いや、分割しても良かったんだけどあまりにも展開が遅いのでそんなちびちびやっても進まないしなぁー、と思って1万4千字投下しました。
実際みんなどれくらいが読みやすいのだろうか……(まあそれは人による)
個人的にちょっとした時間でも読みやすいように6千字目安に投稿していたけれど……。情報、もとい感想下さいな!
――EDF戦略火器保管庫 物資搬入ゲート周辺――
漆黒の機械鎧から、この場の全員を射殺すような殺意が発せられる。
グリムリーパー部隊、八名が我々全員を取り囲むように瞬時に配置につき、右手の機械槍を我々に向ける。
比喩ではない。動けば殺られるだろう。その命令遂行力を、私は身を持って経験している。
隊長のアヴィス大尉は、私に気付いただろうが特に意識するでもなく、肉体などアーマースーツの上からでも完全に破壊するブラストホールスピアを向けたまま威嚇を続ける。
その殺意に一歩も動けなくなった私は、必死に脳内を回転させる。
同時に、周囲の会話や状況の変化を注意深く観察しながら。
――元グリムリーパー隊員として、かつて紛争地域を駆け回っていた私は知っている。
今でこそフォーリナーとの戦闘に駆り出されてはいるが、彼らの指揮系統は通常部隊ではなく戦略情報部が握っている。
どこに潜んでいるかは知らぬが、戦略情報部はより大きな目的遂行の為の実行特殊部隊をいくつも持っているだろう。
しかし、
この局面で、私はどう動くべきか――そう思考を巡らせるが、目の前に向けられた機械槍をなんとかせねば、下手に発言する事すら危うい。
生体義肢などの再生医療が発達したEDF医療部門だが、事ここに至っては歴史の闇に葬られる可能性が非常に高い。
まだ事態を完全に把握できていないが、この場で茨城博士をみすみす自爆させる事だけはどうにか避けなければなるまい。
彼女は保管庫とやらを爆破してソラスを仕留めると同時に、自らもそこに留まると言った。
彼女の天才的な頭脳で導き出した方法なのだろうが……何かが引っかかる。
それしか方法が無かったとしても、彼女は自分の命を勘定に入れてなさすぎる。
ただ、実のところ私と茨城博士の関係はそこまで深くない。
気だるげで投げ遣りな態度で自分の命まで擲ってしまうのかと言われれば、まあ、そういう人なのかもしれない。
しかし、そうではない気がする。何故かは分からない。
彼女は、”日本政府との密約”と言っていた。
それが何なのか、かつて何があったのか、なぜ保管庫の爆破に踏み切り、なぜ彼女が共に爆破されなければいけないのか。
まだ全貌は見えない。
私は、どうすべきか。
普通に考えれば、何も出来ぬであろう。
私如きが介入して良い事案ではないし、事は機密中の機密だ。
もはや一介の兵士である私がこの場に存在すること自体が場違いである。
――そんな考えはクソ喰らえだ。
もう、
戦争だ。死は避けられない。だが、ならばせめて足掻いてみよう。
そも、見知った仲であるし、彼女もEDFの一員だ。
EDFは仲間を見捨てない。理由はそれで十分だ
私が、この場を平定し、茨城博士を生存させ、ソラスを葬るのだ。
余りにも傲慢で、現実など彼方へ飛んで行った夢物語に近い。
それでもいい、やってやろう。
ここに仙崎誠が存在するイレギュラーを、せいぜい嘆くがいい!
常識など、とうの昔に放り投げたわ!
そして――全てを成し遂げた後に、胸を張って瀬川葵ともう一度話がしたい。
互いに過去の想いを引き摺りすぎ、すれ違ってしまったが、きっとお互い、まだ理解し合えるはずだ。
その為に、ここでの出来事に決着を付け、最良の結果を引き下げて向こうに戻る。
しかし、決意を新たにしたところで物理的状況に変化はない。
まずやる事はそう、情報収集だ。
私は周囲の状況を改めて確認するが、注意深く見るまでもない変化はすぐ訪れた。
――――
仙崎誠が思考を加速させている最中、つまりグリムリーパーがやってきた直後、同時に状況も動いていた。
スラスターで素早く移動し脅威度の高い人物を中心に、瞬時に機械槍を向けたグリムリーパー。
その中の一人が、槍の切っ先を向けられながら、両手を上げて大げさにのたまう。
「おおっとこれはこれは、情報部特殊部隊の皆々様!! ご機嫌いかがですゥ?
やたらと慇懃無礼で神経を逆撫でするような印象を与えるのは、
彼は男性にしてはやや高くねっとりとした声で続ける。
「まさか防衛戦闘を放り出してまで、完全武装のフェンサー部隊を投入するとは。ええ、ええ。いいでしょう。
彼自身は武装しておらず、純白で皺一つない白衣と白いベレー帽という、異質な組み合わせの服装をしていた。
白衣には高級徽章が数多とついており、単なる科学者という訳ではないのが確かだ。
白髪を長く後ろに伸ばしており、それと刻まれた皺から見て年齢は60代は超えているように見える。
全体的に色素の薄い出で立ちでありながら、唯一爛々と輝く金色の瞳の自己主張が強い。
言葉に反して、抵抗の意思が挫けていないのは一目で分かる。
一方、自衛隊特戦群の部隊長もグリムリーパーに反応する。
「……黒いフェンサー、戦略情報部の飼い犬か。我々に与えられた任務内容に変更はない。貴殿の警告通り、例え手足の二、三本が吹き飛ぼうとも、ここを貴殿らに明け渡すことは無い」
ドレフニコス局長と違い、抵抗の意思を示すのは、陸上自衛隊特殊作戦群-甲施設防衛任務部隊の黒部直明二佐。
濃緑迷彩柄の戦闘服で身を包み、丁寧にフェイスペイントまでしっかり擬装している。
そのせいか表情は読み取り辛いが、彼もまた、意志の強い濁った黒瞳だけが感情を主張していた。
「だが同胞同士で殺し合うのも寝覚めが悪い……ここはひとつ、話し合いと行こうじゃないか。奇しくも、ここには魔女の
仙崎や茨城博士と行動を共にしていた保坂と、ドレフニコス局長を交互に見やる黒部二佐。
彼は情報部と一時協定を結ぶ提案をし、抑揚の少ない言葉に黒い笑みを乗せる。
しかしその一方で、彼が茨城博士に目配せしているのを仙崎は見逃さなかった。
茨城尚美は前述の通り、日本政府との密約で動いていると言った。
であるなら、恐らく日本政府の指揮の元で動いている陸自特殊作戦群と同陣営と見ていいだろう。
今の目配せは、十中八九「ここで相手取っている間に内部に侵入し、保管庫を自爆させろ」という意味に察することが出来る。
ここまでの多数勢力の集結で、仙崎にも少し状況が見えてきた。
茨城博士は多くは語らない。が、彼女はやはり日本政府の命令で今回の保管庫爆破、頑なに実行しようと――つまり自死を目的としている。
なぜ今なのか?
それは恐らく、巨獣ソラスの日本上陸をEDFの情報部もしくは保全局が掴み、部隊を派遣して兵器の奪取を試みたからだろう。
日本政府は、自国土に保管したEDF禁忌兵器を他勢力に奪取される事を恐れ、爆破に踏み切ったのだ。
しかしなぜ、それほど過激で自国にもダメージが残る方法を選ぶのかはまだ見えない。
茨城尚美が頑なに命を捨てようとしている理由も不明だ。日本政府に何かしらの弱みを握られている可能性か、もしくは贖罪などが考えられるが、思い当たる節は無い。
何かまだ、見落としている要素がある……そう仙崎が頭を回している最中、耳障りな高笑いと共に、また聴き慣れない声がグリムリーパー隊の奥から発せられた。
「ははははは! 話し合いだと? 陸上自衛隊特殊作戦群の部隊長ともあろうお方が、まさか状況が見えていないとはな! これは滑稽滑稽!」
他者を見下し蔑みを楽しむ嗜虐的な目をした、嫌な高級将校を絵に描いたような人物だった。
その豪華な軍服や徽章を元に、公開されているEDF組織情報を照らし合わせれば、該当する人物は一人だ。
パトリック・チャールズ・ロイグ大佐――EDF戦略情報部、対内戦略情報課の課長だ。
エレナ・E・リーヴス少佐の所属する対外戦略情報課とは違い、対内とはつまり対人類を指す。
他国家や他組織に対するあらゆる諜報活動を任務としており、フォーリナー大戦前は政情不安定国家へのEDF加盟を進めるため暗躍していた。
いいかね? とロイグ大佐は前置きし、続きを話す。
「僕が死神に命令し、貴殿らに求めたのは即時武装解除だが? 拒否するならば直ちに殲滅出来る力が死神共には備わっている。故に、一切の交渉に応じるつもりはない。貴様たち全てが我々戦略情報部の障害であり、人類の和を乱す畜生共だよ」
ロイグ大佐は黒部二佐の提案を拒否するのみならず踏み躙ると、一呼吸置き、アヴィス大尉に目線を向ける。
「さて。もういいだろう、死神隊長。警告はした。さっさと殲滅したまえ。その方が君の望む戦線復帰が早くできる。さあ、殺せ――」
「――大佐ッ!!」
ロイグ大佐が命令を下し、グリムリーパーが姿勢を低くし、動く――その前に、異変を感じた死神が、大佐を突き飛ばしシールドを構える。
突如起こる爆発に対し
が、立て続けに飛ぶ死角からの爆撃の雨に、グリムリーパーの陣形が乱れる。
その雨が消え去った後、空に見える翼の軍団と、大地を揺らす鋼鉄の巨人が彼らの眼前に姿を現す。
直ちに殺戮に移行するその集団。そしてそれを使役する者の宣言が爆撃音に混じって異様に空気を震わせていた。
「――交渉も降伏も無意味! 一切の容赦の無い実力行使ィ!! まさに! マサに! 実にジツに戦略情報部らしいィ!! よろしい、ならば相応の返答を示すまで。
「――行け、同志たちよ! 相手はあの死神部隊と保全局”
ドレフニコス局長が反りながら両腕を掲げ奇声を上げ、それに続き保坂誠也が似合わない鋭い声で指令を下す。
その合図と共に戦闘行為を加速させたのは、それぞれの配下が隠していた切り札だ。
空に漂うのは、黒い翼を持った保全局のウイングダイバー”
また、付近に待機していたであろう曙光會の構成員、長物を腰に差す野戦服の伏兵がグリムリーパーと陸自特戦群に相対する。
思わぬ伏兵に、情報部の高官は先ほどの余裕を一転。その表情を崩し、悔し気に歯ぎしりする。
「なにぃ、
ロイグ大佐はアヴィス大尉に身を隠すように二歩程後ずさり、降り注ぐ爆撃と地を抉るコンバットフレームの砲撃に怯え散らかす。
その驚きも当然と言えば当然である。なにせ曙光會は、常に戦略情報部からマークされていた上で、予想外の戦力を引っ張り出したのだ。
保坂誠也の潜伏と、彼が従える戦力に関しては、保坂が相当気を使って徹底的に隠蔽していた為、自身の情報力に自信のあったロイグ大佐の心を圧し折るには十分だった。
まさに、情報を統制する自分の得意分野で敗北したようなものだ。
本来ならば蜂起の時まで隠れておくのが最善だろうに、ここで表舞台に姿を現した事に理不尽さを感じつつ生死の危機に瀕したロイグ大佐だが、同じことを仙崎も気にかけた。
それはつまり、将来のEDFに対する蜂起よりも、ここが重大な局面である事の証左であり、それほど緊急性を有するという事。
もしくは、それ以上の奥の手を隠し持っているのか――その思考と並行し、仙崎にとってはそれよりも脅威度の高く見慣れない、宙を舞う黒い翼の兵士の事を分析する。
――兵科名:
仙崎が初めて目にするその兵科は、名称もさることながら一見して
前提として、ウイングダイバーの中核とも言えるプラズマエネルギーユニットは、女性の持つ脳波を利用したサイオニックリンクシステムを介して制御されている。
しかし、件のジェットリフターの装着者はどう見ても屈強な男性だ。
翼も鋭角的であったウイングダイバー比して、水平に長い展開式となっているようで、ウイングダイバーでは難しかった”滞空”をやってのけている。
ウイングダイバーのような高速飛行や、フェンサーの様な鋭角的瞬発高速機動力には乏しいようだが、特筆すべきは持続的かつ繊細で滑らかな機動力と言えるだろうか。
水平噴射速度は両者に軍配が上がりそうだが、絶えず移動を続け止まる事があまりないジェットリフターという装置は、相手取るには厄介だと分析。
スーツや兵装も全体的に重装備であり、単なる男性版ウイングダイバーではない事は明らかだ。
武装もユニット直結型となっており、
これらの武装はパッケージ化されており、武装の開発者であり、この
だが、ウイングダイバーのように繊細な空力を利用する飛行システムでは、火薬式で強い反動がある実弾の仕様は現実的ではなかったはずだ。
むしろ実弾射撃に重きを置いたその姿は、ウイングダイバーとフェンサーの中間、或いは良い所取りと言えるかもしれない。
故に、PEユニットに代わる革新的な技術が用いられている事は、門外漢でありながら観察力の高い仙崎には理解できた。
加えて、橙色の軌跡を残すその飛行動力源は、明らかにプラズマエネルギーではなく、
「まさか、エナジージェムによる推進機構……?」
戦闘から退避しつつ様子を観察していた仙崎の言葉を、同じように戦場を迂回する動きを見せた茨城尚美が拾う。
「……ふーっ。察しが良いね。正確には、エナジージェムを構成する素粒子”エーテル”を推進剤にしたものだ。十分な量の抽出と制御には技術的・倫理的問題があったはずだが、どうやらそれを乗り越えたらしい。こんなところでお披露目かい。反吐が出る」
仙崎の考察は当たっていたようだが、それ以上の反応を茨城尚美は見せる。
それは、憎悪とも恐怖とも畏怖ともとれる表情で、その真意を問い詰めたくはあったが、
「コンバットフレームゥゥ!! 最新型のニクスCじゃねェか! オイ野郎共ォ! 持ち帰って魔改造してやろォぜ!! ギャッハァー! 鹵獲だ鹵獲ゥ!!」
ジェットリフターの行動隊長、隻眼の黒人が粗暴な声を上げ、曙光會のコンバットフレームを集中的に狙い、激しい戦闘が起こった。
その余波で、地上のゲリラ兵の数人が吹き飛ぶ。
好戦的な行動隊長の一方、その部下達は機動力を駆使して物資搬入ゲートへと突破を試みる。
だが、それを曙光會のニクスは見逃さない。
『保全局……! イカれた魔女の崇拝者め!! 貴様らにだけは、絶対に保管庫に踏み込ません!! 即刻消え去れッ!!』
魔女の崇拝者に、彼らが求める魔女の咎――ニコラヴィエナが手掛けた兵器を接触させる事への危惧から、曙光會は吠え猛る。
彼らもまた、日本そして世界の平和を願う集団である事には違いない。だが、
「オイオイ、冷てェこと言うなよ
理念も信念も違う相手への正論は、話にならない。
対空砲を連射するコンバットフレームに、無理矢理な機動で突撃するジェットリフターの隊長。
荒くれ海賊の様な口調の男が乱射した
「ちっ! 何なのだあの考えなしの馬鹿は!! こっちまで巻き込まれかねん!」
悪態を付きながら咄嗟に茨城博士を庇う仙崎。
だがそれを機に激しい戦闘の只中に巻き込まれてしまう。
しかし彼らは仙崎や茨城博士をそっちのけに、というよりも好戦的なジェットリフターがコンバットフレーム部隊に執拗な戦闘を仕掛けた。
その激しい戦闘の中で、標的を品定めするような機動で滑らかに戦場を移動した死神部隊は、あわや巻き込まれ戦死かといったロイグ大佐の護衛を完璧にこなし、安全圏まで退避させた。
「どうする大佐。殲滅には、犠牲が伴う状況だが」
恐れではなく試すような物言いで、低く問うアヴィス大尉。命令され実際に戦う張本人にして、まったく動揺が感じ取れないところは、まさに歴戦の兵士である事の証左だ。
今は保全局と曙光會が衝突している状況だ。このまま互いが消耗するのを待つ手もあるが、
「愚問だな死神! 潰し合いを見て美味い酒を飲むのも一興だが、時間が無い事は貴様も承知の筈だ。それにまあ、ちょっとだけ驚きはしたが、保全局のジェットリフターは試作段階だろう。実戦投入段階に入っているとしたら、存在を隠す意味は無い。加えてコンバットフレーム狩りは、貴様らの専売特許だったはずだ。行け!
「……フ、無茶を言う。――任務了解。グリムリーパー、障害を排除する」
感情の消えたアヴィス大尉の一言を最後に、グリムリーパー全員が、弾かれた様に動き出した。
「博士! こちらへ!! ――撃てッ!! 戦略情報部の飼い犬め!! 何の権限があってここへ来た!!」
陸自特殊作戦群の黒部が射撃命令を下し、戦闘態勢へ移行する。
が、グリムリーパーはそれを意にも介さぬ水平鋭角機動で狙いを絞らせず、隊長が黒部二佐に接近する。
「悪いが両足を貰う! 大人しくする事だな!」
『――させねぇよッ!!』
赤いコンバットフレームの外部スピーカーの声だ。
対コンバットフレーム用の主兵装、リボルバーカノンの弾痕がアヴィス大尉の周囲に刻まれる。
アヴィス大尉は飛び上がると空中で鋭角的に降下しながら、件のコンバットフレームに急接近する。
相手は対処できていない。
貰ったと、アヴィス大尉をしてそう確信した。
コンバットフレームをコンバットフレームたらしめている部分は脚部だ。
三次元機動の元が無ければ、上半身のみのコンバットフレームなど砲台にしかなりえず、グリムリーパーにとって恐るるに足らぬ存在と化す筈だ。
だが、ブラストホールスピアの射出槍はコンバットフレームの脚部を捉えられず、あろうことか空中に反転跳躍をして、しっかりアヴィス大尉を射程に入れていた。
「ちっ――!」
短い舌打ちと共にアヴィス大尉は盾を構えつつその場から全速離脱。
肩部散弾砲の一部を盾で弾き、大きくノックバックする。
反動をスラスターで殺し、向けられるリボルバーカノンの砲口を撹乱するように、鋭角的な機動を取りながら大尉は、
「赤いコンバットフレームにその常識外れの機動。まさかとは思ったが――久しいな小僧。少しは腕を上げたようだ」
アイアンウォール作戦での終盤、桂川PAまでの撤退戦の最中、予定外のタイタン護衛を終えた安藤が合流したとき、一瞬だが共に戦った記憶がある。
『あのときの――!? やっぱ黒いフェンサーってアンタの事かよ!! 悪の組織に加担しやがって! 許せねぇ!!』
「何の話か知らんが、子供の戯言に付き合っている暇はない! 理解出来ないのであれば、去れ!」
『こっちこそ、大人に振り回されるのはうんざりだ! こんな時に人間同士で、争ってんじゃねえよ!! くだらねぇッ!!』
いまいち噛み合わないまま、激しい戦闘の中で黒と赤の咆哮が交差する。
互いの主張が混ざり合うその嵐の中を、すり抜けるようにジェットリフターが突破する。
空中機動から一転、二人の仲間を引き連れたジェットリフター行動隊長は、這うように地を滑り三方からチェーンガンの斉射を行った。
「ギャッハァー! 死神狩りだァーー!!」
死神は彼らの接近と機動を読みスラスターと盾で回避と防御を試みたが、それすらも上回る連携と予測でパワードスケルトンに
EDFの正式採用する、6.66mmEDF統一規格弾より少し大きい程度の超小型ミサイルだ。
誘導はおまけ程度ではあるが正確な射撃を更にサポートするそれは、技量によっては高速機動するフェンサーを十分に捕捉可能だ。
装甲と血飛沫が舞うが、同時に行った鋭角的な機動と速度の乗った素早い槍撃で、二人のジェットリフターを撃墜する。
「ほう? 少しは骨のあるやつが居たか」
彼の表情は、とても負傷した事を感じさせない挑戦的なものだ。
対して生き残った
「ウッソだろォ? これで殺れねェとは、頭飛でンなァ死神ィ!! まさか二人墜とされるたァ思わなかったぜェ! さァて、楽しもうやァ!!」
野蛮な顔を凶悪に破顔させた行動隊長が、余裕を崩さない死神に再び挑む。
「面白い」
『面白くねぇ!! なんで人間同士で争ってんだよ! 意味分かんねぇんだよお前ら!! 一旦大人しくしやがれ!!』
黒い機械鎧、黒い翼、それに赤い機兵が入り乱れた戦闘を繰り広げる。
互いに並外れた技量を持つその三者の戦いは、決して常人に割って入れない嵐と化した。
一方、その取り巻きは相変わらず保管庫への突破を目指す。
「今だ! 隊長が抑えている間に、突破を!」
「――させると思うか?」
保管庫へ向かうジェットリフター集団を低い声で恫喝したのは、副隊長の九条中尉。
彼はジェットリフター隊員の心臓を狙い、一突き。
「ッ!!」
回避行動をとり、寸前でジェットリフターは回避する。
だが乱戦の中、九条中尉についてきたのは二人だけだ。
「死神部隊……! 噂程では無いな! 喰らえッ!」
反転して
対して、同じくシールドで防ぎつつ力を受け流すことでノックバックを回避した九条中尉は、高速でスラスターを吹かし、機械槍を射出。槍は空を切る。
「そ、らァッ!!」
空を切った槍は伸縮の反動で、更に加速をつけて二撃目が放たれる。
爆発的な加速と伸びた射程で射出された槍は、武装”ジャギリ・システム”と飛行装置”ジェットリフター・ユニット”を同時に貫き、小爆発と共に完全破壊。兵士を殺すには至らなかったが一人の無力化に成功した。
墜落した一人に目もくれず高速飛行するもう二人を追う九条。
その彼らを待って居たのは、陸自特殊作戦群の狙撃と、
「その首、ちょーだい」
「――ッ!?」
弾むような甘い声と共に、刃の切っ先が、九条中尉に迫った。
スラスターを駆使し寸前で回避するが、返す刃で追い打ちが迫る。
迫っているのは、対フォーリナー戦はおろか、人類間戦争で久しく見る事は無かった中世の殺傷兵器。
「――刀!? 時代錯誤かよ!?」
「きゃははは、きゃはっ!! そんな訳な~いじゃんばーか!」
刃を振るうのは、曙光會の女ゲリラ兵。またしても刃は空振りに終わったが、届かなかったはずの刃は、九条中尉の持つシールドと堅牢なスケルトンを切り裂いて、更に彼の肉体を深く抉っていた。
「ぐああッ!? なっ、なにしやがった……! てめぇ、そいつは何だ……!」
「え~キミが言ったんじゃん時代錯誤ってぇー。ただのカタナー、だよほれほれ」
野戦服をだらしなく着崩した女ゲリラは、怪しいイントネーションで乱暴にその手の長物を振る。危機を感じた九条中尉は全力で回避したが、案の定空中で振られただけの刃から何かが発生し、恐ろしい威力で大地が抉られる。
「うおお!? い、意味分からん!! ったく、だからこんなややこしい戦場には来たくなかったんだよ、あの死にたがり隊長め……。とにかく、もうソイツを振るな、女ぁ!!」
「いいよ! その代わり、キミの首、置いてってよ! あーし嫌われてっからさぁ~! 手柄上げないと、困っちゃうの! だからぁー、首ちょうだいっ! くーびっ!」
「首首うるさいなイカレ女! やる訳ないだろ! ――『グリム2よりグリム各員! 長物を持ってる曙光會ゲリラに気を付けろ! どういう原理か、刃を避けても斬撃を受ける! しかもシールドも
部隊内に警告を流しながらも、九条中尉は斬撃を回避しつつスピアによる反撃を行う。
しかし、刀を持った女ゲリラ兵の動きは読みづらく、柔軟で華麗な動きで九条中尉を翻弄する。
本来であればフェンサーに対し生身の人間では話にならないくらいの戦力差があるはずだが、負傷の影響を差し引いても、女の身体能力は異常だった。
恐らく内部にEDFでいうアンダーアシストのような筋力補助スーツを着込んでいるだろうが、それにしても尋常ではない白兵戦能力だ。
「副隊長! 追い付きました、援護します! 手当を早く!」
「他の場所でも刀持ちのゲリラが暴れています! 特戦群とかなり激しくやり合ってるようですが、戦場を良いように掻き回されています」
九条の元に二人のグリムリーパー隊員が駆け付け、援護する。
「きゃはははっ、きゃはっ! 三対一とか、ビビりすぎ~! さすがに逃げるっしょ! もっと楽な相手さがそ~っと。そーだ。キミさ~、名前は?」
「お前みたいなイカレ女に教える訳ないだろ! グリム4、グリム5、奴を逃がすな!」
「えぇ~日本人コミュ力無さ過ぎワロタ。あーしはねぇ、今は~……そうそう、
一方的で適当な自己紹介をし、ウインクを手土産に去る動きを見せる。ふざけた会話に取り合わないグリムリーパー隊員二人がそれを追ったと見るや否や、慣性を感じさせない急な反転と、宙を舞うかのような不可思議な演舞を見せる。
それが目に映ったかと思ったら、次の瞬間グリムリーパーは胴体と肩を切り裂かれていた。
過酷な訓練と凄惨な戦場を渡り歩いて得た勘で、致命傷は避けたものの行動不能に陥る。
己も既に負傷している九条はそれを見て引き攣った顔で、
「ッ……! ば、バケモンかよ……」
「ひっどいなぁ~。こーんなに可愛い女の子なのに」
買い物帰り、楽しそうに鞄をくるくる回すのと同じような感覚で、刀を振り回す。
彼女の意味不明な身体能力もさることながら、あらゆる障壁を無視して対象を切る魔法じみた斬撃能力を持つその刀は一体何なのか。
その正体に心当たりがある白衣白髪の初老が、ここに一人。
「その刀身ッ……まさか――アマツバメ!?
皺の目立つ顔にある目を、これでもかとばかりに開き、わなわなと震えるドレフニコス。
「おじいちゃん、これ知ってるんだぁ~。さすが、秘匿508号の主任は物知りだねっ? きゃははっ! あーし達”特別”だからさぁ、貰っちゃったんだ! 欲しい? 欲しい? あーげないっ!」
距離がある老科学者に刃は当然届かないが、延長線上の空間が裂けたように輝く。
が、彼はその場を微動だにせず、そして負傷もしない。
「ありゃ?」
不思議がる朱に構わずドレフニコスは頭を抱えて前後に振る一人芝居を行う。
「あああ、アアアア……!! 何という事か!! テロリスト風情がまさかソレをォォ!! EDF先技研ですら開発を見送った兵器を事もあろうにテロリストがァ!? ――ああ、そう。ソウデスカ……。FUJIインダストリーズの猿共に、設計図を横流ししましたね……。 プロフェッサー・マクドネルゥゥーーッ!!」
先技研のとある主任研究員の名を叫び、発狂するドレフニコス。
FUJIインダストリーズとは、日本とアメリカの民間合同兵器メーカーで、名前から察するにそのアマツバメはそこで製品として生産されたらしい。それも極秘裏の事だろう。
もしそれが事実なら、明確な全地球防衛条約違反に相当する。
しかもそれに先技研の主任が関わっているのなら、事態はより複雑だ。
「きゃははっ! きゃはっ! そんなのどーでもいいじゃん! それよりも、自分の心配しなよ! クソジジイ!!」
もはや九条の事など忘れて、目の前で奇行を見せる老体に向け、
「――ですが。所詮”先生”亡き後のモノ。よく考えてみれば、どうという事はありませんねェ」
「……はぁ!?」
朱が振り下ろした刀は、根元から抑えられていた。素手で。
空間は、避けておらずドレフニコスにも傷一つ付いていない。
「とはいえ。”先生”から授かった叡智の一部を、価値も知らない野蛮なサルに持たせているのも腹立たしい」
ドレフニコスは淡々と語りながら朱の手首を捻り、アマツバメを脱落させると、そのまま手足と重心移動を利用して朱を地面に叩き落す。
「いっ、だぁぁっ!?」
「貴女にこれは、まだ早い」
同時に彼はアマツバメを奪い、朱に向けて容赦なく振るう。
「――ぎっ、ぎゃああぁぁっ、ははっ!」
あらゆる物質を裂く異次元の斬撃が、彼女の体を割いた――だが、浅い。
並外れた身体能力で瞬時に距離を取った事が幸いし、体表を撫でる程度の裂傷で済み、彼女は狂喜に顔を歪める。
「きゃはっ、きゃははっ!! あ~痛、痛いなぁ~ー! ふふ、ふへへへへへへ、楽しいー!」
流れる血と同じ色の濁った瞳孔を開きながら、壊れたように笑って、EDF製の高性能治癒剤を注入する。
痛覚が麻痺し、出血が止まるが、体は重度の薬物依存になる。が、元から彼女の精神性はどこか狂っている。
「かはっ。なるほど。なるほどなるほどナルホドォ? 貴女、”まとも”ではありませんねェ? この
確かに朱に向けてアマツバメを振り抜いたはずだが、研究者にして超人的な技量を持つドレフニコスの腹に、コンバットナイフが刺さっていた。
老体は乱暴にナイフを引き抜くと、白衣を血で染めてかははきひひと狂ったように笑い出した。
「はぁー? ! このボケじじい、頭イっちまってんですけどー? きゃははっ! ウケるー! どうせ杖代わりにでもするんなら、あーしのそれ、返せッ!!」
「よろしいッ! 貴女の境遇、凡そ見当が付きました。中国共産党中央軍事委員会が直属に持つ科学院の一つであり、EDFが出資して新設した研究機関。生体軍事高度研究科学院の生み出した、遺伝子強化プログラムの被検体。それが、貴女ですねェ? なんと、なんと哀れなッ!! ”魂無き兵士計画”さえ成就していれば、貴女の様な存在は不要だったというのに!! アア、せめて
「なにそれ~冷めるんですけどー!? 説明乙! あとお約束だから言うけどさ~。他人の人生勝手に決めんなクソジジイーッ!!」
狂人同士の主張が相容れる筈もなく、互いに身勝手な理由で戦闘を始めるアレフリー・ドレフニコスと
朱は懐に仕舞っていた拳銃とナイフでCQCスタイル。ドレフニコスは使い慣れていないアマツバメの使用感を確かめるように、彼女を迎え撃つ。
――アマツバメ型近接防御兵装。
一見して刀のように見えるそれは、立派な先進兵器であるだけに留まらず、異端兵器と呼ぶに相応しい未知の技術で構成されている。
フォーリナーに対して十分な効果が見込まれないという点や、人類間の戦争を激化させかねないという理由で審議の元、開発計画がお蔵入りになった筈のそれは、全地球防衛条約に真っ向から違反する兵器だ。
武器には超小型の
だが、ドレフニコスはこの兵器を既知の上、詳しいようで、先ほどの朱燐華との戦いで優位に立てたのも知識があったからに過ぎない。
刃から空間の破断箇所までの射程を読んで避けなかった、アマツバメを振り抜く前に止めたことで、空間破断が起きなかった。そういうカラクリだ。
とはいえ、知らない者にとっては魔法と対して変わりない印象を代物だ。
空想の世界から飛び出したかのような、非常に強力な兵器である。しかし、前述したとおり、巨大生物を除くフォーリナー兵器に効果は薄い。
彼ら、特に
巨大生物に関してはその膜は薄いものの、実験の結果従来火器を上回るメリットは無いとの結論が決定された。
一方で人類間戦争に於いて、チラン反応は硬度を問わず破壊可能という強力無比な威力を持つ為、普及すれば人類間戦争を一変する可能性があるという理由で、EDF条約認定外兵器となり設計図状態で封印されていたのだ。
EDF先進技術研究所の何者かが、この設計図をFUJIインダストリーズに横流しし、量産した上、それを反EDF組織曙光會に渡したのだ。
ドレフニコスによると、その人物に心当たりは在りそうだったが、それを詮索する暇はない。
一方仙崎誠は、ジェットリフターとグリムリーパーの迎撃を躱しながら、特戦群に護衛される茨城博士を追っていた。
「仙崎君、彼らを中に入れないでくれ! 特に、中のモノを保全局に触れさせてはならない! 人類が触れるには、まだ早すぎる!」
「ええいそれ以前に貴女もだ茨城博士!! 貴女程の科学者をみすみす自爆などさせて良い筈が無い! いや、一人の仲間として見過ごせぬ! と言っとるのに! おのれ、待てい!!」
「……彼らも馬鹿じゃない。反応炉を暴走させたら警告が鳴る仕組みになっている。きっと蜘蛛の子散らすように逃げていくさ。そうしたら君もここを去ってくれ。では」
「では。ではない! 話になっとらんわぁぁーー!! ええいもう分かった! ならばこちらも好きにやらせて貰おう!!」
仙崎は茨城尚美を追って、開かれた地下への資材搬入ゲートへ向かうが、突如死の気配を感じ、一歩飛び退く。
空気を切り裂き、弾丸が紙一重で通り抜けた。
「──外れだ、手強いな。あの男を中に入れるな。射殺して構わん」
特殊作戦群の狙撃手だ。
起伏の激しい森の中、どこからともなく狙撃弾が複数、仙崎を襲う。
陸自特戦群、黒部直明二佐の命令で、仙崎の命が集中的に狙われた。
日本政府からの任務を忠実に熟すスペシャリストと、仲間の命を思う一人の青年の、和解不能な信念が交差する。
ジェットリフターは、EDF:IR(アイアンレイン)から引用させていただきました~
ややこしいですがPAギアとはまた別物という事で……(EDF戦記でのPAギアは、フェンサーの前身という設定なので……)
そしてその武装、”ジャギリシステム”はEDF:IA(イノセントアルマゲドン)及びデジボク地球防衛軍から!
チラン爆雷と同じく「ジャギリって何だ……?」と頭を悩ませましたが何にも思いつかなかったので勝手に人名とさせていただきました!
で、「何系の人種だよ……」と途方に暮れたのでひとまずアフリカ系という事にしました(響きが聴き慣れない感じなので……)
舞台が現代で対異星人の軍隊ものだと、基本皆仲間なので変な敵出せないのでここぞとばかりに変な奴だらけにしました。楽しい!
はいキャラ紹介!
●アレフリー・J・ドレフニコス(63)
EDF異端技術解析保全局の局長。また、その組織を私物化し、武装組織”
どちらも存在が秘匿されている組織なので詳細を知る人間は一握りに限られるが、ほぼ同一視される。
また、どちらの組織も実験をドレフニコス局長が握っているとされている。
年齢63歳。フォーリナー由来の異端技術を専門に扱う科学者で、蓄えた知識と反比例し柔軟な思考で彼らの科学を解き明かす。
また、組織の性質上荒事にも慣れており、机に座ってばかりの研究者ではない。
経歴不詳だが、並外れた戦闘センスと本質を見抜く観察眼を持ち合わせており、敵に回すと厄介この上ない。
EDF条約に違反した独自研究を続ける機関や、越えてはならない領域に踏み込んだ民間企業の研究所を襲撃し、異端技術を回収及び解析、保全し人類にとって有益か無益かの判断を下す。
その組織の詳細はEDFによって闇に葬られており、公に存在は認められていない。
皺の無い白衣に後ろ髪を伸ばした白髪、線の細い体躯だが、金色にギラギラ輝く活力的な瞳が目を引く。
華奢な体から信じられないような膂力を発揮する文武両道の狂科学者。
●イブン・ハジャール=ジャギリ(41)
粗暴で獰猛なジェットリフターの指揮官。
血に飢えた猛禽のような性格で、ドレフニコスの手先として研究所の襲撃や技術的物資の強奪や捕獲を最前線で指揮していた。
南アフリカ共和国出身の黒人であり、量子物理学を専攻する優秀な科学者でもある。
彼ら
特に銃弾程度の大きさに誘導機構と起爆・高威力侵徹体を内蔵した、
黒人らしく色黒で、過去の戦闘が原因の傷を残しており、隻眼。
無精髭を蓄えるがスキンヘッドで、全ての要因が噛み合いその辺を歩くと間違いなくかかわりたくないタイプの厳つい見た目をしている。
対フォーリナー戦闘も多数こなしており、秘匿部隊内ながら人望は厚く、
●黒部直明(35)
陸上自衛隊-特殊作戦群-甲施設防衛任部部隊指揮官。二等陸佐(中佐相当)
”甲施設”とは戦略火器保管庫を指すが、その防衛任務の為に編成された専用の特殊部隊の部隊長。
保管庫内部への侵入を禁じられながら、フォーリナー襲来前からこの地を守っていた。
実は過去に何度か工作員や、或いは迷い人(に見せかけた工作員の可能性は断定できない)を射殺、完全なる隠蔽を行っており、そのお陰で今日まで保管庫の秘匿性は保たれていた。
任務に忠実で非常に優秀な自衛官であり、フォーリナー襲来時に前線に行くことを禁じられ、唇を噛み破きながら耐えた。
過去に日本で起きた反EDF組織のテロ活動によって知人を失っており、喪失感を訓練で紛らわせた挙句、言い渡された任務がテロ組織の殲滅ではなく、重要設備の護衛である事に落胆を感じなかった訳ではないが、陸自上層部が彼でしか成し得ないと判断した故であった。
また日本の優秀な研究機関では、たびたび魔女の崇拝者や後継者を名乗る反EDF組織のテロや暴動も起こっており、日本や世界の治安はニコラヴィエナによって犯されていると考える”反魔女思想”を強く持つ人物でもある為、それら関連の人物には憎悪と敵意を向ける極端な思考の持ち主でもある。
裏を返せば非常に愛国心の強い日本人であり、その比重は立場上国民よりも国益を優先して考えるが、日本という概念を心から愛している愛国者。
●パトリック・C・ロイグ(37)
EDF戦略情報部-対内情報課課長。階級は大佐。
尊大で鼻につく口調で会話し、”情報を握るものは全てを制す”という座右の銘を体現するかのような自信に満ちている。
本来ならば前線に出てくるような人物ではなく、戦闘能力も皆無(一応軍人である為、拳銃くらいは撃てる)。
EDF戦略情報部を世界最高の諜報機関と言わしめた人物であり、その手腕は紛う事なき天才。
フォーリナー襲撃前の各国家のEDF加盟に尽力した人物であり、反EDF国家の政変・革命・賄賂・資金援助・インフラ整備・軍備増強・産業活性化・軍事介入・要人暗殺などあらゆる手を尽くして世界がEDFを元に軍事的統一が成るよう画策した。
対フォーリナー戦争でEDFがここまで善戦し、世界侵略が食い止められているのはまさに彼の力あってこそであり、偉業を成し遂げた現代の英雄とされておかしくはない。
が、人物としては卑劣で小心者。他者を見下し己を至高とする自己中心的人間であり、自分の命が脅かされるのを何よりも嫌う臆病者。
高い志など無く、ただ己の椅子を守り高みへ進むためにこの道を歩んでいるに過ぎない器の小さな人物。
長身でスラっとしており、縁の無い眼鏡を予備で四つも持っている。
EDFの代表的な軍服でもある青系の制服に身を包み、オールバックで金髪を整えている。
ちなみに既婚者で、奥さんには偉そうな態度が全く出来ないのだとか、息子には英才教育しつつ甘々なのだとか、彼の職場ではささやかな噂話が娯楽になっているのだが、見つかれば普通に左遷される。
●
反EDF組織”曙光會”の構成員。
とされているが、ドレフニコスから『中華人民共和国-共産党中央軍事委員会-生体軍事高度研究科学院』の生み出した”遺伝子強化プログラム”の被検体ではないかと言われており、所属や来歴に不明瞭な点が多い。
名前も偽名の可能性あり。
テンションが高く弾むような甘い声質が特徴の、若い女性ゲリラ兵。
EDF条約違反兵器”アマツバメ”を用いた剣術に優れ、舞い踊るように弾む剣筋の予測は困難。
前述の経歴に由来し、並外れた戦闘能力を持つ。
オレンジに近い赤の髪色をしており、その色は朱と言うよりはどちらかと言うと紅か。
華奢な体だがプロポーションは良く、可愛らしい顔立ちをしている。
が、濁った赤色の瞳の瞳孔は常に開いており、目いっぱい顔を歪めた笑みは見る者の背を冷えさせる。
端的に言って戦闘狂であり、無茶な戦闘で受けた傷を治す為の治癒剤投与により薬物依存の傾向があり、負傷にも快感を覚える
トマトジュースが大好物なのだが、ガンギマリで飲んだり服に零したり床にぶちまけたりと、本当に紛らわしいのでやめて欲しいと曙光會の構成員からは苦情が出ている。