全地球防衛戦争―EDF戦記―   作:スピオトフォズ

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第十話 帰還

――2022年7月11日 墜落地点 side:仙崎誠――

 

 上空から放たれた青白い閃光――プラズマランチャーの一斉砲撃は、辺りの巨大生物を一掃した。

 

「あれが……ウイングダイバーというやつか……!」

 墜落の衝撃と酸でボロボロになったヘリの隙間から見える降下翼兵(ウイングダイバー)は、4人。

 

 その名の通りの翼から噴出する青白いプラズマエネルギーを弱め、飛行の勢いを減速し、着地する――筈だった。

 

「仙崎! 左だ!!」

 正直に言って、気が緩んでいた。

 至近と思う距離で、死にぞこないの巨大生物一匹が牙を振りかざし突撃してきた。

 

「なにぃぃッ!?」

 咄嗟に引き金を引くも、銃弾は一発しか出ない――最悪のタイミングで弾切れとは!!

 

「そこのアンタ! 念の為避けなさい!」

「何を――ファーーー!!」

 たまたま私の上空に居たウイングダイバーが、上空から砲撃を行った。

 それはいい。

 問題は、そのプラズマ砲弾が私へ向かって落ちてきた事だ!!

 

 私は使えない右足を無視し、全身の全力を振り絞って、プラズマの炎に焼かれながら回避する。

 先程と比べると随分小規模な爆風だったが、瀕死の巨大生物には十分だったようだ。

 

「あ、やべ、落ちる! 避けてぇぇぇ!!」

 今度はなんだ!?

 甲高い警告音を発し、蒸気を出したウイングダイバーが墜落してくる!!

 私は全力を振り絞った後の死力を振り絞り、もう私の体には何も残っていないと思える状態でなんとか回避した。

 

 一方そのウイングダイバーは、哀れ顔面から地面に激突していた。

 ……死んでないよな?

 

「痛ったぁぁ~い!! ちょっと! なんで受け止めてくれないのよ!!」

 鼻まで真っ赤にして憤るが、

 

「はぁ!? 避けろと言ったのは貴様だろう!」

 理不尽過ぎて話にならない!

 

「そうだっけ? そうだった! じゃあ前言撤回! アタシを受け止めなさい!」

 可憐な顔立ちをコロコロ変えて、最後にはドヤ顔で言う始末。

 

「遅いわ!! 撤回できん! 大体なんなのだ貴様! さっき私を狙っていなかったか!?」

 もう少しで死ぬところだったぞ!

 

「あ、あれはね! この銃精度低いから、前もってアンタに避けるように言ったのよ。やだ、アタシって天才……?」

 畏敬の念を自分に向ける奇妙な表情をしているのはさておき。

 それで念のためと言っていたのか……。

 普段の私ならばあの程度造作も無いが、せめて負傷している事に気付いてほしかった!

 

「ならその後墜落していたのは?」

「ジェネレイター見てなくて、オーバーヒートしちゃったみたい」

 てへっ、と誤魔化す感じで笑っているが、無駄である。

 

「駄目ではないか!! 少なくとも私の前で天才を名乗ることは許さんぞ!」

 くわっ! と顔面全てで威嚇するが、彼女は全く堪えない。

 これもまだ無駄であった。

 

「なによ! 助けてあげたんだからいいじゃない! 先に礼の一つでも言ったらどうなのよ!」

 お返しとばかりにあちらも顔面威嚇。

 確かに助けられたのは事実だ。

 事実なのだが……。

 

「ぐぬぬ、このようなじゃじゃ馬娘に助けられるとは……なんたる不覚! ……助けていただき感謝します」

「ちょっと、小声と大声が逆じゃない? 素直に喜べないんですけど」

 むすーっとした顔で不満を表す。

 しかし表情がやたらと忙しい女だ……。

 

「素直に喜ばせる気など無いからな」

「じゃあ都合の悪いとこは聞こえなかったフリして、素直に喜んじゃう。やったー!!」

「なんだこの女……天邪鬼過ぎるだろう……」

 

 なんだかこの数分間で妙に疲れたぞ。

 とは言え。

 

「こちら第202機械化歩兵連隊第一中隊”ランドガルド”第三小隊だ! 負傷者を発見! ウイングダイバーも到着している! これより負傷者を搬送する!」

《本部了解! ランドガルド3、ペイルウイング2! 周囲に再び巨大生物の反応がある。レンジャー8を頼んだぞ!》

 

 周囲には4名のフェンサー小隊も到着し、巨大生物は一掃された。

 青木の救出も終わったようだ。

 だが、奴らはまだ際限なく現れるらしい。

 

「まったく、勤勉な蟻共だ。ペイル2。俺達は片手で抱えながらなんとか戦闘もこなせるが、君たちは」

「無理だな。一人抱えながら戦闘すれば、直ぐにオーバーヒートする。故に、ランド3に援護は任せ、全力で離脱する。ペイル2総員、準備はいいか?」

 部隊名を聞き逃したが、どうやらペイルウイング中隊の第2小隊のようだ。 

 

「ほら、アンタも掴まりなさい。空の旅に案内したげるわ」

 と、得意げに左手を差し出すので思わず掴んだのだが、

 

「これ、大丈夫なのか?」

「平気よ! もうオーバーヒートは起こさないわ! 行きましょう!」

 ペイル2隊長の合図で、ペイル隊は一斉に飛び立ち、ランド隊は一斉に背中のダッシュセルを吹き上げた。

 

 ……のだが。

 

「や、やばい! 重い!! 腕ちぎれそう!!」

「だから言ったではないか!! 男の体重を片腕で支えられるものか!!」

 この女結構な勢いで阿呆なのではないか!?

 

 他を見ると、普通にユニットにしがみ付いていた。

 私もそうするべきだったな!

 ちなみに茉奈だけは両手で抱えられ、空を飛ぶ様子に目を輝かせている。

 なんとなく、あれは大物になる気がした……。

 

 私は空中で揺られながらなんとか手を放し、ユニットにしがみ付くことに成功した。

 ちなみにプラズマジェットは翼の先端から出ているのでユニット中央にしがみ付いていれば大丈夫である。

 

「さて、気を取り直して飛ばしていくわよ!」

「オーバーヒートだけは勘弁してくれっ!!」

「どうかしら! ぶっちゃけギリギリなのよね!」

 やはり気のせいではない。

 先程から上空に舞っては着地という、飛行というよりは距離の長い跳躍を繰り返しているのだが、徐々にその感覚も短くなっている。

 それはこのじゃじゃ馬が無能という訳ではなく、他のウイングダイバーも同じ動きをしている。

 

 それは速度の低下を示し、先行していたはずが徐々にフェンサー小隊に追いつかれてきている。

 そしてその背後からは多数の巨大生物が追ってきていた。

 

 フェンサーは、短い間隔でブーストダッシュを行い、合間を見ては振り返り、機関砲や散弾銃で攻撃していた。

 

「どうしたペイル2! もう息切れか? 負ぶってやろうか?」

 ランド3隊長が挑発めいた言い方をする。

 

「冗談! ……と言いたいところだが、些か厳しいな、やはり二人分の重量では排熱が追い付かん!」

「そうかい! 実はこっちも推進剤の残りが殆どない! 一度足を止めるか?」

 これは後で知った話なのだが、ウイングダイバーの背中にあるPE(プラズマエネルギー)ユニットから供給されるエネルギーは、実質無限と言える。

 だが、その排熱に限度があるので、一定連続消費を超えるとオーバーヒートしてしまうのだ。

 

 対してフェンサーの跳躍装置(ジャンプユニット)は、混合燃料を利用した推進剤を噴射して高速移動するので、有限なのだそうだ。

 

「賛成だ! 時間があれば我らは再び飛べる。だが貴様らは!」

「何とかするさ! あそこの公園で構えるぞ! いいな!?」

「イエッサー!!」

 

 やがてウイングダイバー隊は羽休めするように、一斉に着地した。

「小隊、強制冷却開始!! 完了まで20秒! 援護を頼むランド3!!」

「了ォ解!! ランド3全機、レンジャーとお嬢さん方を傷つけんなよ!!」

「「サー! イエッサー!!」」

 

 フェンサーは迫りくる巨大生物に散弾銃と機関砲を浴びせる。

 だが、たった4機では手数が足りないか……?

 

 そう思って前方を見ていたら、ふっと視界の横を黒い影が横切った。

 巨大生物だ!!

「伏せろッ!」

「えっ、きゃあ!!」

 私はユニットを支えにかろうじて立っていたのだが、それを丸ごと押し倒す。

 酸を回避すると同時に痛む足で前転し、小石を手のひら一杯掴んで巨大生物に当てる。

 

「ぬぅはは! こちらだ蟻野郎!!」

「何を!?」

 挑発に乗ったのか、今度は牙を下げて突進してくる。

 

「冷却中は攻撃出来ないのだろう!? フェンサーは前線を離れられんし、一匹くらい面倒見てやるさ! あと何秒だ!?」

 片足は動く、両手も大きな怪我はない。

 そして相手はたった一匹、なんとかなる!

 

「残り10秒!! でも無茶よ!!」

「上等だ! 巻き込まれぬように離れていろ!!」

《こちら作戦指令本部! ランド3! そちらに撤退中のグレイプ4輛を誘導した! 推進剤が持たないなら君たちも乗るんだ!》

「こちらランド3了解! ありがたく使わせてもらいます!!」

 

 巨大生物の突進は直線だ。

 動きを見極め、寸前で横に飛べば躱せる。

 脚力が捻出出来ない時は牙に手を付いて突進の反動を利用して躱す。

 受け身を取る時も、停止してはいけない、常に動き続けるのだ。

 

「すごい……」

 じゃじゃ馬娘が何かつぶやいたが、耳を傾ける暇はない。

 

 恐らくだがあんな重たそうなユニットを背負っていれば、こんな動きは出来まい。

 更に私自身、この程度の負傷なら、回避において他人に譲る気は無い。

 

 とは言え、やはり消耗が激しい。

 左足を庇っているせいだ。

 

 限界が近いか、少し覚悟した時――

 

「――冷却完了! 離れて!!」

「ぬぁッ!!」

 最後の力を振り絞って飛ぶ。

 そこをプラズマ砲弾が炸裂し、巨大生物は粉微塵となった。

 

「ペイル2各員、飛ぶぞ!!」

「アンタ掴んで! 行くわよっ!」

「こちら第五機甲師団輸送隊!! 負傷兵とフェンサーを預かる! 乗れ!!」

 

 こうして、ペイル2にしがみ付く私、水原、千島、それに茉奈の4人は共に空を移動し、それ以外の荒瀬軍曹、梶川大尉、青木、馬場はグレイプ装甲車で移動する。

 

 そのうち、横浜各地で同じように救助された部隊が港へ向かって集合し、横浜港で構える輸送艦へは目前となった。

 だが、同時に各地から寄せ集まった巨大生物も相当の数に上り、このままでは被害は避けられない状況になる。

 

「くっ、このままでは……! あの艦に武装はついていないのか!?」

「あれは輸送艦よ! 対空機銃くらいは付いてたけど、あの爆風で艦上構造物は深刻なダメージを受けてるって話よ!!」

「我々を中に入れると同時に巨大生物まで艦内に侵入させては大惨事だ! なんとか成らぬものか……!」

 私が歯噛みしていると、全回線通信(オープンチャンネル)で通信が割り込んだ。

 

《こちら、ネプチューン!! 横浜市街地一帯にライオニックミサイルで広域面制圧を行う!! 地上部隊、巻き込まれるなよ? 発射(サルヴォー)!!》

 

 女性艦長の声が聞こえると、高度を取って飛行していた私の目からは直ぐに、海面を突き破って飛び出す数十発のミサイルが現れ、的確に巨大生物を狙って飛んで行った。

 どうやら潜水艦からの攻撃のようだ。

 恐らく、EDF製汎用潜水艦のネプチューン級であろう。

 

「なんてラッキーなのかしら! 今のうちに逃げるわよ!」

「なんという威力、そして的確な狙いだ!」

 同じ光景を目にしてこの感想の違い……。

 相性の悪さが顕著に出ている気がする。

 

 やがて、先頭の部隊が着艦する。

 撤退するグレイプの数が多すぎて、最早どれが軍曹達の乗った車輛か分からない。

 同時に巨大生物も迫る。

 エネルギー効率の面で叶わないのか、やはりウイングダイバーは車輛に次々と追い抜かれる。

 そして背後から巨大生物も迫る。

 

 3つあるゲートのうち、後続がないと分かった2つのゲートが閉じる。

 我々は殆ど最後尾だ!

 間に合うのか!?

 

 あと少し……。

 あと少し――。

 

 ――辿り着いた!!

  

 

「ペイル2着艦しました!」

「急いで!! そこのグレイプで最後か? ならゲートを閉める!!」

「巨大生物接近!!」

「殲滅しきれなかったか!! 間に合え!!」

「三番ゲート閉鎖! 全ゲート閉鎖完了!!」

「よし出航! 海岸から離脱しろォーー!!」

 

 

――EDF輸送艦 艦内――

 

 

「ぜぇ~、はぁ~、な、なんとか間に合ったようね……」

 じゃじゃ馬娘が、ヘルメットを取って汗をぬぐう。

 薄い茶髪に、青色の髪留めが良いセンスをしている。

 

 良くある、黙っていれば美人、という奴なのだろうか。

 だが、それも大口を開けてみっともなく呼吸していれば、苦笑しか生まれぬというものだ。

 

「なぜそんなに息絶え絶えになっているのだ?」

 まるで全力疾走したかのようだった。

 飛んでいるだけで体力を使っているようには見えなかったが。

 

「き、緊張したのよ! 置いてかれるかもって! それに、乗ってるだけのアンタには分からないかも知れないけど、案外飛んでるだけでも疲れるのよ? サイオニックリンクっていう……脳内の波形? なんかでこのユニット制御してんだから」

 帰って来たのは案外まともな答えだった。

 少々心無い発言だったかも知れんな。

 

「そうだったのか。それは知らなかった。命令だったとは言え、無茶をかけて済まなかったな。お陰で命を拾った。ありがとう」

 乱暴で天邪鬼でじゃじゃ馬な娘だが、結果的に命を救われたのは事実だ。

 この感謝の気持ちに偽りはない。

 

「どういたしまして、素直に受け取っておくわ。でも、ふーん」

 彼女は私を眺めるように見つめてきた。

 

「な、なんだね」

「いや、素っ頓狂なフリして案外真面目なんだな~って。アタシの方こそありがとう。あの時庇ってくれなかったら、最悪死んでたかもね。ほら、このアーマーって、高機動重視して薄いからさ」

 確かに、ウイングダイバーの服装は陸戦歩兵より軽装……というより一般的な歩兵より露出が多い。

 酸を喰らえば一たまりもないだろう。

 

 しかし素っ頓狂とは……。

 確かに変人の自覚はあるが。

 

「それと」

「む?」

「さっきの大立ち回り、ちょっと格好良かったわよ」

 眩しい程の笑顔に、私は思わず見とれてしまった。

 そして自覚した。

 

 ああ、私は恋に落ちたのだな、と。

 

 笑顔ひとつでこのありさまか。

 案外私と言う人間も、単純なものだ。

 

「それはどうも。ではこちらも素直に受け取っておこう。しかし、じゃじゃ馬のフリして案外真面目なのだな」

 それはそうと、同じようにこう返してやるがな!

 

「あ、そこまで真似するんだー。じゃじゃ馬の自覚は無くも無い、けど……そうだ! 毎回そんな名前で呼ばれると思ったら、自己紹介してなかったわね! アタシ、瀬川葵(せがわあおい)。EDF第一降下翼兵団第一中隊”ペイルウイング”第二小隊よ」

 

「私は仙崎誠。所属は……まだない」

「はあ!? どういう事……? まさか壊滅……」

 深刻そうな顔で誤解し始めたので、慌てて否定する。

 

「違う違う! 実は私、こう見えて今は民間人でな……、いや、元EDF軍人ではあるのだが、こう、非常時に巻き込まれてご覧の有様で」

「そう、だったの。はぁ、それは、なんて言うか大変ね……」

 妙に同情的な目線を向けられ、少し気まずくなる。

 そんな感じで、会話に一瞬の妙な間が出来てしまう。

 

 いかん、いかんなぁ。

 先程からどのタイミングで言いだそうか困っているところだが、ふむ、やはりここは直球勝負しかあるまい。

 せめて連絡先くらいは聞きたいものだが。

 

「よし。話は変わるが、どうやら私は君を好きになってしまったようなのだが……どうすればいいと思う?」

 いかん!

 何を聞いているのだ私!!

 

 焦って顔から火が出てしまいそうだが、そこは私。

 表情は居たってクールなままだ。

 

「ふーん……好きに……好きに!? 隙に? えっ、なに、どういう事!?」

 瀬川は顔を真っ赤にして途轍もなく動揺しまくっていた。

 やめんか、こちらにまで伝染しそうだ!

 

「ええい今のはナシだ! さすがに直球過ぎた!! とりあえずまずは連絡先くらい聞きたいんだが如何か!」

 机の上のものを全て薙ぎ払うような動作で無かったことにする!

 こうなれば勢いに身を任せるしかあるまい!

 

「えっ、ちょっとまって。今のはつまり……、likeとloveのどっちなの?」

 額に手を当て、一周回ってなんか冷静に考える彼女。

 必死に思考を纏めようとしているのは伝わるが、せっかくナシにした話題を戻すのではない!

 

「ぬぅははは! もちろんloveに決まっている!!」

 こうなればもう行くところまで行くしかあるまい!

 

「きゃあああぁぁぁ!!」

「ファーーーー!! 何をする!!」

 なんか知らんがいきなりブン殴ってきた!!

 もちろん私はそれを華麗に回避!!

 

「だ、だって! そんな、こんなの初めてで! こ、拳を振り回すしかないじゃない!!」

「そんな人間はなかなかいないと思うぞ!?」

 顔を真っ赤にして肩で息をしている様はもはや理性を失いかけている。

 

「ここに居るじゃないの! バーカ!」

「逆ギレはよせ!! それで……どうなのだ!?」

 そして地味に私の体力の限界が近い……。

 早く答えを聞かなければ。

 重要な事だが、そう言えば負傷していたのを忘れていた!

 

「どうって……その、よ、良く分からないけど、連絡先くらい教えたげるわ! でも、アンタの事、別に嫌いではない、から――」

 

 この時の彼女は、照れ顔を必死に隠そうとして、多分見ていたら凄く可愛かったと思うのだが。

 

 後に聞いた話によると、残念ながらこの時の私は既に意識を失っていて、

 目を合わせられなくてそっぽ向いていた彼女は、次の瞬間に初めて気づいたのだという。

 

「――って、気絶してるぅぅーーー!!」

 

 

 ――そして、最悪なことに外から逃げ込んだ格納庫の入り口でこのやり取りをしていたため、一連の流れはほぼ余す所無く、艦内格納庫要員や撤退したEDF兵士に見られ、伝説のバカップル誕生の瞬間として、末永く語り継がれるのであった。

 

 




あれ、おかしいな、突然シリアスさんがログアウトされた……。
とは言え、10話にしてようやくヒロイン登場しました。
長かった……。
若干作者暴走気味ですが、
これからもよろしくお願いします。

以下人物紹介などなど。

瀬川葵(せがわあおい)(24)
 EDF第一降下翼兵団第二中隊”ペイルウイング”第二小隊員。
 階級は少尉。
 ウイングダイバー部隊は、高価な装備と高度な専門知識が要求されるので、最低階級が少尉からになっている。
 ”じゃじゃ馬”という言葉がピタリと当てはまる様な破天荒な性格だが、邪悪さはない。
 そして本作のメインヒロインだが、早くもシリアスブレイカーの片鱗を見せていて不安。

▼プラズマ・エネルギー・ユニット
 略してPEユニット。
 ウイングタイバーの装備の中枢で、飛行ユニットと呼称されることもある。
 フォーリナーシップの技術を解析して確立された新たなエネルギーを動力として使用している。
 プラズマエネルギーの正体や仕組みは大半が謎に包まれていて、既存の物理学におけるプラズマとは全くの別物とされている。
 公にされない長年の人体実験によって女性の脳波でのみコントロールすることが可能。
 よって、特殊なヘルメットとPEユニットで脳波をリンクさせる”サイオニックリンク”というシステムにとって飛行をコントロールしている。
 しかし人間一人の脳波では、操れる量に限度があるらしく、暴走を防ぐために一人に割り当てられる出力は最小限のものになっている。
 プラズマエネルギー自体は、理論上無限大のエネルギーとされているが、運動エネルギーなど他のエネルギーに変換されると膨大な熱量が発生してしまい、一定消費毎に冷却が必須となっている。
 以上の問題点から、大規模発電施設や、戦車などの大型兵器に組み込む事は、技術的に難しいのが現状である。
 
▼E1プラズマランチャー
 ウイングダイバーの唯一の武装。
 PEユニットから直接エネルギーを送り込んで発射する粒子砲の一種。
 弾切れが存在しないという既存の兵器の常識を覆す新兵器だが、熱量過多による射撃不能や、肝心の威力や精度がEDF製ゴリアス1に劣るという問題もある。
 他にもプラズマエネルギーを変換した光学兵器や雷撃兵器の研究が進んでいるが、実用には程遠い。

▼ネプチューン級汎用潜水艦
 EDFが海軍に配備したEDF製汎用潜水艦。
 潜水艦を含む、海軍艦艇の設計・新造・量産には莫大な費用が掛かる為、EDFは世界中の海軍から艦艇・潜水艦を購入し、世界中の海に配備している。
 しかし、その中でも世界中のEDF海軍工廠・造船工廠にて多くの新造艦を造船し続けている。
 ネプチューン級もそのうちの一つであり、最新の技術を織り込んだ新鋭潜水艦でありながら、既に量産体制が整い、5年前から世界中の海に配備されている。
 洋上・沿岸部への攻撃も可能な船首魚雷と、多くのVLSが装備。
 VLSには小型で大量に搭載されるライオニックU20ミサイルや、艦艇攻撃・火力支援に優れた長射程のAH巡航ミサイルを搭載可能。

 

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