全地球防衛戦争―EDF戦記―   作:スピオトフォズ

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第八十五話 ”貴様に賭けた”

 ──EDF異端技術解析保全局、EDF戦略情報部-対内情報課、陸上自衛隊-特殊作戦群-甲施設警備任務隊、反EDF組織-曙光會。

 先程まで決して相容れない主張の元殺し合いを繰り広げていた四組織は、仙崎誠の話術と信念と、そして多くの希望的観測により、現在は強力な共同戦線を敷くに至った。

 

 土砂を巻き上げて、巨大生物群が続々と現れる。真っ先に視認したのは優れたセンサーを持つ曙光會・保坂の配下である二機のニクスCだ。

 

『センサーに新たな反応! 12時方向よりβ型、2時方向よりγ型、双方50体前後!!』

 

『ミサイルコンテナ起動!! 一気に叩き落すッ!!』

 

 発射された小型ミサイルにより、γ型の大半が出落ちに近い動きで叩き落される。

 大幅に戦力を削ったが、残りのγ型とβ型の大群がニクスに接近する。

 

『くそう! β型が来るぞ!! リボルバーカノンがあるとはいえ……!』

 

 二機四門のリボルバーカノンの斉射がβ型を襲う。

 狙いを定めず、砲弾を所構わずばら撒き、そこら中の血肉と土砂が巻き上がる。

 だが、跳躍するβ型には砲弾の半数程度しか当たらず、物量をもって徐々にその距離を詰められる。

 

『ちっ! 本当にここを守る意味があるのか! 保坂の野郎、叔父貴に言われた事忘れた訳じゃねぇよな!?』

 

『言うな。あいつにも考えはあるだろう。不気味な奴だが、頭は切れる。俺たちがジャンク同然のポンコツからニクスに乗り換えられたのは、全部あいつのお陰だったろ』

 

『ケッ、どーだかな! しかし、埒が明かねぇ! このままじゃいずれ抜かれる! 前に出るぞ!! うおお!』

 

 憎まれ口を叩きながら、ブレイブ4はスラスターで跳躍し、前に出る。

 そのまま脚部のローラーユニットを稼働させ、半円を描くような軌道を取りつつ二門のリボルバーカノンを射撃。

 移動しながらの射撃により、更に広範囲のβ型を屠る。

 一方で、その図体の回避行動にはあまり意味を持たず、強酸を含んだ糸が次々とブレイブ4のニクスを襲う。

 

『クソッ! 装甲が持たねぇ! このままじゃ──』

 

 絡みついた糸を振り解こうとリボルバーカノンを振り回すと、途端に周囲のβ型が断末魔を上げて弾けた。

 次々と、眼球から体液を吹き上げて糸の元凶が弾け飛んでいく。

 

「曙光會、そのままそこにいろ。お前に集るβ型は全て撃ち殺してやる。立っているだけで十分だ」

 

『その嫌らしい狙撃……特戦群か? 阿呆抜かしやがれ! まだ弾は残ってんだぜ? ──いいぜ、囮になってやる。β型は任せた。俺たちはここで、あっちのクソ蟲を食い止める!』

 

『α型、約60体接近!! 残り少ない弾薬、派手に叩き込むぞ!!』

 

「……ふ、勝手にしろ」

 

 特戦群精鋭隊員のフェイスペイントに、僅かながらの笑みが浮かぶ。

 ブレイブ2、ブレイブ4の二機は機動でβ型を引き付けながら、別方面からの接近をキャッチしたα型を迎え撃つ。

 

 その二機に集るβ型を、精鋭隊員たちの狙撃弾が次々と葬り去る。

 特戦群の精鋭隊員は、多くが優秀な狙撃兵でもある。彼らにとって、跳ねまわるβ型の狙撃はそう難しいものではない。

 

「接近されればβ型は恐ろしい相手だが、眼球の防御力は低い。厚さ35mmの鉄板も貫通するコイツなら、一撃で仕留められる。臆するな!」

 

「適度に跳ねまわって数もいる。いい射撃演習目標だな! ──ち、γ型の怪物が来るぞ! 場所を移せ! あの針の雨を受ければ壊滅だ!」

 

「残っている自動銃座の優先目標をγ型にしろ! 奴には伏せても意味は無い、狙撃中止! 分隊支援火器、機銃手、弾幕を張れ!」

 

 悍ましい羽音を立てて接近するγ型の一群に、さしもの精鋭隊員も戦慄する。

 狙撃は一時中断され、窪みや物陰に素早く隠れる精鋭隊員。

 

 しかし、慌ただしく退避する彼らのすぐ横を、黒い翼が飛び去った。

 

「ギャッハァーーーー!! 行くぜ野郎(バカ)共ォーーー!!」

「ィヤッホォ-----!!」

「誰がバカか!!」

 

 橙色の軌跡をなびかせ、出鱈目な機動で戦域に進入するのは隻眼のアラブ系軍人科学者。

 イブン・ハジャール・ジャギリとその部下二人が、ユニット据え付けの武装装置”ジャギリ・システム”付属の極小型誘導弾銃(マイクロミサイルガン)鎖動式軽機関銃(ライトチェーンガン)をばら撒き、精鋭隊員に迫っていたγ型を片っ端から叩き落す。

 

「黒翼……! まだ生き残っていたか」

 

「ハッ! 誰かサンの狙撃とドッカの自動銃座でたった三人に減っちまったがなァ! ま、クソ蜂は任せろ特戦群(エリート共)ォ! テメェらは離れてとにかくβ型をぶっ殺せ! ダルシット、レヴェント! 空中戦だ! クソ蜂の針に注意しろよ、直撃したらあの世行だぜェ! エナジーコアの消耗は気にすんな、死んでも飛び回れェ!!」

 

 歯を剥き、獰猛に笑い、戦場を極限まで楽しみながら、武装を乱打するジャギリ。

 部下の2人もそれに続く。

 

「イエェーーーー!! 最ッ高だぜぇーーーー!!」

「クッ、奴らの下劣な兵器で我らの仲間が失われたというのに……!! 手を取り合うとはなんという悪夢!!」

 

 ジャギリの発破に対し、ずっと頭が湧きっぱなしのダルシットと、不服な様子のレヴェント。

 しかし口を動かしながらも彼らの動きは一切精彩を欠いていない。

 飛んでくる針を巧みに躱し、ジャギリシステムを叩き込む。

 

「なんだァ不服か? 確かに動けるのはオレら三人だけだが、どういう訳かまだ”誰も死んじゃいねェ”。他の連中も誰一人もなァ。トドメを刺せてねェのが胸糞悪かったが、今となっちゃァ悪くねェ流れだ! なんか閃いちまいそうで、脳味噌の奥が疼きやがる!」

 

 歯を剥き出しにして、目を血走らせるジャギリ。

 誰もが科学者であると信じられない顔を披露して、ジャギリも含め、皆がその事実を改めて認識する。

 

 ──そう、現情勢の非公表暗部組織の精鋭達が一堂に会し、対人戦闘能力が丁度拮抗した結果、激しい戦闘にも拘らず、この一連の騒動に於いて未だ一人の死者も出ていないのである。

 各々が特殊部隊級の実力者であった為、人を殺す手段にも長けていたが、それ以上に致命傷を避ける技量があった、という奇妙な釣り合いだった。

 

 むろん、負傷者は多い。この場において、巨大生物の猛攻を十分跳ね返せるほどの戦力は無い。

 だが、各々の高い練度は、例え相手が巨大生物であっても遺憾なく発揮されるものである事は間違いない。

 その最たる存在にして、この場で唯一の対フォーリナーのスペシャリストでもある最高戦力が、戦場に”死”を運ぶ。

 

「グリムリーパー! 二時方向α亜種の集団接近! 陸自の方に近づけさせるな! 殲滅するぞ!」

 

「赤蟻の固い甲殻も、俺たちなら簡単にブチ抜ける! グリムリーパーの力を示す時だ! やるぞ!」

 

 グリムリーパー中隊指揮を預かったナンバー2の九条直哉中尉、ナンバー3で小隊を指揮するサイード・ラフマン少尉が先導し、スラスターを吹かせた死神部隊が戦場の主導権を握る。

 強靭な牙での突撃や噛み付きを回避、防御し、反転してブラストホール・スピアを射出。

 宣言通りスピアは固い甲殻を真正面から貫き、高圧のプラズマ噴出によってα型亜種を内部から爆散させる。

 

 EDFの精鋭グリムリーパーですら、アマツバメによる空間断裂に対応できず既に初期の8人から3人の脱落者を出していたが、たった5人で100体前後のα亜種集団を手玉に取るように殲滅していく。

 

「副隊長! 新たな集団、β型とγ型です!」

 

「まずいぞ……! 奴らとは相性が悪い! だが体を張ってでも止めてやる!!」

 

 それを脅威と見たのか、グリムリーパーの元に凶悪二種であるβ型とγ型の巨大生物が大挙する。

 ラフマン少尉とその部下が戦慄。さしもの死神部隊ですら、額に汗を流したが、

 

「グリム総員、下がるな! スピアとシールドに、命を預けろ! 例え命に代えても、ここは──」

 

「──きゃはっ! キミたちが倒れちゃったら、戦線支えられるワケないじゃーん! 首は大事にとっとかなきゃ、ダメなんだよ? みんな、いっくよー!」

 

 曙光會の外部協力者、朱燐華がアマツバメを翻し、β型を細切れに切り裂く。

 つづき、生き残っていた数人のゲリラ兵たちが突撃。

 

「我らの魂、日ノ本へ捧ぐ! 覚悟しろ異邦人め!!」

 

「EDF解体を望む我らが、こうして肩を並べる日が来ようとは、先は分からぬものだな!!」

 

 曙光會構成員、そして曙光會のゲリラ兵らが、物陰から一斉に登場し、強酸糸を放射するβ型の群れに突撃。

 

 元EDF、元軍人、傭兵崩れ、生粋のテロリスト、人体改造の被検者、或いは戦争犯罪人、或いはEDFを恨む民間人。

 境遇も人種もごった煮の集団が、反EDFを掲げて暴れ回る。

 そんな出鱈目な集団が、保坂の意思の元に統一され、朱の戦闘力の元で無秩序な暴力を巨大生物に叩き付ける。

 

 彼ら反EDF組織はEDFへのテロ活動ばかりをやっていると思われがちだが、それは正しくない。

 EDFが放棄したエリアでの防衛行動、EDFの活動範囲外の民間エリアの奪還、場所によっては休戦協定を一時的に結び、殆どEDFの手を借りることなく厳しい戦闘を潜り抜けている地域もある。

 

 彼らゲリラ部隊もまたそのような武闘派集団であり、ここ日本でも、曙光會はフォーリナーとの記録に残らない小規模戦闘を少なからず経験している。

 むろん、その戦績は惨憺たるものではあるが、

 

「それでも、我らは多くを守ってきたつもりだ! 力のない弱者だと、侮るなよ、害虫共ッ!!」

 

 保坂から部隊指揮を任された曙光會幹部、鏑木啓治は手榴弾のピンを口で弾き、投擲。

 威力はEDF製のものと比べるべくもないが、β型一匹を吹き飛ばすには十分だ。

 それに、曙光會が用いる兵器であっても、甲殻を持たないβ型なら対処可能。

 なにより、

 

「首がどこにあるか分からないけど、柔らかクモちゃんなら脚を斬って皮膚を割いて、眼を潰して体を両断して、それからそれから──」

 

「──援軍はありがたいが、猟奇的趣向を満たす前にやる事やってくれよな!!」

 

「はいはい分かってますよ~だ! でも人間斬らせて貰えないんだから、コッチで楽しまないと損じゃんねぇ!」

 

 アマツバメ型防御兵装を片手に、β型の中心で竜巻のように暴れ回る朱燐華。

 

 アマツバメは公式ではフォーリナーに対し有効では無いとの結果が下されたが、それは掘り下げれば“フォーリナーの装甲あるいは甲殻に対して”と付け加えるべきだろう。

 β型であっても、その体毛や皮膚がチラン反応を阻害させる効果を持つ事は変わらないが、朱は眼球や関節、腹部と頭胸部の“節”など弱点を見極め、切断していた。

 

 朱は猟奇的に歪んだ狂笑を滲ませながら、九条と背中合わせの場所まで退避する。

 既に数十のβ型を屠り、無双が如き強さを見せつけた朱だったが、

 

「はぁー、はぁー……。何事も楽しむのが、あーしの主義……」

 

「……お前、結構無茶してるな? 負傷の度、治癒剤を過剰投与してハイになってただけだろ。受ける傷と体力にも限度はある」

 

 暴れ回った代償として、朱の消耗具合は一見してだいぶ酷い。

 体の負傷と、それを癒す為の治癒剤の過剰投与。それが体にもたらす悪影響は深刻な筈だ。

 

「そんなの、あーしが一番わぁーってるっつーの。……人間斬るのはそりゃ好きだけどさ、こうしてみんなで協力するの、嫌いな人間はあーしら反EDF組織にはきっと少ししかいない。それを邪魔する奴らを、あーしはぶっ殺してるってだけ」

 

 それは、互いに相容れない主張だ。

 EDFから見れば、反EDF組織の行動は人類の足並みを乱すテロ行為にしか見えない。

 反EDF組織から見れば、EDFは弱者を虐げ歴史的な主義主張の改変を強制し、文化を滅ぼす人類の敵機構そのものだ。

 

 人類の歴史は、いつだってそうだ。互いに平和と安寧を求めている。故にこそ、戦争は起こる矛盾がある。

 でも、その根底はきっと皆同じであり、

 

「──だから、ここで無茶するなら、あーしは何の後悔も無いよ。……きゃはは、ちょっと血と一緒にクスリが抜けちゃったみたい! 正気を失ってないと、やれない事だってあるからね!」

 

「それについては、同感だ。俺たちもどこか、きっと狂ってるんだろうよ!」

 

 グリムリーパーもまた、反EDF組織のゲリラやそれに類すると疑わしき存在を死体に変え積み重ねて来た文字通りの”死神”だ。

 その矛を、同胞である人類ではなく、外敵フォーリナーに向けられることは、なんと幸せな事だろうと、そう思わずには居られない。

 

 場違いなまでの外敵への感謝。それはこの場の人間が少なからず共有した数少ない感情だ。

 同胞に銃を向ける必要も、外敵を利用して陥れる必要もない。その状況を作った何の権限も無い筈の青年に、無意識な感謝を思う。

 

「って柄にも無くしんみりしちゃったけど、蜂の相手はさすがに無理ー! という訳で、赤い彗星、カモ~ン!!」

 

「──そんな二つ名名乗った覚えねーけど!? キャラ違いすぎるからマジで勘弁して!!」

 

 迫るγ型、射出直前の針。そこに空中から突撃したのは、真っ赤なカラーリングが特徴のニクス・レッドシャドウ。

 

 機動性を強化された深紅の機体は、ニクスとは思えない身軽さで空中に躍り出、リボルバーカノンと肩部散弾砲を散らし、僅かな滞空時間でγ型を叩き落してゆく。

 単騎での圧倒的戦果。しかし反撃に体内で生成した未知の成分の針が、軽量化されたレッドシャドウの薄い装甲を貫いてくる。

 

「クソッ! おいまだやれんだろレッドシャドウ! こんなところでつまんねー終わりを見せるんじゃねーぞ!! ──っておいおい弾切れか!? マジか! あんの死神のバカが壊すから!!」

 

「それは隊長への侮辱か? 聞き流してやるから二度は言わない事だな」

 

「まァお互い様だわなァ。オレの部下だって厄介なクソ赤コンバットフレームと嫌らしい狙撃にサンザン叩き落されたしよォ」

 

「ふ、空中を舞っているだけの獲物は狙いやすかったぞ。翼を折るだけで武装も使用できなくなるとは、少々拍子抜けだったが」

 

「お粗末な自動銃座こそ滑稽だったけどね~。あのレベルのAI制御と耐久性じゃ、ザコ相手には役に立ってもあーしらにはおもちゃよね、おもちゃ」

 

『き、貴様ら、言い合ってないで真面目にやらんか!!』

 

 安藤のちょっとした悪態から、軽い罵り合いに発展した空気を一喝するのは、戦略情報部対外情報課のパトリック・C・ロイグ大佐だ。

 彼は指揮通信車に戻り、この戦場全体の戦闘指揮を握っていた。

 

 仕方なく空気を引き締めようと気張る皆だが、それより先に状況の悪化をブレイブ2のセンサーが捉える。

 

『その余裕も無くなりそうだ!! マズイぞ……! 12時方向にレイドシップ発見ッ!! γ型だ! γ型を投下している! なんて数だ……! 叩き落すにも限度がある!!』

 

 ブレイブ2の長距離センサーと望遠レンズにより掴んだ情報に戦慄が走る。

 レイドシップ。真下に行かなければ敵の無限増殖を呼び、飛行するγ型に対処できる兵装は限られる。

 状況の悪化と、防衛の困難を皆が自覚する。

 

 悪い流れだ。レイドシップに感づかれたとなれば、いよいよフォーリナーの機械化軍団が迫る可能性が高い。これはその序章に過ぎない。

 

 そして突破を許せば、保管庫は壊滅し、仙崎らの作戦は失敗に終わる。

 ここを防衛するという選択が、既に間違っていたのではないか。

 各組織の指導者・指揮官と行動を別にしている皆はその考えが、僅かながら頭を過ぎる。

 

『──何を弱気になっている!! γ型? レイドシップ? ふん、好都合だ! 曙光會のサーペントが三輌いたはずだな。今は何処で油を売っている!? α型の対処? お粗末だな! そんなのはどうとでもなる! 弾種を対空砲弾に切り替えγ型の排除! 貴様らは対空砲部隊と割り切れ!』

 

 サーペントは比較的大型の歩兵戦闘車だ。兵員を乗せていない今は通常砲弾も対空砲弾も大量に積載している。

 中から人員が出てこない事を観察していたロイグ大佐は、その事を見抜いていた。

 そして対空砲弾に切り替えれば、サーペントはこの場で最強の対空兵器である。

 

『ニクス部隊! 弾薬の損耗が激しいな。貴様らは一度運搬トレーラーまで下がれ! 予備の弾薬があるはずだ。あの保坂とかいう男、なかなか頭の切れる奴だ。備えていないとは思えない、そうだな?』

 

 事実だった。ニクスは自走歩行でここまでやって来た訳ではない。

 運搬トレーラーが巧妙に偽装され隠されているが、保坂は予備弾薬や燃料を隠し持っていた。

 補給のタイミングが難しい為宝の持ち腐れになるところだったが、それは避けられた。

 

『陸自の諸君、無反動砲の在庫は? ある? ならレイドシップに全て叩き込め。奴をこちら側に誘導し、真下に陣取る。幸い湧いて出ているのはγ型だ。なら地上にたむろせず真下はがら空きだ』

 

 γ型は羽を持つ為、投下後はレイドシップ周辺に散る。放置しておけば強力な針の雨で部隊壊滅は必至だが、強力な40mm対空砲弾を持つサーペントがそれを防ぐ。

 それに対処さえすれば、凶悪なγ型を排出するレイドシップの対応は、ある意味で”易い”とも言える。

 

『ニクスの補給が終わったら貴様らがレイドシップを落とせ! 残骸は遮蔽物になる。フォーリニウムで出来た船体は強固だが、残骸としてはほぼ損壊を気にする必要が無い優れたモノだ! 死神の盾と合わせて、こちらの損害は大きく減らせる!』

 

 この戦場に於いて、起伏は激しいものの絶対的な遮蔽物の不足は、彼らが苦境に追いやられている要因の一つだ。

 レイドシップを利用し、壊れる事のない遮蔽物を即興で作り出すのは理に適っている。

 

『黒翼はもっとも数が多いα通常種の対処と各部隊への航空支援。死神は引き続きα亜種に対処、及び遊撃し危ない箇所への盾と矛の役割を果たせ。曙光會のゲリラ兵はβ型を漸減しつつ補給路を確保しろ』

 

 各々の部隊特性を最大限に生かした指示を的確に下す。むろん要求に答えるには相応の練度が必要となるが、これまでの戦いで互いがそれを満たしている事は、十分に分かっている事だ。

 

『その間我々は保管庫入り口の裏に移動し、補給体制を整える。保管庫の地下の壁は核攻撃を想定した厚い壁面で覆われている。巨大生物と言えど、ここから地中侵攻を繰り出す可能性は低い。こちら側に巨大生物が湧いていないのがその証拠だ』

 

 最悪、それが破られて保管庫真下方面から巨大生物が現れるような事があれば、それは既に内部施設の壊滅を意味する。

 そうなった時点で、彼らがここで戦う意義は失われる。

 

『保管庫へ突入した部隊からの連絡は未だ不通だ。リミットまで13分、それまでは、血反吐を吐いてでもこの地に残ってもらうぞ!! あのレンジャーの思惑に乗るのは癪だが、ここが今後の地球防衛の重要な戦略転換になると、そう私が決めた!! 地球戦略を裏から操って来た我らの、そして貴様らの誇りと矜持を、今こそ世界に示す時と知れ!!』

 

「「うおおおぉぉぉぉーーーーー!!」」

 

 的確な指示、適切な鼓舞。

 前線で敵対勢力に怯えていた小心者とは思えないロイグ大佐。

 それもそのはずだ。彼はどう見ても最前線で指揮を執るような人間ではない。

 大きい目で見ればここで指揮通信車に乗っているのも十分前線と言えるが、とにかく直接戦火を交えることなく、指揮命令に徹するのが彼のような者の実力の生かし方だ。

 

 曲がりなりにも、EDFの地球防衛戦略の一端に大きく携わっている高級将校だ。

 彼の手腕には疑いようも無く凄腕で、彼の手によってEDFは多くの国家で協同体制を敷くことが出来た。

 その手腕は戦術指揮においても高い技量を持ち、こうして咄嗟の出来事にも柔軟に対応する事が可能なほど揺ぎ無い実力を持っている。

 

 今回はたまたま、その高すぎるプライドと傲慢な考えが悪い方向に傾いただけなのだ。

 それが巡り巡ってこの状況に変わったのであれば、それもまた最良の結果に繋がる一幕であったといえよう。

 

 そうは言っても、元が臆病なロイグ大佐だ。臆病だからこそ、地盤を固め、他人を動かし、状況を最も安定する形に変える努力を惜しまなかった。

 だから、この状況の綱渡り感は本当に、心の底から嫌だった。

 

「だから、頼むぞ仙崎誠よ……。早急に茨城尚美を説得し、吉報を報告しろ……! 私はこんなところで、無様に終わる程度の人間ではないのだ! 貴様に賭けたからには、そこが勝ち馬であらねばならない! 愚将として世に名を残すのは嫌だ……! いつだって私の判断は、正しい、そのはずだ……」

 

 指揮通信車の中で孤独に震えるその声は、誰にも聞こえる事は無い。

 

──EDF戦略火器保管庫 内部──

 

 特戦群部隊長:黒部二佐。グリムリーパー隊長:アヴィス大尉。保全局長官:ドレフニコス局長。曙光會幹部:保坂少佐。そしてEDF特戦歩兵(レンジャー):仙崎少尉。

 以上の五名は、保管庫内部に入り込み、今は地下へのエレベーターを下っていた。

 

 その内の一人、黒部二佐はスイッチの隣に開くコンソールを操作する。

 

「──これで、下層に着いたら扉は開くだろう。俺が解除できるのはここまでだ」

 

 黒部二佐のロック解除が終わると同時に、仙崎は行動方針を改めて確認する。

 

「下層の移動と同時に、茨城博士に連絡を試みる。と言っても、相手は無線封鎖しているようで応答はない。だが侵入が発覚すれば、何らかのアクションが起こるはずだ」

 

「ふむゥ。発覚するのが前提の突入、そういう訳ですか。スマートではありませんが、他に方法も無いでしょうねェ」

 

「さすがに土地勘が無いからねぇ。相手に見つけてもらう方が早そうだ。だが妨害はあるよ? 恐らく」

 

「自動銃座と巡回無人機、それと毒ガスや遮断隔壁くらいは警戒した方がいいだろう。ここの警備を預かってはいたが、ここから先は俺にとっても未知の領域だ」

 

「ぬぅ、予想はしていたが、やはり厳しい順路になりそうだ。だが迅速であらねばなるまい。その為に──」

 

「──その為に、”盾”を連れて来た。そうだろう?」

  

 死神が盾を鳴らすと同時、エレベーターが下層に辿り着き、扉が開く。

 開いた先には、

 

「案の定か!」

 

 仙崎の睨む先には二基の自動銃座がしっかりこちらを狙っている。

 五人の対象を識別し、0.5秒で敵性認識を行い、躊躇わず銃座が火を噴く。。

 が、その銃口から放たれた対人銃弾はあっけなくグリムリーパー・シールドによって塞がれた。

 

「狙う──!」

 

「旧式兵器など!!」

 

 黒部二佐とドレフニコス局長が、それぞれ選抜射手用小銃(マークスマンライフル)とスラッグガンで自動銃座を狙撃。

 グリムリーパー・シールドの陰からの銃撃に、自動銃座は成すすべなく爆散した。

 

 同時に、けたたましい警報が鳴り響く。

 通路奥と入り口の隔壁が閉まり、通風孔から気体が流入する。

 

「ちっ、毒ガスか! やはり!」

 

「対策済みです! グリムリーパー!!」

 

「了解した」

 

 保坂少佐の言葉の意を汲み、死神はスラスターで加速し、隔壁をぶち破った。

 火花を散らし、隔壁が粉々に吹き飛ぶ。フェンサーの高速機動と鎧と盾の打撃はそれだけで質量兵器だ。

 

「保坂!」

 

「仕掛けてあります。皆さんこちらに!」

 

 保坂は皆をグリムリーパーの方へ呼び、毒ガスが出てくる通風孔にリムペット弾を既に設置。

 スイッチを押すとごく少量の火薬が爆ぜるが、それは可燃性だった毒ガスに引火し、廊下を一瞬で火に包んだ。

 同時に、可燃性ガスは通風孔の奥まで誘爆し、毒ガス排気機構全体に大きな損壊を与えた。

 

「ふう。助かったぞ保坂。しかし毒ガスの性質に良く気付いたものだ」

 

「いえいえ。曙光會とEDFの間を行き来している身としては、この手の物への警戒は怠れませんからね。死神さん、異常は?」

 

「特にない。早めに気付いたおかげだ。感謝する」

 

 EDFが秘密裏に開発した腐食性かつ引火性の毒ガス。

 呼吸器にも当然作用するが、金属製セラミック製の特殊装甲と反応し腐食する特性を持つ。

 ようは鹵獲されたEDF装備や他国の装甲技術の発展を警戒して作られたものだが、巨大生物の甲殻や白銀の装甲にも効果を出せるように調整中の試作ガスだ。

 

 気体重量は空気より軽く上に溜まる特性を利用し、引火性でありながらスラスターと火花を恐れず迅速に質量を使っての突破だ。

 もう数秒判断が遅ければ爆発に巻き込まれたのは仙崎ら全員であった上、パワードスケルトンの駆動部と反応すればグリムリーパーは行動不能に陥っていた。

 

「扉に入るぞ!」

 

「先行し突入する。後に続け!」

 

 スラスターを使い、勢いよく扉を破壊し開け放つ死神。

 続き、仙崎らが次々と飛び込む。

 

「ここは……──!?」

 

「足を止めている暇はない。急ごう!」

 

 禁忌兵器の保管庫、その一つ、と言ったところか。

 

 グリムリーパーの先導で部屋を通過し、中央にあった”電算制御室”と表示された昇降機への突破を試みる。

 しかし、グリムリーパーの火力を以てしても扉を破壊できず、保坂がハッキングによる開錠を試みる。

 

 その間、仙崎は警戒しつつ周囲を見渡す。

 

 広い空間だ。タラップやキャットウォークを越えた上部に、円柱の水槽の様なものがあり、其処に”人らしき何か”を見たが、気を取られている暇はない。

 他にも謎の装置や砲台のようでそうでない物体、奇妙な形をした無人機や、或いは厳重にロックされた箱の様なモノが”展示”されていた。

 

「これでは、保管というより……」

 

「まさに、誰も見る事のない”博物館”。研究を続けるでもなく解体を行うでもない。ただただそこに在るだけの物体。謎の理論は謎のまま。理解できないモノは、そのまま忘れ去るべきである。──そんな、停滞と腐敗の象徴が、この名ばかりの保管庫なのですよ、センザキマコト。まァ、件のナオミはデータを複製し日本政府に渡していたようですが、その結果が”彼女ら”の処分とは。短絡的と言わざるを得ない。嘆かわしいコトです」

 

 ”展示”されている兵器類や技術そのものは、とてもメンテナンスを行っているようには思えない。

 動力は断たれ、電力は喪失し、人の手が入っていない状態が久しく見える。

 

 本当に、これらの兵器の中からソラスを撃退するだけの兵器が?

 

 そう言った不安が頭を過ぎるが、それを考えるのは仙崎の領分を越えている。

 この作戦を考え付いたときから、そう結論付けていたはずだ。

 

「無駄話や考察は後にしろ。一度決断したなら、進むこと以外、何も考えるな」

 

 黒部二佐が、仙崎の肩を力強く叩く。フェイスペイントの奥の瞳が、揺ぎ無い意思に燃えているのが分かる。

 

「すまない、分かっている。しかし、貴様にそんな助言を貰うとは、奇妙な気分だな」 

 

「俺も、きっと部下達も、この作戦に少なからず希望は感じている。だからこそ、お前に賭けた。慣れ合いをするつもりはないが、目的が達せられるまでは、少なくとも背を預けるだけの信頼と期待は抱く。お前の所作が、そうさせた」

 

 その言葉に目線だけで返答し、仙崎は改めて背負っている物の重さを実感する。

 直後、保坂が叫び声を上げる。同時に警報がけたたましく鳴り響く。

 

「クソッ!! 失敗した! 冗談みたいに複雑過ぎる! 本気で人の手で組まれてるのか!?」

 

「どうやらそれも計算のうちらしいぞ! ドローンだ! 何か持っているぞ……?」

 

 警報と共に、レーザーが照射された。どうやらレーザーは照準の意味らしく攻撃力は無い。

 代わりに、装置からEDF製ドローンが次々と発進する。

 

「ふむ……。あの形状、セレウコスですねェ。なるほど、指向性爆薬であれば、付近の兵器に被害が被る事は無い……」

 

 その言葉に、保坂が劇的な反応を見せる。

 

「セレウコスだって!? 冗談じゃない! 直撃したらフェンサーだって骨も残らないぞ!」

 

「よろしい、素晴らしい!! ですが、(ワタクシ)相手には悪手であったと言えましょう!!」

 

 吠えるドレフニコス。

 拳銃と同じような黄金の意匠がされたスラッグガンに、あるスラッグ弾を装填する。

 

 高笑いと共に引き鉄を引くと、スラッグ弾は空中で炸裂。周囲を飛んでいた三機のドローンは

動力を失い墜落する。

 

「誘導装置の元ならいざ知らず、小型のドローンへの電磁防御はまだまだ未熟ですねェ」

 

「小型の、EMP弾か? む、こちらの電子機器に異常はないようだ。だが終わりではないらしいぞ! どうする!」

 

 仙崎の言葉通り、装置からはまだドローンが飛び立っている。レーザーの照射源は部屋の隅に四つ。

 

「無暗に撃つのは、避けた方が良い! 誘爆でも起こしたら、この閉鎖空間じゃ恐らく助からない!」

 

「撃ち落とすなら、ドローン本体を狙う事です。信号が途切れれば、余程の衝撃でもない限り誘爆は起きないでしょう。厄介なプログラムがされていれば別ですが」

 

「ドローン自体は簡素な造りと見た。それは心配しなくていいだろう。であれば、この距離なら全て撃ち落とすなど、特戦群の技量なら造作もない。が、手数は欲しいな……!」

 

「盾がある。囮なら任せろ! ついでに装置を潰して回る! 保坂! さっさとその難問を攻略し、次への道を拓け!」

 

「しょうがないな! ここで終わってしまっては色んなものに顔向けできない! なんとかやって見るよ!」

 

「黒部二佐、援護するぞ! ……む、内線が鳴っている……! 悪いが、取るぞ!」

 

 仙崎は躊躇う事無く内線の受話器を取る。

 保管庫の制御側からの、何某かのアクションだ。無駄にはしたくない。

 

「仕方ない。俺とドレフニコスでドローンは何とかする。死神は装置を潰し、保坂が下層への道を開ける、か。文字通りの共同戦線だな」

 

 黒部二佐が状況の困窮に嘆息しつつ、マークスマンライフルでドローンを撃ち抜き、周囲を見やる。

 

 一方、仙崎は受話器を耳に当て、相手の声を待つ。

 恐らく、中央制御室からの茨城博士に違いない。ようやくその凝り固まった考えを解す時が来た、そう思ったが──

 

『随分と、好き勝手にやってくれたな。侵略者よ』

 

 ──全く知らない壮年の男性の声によって出鼻を挫かれた。

 

「……貴様は、何者だ? いや失敬──我が名は仙崎誠!! EDF陸戦歩兵部隊に所属する陸軍少尉、仙崎誠である! さぁ、貴君の名と、何用かを問いただそう!!」

 

 主導権を渡す訳にはいかんとばかりに、自ら先に名乗りと質問を同時に行った。

 何者かは知らないが、交渉は既に始まっているのだ。

 

『む、先に名乗られたか。礼儀がなっている……と言いたいところだが、嫌に偉そうな態度が癇に障る。……まあいい。無駄話をしている時間は無いのだったな。失礼。えー、私は、日本国防衛省、防衛大臣の春日野貞治(かずがの ていじ)という者だ』

 

 防衛大臣。ようは、ここにいる特戦群の総権限を握る人物と言う訳だ。

 ただ、旧日本政府の要人は全てジェノサイドキャノンにより灰塵と化している。

 故に、彼は日本臨時政府の人間、まだ防衛大臣に就任してから日は浅いだろう。

 問題は、戦略火器保管庫について、どれほど熟知しどの程度の権限を有しているか、だ。

 

 春日野防衛大臣は続ける。

 

『単刀直入に言おう。今すぐそこから去れ。同じ日本人だろうが所属はEDFに違いない。これ以上の侵入を行うのであれば、EDFの内政干渉、及びテロ幇助と断定する。行為に対し正式に報復する用意が、こちらには幾らでもあるという事を忘れるな』

 

 防衛大臣のかける圧を前に、仙崎誠はほくそ笑んだ。

 先の通り、彼がどの程度の権限を有しているか不明だが、ある意味で予想以上の大物との接触だ。

 これは仙崎にとって紛れもないチャンスであった。

 彼は機運が向いた事を悟り、唇を湿らせ舌戦の用意をする。

 




殆どゲストキャラクターだし(多分)特に掘り下げる事今後ないとは思うんですけど、一応キャラ紹介いっときますか!

●ブレイブ2”坂上弘毅(さかがみ こうき)”(38)
 曙光會幹部、保坂誠也の私兵部隊”ブレイブ中隊”二番機パイロット。
 EDFに正規登録された部隊ではなく整備や補給はEDF内部にある保坂お抱えの格納庫で堂々と行っている。
 曙光會の前身、暴力団組織”國光會”の頃からの構成員で、組織の会長に忠誠を誓っている。
 冷静な思考能力を持ち、どの能力も突出していないが平均的に高い。

●ブレイブ4”蔵部総一郎(くらべ そういちろう)”(36)
 ブレイブ中隊、四番機パイロット。
 やや猛々しい性格で、日本の現状を憂いている国粋主義者。
 国益を侵略するEDFと、それに喜んで手を貸す日本政府を売国奴と称している過激派。
 ブレイブ2と同じく”國光會”の構成員かつ鉄砲玉で、坂上と組んで主に海外で活動していた。
 現地でEDFコンバットフレームの残骸を合わせて組み立てた通称”ジャンクニクス”を用いて戦闘や工作を行っていた。
 フォーリナー襲撃後は日本の各戦線を飛び回り戦域維持に少なくない貢献を果たしている。

●ダルシット・シャルーマ(29)
 EDF異端技術解析保全局、黒翼部隊”アラ・アートラ”の部隊員。
 インド人であり、保全局内に研究者の父がいた。
 彼自身もまた科学者であったが平凡だった。
 父は研究者として”極北の魔女”を崇拝していたが、領分を越えた研究で気が狂い廃人に。
 それを見たダルシットもまた正気を失い、酒とクスリに溺れる日々を送った。
 しかし戦闘のセンスに恵まれた彼はドレフニコスに見初められ、黒翼部隊の一人として頼りにされている。
 
●レヴェント・コルニーニ(31)
 黒翼部隊”アラ・アートラ”の部隊員。
 トルコ系イタリア人で、やや斜に構えた物言いをする。
 元は民間会社の優秀な自動車デザイナーだったが、EDF出現で世界経済が混沌に陥った事で競争に負け会社は倒産。
 路頭に迷ったところを友人のツテでジャギリという科学者を紹介され、抵抗虚しくあっという間にEDFの暗部に身を墜とした。
 黒翼部隊として活動するにあたって足がつくとされ国籍や市民権は剥奪され、故郷に残した家族にも気軽に会えず闇の深い日々を送りながら、実用可能な範囲での兵器設計を行っている。
 才能は本物であり、”ジャギリ・システム”のデザインも請け負った。
 ややプライドが高く、他社兵器や自分が手掛けた以外の物に難癖をつける事がよくある。

●サイード・ラフマン(35)
 グリムリーパー隊、第一小隊副隊長。
 アラブ人で、幼少をアルケニアの紛争地帯で少年兵として駆けまわっていた。
 死神とは紛争時代からの長い付き合いで、よく酒を飲み交わす気のいい友人、といったポジションである。
 紛争の地獄を経験しているからか、彼もまた生への執着は希薄で、味方の盾のなって死ぬ覚悟を持って戦場へ出る。
 過去に重度の負傷を何度か負い生死を彷徨っているが、しぶとく生還している。
 家族はおらず、天涯孤独の身だがグリムリーパー隊では珍しくない。

鏑木啓治(かぶらぎ けいじ)(29)
 反EDF組織、曙光會構成員の一人。
 保坂の実質的な右腕ポジションであり、基本的に頼めばなんでもやってくれる。
 同じく使い倒している宮藤と違い、彼はどんな無茶な事でも文句ひとつ言わず従い、全てやってのける。
 表情も変わらず、冗談も通じず、感情らしきものを垣間見ることが出来ない為、あの保坂ですら若干気味悪がっているとか。
 思想や行動原理も不明。自分の意思も確かめられない。まさに機械の様な謎の男。
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