全地球防衛戦争―EDF戦記―   作:スピオトフォズ

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やっと書き終わった!
各キャラの武器考えたり、新キャラ考えたり空軍の支援とか色々考えてたら遅くなりました。
あとFGOの周回とか……いやなんでもありません(汗




第十五話 スチールレイン作戦(Ⅰ)

――2023年1月17日夜 旧町田市 崩壊した住宅街

『第88レンジャー中隊レンジャー2』――

 

 

「小隊ッ、射撃開始ィィ!!」

 

 大林中尉の号令で、我々レンジャー2小隊の19人は巨大生物に対し一斉に弾幕を張る。

 東から押し寄せる巨大生物を迎撃しながら、我々は北へ前進を続ける。

 小銃弾や散弾、グレネード弾やロケット弾が一斉に放たれ、巨大生物を駆除していく。

 私はAS-20の引き金を引き、一体一体仕留めていく、が。

 

「数が多いっ!?」

 

 一体や十体ではない。

 煙が晴れるにつれ、恐ろしい程の巨大生物が生き残っている事が分かり、その全てが我々に向かっている。

 

 そうだ、思い出した。

 この圧倒的な物量こそ奴らの武器。

 航空支援があったところで、それは変わっていないのだ。

 

「仙崎ィッ、狙いを絞んな! 倒す事よりもとにかく近づかれねェように弾幕を張れ!!」

 

「イエッサー!」

 

 鷲田少尉のアドバイス通りに、弾丸をバラまくようにして対処する。

 

「喰らいな蟻共!」

 

 被弾して足が止まったところに、鈴城軍曹のUM-2Aグレネードランチャーが炸裂し、まとめて巨大生物を吹き飛ばす。

 

「回り込む敵に注意しろ! 絶対に足を止めるなよ! 千島! 後ろから来るぞ!」

 

「イエッサー!!」

 

 荒瀬軍曹が千島に指示を出し、後ろから回り込もうとする巨大生物を撃ち殺す。

 右からの圧力も凄いが、確かに弾幕を張っていなければ一瞬にして酸の射程まで飲み込まれてしまう。

 今のところは、何とか防ぎきっているがこれは時間の問題か……いや、銃撃音と巨大生物の断末魔に交じって戦車砲の砲撃音も聞こえる。

 巨大生物群の後方で戦車隊が攻撃している筈だ、弱気になっている場合ではないな!

 

「水原クン! 前方、回り込む敵さんの狙撃を! 走りながら出来るかい?」

 

「お任せっす!」

 

 二ノ宮軍曹が水原に指示する。

 水原はKFF-50LSスナイパーライフルで狙撃。

 狙いは正確で、一体の巨大生物を確実に一撃で仕留めている。

 二ノ宮軍曹は威力強化型のAS-20Dライフルで、弾幕を突破して接近する個体を狙い撃っている。

 

「一体たりとも逃さないっすよ!」

 

「だはは水原! 大きく出たな! じゃあ囲まれたら全部お前のせいって事で良いよな!」

 

「なんでそうなるっすか!? っと、数増えてきたっすね! 流石に一人じゃキツいっす」

 

 新垣がゴリアスDの爆風で敵を粉砕する。

 小隊右面の火力を恐れて、回り込む個体が増えてきたようだ。

 

「ちっ、レイドシップはまだなのかよ!? 桜ちゃん、こっちは大丈夫だから、水原の援護頼む!」

 

「おっけー! スー、二人で何とかなりそう!?」

 

 ぼやきながらAS-20で弾幕を張る浦田に言われ、桜が水原の元へ走る。

 手に持つのは連射強化型のAS-20Rだ。

 

「今はまだ! でも時間の問題っすよ!」

 

「仕方ねえさ! こっちは20人ちょい、蟻共は大隊規模……1000体から砲撃で死んでるから、最低500は居るだろうからな!」

 

 門倉大尉は、リムペットガンというエアレイダー専用の銃器を使っていた。

 ビーコンガンを改良した爆弾射出器で、吸着する爆弾を射出し、スイッチで一斉起爆するというものらしい。

 

 一見してあまり戦闘には向かなそうだが、ビーコンガンの扱いに慣れたエアレイダーにとっては、普通のアサルトライフルやグレネードランチャーよりも使いやすいらしく、エアレイダーの護身用兵器としては人気が高いのだとか。

 

 現に素早いリロードで高威力の小型爆弾を射出し、爆弾が吸着した巨大生物が群れの中心にいるときに起爆して、さらに多くの巨大生物を巻き添えにしている。

 接触起爆のグレネードランチャーではこうはいかなかっただろう。

 

「小隊! 前方から新たな巨大生物! フォボスの絨毯爆撃から生き残った群体だ! 新たに投下されたヤツも混ざってるかも知れん!」

 

 先頭にいた大林中尉が叫ぶ。

 

「ちっ、来やがったなァ! この群れは突破するしかねェ! だがレイドシップは目の前だ! 気合い入れていくぞォ!!」

 

「「サー! イエッサー!!」」

 

 鷲田少尉の声に皆答える。

 

《本部よりバレイル3! その空域にアルテミスを向かわせた! エアレイダー、目標を指示しろ!》

 

『アルデバラン了解! ――アルデバランよりエルメト5、航空支援要請! 座標を送信した、頼む!』

 

 門倉大尉は腕のコンソールを操作して空軍と通信した。

 

『エルメト5よりアルデバラン。座標を確認。ファイア!』

 

 その瞬間、重厚なジェット音と共に低空で航空機が通り過ぎた。

 無骨な直線翼、後方上面に設置された大型ジェットエンジン、そして機首と主翼下のハードポイントに装備された兵装。

 EA-20A”アルテミス”と呼ばれる近接航空支援(CAS)専用の制圧攻撃機だ。

 

 その機首から放たれる40mm機関砲、そして両翼の対戦車ロケット砲弾がまるで上空から地面を薙ぎ払うかのように掃射され、一瞬で大量の巨大生物が砕け散った。

 

『いい腕だ。感謝するエルメト5!』

 

『こちら第11戦車中隊! バレイル3! 東の巨大生物はこっちで引き受ける! 貴隊は前進を続けよ!』

 

 ギガント戦車が何輛か前進してきて砲撃を加える。

 巨大生物の大半は撃破され、もう何割かはギガント戦車を追って行ったようだ。

 発射されたキャニスター砲弾が炸裂し、散弾となって数体の巨大生物を一撃で絶命させる。

 

「了解! 小隊ィ、接近戦用意! EDFの勇猛さを、奴らに思い知らせろ!!」

 

「「うおおおぉぉぉぉぉ!!」」

 

 我々は、巨大生物の群れに飛び込んだ。

 私は飛んでくる酸をステップで回避し、武器をショットガン”バッファローG2”に切り替え、巨大生物の側面に接射した。

 硬い甲殻は散弾によって貫通し、体液を飛び散らせて背後の巨大生物にもダメージを与えた。

 

 しかしその間も足は止めない。

 我々はこの巨大生物群を突破して、ビーコンガンの射程内にレイドシップを収めなければならないのだ。

 

 酸をローリングやステップで回避しつつ、接近してバッファローを当てる。

 突如、謎の悪寒がした。

 まさかと思いながら引き金を引くと、バッファローが暴発した!

 

「ちっ!」

 

 私は一瞬のうちに銃を手放すと、目前で発射態勢になっていた巨大生物に手榴弾HG-02Aを直撃させ爆散させた。

 爆風を浴びながら二歩下がる。

 ちなみに放り投げたバッファローは中央からひしゃげていた。

 

 そのまま武器をAS-20に切り替えるが、流石に一瞬もたついたせいか囲まれていた。

 

「どけよ! 邪魔だぜ!」

 

 鈴城軍曹私の頭に手を付いて、まるで跳び箱のように飛び越えると同時に、両手に持ったモンスーンショットガンを乱射して、周囲の巨大生物を駆逐した。

 

「いっちょ上がり。いくぜ!」

 

「なんというデタラメな……私が避けたらどうする気だったのですか?」

 

 走り出す鈴城軍曹に付いて行く。

 しかし、フルオートショットガンとは言え、二丁持ちとはずいぶん無茶苦茶なスタイルだ。

 腰に弾倉をセットする専用の装備まで持っているという徹底ぶりだ。

 それでいて私ほどではないが身のこなしは素早い。

 

「巨大生物との戦いにデタラメもクソもあるモンかよ! 右! 来てるぞ!」

 

「イエッサー!」

 

 AS-20で牽制してからHG-02Aを投げてまとめて三体ほど葬る。

 

「リロード!」

 

「任せな!」

 

 素早く弾倉を交換する。

 その間鈴城軍曹はモンスーンを交互に射撃し、前方の道を作る。

 

「しかし仙崎よぉ! 銃の暴発とはツイてねぇな! アタシのモンスーン、一個貸してやろうか?」

 

 戦闘しながら鈴城軍曹が声を掛ける。

 

「ぬぁははは! この程度でツイてないなどとは言えませんよ! こんなこともあろうかと、ライフルの弾倉を多めに持ってきていたので問題ありませぬ!」

 

 実を言うと、何となく嫌な予感がしていたのだ。

 どうやら不運に対する勘は、まだ鈍っていないようだ。

 

「おぉ……そうか」

 

 まあ一般人から見たらショットガンの暴発を予期した時点で何とも言えない感じなのだろうか。

 そんなことをしているうちに群れを抜けたが、前方から更なる巨大生物の集団が迫っていた。

 どうやらあれが最後のようだ。

 

「あれを抜ければシップは目前だ! ランチャー、射撃用意!」

 

「「イエッサー!」」

 

 大林中尉の号令に、ガチャリと音を立てて皆が爆発物系統の武器を構える。

 

「ファイア!!」

 

「「うおおぉぉ!!」」

 

 新垣、鷲田少尉、荒瀬軍曹、馬場と、2-2分隊の他二名はゴリアスDを、桜、鈴城軍曹、青木、千島はUM-2Aを発射。

 前方に爆炎が広がる。

 だがまたもや死の予感が……。

 

「仙崎!」

 

 浦田が叫ぶ。

 私目掛けて死骸の頭部が一直線に飛んできていた!

 しかし私は右ステップで華麗に回避。

 

「ふっ、この程度――」

 

「仙崎!!」

 

 鷲田少尉が叫ぶ。

 更地となった筈の市街地に偶然残っていたビルの看板が偶然落下する!

 しかし私は前に飛び進み華麗に回避。

 

「ぬぁははは! この程度ぬおぉ!?」

 

「仙崎ィィ!?」

 

 荒瀬軍曹が叫ぶ。

 足を踏み出した先の地面が急に陥没し、そのまま私と巨大生物を巻き込んで広がり始めるが、私はギリギリで陥没から脱出し、陥没に巻き込まれ一か所に固まった巨大生物にグレネードを何個かお見舞いし、一網打尽にする。

 

「ふう。今のは少し焦ったな。手持ちのグレネードを全部使ってしまったではないか」

 

「仙崎お前……なんか、大変だな……」

 

 鈴城軍曹が何かを悟った様子で呟いた。

 

 そして私の攻撃でほとんどの巨大生物を倒してしまったらしく、やがてその集団も殲滅し終えた。

 

――――

 

「止まれ」

 

 大林中尉の合図で小隊は停止した。

 レイドシップは目前の空中で停止している。

 しかし、その真下には巨大生物の集団が陣取っていて、更にその奥にも別の集団がいる。

 

 我々は崩れかけたビルの壁面から様子を伺う。

 どうやら敵集団はまだ気づいてない様子で、周囲を彷徨いているだけだ。

 

「目測だが、前方800、小隊規模100体。右前方1500、中隊規模500体って所か。俺達だけでの殲滅は難しいぞ」

 

 門倉大尉が瞬時にだいたいの距離と数を分析する。

 さすがは熟練のエアレイダーだ。

 

「門倉大尉。ビーコンガンはここから届きそうですか?」

 

 大林中尉が門倉大尉に静かに聞く。

 巨大生物は聴覚に頼っているわけではないらしいが、無意識的に小声になってしまう。

 

「いや。思ったよりレイドシップの高度がある……。もう少し近づかなきゃならん。恐らく巨大生物の知覚範囲に入るだろう」

 

「そうですか。『本部、応答願います。ターゲットD(デルタ)に接近。ですが大量の巨大生物を発見、我々だけでの実行は危険と判断します』」

 

 大林中尉が無線を使い、本部に応援要請を行った。

 

《こちら本部。安心しろ、応援を送る。フェンサーチームがそちらに向かっている筈だ。部隊名は”スティングレイ1”だ。到着まで待機していろ》

 

 通信から間もなく、スラスターを吹かせて4人のフェンサーが現れた。

 

「待たせたな。我々が敵を引き付ける。その間にビーコンを設置して即離脱。異論はないな?」

 

 スティングレイ第一小隊の隊長はやや強引だが最適の作戦に、門倉大尉と大林中尉は無言で頷く。

 

「この大群だ。撃った瞬間酸の集中砲火を浴びるぞ、気を付けろよ」

 

 門倉大尉が一言助言すると、

 

「心配するな。こちらには盾と、そして最強の矛――いや、”狂犬”が居るのでな……」

 

 盾を自慢するように持ち上げた後、気のせいかため息交じりに顔を一人のフェンサーのところへ向けた。

 

「おい柳、もう撃っていいか? 撃っていいか? いいよな? 善は急げだよな!」

 

「止めろ御子柴! まだ早い! あと柳中尉を呼び捨てにするのは止めろ!! わーっ! 馬鹿っ! 俺に銃口を向けるな!!」

 

 御子柴と呼ばれたフェンサーは、このメンバーの中では特に重装備だった。

 柳中尉と呼ばれた小隊長や、他の2人はシールドに軽量機関砲や自動散弾銃などのメインアーム。

 両肩に小型のロケットランチャーや迫撃砲などの爆発物を装備している。

 

 これだけでも普通に重装備なのだが、御子柴とやらは盾を持たず、両手に二丁ハンドガトリングガン、右肩に重迫撃砲、左肩に散弾迫撃砲と一人だけ火力重視の装備をしていて若干浮いている。

 

「おい、なんか一人バーサーカーっぽいの混ざってるぞ?」

 

 と浦田、

 

「気持ちは分かるぜ。暴れ足りねぇって顔してんな!」

 

 鈴城軍曹、

 

「顔見えないっすけどね……」

 

 水原達が小声で話す一方で、桜が御子柴に駆け寄る。

 

「ゆっきーじゃん! やっほ~」

 

「おお? 桜か! こんな所で会うなんてな! 巨大生物への攻撃は俺に任せろ!」

 

「いて! お前それ振り回すな!」

 

 どうやら二人は知己の仲らしい。

 御子柴が自身の胸をトンと叩くが、ガトリングを持った手でやった為に先端がフェンサーの一人に当たる。

 

「なんだい桜、カレ、知り合いなのかい?」

 

 二ノ宮軍曹が聞く。

 

「はい! 彼こそ”スティングレイの狂犬”、”重火器の魔術師”、”熱血火薬庫”、の御子柴幸春ことゆっきーなのです! ちなみに二つ名は全部私が考えました!」

 

 ふん、と胸を張りドヤ顔する桜。

 可愛いが何故か腹が立つな……。

 

「だぁははは! EDFは変なのがいっぱいいて退屈しないなぁ!」

 

「ふむ。三人が盾で攻撃を防ぎつつ大火力で敵を粉砕する……。理には適っているな。素晴らしい」

 

「そんな重たそうな装備を軽々と……。さすがはフェンサーだ……!」

 

 新垣、私、そして千島がそれぞれの感想を口にしたところで、三部隊指揮官の打ち合わせが決まったようだ。

 

「よし。じゃあタイミングを合わせる。カウントで俺達が敵を引き付ける。ビーコンを頼んだぞ」

 

「EDFの誇りに掛けて!」

 

「任せろ」

 

「やっとか!」

 

 スティングレイ第一小隊指揮官の柳中尉が決定し、それに大林中尉と門倉大尉、そして御子柴が反応する。

 

「3、2、1……撃てぇぇ!!」

 

「おっしゃぁぁ!!」

 

 スティングレイが攻撃を開始した!

 

 御子柴は両手のハンドガトリングガンをフル回転させ、恐ろしい程の弾幕を張った。

 同時に両肩の迫撃砲を発射。

 重迫撃砲のひときわ大きい爆発と、散弾迫撃砲の分裂した小型榴弾の面制圧による炎の地獄が演出された。

 それだけでなく、背面スラスターを吹かし、軽快に移動しながら攻撃する。

 

 同時にレイドシップ直下の巨大生物が攻撃を開始し、大量の酸がスティングレイに飛んでいく。

 それを3人のシールドで上手く防ぎ、各々手持ちの火器で迎撃を始めた。

 

 そして我々はレイドシップに向かって駆け出す。

 当然、我々にも巨大生物が押し寄せる。

 

「小隊! エアレイダーを全力で護衛!! 流れ弾でもビーコンガンに当たったらこの作戦は失敗だ! レンジャー2の名に掛けて、絶対に近づけさせるな!!」

 

「「サー! イエッサー!!」」

 

 各々が周囲に銃撃を加え、囲まれる前に敵を突破する。

 幸い大部分はスティングレイの方に向かっていたため、敵の数はそう多くは無かった。

 そして、一分もかからずにビーコンの射程内へ入る。

 

 門倉大尉がビーコンを発射する。

 

「よし! ビーコン設置完了! ずらかるぞ!!」

 

『本部!! こちらバレイル3! ターゲットD(デルタ)、ビーコン設置完了!』

 

 大林中尉が本部に連絡。

 

《本部了解! 早かったな、一番乗りだ。その場所から撤退しろ!》

 

「ちっ、やばいぜ軍曹! レイドシップが開きやがった! 巨大生物が!!」

 

 馬場が発見し叫ぶ。

 

『スティングレイ! レイドシップの直下に攻撃を頼む!! 出来るか!?』

 

 荒瀬軍曹が少し離れているスティングレイ1隊長に無線する。

 

『スティングレイ1了解! 御子柴! やれ!』

 

『イエッサー! ひゃっはぁぁぁーーー!!』

 

 ガトリングの銃弾の嵐と、迫撃砲の爆発が目の前を炎に染める。

 

「うおお! あの馬鹿近すぎだ!! あちー!」

 

 浦田が半分焼かれた。

 

「でも巨大生物は吹っ飛んでくよ! っ!? 中尉! 向こうから新たな集団が!」

 

 桜が別の巨大生物群を発見する。

 

《バレイル2、ビーコンを設置。残り4》

 

 本部の女性オペレーターが戦況を知らせる。

 

「まずい……、更地になってて盾に出来る建物が無いな。スティングレイのところまで戻るぞ! そこで巨大生物を迎撃する!」

 

「「イエッサー!!」」

 

 我々は元オフィス街の廃墟を駆ける。

 

《バレイル6、ビーコンを設置。残り3》

 

「右から来るよ!」

 

 二ノ宮が声を張り上げる。

 

「喰らえッ!」

 

「駄目だ、近すぎるぞ!」

 

 新垣と青木が迎撃するが、最早完全に酸の射程に入っているので被弾は免れない。

 

《バレイル1、ビーコンを設置。残り2》

 

 フォーリナー襲撃から半年。

 先進技術開発部の尽力もあって、三重の防酸加工を施したアーマースーツの耐久度は襲撃当初と比べ飛躍的に向上したが、無敵という訳ではない。

 

「ぐあぁ! アーマー破損……! だぁはは、この程度ッ……!」

 

 右足のアーマーが破れ、蒸気を出して溶け始める。

 一瞬片膝を付くが、気合で駆けだす。

 

「馬鹿野郎無理すんなァ!! 浦田ァ! 新垣に肩貸せ! 仙崎は二人を援護!」

 

「「イエッサー!」」

 

 浦田は新垣を引きずる勢いで引っ張り、私は二人の前に出て巨大生物を屠る。

 この程度の酸なら、躱せぬことは無い!

 ちなみに小隊の皆多かれ少なかれ酸を喰らっているが、私はまだ無傷だ。

 ぬぁははは! 流石私!

 

《バレイル5、ビーコンを設置。残り1!》

 

「しまった! ぐあああぁぁ!」

 

 アルデバラン小隊の護衛の陸戦歩兵が一人食われた!?

 

「真島!?」

 

「助け――ぎゃぁぁぁぁ!」

 

 そのまま、一瞬で体を二つに裂かれ、下半身が咀嚼された。

 内臓の零れた上半身だけが音を立てて地面に崩れ落ちた。

 

「真島……。仇は取るぞ!」

 

 門倉が静かに怒り、リムペットガンで咀嚼中の巨大生物を爆散させた。

 

 その他にも多数の負傷者を出しながら、スティングレイ1小隊の元に辿り着いた。

 

「バレイル3! ここも駄目だ! レイドシップが巨大生物を出し続けてるから凄い数だ! なんとか御子柴が頑張ってはいるが……」

 

 柳中尉がガリオン軽量機関砲で各個撃破しながら、盾で酸を防いでいる。

 しかし後退せずに囮役に徹した結果、完全に包囲されてしまい、後退が難しい。

 

《バレイル4、ビーコン設置完了! 全てのビーコンが設置されました!》

 

《よし! 一分後に第118航空任務部隊”スラッガーズ”によるフーリガンブラスター一斉攻撃を行う! バレイル各部隊は効果想定地域より退避せよ!》

 

 大型攻撃機ホエールからの攻撃が間も無く来る。

 ただしここに居ては……。

 

「大林中尉! ここに居てはフーリガンブラスターの衝撃波や破片に巻き込まれます!」

 

 荒瀬軍曹がAS-20を撃ち続けながら言う。

 

「分かっている軍曹! だが負傷者もいるこの状況では後退など出来ない! だがスティングレイ! フェンサーの機動力ならここから離脱出来るはずだ! 今度は我々が囮を引き受ける! 撤退しろ!」

 

「確かに離脱は出来る……。だが、EDFは決して仲間を見捨てない!! 栗宮、神谷! シールド構えッ!!」

 

「「イエッサー!!」」

 

 柳中尉の命令で、中尉を含む三人のフェンサーが前面に出てシールドを展開する。

 

「何を……」

 

「フーリガンブラスターの衝撃波をシールドで防ぐ! 姿勢を低くして隠れるんだ! 御子柴は……好き勝手暴れてろ!」

 

「イエェーイ! もう暴れてるぜ柳! 後ろは絶対に近寄らせねぇーー!!」

 

 謎のハイテンションで、スラスターを吹かせ滑るように移動しながら、重火力をバラまいている。

 そしてふいに高く飛び上がって上空から散弾迫撃砲をバラまき、まとめて巨大生物を爆散させた。

 

「バカ! 高く飛び上がるな! いくらお前でも衝撃波でバラバラになっちまうぞ!」

 

 先程から御子柴につっこみをしている栗宮と言うフェンサーが注意する。

 

「気合で何とかなるだろ!」

 

「ならん!」

 

《こちらホエール! 時間だ! フーリガンブラスター……発射ッ!!》

「よっしゃ来た! いっけぇぇぇーー!!」

 

「だぁーははは! フォーリナー、覚悟!」

 

「ぶっ潰れろ!!」

 

 御子柴、新垣、鈴城軍曹が叫ぶ。

 

 同時に天空から、150mmの鉄の塊が、2500m/sという高初速で放たれる。

 音速の七倍近い砲弾は、衝撃波を伴いレイドシップ上面装甲に着弾した。

 瞬間、徹甲弾でありながら衝撃で砲弾が粉砕し、小規模の爆発が起こる。

 装甲の貫通には至っていない!?

 

 そう驚く前に第二射、第三射と小気味良い間隔で次々フーリガンブラスターが撃ち込まれていく。

 空気上の塵が衝撃で吹き飛ぶ様子が見え、それが強烈な衝撃波となって辺りに散る。

 巨大生物はその余波で切り刻まれ、中には絶命するものも現れた。

 フェンサーが盾で防いでいなかったら我々も同じ末路を辿っただろう。

 

 だが、それほどの衝撃を身に受けながら、未だレイドシップは健在だ。

 

 まさか……。

 

 嫌な予感が私を染める。

 それは伝染していくように皆も感じ始めた。  

 

 そして、それは現実となった。

 

「うそだろ……」

 

 浦田がつぶやく。

 

 20発の連続射撃が終わった後のレイドシップは、変わらず空中に静止していた。

 まるで今の砲撃を意にも介していないように。

 

『こちら、エアレイダー”アルデバラン”。ターゲットD(デルタ)健在……。空軍による攻撃は失敗した。繰り返す、空軍による攻撃は失敗に終わった』

 

 空軍の新兵器は、レイドシップに対して全く効果を発揮しなかったのだ。

 

 




題名を(Ⅰ)にしたのはどのぐらい続くか分からないからです。
だって(前編)とかにして3話で足りなかったら(後編Ⅰ)とか(後編A)とかややこしい事になっちゃうのでこれからはコレで行きます。

そして需要があるか分からないクセに妙に考えるの時間かかる用語解説行ってみましょう!


御子柴幸春(みこしばゆきはる)(24)
 第105機械化歩兵連隊、第二中隊”スティングレイ”、第一小隊員。
 少尉。
 ”スティングレイの狂犬”、”重火器の魔術師”、”熱血火薬庫”などと桜に二つ名を付けられている。
 それなりに広まっているようである。
 火力至上主義を掲げており、フェンサーでありながら盾の装備を嫌う。
 扱いの難しい二丁ガトリングガンを的確に操り、迫撃砲の爆発で巨大生物を手玉に取る。
 戦闘力は高いが、直ぐ暴れたがり、小隊長にもため口で敬意を払わない、などと問題行為が目立つ。

柳勝俊(やなぎかつとし)(43)
 同中隊”スティングレイ”第一小隊指揮官、中尉。
 御子柴の問題行為に頭を痛めつつ、なんとか手綱を握ろうと努力する苦労人。

栗宮圭介(くりみやけいすけ)(24)
 同小隊員、中尉。
 御子柴の同期で、よく振り回されている。

▼AS-20
 EDF陸戦歩兵の新型アサルトライフル。
 フォーリナー襲撃を受けて大幅に予算を獲得した軍産複合企業が開発した兵器。
 なお、フォーリナー襲撃以来にEDF関連企業が開発した兵器はほぼ全てが人類に対し使用を禁止した”全地球防衛条約兵器”となっている。
 弾倉も少し大型化されており、現在の対巨大生物戦では主力武器として活躍している。
 5.56mm弾でありながら十分な威力がある。
 従来と同じく連射力強化型のRモデルと、威力・初速強化型のDモデルがある。

▼バッファローG2
 EDF陸軍のポンプアクション式ショットガン。
 近距離ならば巨大生物を貫通する威力がある。
 接近戦の主力として活躍している。 

▼UM-2A
 携行グレネードランチャー。
 フォーリナー襲撃以前の標準装備、UM-1Aの強化版。
 従来の戦車なら一撃で行動不能にする威力を持っている。
 取り回しの良い爆発物として人気がある。
 弾倉がマガジン化されていない為、装填に時間がかかるのが難点。

▼KFF-50LS
 スナイパーライフル。
 戦争前のKFF-50の強化型。
 巨大生物を一撃で仕留められる。

▼HG-02A
 EDF陸軍の手榴弾。
 巨大生物には対人類用の破片を組み込んだ手榴弾の効果が薄かった為、爆炎と爆風でダメージを与える物に改良された。
 爆破範囲は12mと広大だが、巨大生物全長が6mほどあるので同時に巻き込めるのは2~3体程度。
 このことから、以後の爆発物開発はより爆破範囲が大きくなっていく傾向がある。

▼ゴリアスD
 戦争前のゴリアスロケットランチャーの強化型。
 7mの爆発を引き起こすロケット砲弾を発射する。
 弾頭の小型化により2発入りの弾倉をセット可能。

▼リムペットガン
 ビーコンガンを改造した小型爆弾射出器。
 対象物に張り付き、遠隔起爆をすることが出来る。
 エアレイダーの標準装備と言ってもいい程人気がある。

▼FG7ハンドガトリングガン
 フェンサーの装備。
 六連銃身を回転させて毎分1200発の弾丸を発射する。
 フェンサーのパワードスケルトンでも反動が殺しきれない為、二丁持ちは本来推奨されないが、御子柴は反動を制御している。

▼FHD1重迫撃砲
 120mm迫撃砲。
 フェンサーの肩部装備。
 従来は牽引するほどの大型のものだったが、フェンサーのパワードスケルトンによって装備できるようになった。
 半径14mもの大爆発を起こす。

▼YH1散弾迫撃砲
 9つの子弾に分裂する榴弾を打ち出す迫撃砲。
 面制圧能力に長ける。 


▼EA-20A”アルテミス”
 EDF空軍の保有する近接航空支援(CAS)専用の制圧攻撃機。
 未だ現役である米空軍のA-10”サンダーボルトⅡ”攻撃機を参考に、EDFが開発した攻撃機。
 並みの地対空ミサイルの直撃に耐える装甲、そしてより強化された武装で地上部隊を支援する。
 エアレイダーの装備性能の向上と共に、より精密で確実な航空支援が可能になった。

▼フェンサーの武装
 機械化歩兵フェンサーは、最大4種類の武装を装備できる。
 両手に二つ、両肩に二つである。
 また、全武器に自動装填機構が備わっており、弾丸を撃ち尽くしたり装填の操作をすると、パワードスケルトンの装填装置が背面弾倉から自動的に装填してくれる。
 また背面下部のスラスターは標準装備で、捜査によって水平にも垂直にも吹かすことが出来る為、どの装備を選んでも機動力が損なわれることは無い。
 ただし推進剤という液体燃料を消費する為、継続的な戦闘には弾薬同様推進剤の補給が不可欠。



ああ、EDF2とか3の武器の説明欄が見たい……。
3は手元にないし2はメモカが紛失しているので最初からだし……どうしようか。
EDF5の説明欄はなんか味気ないしなぁ……。
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