全地球防衛戦争―EDF戦記―   作:スピオトフォズ

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ウィキペディアの知識を借りたにわかミリオタもどきなので雰囲気だけ楽しんでいってください!
でもこういうの考えるの結構好きだったりする。
内容は随時更新していくつもりです。
おかしなところがあったらコメントください!


設定資料集(陸軍・車輛類)

●戦車連隊

 一個師団に対し一個戦車連隊(約100輌)、一個機甲師団に三個戦車連隊(約300輌)が配備されている。

 ただしこれは書類上の定数の話で、実際の配備数は異なる。

 配備車輛は全車ギガンテスに統一され、その中で細かく世代やバリエーションが異なっているが、運用方法は変わらない。

 EDF全軍で統一された部隊運用方法によって中隊定数12輌、小隊定数4輌で運用される。

 ウイングダイバー部隊やフェンサー部隊と違い、小隊単位でニックネームが割り振られており、小隊以下の各車両はニックネーム+番号で呼ばれる。

  また他の陸軍直接戦闘兵科(各歩兵・攻撃ヘリ・歩兵装甲車・コンバットフレーム)の中で、最も堅牢かつある程度階級が高く、人数当たりの戦闘負担が軽く、通信システムが充実しているという点で、混成部隊の指揮官を臨時で任命される、または取らざるを得ない状況になる事が多い。

 

 

▼E551主力戦車ギガンテス

 

 EDF陸軍機甲部隊の中核を成す主力戦車。

 世界初の第四世代に相当する。

 EDF発足当初から2000年までは各国の戦車をEDFが独自改修して運用していたが、ウイングダイバーの基礎となるプラズマエネルギーユニットを始め、EDFの装備が南極の遺物”ボストーク・レリック”によって近未来化するにしたがって、戦車を始め各陸上機甲戦力も新規に開発を行った。

 設計自体は発足当時から進められており、フォーリナーによって進んだ最先端の技術が投入された。

 とはいえ戦前はフォーリニウムやエナジージェムなどフォーリナー由来素材の解明・応用には至っておらず、飽くまで地球文明技術の延長線上の技術で作り上げられた。

 初期のA型からF型の六代に渡ってマイナーチェンジモデルが量産されたが、非常に高価であったためフォーリナー襲来の直前である2022年では、EDF各方面のギガンテス採用は全戦車の約半数にとどまった。

 

 主砲はチタニア社(ロシア・イギリス)がEDF向けに新規開発した120mm滑腔砲を採用。

 砲弾は装弾筒付翼安定徹甲榴弾。

 縮めて単に徹甲榴弾とも。

 細い矢のような重質量高硬度タングステン弾頭が装甲を穿ち、後部に詰められた指向性高性能成形炸薬が起爆すると更に徹甲弾を打ち出し、同時に高温メタルジェットで対象の内部を焼き尽くす二段構えの弾頭。

 砲身や砲塔の強度、次世代炸薬の使用により従来戦車を大きく離す2000m/sの砲口初速を誇る。

 

 エンジンはガプス・ダイナミクス社(ドイツ・アメリカ)が開発した低燃費航空機用ガスタービンエンジンで、燃料は専用の混合燃料を使用する。

 結果0.62km/Lとディーゼルエンジン並みの燃費まで引き上げることに成功した画期的なものとなった。

 その代わり専用の混合燃料を使用するため燃料の単価は非常に高くなり、航続可能距離は伸びたものの、運用コストは高くなった。

 また出力も従来のものと比較し向上した。

 重量約60tに対し、整地走行時90km/h、不整地で75km/hと非常に快速での機動を行う。

 

 装甲はカーン・ワン社(インド・中国)が開発。

 装甲素材にはボストーク・レリックに使われる未知の素材を使用する研究が長期にわたって行われていたが(カーン・ワン社はEDF発足とほぼ同時期にフォーリナー技術の研究を秘密裏に行っており、重大な国際法違反と指摘を受けたがその技術は社内で進化を続けてる。その為同社は秘密主義かつEDFに対する徹底的な実利主義。だがEDFもその独自の技術力を欲し、互いに利のある関係でいる)、結局碌な研究成果が得られなかったため見送られている。

 代わりにその副産物で得られた成果を利用し、従来の技術発展速度では得られなかった新たな物質・素材を使った三重複合装甲が採用された(噂ではグラフェンと呼ばれる炭素原子の六角格子構造を利用しているとか)。

 軽量でありながら強度は従来戦車を上回り、非常に強力なものとなった。

 またオプションでステルス機能を持つ六角板オプティカルパーツや、対戦車ロケット弾から身を護る爆発反応装甲を付与可能。

 

 車体構造はEDF北米工廠が担当・開発した。

 ギガンテスは高度な自動装填装置を持つため、搭乗員は車長・砲手・操縦手の三名で運用できる。

 砲塔部には砲手と車長、車体部に操縦手が乗り込む。

 操縦手・車長は目視での視認の他に、モニターを通してみる外部カメラの映像になる。

 操作すれば360度全体を見回す事も可能であり、各カメラ望遠機能も備えてある。

 

 通信・電子装備はL.M.I社(アメリカ・イスラエル)が開発。

 非常に高度な射撃管制システムや、センサー類、データリンクシステムを搭載している。

 射撃管制システムは画像解析によって分類される部位ごとのロックオン機能(戦車で言うならば、エンジンや履帯など)を有し、高精度な射撃が可能。

 一度ロックオンすればどんな機動を行おうと主砲は常に同じ向きを向き続け、外れる事は無い。

 光学望遠機能も優秀で地上の射程内ならばどれほど遠くであろうと精密狙撃が可能。

 データリンクシステムについては、EDF全軍と同等の標準装備のものを使用している。

 歩兵や偵察機が発見した敵性存在は常にレーダーとマップに表示され、ログやデータを閲覧すればあらゆる情報が手に入る。

 また前述の通り高出力の通信装置を搭載しており、戦場の前線司令塔になる事も多い。

 

 全体を通して非常に高性能な戦車であり、新概念ではあるが対人類戦においてあまり有効と思われていなかったコンバットフレームや、それほど性能に差が無かったEDF採用歩兵銃に比較し、他戦車と図抜けて性能が高かった為、パワーバランス崩壊を危惧して非常に厳重な管理が行われた。

 

 また対フォーリナー兵器である前提として、高性能であるにもかかわらず多くの発展余地が残され、これがのちのギガンテスⅡへの移行を素早く出来た理由になる。

 

 EDF装備全体に言える事だが非常にコストが掛かっているにも関わらず、世界規模の同時採用で大量生産が進められたため、最終的な調達費用は思ったほど高くはならなかった。

 それでも各国の主力戦車の倍程は高価だったが、各国からほぼ強制的に徴収された資金で大量の装備を購入すると、各国軍需工場で莫大な利益が発生し、それに伴ってEDFの兵器購入額も増える世界規模のインフレが発生したので軍拡は際限なく進んだ。

 なにより以前は忌むべきだった軍拡は、フォーリナーに対する地球防衛のためと大義名分を得てしまったので、止まる事は無かった。

 

▼E552次世代戦車ギガンテスⅡ

 

 大戦前のギガンテス初期型と比較し、より対F(フォーリナー)戦に向けて改良された。

 前述の通り、非常に高性能を誇っていたギガンテスではあったが、やはりフォーリナーに対しては力不足であった。

 主砲の徹甲榴弾は非常に強力ではあったが、巨大生物の大群にはもっと爆風が必要であり、ダロガを相手にするにはもっと貫通力が必要だった。

 装甲も対戦車ロケット弾を重視した性能では巨大生物の放つ強酸や牙には無力であり、ダロガの粒子砲弾には耐えられなかった。

 走行性能に於いてはα型亜種の時速120kmを超える要望が出されたが、現技術力ではあまりに無理がありすぎる為却下された。

 初戦から改良計画がさっそく練られたが、更にダロガの出現によって計画は修正された。

 また巨大生物は戦車よりも歩兵や装甲車が相手にした方が効率が良いため、計画は対ダロガを主軸に進んだ。

 ダロガの何よりの難点はその重装甲で、ギガンテスの場合戦車一個小隊での斉射を継続して行わないと撃破が困難だった。

 大してギガンテス側はダロガ一機の斉射一回を受ければ大破は確実で、ダロガ撃破に相当な犠牲を伴った。

 

 したがって要求された性能は、

 

・ダロガの斉射一回に耐えられる装甲

・α型の強酸や、牙の怪力に耐えられる装甲

・一個小隊の斉射一回でダロガを撃破できる徹甲性能

・巨大生物の大群を制圧できる榴弾火力

 

 その他にも追加で

 

・臨機応変な戦場に対応する為の砲塔旋回性能の強化

・エンジンを改良し加速力の強化

・対巨大生物近接防御に重要なため車載機銃の強化

・同じ理由で爆発反応装甲(リアクティブアーマー)の強化

 

 が要求性能に組み込まれた。 

 

 この結果出来上がったのがギガンテスⅡだ。

 要求された性能に対し、結果は、

 

・研究段階のフォーリニウム元素の投入が検討されたが、実用化が間に合わず複合装甲のままだが、対粒子反応装甲を新たに追加し、ダロガの粒子砲弾に対し強い防御力を得た。

 その結果最低一回の斉射に耐えられると証明された(どの対F(フォーリナー)兵器にも言える事だが、対人類兵器開発と違い、実験する事が出来ない為、開発の為多くの兵士が犠牲となった)

 

・巨大生物の酸と反応して中和する抗酸化蒸散塗膜を蒸着する事によって酸をある程度防ぐが、巨大生物の牙に耐えうる材質を獲得するには至らなかった。

 この為後述の爆発反応装甲(リアクティブアーマー)が重要になる。

 

・主砲はより砲口初速の上がる125mm滑腔砲に換装され(開発は同じチタニア社)侵徹体と呼ばれる弾芯の長さが長くなる事により、より初速と貫通力を高めることに成功したが、場所によっては小隊の斉射一回では撃破できない事が多い為、要求性能は満たせなかった。

 が、他に代案もなく、間違いなく砲撃性能は上がったので採用されるに至った。

 

・榴弾火力も指向性爆薬を使用し、より水平方向に爆風が広がるように改良した事や、金属片を混ぜてより殺傷能力を上げて確実に巨大生物に対しても制圧能力が上がった。

 かつ、前述の通り貫通性能も上がっているので巨大生物の大群に向けて撃った場合、大群手前で榴弾が爆発し、更に貫通した侵徹体が二体目、三体目と大群を奥まで射抜くので大群への戦車砲斉射はかなり有効な手段となった。

 

・旋回性能、加速性能などの諸性能も目覚ましい革新はないものの順当に向上し、全体的に機敏な動きが出来るようになった。

・車載機銃は貫通力のある12.7mmドーントレス重機関銃の他に、7.62mmUT7ガトリングガンが新たに装備された。

 これはバゼラート攻撃ヘリやレイヴン戦闘機に使われている30mmUT30ガトリングガンの縮小版であり、これは戦車に接近されるような状況では貫通力より弾幕による多方面からの接近の阻止が目的とされるからである。

 

爆発反応装甲(リアクティブアーマー)は、敵に物理砲弾を発射するタイプの敵が居なかったため撤廃する予定であったが、喰らいつく巨大生物に一定の効果があったことや、牙に対する強度のある装甲板が開発できなかった事から更なる改良が施された。

 が、その実情は接近や物理的衝撃に対し、指向性爆薬による火力と、カッターの刃のような鋭利な金属片による広範囲の殺傷を可能にするという性能だった。

 つまりほぼクレイモア地雷を車体に取り付けたような形になってしまったが、その効果は予想以上に戦車の生存性に貢献した。

 なお、付近に歩兵がいた場合無視できない被害が出るが、戦車に喰らいつかれるような状況では、恐らく周囲に歩兵は存在していない為考慮されなかった。 

 

 以上の性能を持ったエイブラムⅡは、本来ならもっとテストやトライアルを行ってから量産されるべきだったが、崩壊寸前の日本戦線にその余裕はなく、京都防衛戦”オペレーション・アイアンウォール”にて初実戦投入された。

 

▼B651重戦車タイタン

 

 全長25m、全高12mを超える超大型戦車。

 車体・基礎設計はガプス・ダイナミクス社(アメリカ・ドイツ)が行った。

 主砲はレッドクイーン&エムズ社(イギリス・エジプト)が国内艦艇向けに開発していた65口径320mm単装砲を流用。

 流用元の企業にちなんで非公式に”レクイエム砲”と呼ばれる。

 なおこの呼称は、地上用の戦車砲に流用する過程で、砲身長を短くする必要性に迫られた結果、弾速が現代の陸上砲とは思えない程低下した試験を見たガプス・ダイナミクス社の社員が「着弾までにレクイエムを歌いきれるんじゃないか?」と言われたことにちなむと噂されており、上記の企業名にちなむという説は体裁を整えるための後付けだと言われているが、真偽は定かではない。

 

 開発は、前述のレッドクイーン&エムズ社の65口径320mm単装砲の開発に遡る。

 イギリスに本社を置くR&E社は、国内艦艇向けに当単装砲の開発を進めていたが、予算の関係から計画は流れ、中途半端に開発した単装砲は行き場を失った。

 そんな中、世界中の軍需企業に向けてEDFが兵器購入を呼び掛けた事によって軍需産業は急速に発展。

 R&E社も行き場を失った65口径320mm単装砲を売り込んだ。

 しかし技術的に目を引くものが無かった当単装砲は競合に勝てず、R&E社は経営危機にまで陥る。

 そんな中、R&E社の社員はEDF内で計画中の重戦車の主砲が未だ決まっていない事に目を付けた。

 追い込まれていたR&E社は、EDF車輛装備局の間で諜報・恐喝・賄賂などあらゆる手段を駆使し、ついに単装砲の戦車主砲採用の足掛かりを築き上げた。

 

 そんな経緯を持って戦車設計局に運び込まれた65口径320mm単装砲を見たEDF重戦車設計係とR&E社の現場開発員は頭を抱えた。

 社運を賭けた見切り発車状態で始まった艦砲を戦車砲として搭載する計画は、常識で考えて無茶を通り越している。

 それでもR&E社上層部の机上の空論で作成された単装砲小型化設計書を元に、現場で改良を施し、ついに砲身長を65口径320mm(65×320=20.8m)から16口径320mm(5.1m)と大幅に小型化する事に成功。

 砲塔も小型化に成功し、従来の戦車の域を出ない程度で収まった。

 

 しかし、試射する段階において致命的な問題が発生。

 運用に問題なないが、砲口径(砲身の内径と砲弾の直径)をそのままに、砲身長(砲身の長さ)を大幅に短くしたことによって砲口初速が大幅に落ちてしまい(砲口初速は砲身長のほか、装薬の質と量、砲弾の重さによっても決まる)、実用に足るものではないと評価された。

 その試験に偶然来ていたガプス・ダイナミクス社の社員によって、前述の名言(迷言?)が広まり、以後同社の間でレクイエム砲とささやかれる事になった。

 

 これを見たR&E社、EDF兵器開発局上層部はすぐに改善を命令し、構造を抜本的に見直す大幅な改修が始まった。

 同時に、この砲を通常重戦車の車体に搭載する事は不可能だと判断し、車体の方も見直しがされる。

 

 この時並行して行われていた、陸上要塞車輛プログラムに目を付けたEDF兵器開発局は、2つの計画を統合すると決定し、重戦車と陸上要塞車輛の中間的兵器の開発に路線変更した。

 陸上要塞車輛は、全長60m、全高22mを予定していた陸の戦艦になる予定であったが、エンジンが決まらず難航していた。

 これを全長25m、全高12mと大幅小型化(それでも全長9m、全高3mのギガンテスと比較し規格外な車体)し、搭載砲も60口径320mm単装砲(砲身長19.2m)に再調整され、満足のいく性能となった。

 

 また、同時進行でEDFはガプス・ダイナミクス社に同単装砲で使用可能な新型砲弾の設計を委任された。

 この背景には、同社で開発中の新型電子励起爆薬(電子励起状態の物質を、化学反応で化合させて爆発的エネルギーを生み出す次世代爆薬カテゴリ)セレウコス(電子励起状態の金属ヘリウムの化学反応で爆発させる。同社によるとTNT爆薬の500倍の威力が期待でき、大型榴弾と同等の爆薬を仕込めば戦術核兵器並みの威力が通常兵器として運用可能になる)が実用段階に至った事を受けての決定が大きい。

 要望通り、同社はセレウコスを使用した砲弾を開発成功し、60口径320mm単装砲に正式搭載される事になった(当然通常砲弾も使用可能)

 

 主砲の開発が終わったことで、車体の要求性能も決まり、車体の開発が進んだ。

 車体設計はガプス・ダイナミクス社が主導で行い、ドイツの本社工場で開発が進められた。

 

 だが開発にあたり、極端に低い機動性能や既存兵器を上回らない防御性能など主砲開発でクリアした攻撃性能以外の所で欠点が目立ち始め、ガプス・ダイナミクス社も追い込まれていく。

 それをクリアすべくエンジンを再設計していくが、それに伴い設計費が2倍3倍額と跳ね上がり、計画に歯止めがかかった。

 

 尤も、同戦車車体はガプス・ダイナミクス社が開発を行ってはいたが、EDFが設計を委任していたので予算の多くをEDFとドイツ政府が負担していた。

 その為主砲と違い、同社に経営的なダメージは無かったが、EDF内部の予算の奪い合いに巻き込まれる結果となった。

 

 各国からの莫大な資金提供(フォーリナーからの地球防衛という大義名分があるため、強引な資金徴収にも関わらず各国政府の表立った反論の封じ込めに成功していた。が数々の横暴に対する反論は数多くあり、反EDF思想をもたらす大きな要因の一つとなっている)により、多くの予算を掛けた開発が当然のように行われていたが、当時のEDF内部の風潮は、より高価で有効な兵器を作り上げた者が評価され出世するというものがあった為、尤もらしい理由を付けつつその裏では誰もが自分の部署に予算を欲していた。

 

 だが計画そのものが、艦砲を搭載する前提で始まった事、社内で巨大戦車への憧れがあった事(EDF内外関わらず、この頃の兵器開発には対フォーリナー用兵器として予算無視の過剰兵器が許される、いわゆるロマン思考が蔓延していた)から合理性を欠くとされ、計画は半ば凍結。

 

 開発中だったドイツ本国で匙を投げられ、紆余曲折あって中途半端な状態で日本に押し付けられた。

 

 これに伴い開発チームも一部日本に渡り、開発が再開される。

 エンジンは開発に、精密機械が得意のFUJIインダストリーズ(日本・アメリカ)が加わり、日本、アメリカ・ドイツの三か国技術者が頭を捻った結果、車体の半分を占領する形でなんとか大出力エンジンを搭載する事に成功。

 残りの装甲素材を開発し、各種調整をして完成、のはずだったがその段階でフォーリナーが襲撃。

 

 計画は大幅に遅れたが、フォーリナーとの戦闘で得られたデータをフィードバックし、敵の攻撃に合わせた防御力を獲得するに至った。

 その新概念装甲の開発に当たり、多くの費用と時間と研究開発人員や機材が割り当てられ、同時進行中だったその他の開発計画は更に遅れた。

 

 その甲斐あって完成したタイタンは非常に強固な防御力を備えた堅牢な大型戦車となった。

 

 ダロガの粒子砲弾やガンシップのレーザー、ヘクトルのプラズマ砲弾などの光学・物理エネルギー兵器には対光学物理装甲を、

 α型巨大生物類が発する強酸、β型巨大生物の強酸の染み込んだ糸に対しては対強酸化学装甲を、

 そして強靭な牙やその他の攻撃には本来搭載予定であった特殊合金とセラミックの二重複合装甲を。

 

 こうしてB651タイタンは、2023年3月30日の京都防衛戦で初陣を飾った。

 また、余談だが当初はEDF製造計画E650番として開発され、E651としてロールアウトされる予定であったが、直前になって主力戦車E系統と同列に扱う事が疑問視され、巨大戦車カテゴリとして識別系統”B”を与えられた。

 なお、EDFは今後新たな巨大戦車を作る事は無かったため、B系統はタイタン専用となった。

  

 

 

●陸戦歩兵連隊

 

▼M2歩兵戦闘車グレイプ

 

 EDF陸軍の歩兵戦闘車。

 グレイプ装甲車と言われることも。

 装輪装甲車ファミリーである米陸軍のストライカー装甲車を参考に歩兵戦闘車として設計され、八輪装輪式と装軌(キャタピラ)式を換装できるようになった。

 また武装・砲塔も任務に合わせて容易に換装できる。

 日本戦線では主に都市部での戦闘が主となっている為機動力を重視した八輪装輪式が主となっている。

 以下は武装の解説

 

・12.7mm重機関銃ドーントレス

 イギリスの機関銃メーカードーントレス社の汎用重機関銃。

 グレイプのみならずギガンテス、ブルート、ジャガーなど幅広い戦闘兵器で搭載されている。

 12.7mmEDF弾は、西側諸国を含めた多くの国で運用されるNATO弾と同規格のものを採用し汎用性を持たせようとしたが、炸薬が強力で銃器が持たない事からその名の通りEDF銃器専用弾となっている。

 その弾丸は巨大生物の甲殻も貫通し、多くの戦果を挙げているが、巨大生物は経過とともに甲殻を厚く硬く進化する事が報告されており、EDFの弾丸も細かくアップグレードしている。

 12.7mm弾は口径が大きい事から同じ機銃として7.62mmほどの連射性能・携行弾数は望めない為、弾幕を展開する能力には劣るが、当然ながら威力は大きい為確実に倒すことは出来る。

 

 

・7.62mmガトリングガンUT7”ヘパイストスミニガン”

 アメリカの航空機用機関砲メーカー「ユニアック・タイラー社」(以下UT社)の開発した多銃身機関銃。

 同社の航空機用多銃身機関砲(ガトリングカノン)、UT30”ウルカヌス”のダウンサイズ版である。

 数字はおおよその口径を表しており、バゼラートに搭載されるUT30は30mm機関砲。

 UT社はアメリカに本社を置くがその実態はほぼEDF専属の兵器設計所で、そのダウンサイズ技術を流用してフェンサー用のガリオン軽量機関砲やデクスター自動散弾銃などを開発、納品した。

 その形状・用途は、アメリカ企業「ゼネラル・エレクトリック社」(以下GE社)が開発したM61バルカン(20mm)と、そのダウンサイズ版であるM134ミニガン(7.62mm)の関係性に酷似している。

 これはGE社がUT社の請願で設計図その他情報を提供した為であり、結果的にGE社製品であるバルカン/ミニガンのマイナーチェンジと揶揄される代物に出来上がってしまった。

 その経緯もあり、UT30/UT7はもっぱらバルカン/ミニガンの愛称で呼ばれるようになり、言いづらさもあってかウルカヌス/ヘパイストスの正式名称はEDF内に浸透しなかった。

 特に日本では広く創作物などでバルカン/ミニガンが定着している為、EDF兵士であってもそう呼ぶ方が通りがよく、詳しくない者であれば多銃身機関銃を全てバルカンと呼んでしまう程広く親しまれている名称でもあった。

 ちなみにウルカヌスとはローマ神話の火の神であるが、ウルカヌスの英語読みはヴァルカンであり、やはりGE社のM61バルカンを意識してのネーミングであった事は間違いない。

 

 ある日EDF装備局とUT社の会議の場で、EDF装備局の高官がうっかりウルカヌスの事を「UT30バルカンは――」と発言してしまい、UT社の命名者は憤慨した為、EDF高官は慌てて「ウルカヌスとは現場では殆ど呼ばれない」などと発言してしまい、問題となった。

 結果的に命名者は現状にある程度納得し、わざわざGE社に出向いて相談するなどの経緯を経て、製品名を正式に「ウルカヌスバルカン/ヘパイストスミニガン」とすることで妥協した。

 アメリカ軍の製品名の浸透率の高さと、兵器の呼びやすさの重要性が新たに認識されるちょっとした事件となった。

 なお、正式名となった「ウルカヌスバルカン/ヘパイストスミニガン」だが、現場からは「長い」と不評であり、依然として「バルカン/ミニガン」で定着するに至った。

 

・105mmライフル砲

 S&Sマテリアルズ社の開発したライフル砲。

 ライフル砲とは、滑腔砲と違い砲口内にライフリング(螺旋状の溝)が彫られてある砲身を指す。

 滑腔砲が登場する以前、主流はライフル砲であった為弾種と在庫が豊富で、EDF規格砲弾以外も多種多様な砲弾を発射可能。

 また一般的に滑腔砲より命中精度が高く、ギガンテスが高度な火器管制装置でそれを補っているのに対し、グレイプは一世代前の安価な装置でギガンテス並みの命中率を誇る。

 その特徴は歩兵の直掩を任務とするグレイプと合っており、高精度砲撃は対空目標にも効果を発揮し、

 無数の子弾をばら撒くキャニスター弾は巨大生物の群れに威力を発揮し、広大な爆風を誇るサーモバリック砲弾や焼夷弾は装甲目標に対しては無力だが巨大生物を焼き払い足止めに貢献する。

 また照明弾や発煙弾など直接戦闘に用いない砲弾も広く使用可能。

  

・120mm迫撃砲

 ガプス・ダイナミクス社が開発した迫撃砲。

 105mmライフル砲と同じく歩兵の直掩を目的とする。

 迫撃砲とは、安価な構造、低初速、高仰角を特徴とした砲で、大きく曲射弾道を取るため砲弾がほぼ真上から降り注ぐ形になる。

 これは面制圧に於いて効果的で、前線に居ながら歩兵に即座に支援砲撃を送る事が出来る為、迫撃砲仕様のグレイプ装甲車部隊は前線砲兵の迫撃砲小隊に組み込まれている。

 また同型の迫撃砲を改良し、口径を縮小しフェンサーの軽量迫撃砲にもなっている。

 

・プロミネンス対戦車ミサイル

 EDF北米工廠が開発した対戦車ミサイル。

 対フォーリナー戦争では重装甲目標であるダロガやヘクトルに向けて使用される。

 米陸軍が開発したジャベリンを参考に設計されており垂直に飛行する高高度強襲モードと直線照準モードが選択できる。

 歩兵用のミサイルランチャーとしての運用はもちろん、このように車載する事も可能。

 車載する場合バックブラスト(ミサイル射出の反動を抑える為の後方噴射)軽減やリロードの簡易化(歩兵にとっては大型のミサイルの為2名以上の運用が推奨され、かつ発射台が固定されているので装填が容易)などのメリットもあり、車載式として運用されることが多い。

 また高高度強襲モードに関して、通常の戦車と同様にダロガは上面装甲が薄い(レーザー照射装置があるためか)事が判明しており、更に周囲の地形や他の敵を飛び越えて攻撃できる点は対F戦闘に於いて非常に有効であったため、このモード専用の小型面制圧用の高高度強襲ミサイルがフェンサー用に開発された。

 一方でヘクトルやその他の敵には上面から攻撃する理由が特に無く、遮蔽物など無い状況や着弾までに時間を掛けられない状況では直接照準モードも使われる。

 

 以上の武装の他にも、通信装備を搭載した指揮通信車仕様や、救護装備を搭載した簡易救護車輛仕様など換装可能な装備は多岐にわたり、非常に汎用性に優れる。

 また武装を簡易的なものにした兵員輸送車仕様では。1名の運転手の他に12人(レンジャー約一個分隊)の兵員が搭乗可能。

 補給コンテナを搭載運搬する物資輸送車としても活躍するEDF陸上車輛部隊の中核を成す存在と言える。

 

 

▼M31高機動車ジャガー

 

 EDF陸軍の高機動汎用四輪駆動車。

 その名の通り高機動であることを重視され、最高時速は130kmオーバー。

 起伏の激しい不整地も走破可能で、軽量化された車体はスタックした場合でも人力での脱出を容易とする。

 UT7ガトリングガン、車載型エメロードミサイルを四発搭載出来るのに加え、詰めれば運転手以外の乗員10人(一個分隊分)の乗れるスペースがある事から緊急移動の際に多く使われる。

 また、そこに武器弾薬、燃料や食料を詰めて輸送する事もあり、四輪駆動としては破格の走破性で、戦場を駆け回る。

 軽機動中隊は、兵員や補給物資の輸送、そして簡易的な戦闘もこなすEDF陸軍の血液のような重要な存在で、陸軍では彼らの事をジャガードライバーと呼び、敬意を表する。

 

 

▼HU-04ブルート

 EDF陸軍歩兵部隊で運用する大型輸送ヘリ。

 輸送ヘリでありながらドアガンに強力なドーントレス重機関銃や、UT30ウルカヌスバルカンを設置可能で、支援にも向いている。

 またヘリでありながら装甲も強固。

 

●軍団砲兵連隊

 

▼L203自走重砲ベテルギウス

 軍団砲兵に属する203mm自走重砲。

 203mmは陸軍では重砲に分類され、また長射程、長砲身であることからカノン砲と呼ばれることも。

 精密狙撃が可能な事から徹甲弾が発射される事も。

 

▼L227自走ロケット砲ネグリング

 227mm多連装自走ロケット砲システム。

 24発の長射程エメロードミサイルか、二発のN系巡航ミサイルを発射できる。

 

●師団砲兵連隊

 

▼L185自走榴弾砲プロテウス

 師団歩兵に属する185mm自走榴弾砲。

 ベテルギウスとブラッカーの間を埋める中間的存在。

 

▼L155自走榴弾砲ブラッカー

 師団砲兵に属する155mm自走榴弾砲。

 EDF自走砲の中で最も口径が小さいが、その分数も多く、砲兵隊の中核をなす。

 外見も戦車に近くコンパクトで、機動力もある。

 

●連隊内砲兵中隊

 

▼L120自走迫撃砲スローター

 120mm自走迫撃砲。

 前線での短距離支援砲撃を任務としている。

 

●攻撃ヘリ中隊

 

▼EF-22汎用攻撃ヘリコプター”バゼラート”

 EDF陸軍の汎用攻撃ヘリコプター。

 機首にUT30ガトリングガン、翼下の兵装パイロンに航空型エメロードミサイル、MLRA小型ミサイル、カスケードロケット弾を装備可能。

 

▼EF-31対地攻撃ヘリコプター”ネレイド”

 EDF陸軍の対地攻撃ヘリコプター。

 固定武装に真下にも射撃可能な自動補足式のUT45オートキャノン、翼下パイロンにMLRA小型ミサイル、カスケードロケットを装備可能。

 

 


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