まあでも基本色々穴だらけだから変なトコあってもそこは雰囲気で乗り切ろう!
10/12 小田急多摩線→JR横浜線に変更
――2023年1月17日12時 EDF極東方面第11軍司令本部基地 地下五階 小隊ブリーフィングルーム――
「小隊敬礼ッ!」
その言葉に、小隊員19名が一斉に敬礼する。
号令を発したのは、小隊副官も務める荒瀬軍曹だ。
「楽にしろ」
小隊長、大林中尉の言葉で敬礼を解く。
「まず初めに、現在の戦況を伝える。昨夜未明、旧調布市周辺で梯団を形成していた巨大生物群が突然進撃を開始した。これにより、旧稲城市の第一防衛線が奇襲を受けて壊滅。巨大生物は二手に分かれて進撃を続けている。A群5000体は旧多摩市へ西進。B群7000体は分散しながらも旧町田市に向け南下している。状況の推移が予定より早まったという事だ。よって我々も、作戦決行時刻を早め、出撃は今晩1800とする」
本来なら明日だったものが一日早まったか。
しかし五千体、七千体か。
数字を聞いただけで、軽くめまいを感じるというものだ。
「次に作戦の概要だ。作戦名”スチールレイン”。目標は、南下するレイドシップ、6隻の撃墜だ」
「ッ!!」
室内に緊張が走る。
それもその筈、ロシアで、アメリカで、世界中で幾度も決行し、そして失敗を重ねたレイドシップ撃墜作戦。
それも巨大生物七千体を相手取っての作戦だ。
かなりの規模になるだろう。
「今回の作戦の肝になるのが、これだ」
スクリーンに映像が投影される。
そこに映っていたのは、
「DE-202”ホエール”攻撃機。EDF空軍が保有する空飛ぶ要塞と言われる大型攻撃機が六機。そこに搭載された150mm空対地支援単装砲、通称”フーリガンブラスター”各20発を使って、装甲が薄いと思われる上面を狙い撃つ」
スクリーンに映る詳細を読む。
戦前よりEDFが全地球防衛条約兵器の一つとして開発していたものらしい。
高初速・高貫通力・高精度を目的に作られた対重装甲用徹甲弾。
フォーリナー襲来当前は予算の都合で未完成だったが、空軍が予算を吸収し、完成させたらしい。
しかしながら、敵の装甲の素材が一切不明な為、実力は未知数と書いてある。
「ホエール攻撃機は、当然の事ながら単機での地上支援も可能だが、今回の作戦では統合末端攻撃統制官、通称エアレイダーの誘導の元砲撃を行う」
エアレイダー。
アメリカ軍の統合末端攻撃統制官のEDF内での呼称だ。
近接航空支援が可能な空軍攻撃機や爆撃機、陸軍砲兵隊と連携してより精密な攻撃範囲指定や効果判定を主な任務とする特殊兵科。
EDFに復帰したばかりの私であるが、結城大尉に簡単に現在のEDFについて説明を受けたほか、貰った資料に書いてあったので、恐らく機密以外の一般的なことはほぼ知識にあるはずだ。
「戦況によって細かな作戦内容は変更するが、大筋はこうだ。第一段階、戦域全体への一斉面制圧。これで巨大生物の殲滅と混乱を狙う。第二段階、護衛を付けたエアレイダーの各目標への突破及びフーリガンブラスターでの目標撃墜。具体的には、エアレイダーが発射する特殊ビーコンを目印に、フーリガンブラスター20発の一点集中連続砲撃を行い、レイドシップ中央部にある転送装置の貫通及び破壊を目的とする。次に第三段階だが、撃墜の成否によって二つのプランがある。成功時はプランA。想定内の状況である限り、戦力を一気に投入し、旧稲城市を中心とした、旧調布、旧多摩、旧府中周辺地域までを奪還する」
4都市の一斉奪還だと!?
随分大きく出た作戦ではないか。
聞いた話ではあるが、この半年間、人類は世界中で増殖する巨大生物やレイドシップの対応に追われ、本格的反攻に成功した地域は無いという。
我らが日本国も、大幅に領土を奪われ、今や関東甲信越地方の殆どが占領されたままだ。
この作戦が上手く行けば、日本に、いや世界に希望を与えることが出来る。
病み上がりの初陣でありながら、未来を左右する重大な決戦に、自然と胸が高鳴る。
「撃墜に失敗した場合はプランB、先の4地域は放棄するが、JR横浜線に沿った地域を新たに西関東第一防衛線とし、日本国防衛の要と言えるここ極東本部や、軍事工場や重工業の多くを占める京浜工業地帯の防衛を、更に強固なものとする」
そうだ、興奮するのはまだ早い。
全ては、新兵器”フーリガンブラスター”とやらが謳い文句に違わぬ兵器かどうかにかかっている。
実際、この手の兵器は世界中で何度か開発されているらしく、そのどれもがあの白銀の装甲に傷一つ付ける事叶わなかったそうだ。
それ故についた渾名は、無敵艦隊。
遅かれ早かれ、この無敵艦隊を撃沈しない事には、人類に未来は無いという事だ。
とは言え、個人ではどうしようもできない。
兵器開発者の聡明なる頭脳に期待するほかあるまい。
私に、我々に出来る事は、そのための時間を一分一秒でも多く作り、そして開発拠点や工業地帯を防衛する事だ。
「以上が大まかな作戦の概要だ。続いて我々の任務だが、フーリガンブラスターを誘導する第4エアレイダー小隊”アルデバラン”を護衛し、特殊ビーコン発射を支援する。知っての通り、エアレイダー小隊には4名の陸戦歩兵が護衛として配属されているが、本作戦では敵に肉薄する必要があるので、我々レンジャー2が護衛任務にあたる。それに伴い、レンジャー2とアルデバランを纏め、第三作戦任務部隊”バレイル3”と呼称する。なお、現地では既に防衛線の部隊が戦闘を継続中であり、戦況やレイドシップの位置予測が困難であることから侵入ルートは我々に一任されている。質問はあるか?」
手は上がらない。
「ではブリーフィングは以上だ。解散!」
――――
ブリーフィングルームを出てぞろぞろと歩き出す私を含む小隊員。
ちなみに、小隊長(2-1分隊長兼任)の大林中尉、2-2分隊長の荒瀬軍曹は打ち合わせを続けている。
私はこの戦いの重要性を胸に刻みつけ、一層気を引き締める、のだが。
「フーリガンブラスター!! あれが噂に聞いてた空軍の新兵器ってヤツだね!! 戦車砲以上の貫通力と火力、戦艦以上の精度と射程、そして空軍ならではの即時展開能力を合わせた最高の航空支援兵器!! 本来はフォーリナー侵略時の戦車に該当する敵装甲目標の撃破をコンセプトに作られたんだけど、戦車に該当する敵居ないもんね~! それにしても上空から戦艦の副砲並みの砲弾が降ってくるとか凄いよね! ね!」
「なぜ私に聞いてくる、結城桜……」
目を輝かせてテンション上がりまくる結城桜が、凄い早口でまくし立てる。
私の高まった戦意を返せ!
「あ~あまた始まったぜ。コイツ新兵器とか出てくるといつもこうだもんなぁ。前回の役立たずミサイルの時も、凄いのなんのって散々はしゃいでたよな? で、あの体たらくだろ?」
鈴城軍曹が呆れ顔をする。
その様子を見ると、騒ぎ出すのは毎回の事らしい。
元気があるのは良い事だが、ちょっと元気すぎやしないか。
「して、その役立たずミサイルとは?」
気になったので聞いてみる。
「スカイタートルって試作型ミサイルっすよ。レイドシップを下から攻撃するためのミサイルで、ウチの開発部が作ったらしいっす」
水原の説明に続けて、鷲田少尉が引き継ぐ。
「ありゃァある意味凄かったぞ。超デカいミサイルがチャリぐらいの鈍足で空中を飛行して、オレら全員で固唾を呑んで見守ってたら、ミサイルにたまたま巨体生物が突っ込んできてボーン! 作戦は失敗だ! ふざけてんのかっつーの!」
怒りと笑いと呆れが混ざった複雑な表情で、鷲田少尉が溜息をつく。
そのあと爆発に反応した巨大生物が見守っていた分隊に殺到したことは、想像に難くない……。
「スカイタートル……空飛ぶ亀ですか。しかし、なぜそんな冗談みたいな兵器が? 一見して役に立ちそうには見えないのですが……」
しかし自転車ぐらいの速度で飛ぶミサイルのは、少し見てみたい気もする。
いったいどんな原理で飛んでいるというのか。
「桜ぁ、解説」
鷲田少尉はめんどくさくなって解説役を投げる。
「りょーかいです! そもそもの話、あのレイドシップを撃墜するために予算や実用性を無視した名兵器、珍兵器が世界中で生み出されているのは知ってる? かのスカイタートルちゃんもその一つなのです! その開発コンセプトは、レイドシップの下部ハッチを攻撃可能な携帯型巡航ミサイル! このミサイルを開発するにあたって最大の問題が一つ! 下部ハッチを攻撃するには、ミサイルを垂直に近い急旋回させなければならないのです! 従来の速度のミサイルでは急旋回に難があるし、そんな必要性も無かった……。そこで急旋回と、敵船を一撃で破壊する破壊力を求めた結果、ミサイルは巨大化、鈍足化に設計図を書き換え、ついに出来たのがスカイタートル試作一号機なのです!! 個人携行ミサイルでありながらその最大爆破半径は――」
「分かった! もういい結城桜! 分かったから、皆呆れ始めているからもういい!」
私はだいたい概要を知れたのでストップをかけた。
彼女に兵器を語らせたら軽く一時間は止まらない、とは水原から聞いていたので、キリの良い所で終了にしてもらおう。
本人は「ここからが本番なのに……」と不満げだが、そもそもそんな出来たばっかりの兵器にそんなに語ることがあるのだろうか。
「そう言えばまことん。なんで私の事フルネームで呼ぶの?」
不満げな表情も切り替えは一瞬、今度は疑問を投げかけてきた。
「む? 苗字呼び捨てでは結城大尉と被ってしまうからな」
「お兄と? だったら下の名前で呼んでよ。さくらん♪って!」
笑顔が眩しいのだがそんな呼び方は御免だ!
「却下する。妙な呼び方を私にまでさせようとするのでない。まあ、要求は分かった。今後は名前呼びに改めるとしよう」
しかし、最近同じようなやり取りをしたことがあるような……。
ああ、横浜で会った村井茉奈か。
彼女はあの後元気だろうか。
「しかし、なぜ彼女、あんなに詳しいのだ? 先程発表されたばかりのフーリガンブラスターですら、既に知っていたようだったが」
本人に聞いたら長くなりそうなので、浦田に小声で話す。
家族のよしみで、兄上にでも聞いているのだろうか。
しかし、新兵器となれば機密の塊。
いかにEDFとは言え、それほど適当では……。
「それはな、実は開発部に親父が居るらしくて、暇なときは頻繁に入り浸ってんだよ。しかも桜ちゃんも兵器好きだってんで開発部の連中や挙句室長にまで気に入られてよ。っかぁ~! 羨ましいぜ畜生! その調子で俺の部屋にも入り浸ってくれねぇかな!!」
「入り浸る訳ないじゃないのバーカ! 臭そう!!」
速攻で桜から辛口のつっこみが返ってくる。
「く、臭そうって……」
ショックを受ける浦田だが、私は予想以上の機密のユルユルさにショックを受ける。
「良かったら、ボクの部屋の芳香剤を貸そうか? レンタル料は……ふふ、いくらにしようかな」
「借りねぇよ! っつーか臭くねぇし!」
二ノ宮軍曹がまた浦田から金を集めようとしている。
ちなみに、部屋は個人ではなく、男女別4人一部屋。
つまり桜に中傷された浦田と同部屋の男は……。
「だぁーっはっは! 臭そうと言われてしまいましたな浦田殿! 俺の、筋肉からあふれ出る熱気なら、漢臭いと言われても仕方ないですなぁ!」
むん! とガッツポーズを取る新垣にとっては、むしろ誉め言葉なのかもしれない。
「臭そう!」
「臭そうだな」
「ふふ、臭そうだねぇ」
桜、鈴城軍曹、二ノ宮軍曹の女三人からの評価が一致する。
尤も、悪ノリした感は否めないが、浦田にとってはショックだったようで、
「新垣てめぇーー!! 今まで築き上げてきた俺の男としての信頼感を返せぇぇーー!!」
「わっはっは! 何のことですかな!!」
と男二人で暴れ始めた。
本当に、今から大きな作戦が始まるのだろうか?
若干不安になってきた私であった。
――2023年1月17日夜 東京都旧町田市金井 「第一師団 第16陸戦歩兵大隊 第88レンジャー中隊 第二小隊 第一分隊”レンジャー2-1”」 装輪輸送トラック車内――
曇天の空から、粉雪が舞い降りている。
辺りはうっすら雪が積もっていて、外気温は2℃。
そんな寒さを吹き飛ばすような激戦が地上では行われていて、戦闘の爆発や打ち上げられた照明弾が戦場を照らしている為、夜間にもかかわらず視界は悪くない。
移動中、皆思ったよりも静かだ。
桜と新垣と私以外は喫煙者らしく、皆煙草を吸っている為、車内は常に煙たい。
桜は新型アサルトライフルAS-20の手入れを揺れる車内で器用に行い、新垣はしかめっ面で目を閉じ、精神統一している。
私はそんな中、運転席からかすかに聞こえる無線に聞き耳を立てていた。
『こちら第118航空任務部隊”スラッガーズ”全機作戦領域に侵入した』
『スカウト9より本部! 敵前衛ポイントC通過! 前進を続けています!』
《こちら本部。予定通りだ! 工兵隊、C20地雷原起爆!》
『了解! 第三地雷原、起爆します!!』
『こちらエアレイダー”レグルス”。C20地雷原、起爆を確認! 敵前衛の殆どを撃破した! 続いてエリアF10からF16グリッドまで爆撃要請!』
『了解! こちら爆撃機フォボス! 爆撃を開始する!』
『第107陸戦歩兵大隊より本部! A25エリアに巨大生物侵入! 迎撃開始します!』
《本部より107大隊! 攻撃ヘリ一個小隊を付ける! そこから後方に侵入を許すと厄介だ! 食い止めろ!》
『こちらスカウト9! ターゲット
「そろそろエアレイダーとの合流地点だ! 降車の準備をしておけ!」
大林中尉の声に、全員が反応する。
「「サー! イエッサー!」」
私は声を上げ、AS-20を手に持つ。
今回は接近戦が予想されるので、もう一つはショットガン、バッファローG2を持ってきた。
「合流地点です、停車します」
そして、運転手の声でトラックが停車する。
「分隊降車ァ!」
大林中尉の声で素早く全員が降車する。
外に出ると、車内よりわずかに凍えた空気と粉雪が出迎える。
それと同時に、銃声や爆発音、巨大生物の発する奇妙な音と、火薬や硝煙の臭いを感じる。
「レンジャー2-2、全員揃ってます」
「了解だ軍曹」
レンジャー2小隊は、全員集合した。
「定刻通りだな。待ってたぜレンジャー2。俺達が第4エアレイダー小隊”アルデバラン”だ。俺はエアレイダーの門倉、よろしくな。指揮はまかせるぜ」
待っていたのは40代半ばくらいの兵士だった。
どっしりと構えた感じは熟練の雰囲気を醸し出し、荒瀬軍曹や大林中尉とはまた違った歴戦の感じを匂わせた。
一人で砲兵隊や航空部隊と交信するだけあって、背中には背嚢袋よりも大きな機器があり、いくつものアンテナが伸びている。
腕には小型マップとコンソールも付いていて、バイザーはディスプレイ型になっている。
「第88レンジャー中隊、レンジャー2指揮官の大林中尉です。貴隊の指揮を預かります」
合流後、握手を交わす。
作戦開始時刻は、間も無くだ
門倉大尉は、合流報告を簡単に本部に無線する。
やがて定刻になり、本部から広域無線が届いた
《本部より全作戦部隊へ! 現時刻を以て、レイドシップ撃墜作戦”スチールレイン作戦”を発動する! 作戦第一段階開始! チームウェスタ、空爆を開始せよ!》
『こちら第74爆撃任務飛行隊”ウェスタ”。空爆を開始する!』
「空爆が来るぜ! 野郎共、頭を下げな!」
門倉大尉の声に従い、皆姿勢を低くする。
やがて、上空にいた大型爆撃機、B-32”フォボス”10機が、後方から隊列を横一列に組んで、絨毯爆撃を敢行する。
巨大生物用に威力を強化された無数の小型爆弾が隙間なく爆発し、辺り一面は炎に包まれる。
地を這いずる事しかできない巨大生物は、その爆撃に成すすべなく巻き込まれている筈だ。
228基地で、横浜で、辛酸を嘗める思いをした時とは違う。
あの時は混乱の最中で市民の救助をしなければならなかったが、その心配はもうない。
こうして制空権を好きなように使える今となっては、最早巨大生物など敵ではないのだろうか。
《第一段階終了! 作戦第二段階へ移行、
『バレイル3了解!』
大林中尉は立ち上がり、
「攻撃機ホエールの燃料はそう長く持たない。作戦成功には時間が鍵だ。急ぐぞ!」
「「サー! イエッサー!!」」
そう一言告げると、我々は移動を開始した。
「大林中尉。この位置だと今一番近いのは、あそこに見えるターゲット
「了解。EDFの恐ろしさ、ヤツらに思い知らせましょう」
「がはは、頼もしいこった!」
素早い動きで、我々は廃墟と化した住宅街を駆ける。
周囲は完全に瓦礫に覆われ、積もった雪は全て溶けた。
そして至る所に絶命した巨大生物の死骸が粉々になって倒れている。
「これは……凄まじい。いくら何でもやりすぎなのでは……?」
衝撃に思わず口から出たのは、何とも間抜けな言葉だ。
「オメェな……、巨大生物相手にやりすぎもクソもあるモンかよ」
「はは、気持ちは分かるさ。けどこれだけやっても、あの無敵艦のお陰で、ボク達は優位に立てないって訳さ」
鈴城軍曹と二ノ宮軍曹につぶやきを聞かれてしまい、自分はやはり初陣に等しいのだと自覚する。
全く、こんな事では命を落としかねない。
しっかりするのだ、仙崎誠。
「人類がこうまでして勝てない理由、この目で見るとやはり恐ろしいですね……」
「そうとも坊主。それだけでなく、無敵艦自体が傘みたいになって直下の蟻んこを護ってやがんだ。それに……」
門倉大尉が私に声を掛けた直後、無線を拾う。
『こちらスカウト9! 爆撃とは別の振動数検知、これは……地中侵攻です! コード991発生! 繰り返す、コード991発生! クソッ!』
《スカウト9! 場所は何処だ!?》
『エリアG7一帯に、少なくとも大隊規模の巨大生物群出現! 南西に向かって進撃中、爆撃から逃れた巨大生物と合流して――ぐはッ! ぎゃあぁぁぁぁ!!』
《スカウト9! 応答しろ! くそ……! この場所に近いのは――》
「近いのはココだ! くそったれ、『アルデバランより砲兵隊! 砲撃要請! エリアG8-14から16! 全力砲撃で構わねぇ! ありったけ叩き込め!』」
《――バレイル3が近い! 第11戦車中隊砲撃開始! 敵を足止めしろ!》
「小隊総員、射撃用ォォ意ッ! 足を止めるなよ!」
門倉大尉、本部の榊少将、大林中尉の三人の声が重なる。
やや遅れて、直ぐに砲兵隊が放った砲弾が後方より飛来し、私の左斜め前で炸裂する。
感覚的には目前で爆発してるように感じ、凄まじい振動と爆発音が耳を劈く。
だが、派手な爆発よって発生した炎と煙の中から、巨大生物が進撃してくる!
「巨大生物を近づけさせるな! 小隊、射撃開始ィィ!!」
旧町田市での戦闘が、幕を開けた。
あとがきにこの文章量……アリなのか……?
▼DE-202”ホエール”
EDF空軍が保有する大型対地攻撃機。
現在も現役で稼働している米空軍のAC-130と同コンセプトで設計されているが、輸送機を改修したAC-130とは違い、最初から対地攻撃機として設計されている。
武装は用途に応じて換装可能で、代表的なものは40mmバルカン砲、105mm速射砲、120mm榴弾砲、連装ロケット砲などがある。
大型であるがAC-130に比べ機動性に優れ、航続距離も長い。
また装甲も強化され、対空機関砲も備えたまさに”空飛ぶ要塞”に等しい重武装を誇る。
今回の作戦では150mm空対地支援単装砲”フーリガンブラスター”を搭載し、作戦に参加している。
▼エアレイダー
EDF内における統合末端攻撃統制官の呼称。
空爆誘導兵とも。
単身で、陸軍砲兵隊、空軍爆撃機、大型攻撃機ホエールや、海軍の艦砲射撃やミサイル攻撃など、味方に誤爆の危険が起こる範囲攻撃の適切な指示・誘導を行う兵科。
また上記攻撃部隊の爆撃効果判定や射弾観測も行う。
その任務は非常に多くの知識と技能を必要とする上、使用する機器も非常に高性能で高価。
その理由から、エアレイダー資格は大尉以上が原則となっている。
だが、上記の通りエアレイダーの任務は多岐にわたる故、直接戦闘は望ましくないので、階級差に係わらず、歩兵部隊の指揮は原則行わない。
▼任務部隊
古くからアメリカ海軍で行われてきた編成方法で、決まった部隊の他に、ある任務の為に編成して作戦内で活用する部隊の事、タスクフォースとも呼ぶ。
EDFでもこれを積極的に採用していて、陸軍、空軍でもこのように呼んでいる。
これを拡大解釈し、小規模の場合はエアレイダーと数個歩兵小隊を組んだ部隊に編制したり、大規模の場合は陸軍大隊と空軍飛行大隊を一つの部隊として扱ったりと、柔軟な運用が行われている。
▼レイドシップ
別名転送艦、無敵艦。
地球侵攻初日から見られるフォーリナーの航空戦力。
白銀の装甲に覆われており、核攻撃を含むあらゆる攻撃に効果がない。
中央下部に外側に開くハッチがあり、内部からは巨大生物が現れる。
当初はただの輸送艦と考えられていたが、内部容量を大幅に超える量の巨大生物を投下する為、レイドアンカーと同じ、転送システムを備えていると考えられた。
投下間隔は1分から30分と参考にならないほど差があり、投下時間は10秒から30秒と短い。
一度の投下数はあいまいだがおよそ10体から200体ほどとされている。
ハッチ内部には白銀の装甲が施されていない他、転送システムというデリケートな装置が稼働している為、弱点と考えられている。
▼B-32”フォボス”
EDF空軍が保有する大型爆撃機。
対フォーリナー戦争において、ステルス機能は必要か不要か、という議論があったが、結局のところ予算を欲しがった軍上層部や軍産企業の後押しで、ステルス機能が付けられた。
その為全翼型の爆撃機となっているが、現在その機能はオミットされ量産が続いている。
絨毯爆撃用の小型爆弾を大量に詰め込めるため、現在の対巨大生物戦略の主軸である。
▼
第一師団 第16陸戦歩兵大隊 第4エアレイダー小隊”アルデバラン”所属。
階級は大尉。
落ち着いた印象の中年兵士。
元EDF海外派遣部隊出身で、激戦の中、エアレイダーとして住民を誤爆に巻き込まないよう航空誘導をしていた。
その為経験は豊富。