全地球防衛戦争―EDF戦記―   作:スピオトフォズ

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第三十六話 第402火力演習場にて

――2023年3月23日 琵琶湖運河 木曽川―大津間 EDF兵員輸送船――

 

 

 新垣が戦死した。

 死体の発見が困難な為、厳密にはM.I.A(戦闘中行方不明)扱いだが同じことだ。

 

 当然珍しい事ではない。

 戦争なのだ、死者が出るのは至極当然であり、我々自身も常に死と隣り合わせの戦いを送っている。

 だが、それは仲間の死に心を痛めない事と同じではない。

 

 帰りの輸送船内で資材と共に乗せられた我々の胸を占めるのは、ただ行き場のない後悔の念だった。

 誰もに思い当たる事があった。

 

 ――鷲田少尉の重傷を看過し、あのような人員配置を行った大林中尉。

 

 だが鷲田少尉は戦力的に必要ではあったし、部隊を分けるならあの配置は妥当だった。

 少尉を欠けば隊を分けるのは危険であるし、二方面に分けなければあの量の側面攻撃には対応しきれなかっただろう。

 そうなればより多くの死者が出た可能性は大いにありうる。

 

 ――大林中尉や周囲の忠告を無視し、重傷のまま戦場に残り続けた鷲田少尉。

 

 だが結果的に鷲田少尉は負傷によって行動不能になることは無く、むしろ撃破数は我々の中で最も多い。

 重ねて言うが鷲田少尉無くして我々は側面を抑えきることは不可能だっただろう。

 

 ――その少尉に気を取られ自身も行動不能になる程の重傷を負い、隊の足を引っ張る形となった桜。

 

 結果的に鷲田少尉は行動不能にならなかったが、それは飽くまで結果論であり、あの状況では鷲田少尉を全力で援護するのが順当な戦術だろう。

 恐らくEDFならば誰もがそうやって仲間を護る。

 その隙に付け込まれて負傷してしまったのは桜自身の純粋な技量不足だったのだろうが、仲間思いが裏目に出た形となってしまった。

 

 ――初期の位置取りに失敗し、効果的な援護が出来なかった水原。

 

 聞けば、初期の狙撃位置に巨大生物が接近し、先手を打って撃破したら周囲の巨大生物も反応し、数体との戦闘をする羽目になってしまったのだという。

 もし撃たなければ、そのまま水原に気付かず通り過ぎていただろうか?

 真相は分からない。だがその戦闘に引きづられ、結果別の狙撃位置を探す羽目になったのは事実だ。

 初期位置ならば、高さは十分にあったし、新垣を咥えた個体を狙撃する事も可能だったかもしれない。

 だが先手を打たなければ、狙撃中に水原が喰い殺されていた可能性は高い。

 水原が喰い殺されれば、結果援護射撃が無くなり、新垣は同じ運命を辿っただろう。

 

 ――新垣のリロードの隙をカバーできず、致命的な隙を作ってしまった私。

 

 原因は銃の暴発により銃身が破壊されたことだ。

 整備は完璧だったし、暴発は整備不良でないと少なくとも私は自信を持って言える。

 特に暴発の多い不良品と言う訳ではないし、こういうのを”運が悪かった”と言うのだろう。

 そして暴発から即座に別の銃に切り替えての射撃も、常人の何倍も速かったと自分では思っている。

 なぜなら、私の人生に於いて、それ程珍しい事態でもないからだ。

 だが――足りなかった。

 援護を頼んで軽快な返事が返ってきたはずなのに、銃弾の一発も飛んでくれない状況に、新垣は何を思っただろうか?

 私を恨んだだろうか?

 結果的に私は、一切の援護を果たせず、新垣を致命的な命の危機に晒したのだ。

 

 ――そして、焦りか負傷していたのか、マガジンを取り落とすというミスをしてしまった新垣。

 

 余りにも初歩的で、致命的なミスだ。

 だが、それを誰が責められる?

 元々器用とは言い難かったが、それでも普段の戦場では何の問題も無かった。

 目前に迫る命の危機に焦りはあっただろうし、跳ね飛ばされた直後だ。

 今となっては知る由も無いが、どこか負傷していた可能性はある。

 その僅かな要素が、普段しないようなミスを誘ってしまったのだろう。

 その状況で寸分違わぬ動きを約束される程、人間は精巧には出来ていない。 

 

 

 誰もが重大なミスを犯しつつ、しかし同時に最善を尽くしていた。

 どれか一つでも違う条件なら、新垣の命は助かっていたかも知れない。

 だが、現実は最悪を引き当てた。

 

 その結果に目を瞑ってはいけない。

 我々は人間だ。

 どれだけ気を付けて居ようとミスはするし、常に気を張っていることは出来ない。

 しかし、だからこそ二度と同じ思いをしない為に、原因を分析し、対策を立て、再発防止に努めるという姿勢が必要なのだと私は思う。

 

 分かっている。

 その程度で防げるほど現実は甘くないし、これからも我々の中に、戦死者は出続けるだろう。

 だからこそ我々は、最悪の中で最善を見出し、絶望に抗い続けてゆく。 

 

 ……しかし、だ。

 こうも思う……思ってしまう。

 

 これほど悪い状況が重なるだろうか?

 これは、私の”不幸”が呼び寄せた厄災ではないのか?

 そもそもあんな何もない場所に突然大量の巨大生物が出現した理由はなんだ?

 

 巨大生物の地中侵攻も、新垣の死も、あるいは、フォーリナーの襲撃そのものすら、私の”不幸”が招いた事態だとしたら……。

 これからもそのせいで身近なものが死んでゆくとしたら……。

 私はどうするべきなのだろう。

 

 ……不毛だ。

 余りにも突拍子の無い、何の根拠も証明する手段も無い、出鱈目で卑屈すぎる考え方だ。

 

 だが、僅かであっても、そのような可能性を、考えずにはいられなかった。

 

 

――2023年3月23日 京都府南丹市山中 EDF第402火力演習場――

 

 

 十数人の軍人が見守る中、ついに今回の演習の目玉が姿を現した。

 同時に、演習場に轟音が鳴り響く。

 移動だけで周囲を震わす巨体は、”動く要塞”の異名を名乗る巨大戦車E-651”タイタン”だ。

 

 タイタンは、射撃位置まで前進すると急停車。

 ゆっくりと砲塔を回転させる。

 

 その遅々とした移動と砲塔旋回能力に、周囲の軍人は微妙な表情だ。

 はたしてこんなデカブツが、実戦で役に立つのか?

 

 それは、直後の主砲射撃で覆されることとなった。

 

『E-651タイタン。レクイエム砲、射撃用意良し!』

『管制室了解。演習を開始せよ』

『了解――レクイエム砲、撃てッ!!』

 

 凄まじい轟音と共に、砲弾が宙を割いた。

 コンマ数秒後、目標だった鋼鉄のオブジェは、山肌を巻き込みクレーターを作る程の爆発で木っ端微塵となり果てた。

 

 演習場の軍人たちの居る場所まで強い爆風が届き、山肌には小規模なキノコ雲が形成されていた。

 双眼鏡で標的を覗いていた軍人たちは、あまりの爆発に双眼鏡を下ろし、呆気にとられていた。

 

「はは、ふは、ふはははははは!! 素晴らしい! なんという威力だ! 見ましたか皆さん! これが動く要塞と呼ぶにふさわしい次世代の重戦車、タイタンです!!」

 

 戦車の傍らに立つ開発者らしき男が声高に叫んだ。

 中年白髪で、片眼鏡を掛けたドイツ人と思わしき人物は、テンションの余りやや狂気的な表情で喜びを表現する。

 

 その戦車、見るからに全てが規格外の様相だ。

 

 全長は実に25m、全高は3mを越える超大型戦車。

 主砲の320mmレクイエム砲は、元は戦艦の主砲として設計されたものを流用して戦車に取り付けている。

 二門の副砲ですら150mm対戦車徹甲榴弾と12.7mm機関銃を備え、並みの戦車の戦闘力を軽く上回る。

 

「しかしオストヴァルト博士*1。この鈍重な機動性では、実際の戦場での活躍は厳しいのでは?」

 重戦車タイタンの開発責任者、オストヴァルト博士に対し、EDF第五機甲師団兵站部の常森大佐が質問する。

 

「ふむ。いい質問です。が、心配ありません! 元々コレの機体コンセプトは強固な装甲と強力な武装です。それと射程も通常の戦車とは比べるべくもなく長い。機動戦はご想像の通り難があるが、移動砲台としての価値は計り知れない! これぞかつて我が国家が成しえなかった超重戦車マウスの再来である! 現代に蘇ったマウスは火力と装甲においては全ての陸上兵器を上回り、このフォーリナー大戦において革命的な勝利をもたらすだろう! まさに陸の王者! 我がタイタンに撃ち抜けぬものなし!! ふは、ふはははははは!!」

 オストヴァルト博士は興奮の余り、途中から常森大佐など眼中にないかのような身振り手振りで語りだす。

 

「ああ、なるほど……。では扱いが少々特殊になりそうだな。まあ11軍司令部も許可したようだし、今更の質問ではあったな。量産体制は既に?」

 そんなオストヴァルト博士に気圧されながら、常森大佐は努めて冷静に対処する。

 

「ええ。大阪にあるEDF極東第一工廠にて、先行量産型が三輛ほど」

 オストヴァルト博士もテンションを切り替え、質問に答える。

 この切り替えの早さに、そこそこ付き合いのある常森大佐も最初は戸惑ったが、いい加減慣れた。

 

「三輛か……。いや、この巨体を思えばそれでも十分か」

「その通り! ですがタイタンが真価を発揮するのはこれから! さあ次は、より実践的な演習の開始です! 我がタイタンの雄姿をご照覧あれ!!」

 

 オストヴァルト博士は、両手を大きく振りかぶり、タイタンに広げて見せたが、そのタイタンは何故か演習場を遠ざかっていく。

 

「あー……。オストヴァルト博士……その、言い難かったんだが、今日の演習は予定を変更し、これで打ち切る事になってな……」

 常森大佐は、目線を合わせられず、申し訳なさそうに言った。

 

「なに!? どういう事だ! なぜ、なぜ私のタイタンが!」

 

 狼狽するオストヴァルト博士は、視界の端で大型トラック軍団が、こちらへ侵入してくるのを見た。

 その大型トラック群は博士たちのいるすぐ脇に停車し、迅速な動きで荷下ろしをし、あっという間に仮設の建物が幾つも出来上がった。

 

「なっ……、なにが起こっているのだ!!」

「やあやあオストヴァルト博士じゃあないか。こんなところで会うなんて奇遇だねぇ」

 彼の姿を発見し、歩み寄ってきたのは煙草を加えた白衣の女性、茨城博士だった。

 

「い、茨城尚美!! 極東本部で引き籠っていた貴様がなぜここに!?」

 オストヴァルト博士が驚愕と怒気を滲ませて叫ぶ。

 どうやら二人は旧知の中のようだが、少なくともオストヴァルト博士にとって彼女は親しい仲ではないらしい。

 

「なぜって、そりゃああの基地はもう陥落しちゃったからねぇ。丁度土地も余ってるだろうし、間借りさせて貰うよ。話聞いてなかったのかい?」

 オストヴァルト博士とは対照的に低いテンションで対応する茨城博士。

 

「なっ……常森大佐! どういう事なのですか!」

「すまない……極東本部からの要請でな。はぁぁ、こうやって騒ぎ出すから知らせたくなかったんだよ……」

 頭に手を当て、溜息をつく常森大佐。

 

「おのれ……またあの時のように私をコケにしようという腹か!」

「別にそんなつもりはないんだけどねぇ……」

 食って掛かるオストヴァルト博士の剣幕に、茨城博士はどこかぞんざいな態度だ。

 

「失礼ですが、お二人はどんな関係で?」

 部外者となった常森大佐が尋ねる。

 

「こ奴は! 誇り高き我が社、ガプス・ダイナミクスに部外者でありながら横槍を入れ、私に散々な恥をかかせ――」

「あー、誤解を生むから黙っておいておくれよ。昔、彼と同じ職場にちょっと立ち寄って研究していた時期があっただけさ。アタシの本業は兵器屋じゃなく科学者なんだけどねぇ……。ま、その話は今はいいさ。んじゃ、アタシは敷地貸与の書類を提出してくるよ」

 そう言い残して、茨城博士は去ってゆくが、去り際に一言言い残していく。

 

「そうそう。まだお客が来るから、あのデカいのをとっとと退かした方がいいよ」

「な、なにぃ!」

 戦況を変えるほどの最新兵器を、”デカいの”とだけ言われ、オストヴァルト博士は、額に青筋を浮かべるが、はて、お客とは一体何の事だろう。

 

「つ、常森大佐……?」

「まあ、こんな状況だ。前線も近づいているし、ここの広い敷地と演習で使っていた数々の武器を頼りにする者は多くて、だな……」

 

 直後、砂煙を上げて演習場に入って来たのは、十数輛は居ようかと言う兵員輸送車の列だ。

 演習場の西側辺りを占領し停車した車列からは、兵士の群れが出るわ出るわ。

 レンジャーが大半だが、フェンサーやウイングダイバー、エアレイダーまで居る。

 いやそれだけじゃない、戦車輸送車からギガンテス、大型輸送トレーラーにニクスが数機、遅れて空からはバゼラート攻撃ヘリも多数着陸した。

 その更に後続からは砲兵隊や衛生兵なんかも来る。

 

 何という事か、ものの数分で一個連隊はあろうかと言う戦力が入ってきた。

 レンジャー達は流れるような動作でテント設営を行い、あっという間に簡易的な駐屯地が出来上がったではないか。

 

 その様子にオストヴァルト博士は、開いた口がふさがらない。

 

「あー、どうも京都市内が戦場になるらしくてな。その前線補給基地としてここが丁度いい位置にあったそうで。あと演習場で使う武器弾薬や、整備機材なんかも充実してる上、見晴らしが良いから砲兵陣地の設営場所としても最適だったらしい」

 常森大佐が申し訳なさそうに説明する。

 

 まったく今日の事を知らず、一日中タイタンやその他新兵器の評価演習を行う気だったオストヴァルト博士にとっては、かなり衝撃的だっただろう。

 だがしかし、オストヴァルト博士は軍産複合企業ガプス・ダイナミクス社の社員でありこの演習場の所属ではない為、まあギリギリ知らせる義務はない。

 つまり、犠牲になったのはオストヴァルト博士の精神だけである。

 

「くそ、企画課長め、やたらと使えそうな試作品や先行量産品を持っていけと言ったのはこの為だったのか……! てっきり今回の演習は物凄い豪華になると期待しておったのに……!」

 

 その様子だと、周囲にはかなりめんどくさい人物だと思われているようだ。

 但し今回のタイタンを始め、数々の名兵器を世に送り出しているのだから、能力は悪くない。

 

「……それにしても、一部手ひどくやられている連中も居るようですが?」

 

 直前の悔しげな様子から一転、兵員輸送車や資材運搬用のトラックから降りる負傷兵達を見て痛ましそうに目を細めるオストヴァルト。

 

「ええ。こちらへの転進中にフォーリナーの襲撃を受けた部隊が多数存在するようで。少なくない死傷者が出たそうだ。迅速な移動の為部隊を細分化したのが裏目に出てしまったようだ……」

 

 フォーリナーの大半は名古屋市街に留まっていたのだが、一部巨大生物の地中侵攻を受けたり、ガンシップのゲリラ的強襲を受けた部隊があった。

 全体で見れば僅かな犠牲ではあったが、少数で迎撃せざるを得なかった部隊が多数あり、一部がかなりの負担を強いられた。

 フォーリナーの行動原理は、未だに解明できない部分が多く、またレーダーでの発見も確実ではない為に、このような事態が今までも多数発生していた。

 

 だがこれでも、出来るだけ複数の兵科を組み合わせて極力襲撃に対応できるように対策はされていた。

 少数であろうと犠牲は犠牲だが、最小限に抑えられたはずである。

 

「軽く眺めはしたが、どれも並みの装備と言った所ですね。フォーリナー共に抗えはしても優位に立てる装備ではない……」

 目を細めてオストヴァルトは呟く。

 装備が原因で傷つく兵士がいる現状。

 彼とて何も思わぬわけが無い。

 

「貴社を始め、ここに居るS&Sマテリアルズ、カーン・ワン、D.R.O.S.アームズ、それにEDF開発部。どれも新兵器開発を急いでいるが、後退し続ける戦場に量産・配備が間に合っていない」

「……ふん。それでこの日、ここを選んだ訳ですか。いいでしょう、ここにある我が社の装備、未発表の物も含めて全て無償でEDFに提供いたしましょう」

 常森大佐の説明と、事前に受けた企画課長らの話を総合し、オストヴァルトは自分が何をすべきかを見出し、そして重大な決定をあっさりと下した。

 

「な、なんだと!? 正気なのかオストヴァルト博士!!」

「おおっと、そんなに大声出さないでいただけます? どーせ作戦が近づいたらここら辺の装備は押収してく腹だったんでしょう?」

 驚きで声を上げる常森大佐に、耳を塞ぐような仕草をしながらしかめっ面で応えた。

 

「だ、第一、研究主任とは言えたかが一社員の君にそんな権限が……」

「あるんですよこれが。オカシな事に今回の演習の事は全て私に一任されていましてねぇ……。なんに理由があって……と思っていましたが、これで腑に落ちました。ま、このまま未来ある顧客に倒れられでもしたら困りますからねぇ。えぇ、慈悲ですよ慈悲」

 余りに胡散臭い表情で話すオストヴァルトの建前に、常森大佐は笑いを堪えながら真意を問いただす。

 

「……まあ、それも嘘ではないだろうがな? ホントのところは?」

 

「ふふふ……はは、ふははははははは!! 私の考案した素晴らしい兵器たちが演習なんて決まりきったもので測れるとは思えん!! つまり実戦こそすべて!! 実戦こそが最高のフィードバックを我々に提供し、更なる躍進へと導くのだぁ!! ご安心を! どれも我が社の最新技術を駆使して開発した優れもの! 使用者が戦死して兵器も戻ってこないのでは言語道断ですからねぇ!! 一人でも生き残れる強力な装備を提供いたしますよぉ!! 数こそ揃いませんが局地戦には十分だ! はは、ふはははは! 見て居ろフォーリナー共め! 我らが兵器達が貴様らをこの地より一掃してくれる!!」

 

 早口で、身振り手振りを加えて大声を上げるオストヴァルト博士に対し、今度は常森大佐が耳を塞いで苦笑い。

 そんなハイテンションをすぐに切り上げて、オストヴァルトは身なりを整えるしぐさをし、

 

「……さて。私は他社の責任者共と話を付けてくるとしましょう。尤も、既に各本社から指示が下りているでしょうけどねぇ。時間もあまりないようですし、手短にするとしますか」

 

 そうやって有能な研究者風の顔をして、この場を去っていった。

 

「いや、有能な研究者なのは違いないんだが、やれやれ、彼の相手は疲れてしまうな」

 

 常森大佐は、やはり何とも言えぬ苦笑いのまま、こちらに来たEDF部隊との調整を始めに行った。

 

 

 

 

*1
ヘンドリック・オストヴァルト。55歳。ガプス・ダイナミクスの戦車E-651タイタンの開発主任。他にも様々な主力製品を開発している有能な博士。中年白髪で、片眼鏡を掛けている。理性的に振舞うことも出来るが、テンションが上がると狂気的に振舞う。テンションの落差が激しい。


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