全地球防衛戦争―EDF戦記―   作:スピオトフォズ

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第三十四話 帰路の遭遇(Ⅱ)

――2023年 3月22日 伊勢湾港より東20km沿岸部 『第88レンジャー中隊 レンジャー2-1 仙崎誠』――

 

 

《こちら本部! こちらでも複数の地中振動を検知した! その場所は伊勢湾港の目と鼻の先だ! 港を危険に晒す訳にはいかない、確実に殲滅するんだ!》

 榊少将の無線が戦場に鳴り渡る。

 

『サー! イエッサー! 全車停止! ゴールド小隊、攻撃開始だ!』

 車列が砂煙を上げて急停車する。

 

「レンジャー2降車! 小隊射撃用意ッ!」

「「イエッサー!」」

 同時に我々は輸送車から飛び降り、マガジンをセットし銃を構える。

 銃から鳴る雑な金属音が八つ重なる。

 

『ゴールド全車! 砂浜のα亜種に射撃開始! 撃てぇー!!』

 ゴールド小隊前衛後衛各二輛が砲塔を右手の砂浜に向ける。

 合計四輛の戦車が120mm徹甲榴弾の発砲音で空気を震わせ、それがコンマ数秒後に砂浜に着弾し、砂と爆炎と巨大生物を巻き上がらせる。

 

『へっ、新種の巨大生物……戦車並みの装甲と聞いてはいたが、これほどとはな!』

 戦車兵の一人が冷や汗を掻く。

 直撃を受ければ流石に耐えられない様子だが、爆風や破片による範囲攻撃は効果が薄いようで、吹き飛ばされても平然と起き上がって進撃する個体もいるようだ。

 加えて足も速い。

 まだ遠いが、確実に接近されていた。

 

「赤いのを近づけるな! この距離からなら狙い撃てる! 外すなよ!?」

 フェンサーは盾を構え、長大な砲を安定させる。

 NC101ハンドキャノンと呼ばれる対物徹甲砲だ。

 

「ファイア!!」

 ハンドキャノンが火を噴き、α型亜種の硬い装甲殻を難なく撃ち破る。

 亜種は被弾箇所から黄色い体液を吹き出し次々と絶命する。

 動きの速いα型亜種だが、それでも確実に仕留めているのは、流石としか言いようがない。

 

「いいぞ機械鎧! レンジャー2、6! 貴様らは我々と共に接近する巨大生物の撃破だ! この距離だ……、突撃しなくとも暫くは一方的に攻撃できる!」

 フェアリーテイル2小隊長、美船中尉が凛々しい声を張り上げる。

 装備しているのは最近実用化されたと噂の”雷撃銃”だろうか。

 その武器の如く、本人もどこかピリピリとした雰囲気がする。

 

「同感です! でも油断はしないで! フェンサーはともかく近づかれたら戦車は分が悪い! 抜けてきたなら、最後はレンジャーが食い止めましょう!」

 レンジャー6小隊長、樋山少尉が同意しつつもプランを微調整する。

 

「ふん、我がフェアリーテイルの雷撃を簡単に抜けられるとは思わないが、もしもの時は盾くらいの役割は果たせよ? コンバットフレームはまだか!?」

 手に持つ雷撃銃”サンダーボウ”や”イズナー”にエネルギーを充填しつつ、美船中尉はニクスの起動を確認する。

 

『システム起動完了! 迎撃開始! ブラヴォー3、4、誘導弾!!』

『『発射ぁ!!』』

 ニクスB型の両肩に付いたポッドから小型ミサイルが放たれる。

 垂直に進んだミサイルは一定距離で直角に近い角度で軌道を変え加速して一気に目標へ直撃した。

 直後、半径8メートル程度の爆炎が次々現れ、周囲の数体が無残な姿になる――が、やはり耐える個体が多い。

 装甲殻をボロボロに崩しながらも立ち上がり進撃を進める。

  

『近づいて来てるぞ、ブラヴォー小隊前へ! リボルバーカノン、一斉射!! 弾幕を張れ!!』

 ミサイルの爆炎を抜けて、最初の一団が崖に接近する。

 ニクスはブーストを吹かし、崖の手前に陣取り、両腕に装着されたリボルバーカノンで弾幕を張る。

 薬室が高速回転し、シャワーのような27mm弾が巨大生物を瞬く間に撃ち抜く。

 だが、正面に死体が積み重なったと見るや否や、その死体を迂回するようにして巨大生物が広がっていく。

 一度広がってしまえば、撃ち漏らしが多く出る。

 戦車の面制圧、フェンサーの狙撃、ニクスの弾幕を掻い潜った巨大生物は遂に崖を上り始める。

 

『ちっ、思ったより散りやがる! ダイバーの嬢ちゃん、出番だぜ!!』

「気やすく命令するな! 小隊、崖を上ってくる奴を叩き落とすぞ! ユニットを吹かせ!!」

「「やーーー!!」」

 フェアリー2はニクスの更に前に出て、空中から”雷撃”を浴びせるつもりだ。

 

「俺達も向かうぞ! レンジャー6! ここで護衛を頼む!」

「分かった! 小隊、この場所で全周警戒! 弾幕を抜けてきたやつを狙うんだ!! 戦車に近づけさせるなよ!?」

 大林中尉が指示を出し、樋山少尉が受諾する。

 

「小隊傾注! 危険だが隊を二分する! 2-1右、2-2は俺と左側面でα型亜種を迎撃する! 奴は装甲殻が硬いが酸は吐かない! ある程度まで引き付けてから一気に倒せ! 但し基本的には二人以上で火線を集中させて撃て! それと水原にはそこの高台で狙撃での援護を任せる! 出来るな!?」

「イエッサー! あそこなら左右側面が見渡せそうっすね! お任せっす!」

「頼んだぞ! では散開!」

「イエッサー! 2-1こっちだ! 付いて来い!」

「「サー! イエッサー!!」」

 我々2-1は鷲田少尉を先頭に右側面に走る。

 私、新垣、桜が後に続く。

 

 走って移動中、水原から無線が入った。

『水原よりレンジャー2! 狙撃位置に巨大生物が接近! 迎撃するのでしばらく援護は無理そうっす! すみません!!』

『こちら大林! 無理はするな! 迎撃しきれない状況に成らんうちにその場を離れろ!』

『了解っす! 出来ればこっちで狙撃できそうなポイントを探すんで少し待ってて欲しいっす!』

『頼む! だが生きて帰ることを最優先に考えろ!』

 どうやら狙撃での援護は時間がかかりそうだ。

 その間に巨大生物が回り込むポイントを発見する。

 

「少尉! 赤蟻、もう上って来てますよ!」

 桜が声を上げる。

 戦車やニクスに取りつかれたら厄介だ。

 ここで倒さなければ、そう思って引き金を引きかけるが。

 

「まだ撃つな! このまま走って直前まで我慢しろ! ショットガン構えてろよォ……!」

「マジですかぁ!?」

 正気の沙汰とは思えない! という顔で少尉を見る桜。 

 そんな顔は一瞬で、すぐ目の前にα型亜種が迫る。

 体感ではもう噛まれる寸前だが――

「今だ! 撃ち殺せ!!」

「こ、のぉぉぉ!!」

 あわや食い殺される距離まで接近した緊張を解き放つように、桜や我々四人が一斉にショットガンを放つ。

 その甲斐あってか、大口を開けて捕食しようとしたところの散弾は流石に致命傷だったらしく、一撃で倒すことが出来た。

 

「はっはァ! どォよ! ブ厚い装甲だろうと口ン中ぶっ込みゃ一撃よォ!! ザマミロ下等生物共!! 蟻ンコ風情が人間様に盾ついてンじゃねェ!! オラァ!!」

 獰猛な笑みを浮かべながら、鷲田少尉は接近して弾倉式ショットガン”モンスーン”を放つ。

 アサルトライフルのようにマガジンを変えるだけでリロード出来るので取り回しが良いショットガンだ。

 

「あっりゃ~。完全にバーサーカーモードだよワシちゃん。でも確かに! ある程度近づいたほうが! 効くけどね!」

 桜は連射式ショットガン”スパローショット”をお見舞いする。

 こちらは引き金を引いたままの連射が可能なショットガンで、集弾率も高い為一体を攻撃するのに向いている。

 

「だぁーははは! このスリル! たまらねぇな!! ぐはぁ! しまっ……!」

 新垣が近距離で広角式ショットガン”ガバナー”を撃って敵を穴だらけにする。

 発射数が通常散弾の二倍くらいある広範囲攻撃型ショットガンだが、近くで撃てばその威力はケタ違いで、ギガンテスの装甲ですら穴を穿つ威力となる。

 だが連射は効かず、隙が大きい。

 それを付かれ、新垣が咥えられた。

 

「ぐおお!」

 新垣が食い殺される!?

 と思ったが目にしたのは両手で牙を必死に受け止めて抵抗する新垣だった。

 

「何をやっているッ!!」

 私は汎用ショットガン”バッファローG2”の引き金を引き、食事に取り掛かろうとした赤蟻の横腹を撃つ。

 一発、距離が遠い。

 だが怯んで新垣を放す。 

  

「仕返し、受け取れよ!」

 受け身を取って着地した新垣は、直ぐにガバナーの引き金を引く。

 取り逃がした獲物を喰らおうとした赤蟻は、牙の向こうの大口に大量の散弾を喰らい、頭部が抉れたような姿となった。

 

「まったく! 肝を冷やさせるな!」

「だぁーははは! 失礼しました仙崎殿! いやぁもうちょっとで真っ二つになる所でしたな!」

 赤蟻の顎は強靭だ。

 その力は戦車の装甲をも噛み千切る程で、幾らアーマースーツを着ていても人間には耐えられるものではない。

 ……筈なのだが、どうも個体差があるらしく、はっきりしたことは分かっていないらしい。

 新垣が人外である事は信じたくないが……どちらにせよ助かったのは良い事だ。

 

「新垣ィ! なんともねェのか!?」

「ピンピンでございます! 本気を出されては流石にひとたまりもありませんが、直ぐ助けて頂けたので、はい、このとおり! ぬぅん!」

 リロードしながら妙なポーズをとって健在をアピールする。

 

「ガッキーはいいとして、少尉はどうなんですか!?」

「オレかァ? いやぁ実はちょっと傷口が開いてきてヤベェったらねェぜ! ま、コイツら皆殺すまでは意地でも倒れねェけどな!!」

 見ると、アーマースーツの内側から血がにじんでいるのが分かる。

 顔色も良くないし、息が切れかけている。

 

「もぉ~!! だからトラックで大人しく寝ときゃよかったでしょ~が! まことんワシちゃんフォローして! できる!?」

「そういうのは苦手だが、なんとかやってみる!」

 私は攻撃を回避するのは得意なのだが、見えるのは自分に迫る危険だけだ。

 故に他者を援護したり護衛したりするのは正直に言って不得意だ。

 そう言った視野の広さでいうなら、浦田や二ノ宮軍曹の方が優れている。

 

「いらねェって! 赤蟻ぐれェ牙に気を付けりゃ余裕だろ!」

「確かに、攻撃は見切りやすいですね! この分厚い装甲殻も、ショットガンの近距離射撃なら対応できる!」

 今回、四人全員の武装にショットガンを選んだのは鷲田少尉の判断だ。

 たまたまトラックに載せてあった四丁のショットガンを装備してトラックを飛び出たのだが、この通り接近戦を強いられるものの相性は非常にいい。

 ただし赤蟻以外の敵が出た場合は対処に困るのだが。

 

「はいはい気遣った私がバカでしたよ~だ!」

「おいおいそう怒んなって……。気遣いだけはありがたく受け取っとくからよ! オラァ!」

 紙一重で牙を回避し、赤蟻の下に潜り込むと、下腹からモンスーンを接射。

 下腹に大穴を開けられては流石に一たまりも無いのか、不快な断末魔を上げて絶命する。

 

「はっはァいいねェこれ! 鈴城のヤツが気に居るのも道理って訳だァ!」

「鷲田少尉は、二丁持ちはしないので?」

「ンー、ありゃァアイツの専売特許だわなァ。オレにそんな器用な真似ァ出来ねェよ。片手開いてた方が何かとやり易いし……なッ!」

 向かってくる赤蟻に標準装備の手榴弾を放り投げ、怯んだすきに側面に回り込み射撃する。

 見ていると、鷲田少尉の動きは私と近いものを感じる。

 攻撃を見切り、回避して隙を作り、そこに付け入る。

 違うのは、私は回避に重きを置いているが、鷲田少尉は攻撃に寄っている事だ。

 

「そらそらそらァ!」

「少尉!」

「わァってらァ!」

 一体、また一体と屠ってゆく中、複数の赤蟻が同時に迫る。

 一体は私が仕留め、向かう残り二体目を鷲田少尉が体当たりするような勢いで顔面に接射。

 直後マガジンを捨てた、リロードだ!

 

「がッ!」

 三体目の鋭い牙が避け損ねた少尉の右肩を抉り、血を巻きながら盛大に転んだ。

 いや違う、滑り込んだ!

 姿勢を低くして牙の追撃を避けつつ、左手で標準装備の対巨大生物用を引き抜き、赤蟻の脚関節に二発。

 同時にマガジンを装填し、体勢を崩した赤蟻の脇腹に撃ち込んだ。

 

 背後から狙いを定める赤蟻が居たが、それは私が仕留めておいた。

 

「少尉! 怪我の具合は!?」

 凄まじく洗礼された動きではあったが、やはり私なら追撃を諦めて回避を優先しただろう。

 尤もその結果囲まれてしまってより劣勢に陥る可能性もあるし、回避してばかりでは仲間の負担にもなるので、どちらが良かったのかは分からない。

 

 だが今回の場合は、結果として、

 

「ぐっ……!」

「鷲田少尉ッ!!」

 

 それがより大きな隙を生んでしまった。

 出血が大きく、治癒剤を打つ間も無くふらついた鷲田少尉に、ここぞとばかりに巨大生物が殺到した。

 

「手ェ出すな! オレは大丈夫だ!!」

「どの口でそのようなことを……!」

 援護に回る。

 確かに、左手で治癒剤を打ちつつ、負傷した右腕でショットガンを操るその姿は、手負いであっても我々の戦闘力を上回っているように見える。

 だが、そんな状態がいつまで続くというのか……!

 

「まことん!! どういう状況!? ワシちゃんやられたの!?」

 こちらの混戦具合を見かねて、桜が駆け付ける。

 

「うるせェオレァ無事だ! ンな事よりもとっとと自分の回り片付けろやァ!」

「ど~っこが無事なのよ全くもう!! 囲まれちゃってるじゃないですかぁ!」

 こちらの援護に回ったようで、新垣も一緒に付いてくる。

 結果、鷲田少尉を中心に、三人全員で援護する形になった。

 

「ちッ……! 言う事聞かねェ奴らだ! なら勝手に――桜ァ! 後ろだ!!」

「え――きゃあ!」

 スパローショットのリロードをしていた隙を狙われて、背後から牙を開いて猛烈な勢いで走る赤蟻に桜が掴まれた!

 赤蟻は歩みを止め、腕を掴まれた桜をそのまま地面に叩きつける。

 

「がはぁっ!!」

 路面のアスファルトが砕けるほどの衝撃が桜を襲い、苦し気な悲鳴が漏れる。

 だが、赤蟻は桜を放さない。

 同じ高さまで持ち合上げて、もう一度叩きつける気だ。

 

「させるかッ!!」

 新垣が、タックルするような勢いで飛び出し、脇腹にガバナーを叩きこむ。

 装甲殻が砕け、体液を吹き出しながら赤蟻は絶命する。

 

「桜殿!! 無事でありますか!?」

「ぐはっ! …………はぁ、はぁ、ぐ、あ~、生きてるっぽい……」

 衝撃で内臓がやられたのか、吐血しながらも意識はあるようだ。

 アーマースーツには衝撃吸収の効果もある。

 生身で喰らえば最早命は無かっただろうが、それでも重傷に違いない。

 

「クソがッ! だからオレはほっとけって言っただろォが! 『レンジャー2-1より小隊長ッ!! 結城桜重傷! 誰か援護に寄こせねェっすかねェ!?』」

『こちら大林! こちらも回り込んだα型亜種の対応に追われている! あと数分耐えて見せろ! EDFの誇りを思い出せ!!』

「『クッソ、サー! イエッサー!!』桜ァ、生きてるなァ!? ならまだ助かる! 仙崎、新垣! 桜を護ってやれ!! 数はこっちで減らしとく!」

 その言葉に二人は衝撃を覚える。

 普段ならいいが、今は鷲田少尉も負傷している。

 

「鷲田少尉は!? 貴方だってもはや重傷の筈だ! 死ぬ気ですか!?」

「死ぬ気ィ? こちとら端っから命がけだっつーの! オレぁまだ動けるが桜は無理だ! 動けねェなら向かってくる敵纏めてブチ殺すしかねェだろォが!!」

 その命令で仙崎は理解する。

 確かに理にかなっている。

 

 赤蟻と接近戦を行う時、攻撃は基本的に躱すしかない。

 酸なら今のアーマースーツでは多少喰らっても何とかなるが、赤蟻に喰われれば最悪ひと噛みで即死、良くても桜のように重傷になるケースが多い。

 そんな時、もし動けなくなったら先に攻撃するしかない。

 

 幸い、装甲の割には銃撃に対しては怯みやすい習性があるので、足を止めることは出来る。

 我々がそうやって足を止めているうちに横から鷲田少尉がトドメを刺してくれれば、効率は良い。

 四人一か所に固まるというのも手だが、向かってくる赤蟻を真正面から牽制するだけではいずれ波に飲まれてしまう。

 誰かが横から攻撃を加えないといけないのだ。

 

 だが、その役が鷲田少尉である意味はない。

 

「なら! 遊撃役は私がやります! 鷲田少尉は護衛を!」

「はっ! ……まあそう来ると思ったがよ。正直ちっとばかしヤベェんだわ。万ッが一だけどよ、もしオレが倒れたら二人のお荷物を抱えた新垣が死ぬだろォが。だったらまだオレが外に居た方が、少なくともお前らは安全だろ」

 ……まずい。

 このままでは本当に鷲田少尉が死んでしまうかもしれない。

 だが、状況を打開する術が見当たらない。

 その中で、鷲田少尉の策は至極妥当なのだ。

 

「ですが……」

「うるせェ!! 上官命令だ! 血が足りねェって時に頭使わせんなコノヤロォ!! いいから黙って各々死ぬ気でやりゃァいいンだよ! それで何とかなっから!」

 唐突に理論もクソも無くなった暴論だ。

 だが不思議と上手く行く気がする。

 

「サー! イエッサー! 信じますからね! 頼みましたよ鷲田少尉!!」

「おォよ! おめェこそ、そこのお節介娘しっかり護れよ!? この程度の修羅場……切り抜けられなくて何がEDF兵士だってンだ!!」

「誰が……お節介娘……」

「桜殿! 喋ってはなりませぬ! ぬおおおお!!」

 

 桜、鷲田少尉。

 どちらも命の危機があり、天秤が少し傾けば簡単に消し去ってしまう危うい状況だ。

 だがそれでも、私は、我々は最善を尽くす。

 尽くして見せる!

 

 




登場人物

美船佳子(みふね かこ)(29)
 フェアリーテイル2指揮官、中尉。
 この小隊が雷撃銃を好んで使うのは彼女の方針。
 ”ウイングダイバー隊一の美女”としてその界隈では有名だが、同時に隊内では鬼のような厳しさで恐れられつつ、尊敬されている。
 男に一切の興味が無く未婚であり、言い寄る男共を雷のような一撃で屠っている。
 その苛烈な行動から、中尉でありながら他兵科の上官にも口出ししがちだが、ウイングダイバーにしてはまあ融通は利く方ではある。

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