少将は前線で指揮を執ってくれ! 映像を解析すれば、必ず光明が見えるはずだ!!』

 

『ちい! 分かっちょる!! そっちゃぁ任せるけん、しっかり気張れや!!』

 

 西原少将なりの激励を浴びせ、通信は乱暴に切られた。

 一方榊中将は超抜級怪生物第一号:巨獣ソラスへの対策に追われる。

 

「舞鶴方面……いや大阪周辺に残っている部隊は!?」

 

 舞鶴方面の部隊は、ほぼ全滅必至といえる。

 

「ほとんどありません!! 残っているのは一部治療中の傷病兵と数名の隊員待ちの兵士、それと護衛として残っている陸軍数個小隊です!」

 

 四足歩行要塞攻略の為、殆どの戦力を名古屋周辺に集めていた事が仇になった。

 

「殆ど戦力にはならない……! 止むを得ん、四つ足攻略に残しておいた予備戦力を対ソラス戦に投入する! 第一師団、第二師団、第三師団の行動可能な全戦力を投入! 空軍も周辺基地をフル稼働だ! 空爆で奴の脚を止める! ソラス進撃を阻止せよ!!」

 

「し、しかし! ソラスの進撃速度著しく、既に舞鶴市市街地へと侵入しました! 周辺地域には民間人が!」

 

「くッ! 無差別爆撃は出来ない……。元より、海外をさんざん苦しめ、幾つもの街を焦土にしてきた怪物だ。――地獄になるぞ……!」

 

 拳を握りしめ、歯ぎしりする榊中将。

 

 そして、舞台は炎上する舞鶴市街の数分前へと移る……――。

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