全地球防衛戦争―EDF戦記―   作:スピオトフォズ

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寒くなってきましたねぇ~。
籠って小説書くにはもってこいです。




第六十四話 奈落の王(Ⅳ)

――2023年4月1日 1:30 京都府亀岡市住宅街廃墟 ――

 

 

 人一人を背負って戦った疲労があったのか。

 いつもなら気を張るまでもないβ型通常種の攻撃に足を絡めとられ、転倒してしまった。

 そして間の悪い事に我々に、至近距離で放たれるバゥ・ロードの極大放射が襲い掛かろうとしていた。

 

 さすがに、あれを生身で受ければひとたまりもない。

 死体が残るかどうかも怪しいだろう。

 しかし濃厚な死の気配は、一声でかき消された。

 

「ディフレクション・シールド! 最大出力ッ!!」

 

 跳躍装置(ジャンプユニット)を吹かし、我々の前に飛び出し、声と共に盾を構える。

 市原少尉と同時に、バゥ・ロードは糸を放射した。

 いかなる原理か、”物理運動減退(ディフレクター)ドライブ”なるものを搭載したフェンサーの大楯は、真っ向から糸の極大放射とぶつかった。

 

――――

 

 一瞬の出来事だった。

 殆ど何が起こったか分からないが、とにかく糸と盾がぶつかった瞬間、とてつもない衝撃波が発生して我々は吹き飛ばされた。

 

 だが、それが理解できるという事は、少なくとも私はまだ生きているらしい。

 

「くッ……! 楠木、市原! 無事か……!?」

 

 アーマーに多少酸を浴びたが酷い外傷はない。

 右足も、少し溶かされたが戦闘に支障はないだろう。

 

「なん……とか……」

 

「ぐぁぁぁ……、う、腕、もっていかれました……!」

 

 楠木にも新たに増えた大怪我などは無さそうだったが、市原は大量の血だまりの中に倒れていた。

 

「市原! くっ、出血がひどい! 二度目だが……治癒剤を使う! 気をしっかり持て!」

 

 推奨されない行為だが、このまま放っておけば死ぬことは確実だ。

 腕が根元から千切れている他、衝撃でフェンサーの装甲ごと体を切り裂かれている。

 素顔も露になり、頭からも出血が激しい。

 

 今すぐ治療できればEDFの医療技術なら回復は早いが、治癒剤の短時間の多重投与は、無事助かったとしても薬物性中毒や後遺症もありうる。

 

 が、今すぐ助けが来たとしても病院まで持たない可能性のある以上、迷う余地はない。

 

「……じ、じぶんは……、なにか、まもれましたか……?」

 

 朦朧とした意識で、市原は私の腕を掴む。

 もう、両手にも肩にも武装はない。

 

「君のおかげで、私も楠木も、殆どけがはない! だから、君も必ず生きて帰るのだッ! 君はEDFだ! 地球を護る兵士なのだぞッ!!」

 

「お、おい仙崎……! バゥ・ロードが去っていくぞ。それに、周囲に……」

 

 見ると、もう我々など眼中にないと判断したのか、バゥ・ロードは再び大阪方面に歩みを進めた。

 そして、周囲には複数のβ型の反応がある。

 

「くそ、バゥ・ロードはいい! 周囲のβ型を撃て! まずは周囲を確保するのだ!」

 

「ちきしょう! 市原少尉! せっかくあんたに助けられたんだ! 今度は俺たちの番だ! 簡単に死なせねぇぞ! 生きて、生きて帰るんだ! ぐあああぁぁぁッ!! い、糸が! くっそぉぉ!!」

 

 楠木もまた、β型の至近糸を受け、糸に絡まる。

 私はすぐに楠木の周囲のβ型三体を仕留めるが、彼ももう虫の息だ。

 ここまでは、気合で持たせていただけに過ぎない。

 

 周囲にはまだ、10体程度のβ型。

 葬るのは容易い。

 だが、それまで二人を護り切れるか自信がない。

 いっそ自分だけ狙ってくれたらどれほど楽か。

 

 だが、巨大生物が弱っている獲物を無視するはずもなく、どうしようもならないという考えが心に巣くう。

 どうして自分はいつもこうなのだろうか。

 市原は我々二人を護ったが、私は誰も護れないのか。

 新垣を失い、葛木を失い、ここで新たに二人を失うのか。

 

「誰か……。誰か来てくれッ!! 頼むッ!!」

 

 私は、みっともなくいる筈のない誰かに大声を上げた。

 神に縋るに等しい愚かな行為。

 自分で不可能な事を認め、他人に丸投げする無責任な行為。

 

 だが。

 

 救いは確かにあったのだ。 

 

――――

 

 遠方。

 大阪方面へ向かっていたバゥ・ロードに、小規模な爆発。

 巨体にそぐわない俊敏な動きで振り返ったバゥ・ロードは、砲撃を行った未知の標的に対し糸の放射を行う。

 糸は私の頭上を飛び越し、一面に着弾、相変わらずの威力を見せつける。

 その破壊的な光景の中に、一輌の軍用車輛が混ざっていた。

 恐らく今の砲撃を行ったのは、上面に105mmライフル砲を装備したグレイプ装甲車であったが、それは糸に直撃し、その場で爆散した。

 

 救いに見えたそれは一瞬で絶望に変わった。

 が、そこから一筋の軌跡が空を舞っていた。

 

「せ、せがわ――」

 

「ィヤッホォォーイっ!!」

 

 その陽気な声は空ではなく地上から聞こえ、女性ではなく男性の声であった。

 

 見ると、周囲のβ型はみるみる駆逐され、踊るように両手にガトリングガンを装備した変態フェンサーがいるではないか!

 

「き、貴様は、御子柴少尉!?」

 

「よぉ、にーちゃん! 助けに来たぜ! もう安心しな!」

 

 華麗な動きを見せ、私の近くに着地するフェンサー。

 それだけで分かる圧倒的な技量、敵を屠る気概が見れる重武装、自信あふれる態度。

 そのどれもが今まさに欲していたものであり、非常に安堵しているのだが、それはそれとして。

 

「誰が貴様の兄上か!!」

 

「そこマジレスすんなやぁーーっ!!」

 

 空を裂く雷撃(ツッコミ)と共に、瀬川少尉が降り立った。

 

「素晴らしいツッコミと雷撃だ! 救援感謝する! ……本当に助かった」

 

 本心からの言葉だ。

 今までの絶望に侵されそうになった心がほぐれてゆくのが分かる。

 

 これでもう、心配する必要はない。 

 

「助かった、のか……?」

 

「よかった……。じぶんは、護れた、んですね……」

 

 楠木と市原も安堵する。

 この二人の技量は本物だ。

 安心して任せられる。

 

「瀬川少尉、御子柴少尉。色々と聞きたいことはあるが、まずは二人を頼む」

 

 私は二人に背を向け、言い放った。

 

「はぁ!? 頼むって……、あんたはどうすんのよ?」

 

 瀬川は困惑してそう言った。

 どうするって? もう分かっているのではないか?

 私の目線の先に、再び大阪方面へ向かうバゥ・ロードがいる。

 

「ふ。決まっているではないか。あの怪物を止めに行く。奴の興味を引く何かが必要だろう?」

 

「はぁ!? たった一人でかよ!? さすがに無茶だぜにーちゃん」

 

 御子柴少尉は、驚きと呆れを表す。

 

「今までも無茶はやってきた。次が大丈夫という保証はないが​──私は、一人の方が気が楽でな」

 

 一人なら、失う心配もせずに済む。

 

「でも!! あんただって相当……!」

 

 私の負傷度合いを見て、なおも心配そうな視線を送る瀬川だった。

 ここでじっとしていても二人の容体が悪化するだけなので言葉を強めようとしたが。

 

「​──よっし、分かった! にーちゃんの手に乗った。そこの二人も容体ヤバそうだし、二人を抱えて高速移動できんのは俺らだけだもんな。うだうだ言っててもしゃーないし! 決断は早めに限るぜ! ほら、ねーちゃんはそっちのレンジャーのあんちゃん頼んだ! 俺はフェンサーの方で! 装備は外しとくぜ!」

 

「あ、ちょっと!」

 

 意外な割り切りの良さを発揮する御子柴はてきぱきと準備をし始めた。

 瀬川も慌てて動く。

 

「すまん。二人を、絶対に死なせないでくれ」

 

「……ま、にーちゃんがそこまで言うんだ。必ず二人は送り届けるぜ。後味悪いから、にーちゃんも死ぬんじゃねーぞ」

 

 市原を抱え、背を向けたまま御子柴がつぶやく。

 

「ふ、そう簡単に、私は死なんさ。あと、私は兄上ではない」

 

「……まだ言うのね……。二人を届けたら、すぐ戻るから。絶対また会いに行くから、さっきみたいに焦がれて待ってなさいよ」

 

「……ああ。君に会うまで​──いや天寿を全うするまでフォーリナーなぞに殺されて堪るものか。では、またな!」

 

「またね!」

 

「じゃあなッ!」

 

 そう言って、私は走り出し、ストリンガーJ1の引き鉄を引く。

 同時に、瀬川と御子柴はそれぞれスラスターに火を入れ、大きく跳躍、飛行した。

 

 貫通力を高めた狙撃銃弾はバゥ・ロード側面の赤く光る眼球に当たり硬質ガラスのような強固な表面に僅かながらヒビを入れた。

 

 今まで通りの俊敏な動きでくるりと私の正面を向くと、腹部を上げ、極大放射の体勢になる。

 二発目を撃つ。

 が、今度は眼球のヒビをやや外れたところに当たる。

 やれやれ、水原のような才能はないようだ。

 

 糸が放射される。

 直径1.5m以上の糸が数十本。

 山なりに、塊のようになって跳んでくる。

 一見隙間など無さそうに見えるが、地面に直撃するタイミングも位置も微妙に違う。

 そして、糸はギリギリ目で追える速さだ。

 

 故に。

 

「回避など容易いわッ!!」

 

 隙間を縫うようにして躱す。

 周囲にあったビルが、マンションが、民家が、市民館が、ガソリンスタンドが。

 爆撃に曝されたか、それ以上に徹底的に圧壊され、溶かされ、炎上する。

 

 だが、私は未だ健在だ。

 再び眼球を狙い一撃。

 硬いガラス質の膜に覆われてはいるが、破壊すれば大きなダメージを与えられるに違いない。

 だがバゥ・ロードの微妙な動きに吊られ、狙いが定まらず、着弾点は大きくそれて皮膚に当たる。

 体毛に覆われたか、効いている様子はない。

 

「ちっ、やはり防御力も生半可ではないな!」

 

 α型亜種の甲殻を貫通してダメージを与えるほどの威力を持った貫通弾がこのザマだ。

 やはり有効打は、現状では眼球への一点集中狙撃か、奴の懐に入ってのガバナーの接射の二択だろう。

 

「別に、仕留める必要はないのだがな」

 

 囮役をこなせれば十分だ。

 それに確認しそびれたが、こちらには恐らくタイタンが向かっている筈だ。

 だが。

 

 バゥ・ロードが大きく跳躍する。

 落下地点を把握し、踏みつぶされる心配がない事を確認。

 

「近づいてくるなら、迎撃せん訳にもいかんからな!」

 

 冷静に武器をガバナーに切り替え、同時にバゥ・ロードが着地する。

 大地が揺れ、並みの人間なら転倒してしまうだろうが、私はローリングで衝撃を殺し、同時に足先に近づきガバナーを放つ。

 

 散弾が肉を抉り、紫色の体液が噴出する。

 ここは先ほども撃った場所だ。

 もうβ型(子蜘蛛)はいない――そう思ったが、油断していた。

 見ない間に体毛の中を移動していたのか、付近から普通に糸の迎撃が飛んでくる。

 

「ぬぅ、厄介な!」

 

 不意の迎撃をなんとか回避する。

 だがバゥ・ロードは体勢を変え体を真正面に持ってくると、糸の放射態勢にうつる。

 周囲のβ型の迎撃は飽くまで自動であり、バゥ・ロード本体の攻撃の意思とは無関係らしい。

 

「まずいな! 距離が近すぎる!」

 

 バゥ・ロードの糸の放射は攻撃範囲・威力共に大きすぎる。

 この場合は遠距離なら弾道を見て回避可能だが近すぎると発射から着弾までのタイムラグが無さ過ぎて辛い。

 更に発射主が巨大である為、些細な動きが見えづらく、近くであっても広範囲の攻撃と、更に余波――衝撃と強酸、それによる火災などの二次被害も無視できない為、非常に危険である。

 

「ぬおおおぉぉぉ!!」

 

 大型の糸が放たれる。

 発射から着弾は1秒にも満たず、まるで地面にショットガンを撃ったような惨状になる。

 私は着弾の瞬間飛び込むようにローリングを行い、紙一重で直撃は避ける。

 だが糸発射の衝撃波と飛び散った酸を浴び、吹き飛ばされる。

 

「ッ!!」

 

 なんとか受け身は取るが、バゥ・ロードは糸の繋がったまま跳ねるので極太の糸十数本が暴れ出す。

 

「ふ! 躱せはするが!」

 

 向かってくる糸を最低限回避するが、それも内部に含まれた強酸を無視できない。

 アーマースーツが音を立てて溶けてゆくのが分かる。

 こんな戦い方ではそう長く持たないだろう。

 だが、相手が巨大な割に俊敏なせいで、事ここに当たってはもう歩兵の移動力では引き離せないだろう。

 

 無事な車を探して拝借するという手もあるが、辺りは火炎地獄な上車を使ったとしても糸で砲撃されるのがオチだろう。

 

 ならば、取るべき手段はやはり一つしかない。

 

「コイツの攻撃は有効であった! 取り巻き共々丸裸にしてくれるわ!」

 

 ガバナーの攻撃は有効で、更に体毛を抜け周囲に張り付いている子蜘蛛を倒せば、何体か体毛から外に出てくる。

 そうすれば、迎撃能力がなくなって空軍の爆撃も有効になるかもしれない。

 タイタンによる砲撃も、より効果が見込める筈だ。

 

 問題は先ほどのようなバゥ・ロードの大型糸の放射であるが。

 

「先ほども躱せたのだ! やれない事は無いだろう!」

 

 再びバゥ・ロードが跳躍する。

 その動きはやはり巨大生物らしいというか、一直線にがむしゃらにこちらを攻撃するのではなく、離れたり近づいたり、突然背を向けたり回り込んだりと、規則性が無く読みずらい。

 いつものようにβ型単体であればそれほど問題ではないが、バゥ・ロードのように巨大であると、その気まぐれの数歩ですら大きく離されたり逆に近づきすぎたりとやり辛い事この上ない。

 

 突然距離を取り、また腹部を持ち上げる。

 

「来るかッ!」

 

 糸が放射される。

 あれほどの長射程、戦艦群の砲撃を無力化する迎撃性能、圧倒的な広範囲攻撃能力を持ちながら先ほどのような接射も可能とは恐ろしい攻撃であるが、この距離であれば私が最も得意だ。

 

 毎度のように糸の弾道を見て安全地帯を見つける。

 だが。

 

「糸!? しまった! 迂闊!!」

 

 視界の端から糸が飛んできた。

 バゥ・ロードではない、奴から出てきたβ型の糸だ。

 反射で回避に成功し反撃するが、その一瞬で計算が狂った。

 時間にして一秒程度である。

 しまったと思う頃には糸がそこら中に降り注ぎ、体を捻って最低限躱したつもりだが、知覚できる次の瞬間には空中へ投げ出されていた。

 

「ぐはぁ――!!」

 

 地面が迫る。

 なんとか受け身を取るが衝撃は殺せず、炎上する民家の壁面を突き破って打ち付けられる。

 

「ぐッ……、直撃は、避けたが……――ッ!」

 

 起き上がろうとするが、正面瓦礫越しにバゥ・ロードの背面の腹部があった。

 そこには体毛にビッシリ張り付いたβ型が目を光らせ、こちらを視認していた。

 

「おのれッ! そう簡単にッ!!」

 

 すぐに駆け出し、何とか離さなかったガバナーを射撃。

 が敵の方が僅かに早かった。

 無数の糸が私を襲い、寸前で鉛弾(EDF統一規格弾は、弾芯に特殊合金を使用しているので厳密には鉛玉ではないのだが)が勢いを削ぐ。

 私は何とか全て回避したが、今までいた家屋は一瞬で糸まみれになる。

 わずかでも回避や射撃が遅かったら今頃ミイラのようになっていただろう。

 

 が、安堵する間もなく、バゥ・ロードの側面に張り付いたβ型から絶え間ない糸のシャワーが降り注ぐ。

 

「ちっ! 手数が足らん!!」

 

 ガバナーの銃身下のハンドグリップを引き、空薬莢を排出してすぐに撃つ。

 当たった糸の勢いは削がれて回避できるが、その後から後から糸が迫る。

 

 私は崩壊しかけたオフィスビルを盾にして距離を取る。

 オフィスビルは一瞬で糸だらけと化し、強酸で腐食した部分を起点に崩壊を始める。

 その要領で糸を防ぎ、その隙にガバナーの弾丸を込める。

 ガバナーは箱型弾倉ではないのでリロードが手間だが、その分弾倉を撃ちきらなくても装填できるので弾が無駄になりにくい。

 故障しにくいのも私好みの所だ。

 

 そうしているとバゥ・ロードが突然進路を変更し、瓦礫を踏みつけて私に急接近する。

 

「焦ったな! 愚か者めッ!」

 

 焦るという感情があるのか不明だがとにかく、踏みつけられるのではという距離までバゥ・ロードは接近し、腹部を上げる。

 だが、一方で私は焦りなど微塵もありはしない。

 

「これだけ距離が近いのならば!!」

 

 私は、先ほど処理した弾幕が薄い前右足の部分を通過し、バゥ・ロードの下に潜り込んだ。

 此処ならば少なくともバゥ・ロード自身の糸の放射は当たり得まい。

 

 そして勘であったが、ここには体毛に潜むβ型個体もいなかった。

 

 つまりは、ガバナー接射の餌食だ。

 

「喰らうがいいッ!!」

 

 内側に潜り込み、奴自身を盾にしつつ右足付け根に向けてガバナーを連射する。

 散弾全てが近距離でバゥ・ロードの体毛を貫通し、皮膚を裂き、肉を抉る。

 紫色の体液が、バケツをひっくり返したくらいの量で流れる。

 効いている、間違いなく効いている。

 

 バゥ・ロードは堪らず跳躍し、その場に子蜘蛛を落として距離を取る。

 

「クッ、脚にダメージを与えている筈だが、まだそんな機動力があるとは……!」

 

 奴の足は八本。

 一本に深手を負った程度で行動力は変わらないというのか。

 あるいは、見た目だけでまだ深手とは言えないのか。

 どちらにせよぞっとしない事だ。

 

 だが、方向性は決まった。

 とりあえずは、右足に攻撃を集中すべきだろう。

 効果は不明だが、脚の一本でもそげれば、それだけ奴の行動も低下させられる、はずだ。

 そうすれば最悪、大阪へ向かう進撃速度も低下するだろう。

 援軍と戦闘になる時も、有利に働くはずだ。

 

 まずは、周囲のβ型を撃破する。

 またさっきのように回避中に邪魔されてはたまらない。

 

 再び遠距離からの糸の放射。

 今度は難なく躱せたが、さすがに息が上がってくる。

 気づけば、先ほど吹き飛ばされた時に肋骨を何本かと、アーマースーツの亀裂が見つかった。

 次は致命傷になり兼ねない。

 

 バゥ・ロードが跳躍する。

 先ほどのように距離を詰めるが、位置が悪い。

 先ほどは取り巻きを排除した右前脚から侵入できたが、今度は左側面を向けている。

 近づこうものなら迎撃が間に合わない程の糸を放射される。

 接近は危険だが、奴が腹部を持ち上げた。

 近距離であの攻撃を喰らえば命はない。

 

「なら、もはや駆ける他あるまいッ!」

 

 私は武器をストリンガーに持ち替え、先ほどヒビを入れた奴の目玉を狙う。

 狙撃銃にとって、この至近距離なら私も当てられるはずだ。

 ゆっくり狙う暇はない、相手も動いている。

 だが、私は迷いなく引き金を引いた。

 

 ――特殊弾丸は、バゥ・ロードの左脇の目の膜を砕き、内部を貫通した。

 形容しがたい咆哮と共にバゥ・ロードが怯む。

 が、同時に糸が放たれた。

 

 物凄い風圧が一瞬私を覆うが、私は目をひと時も閉じずに自分へ直撃する一本の糸だけを見た。

 それを、それだけを躱す為僅かに足と体を動かす。

 それが精いっぱいであった。

 

 轟音がする。

 再び衝撃で私は地面を転がり、幾度となく体を打ち付けたのち崩壊したビルの壁面に叩き付けられる。

 

「ぐはぁッ!」

 

 激痛。

 EDF製アーマースーツのおかげで全身粉砕骨折と内臓ミンチは避けたが、それでももうアーマーは廃品寸前で、その機能の殆どを喪失した。

 

 呼吸は乱れ、視界は歪み、全身を苦痛が苛む。

 

 だが、直前の僅かな回避によって五体は最低限動き、銃もまだ手に握っている。

 半分砕け役に立たなくなったヘルメットを脱ぎ捨て、顔の半分を血で濡らしながら敵を見る。

 

 バゥ・ロードは、撃たれた右前脚を引きずり、付け根から今も紫色の体液を流し、四つあるうちの左側面の目が完全に砕けている。

 前のめりになったその様子は、まるで私に対し怒に身を震わせているかのようにも見えた。

 

「ふん、怒ったか? たかが、人間如きにそこまで手傷を負わせられたのが。奇遇だな、私もだ! どれ程大きくなろうと、たかが蜘蛛如きに何度も地面を転がされるとはな!! そら、向かってくるがいい! 貴様が死ぬまで、相手をしてやるッ!!」

 

 私は吠えた。

 そうすることで無理やり闘志を引き立て、疲労と負傷により行動を拒む四肢に力を入れる。

 私とバゥ・ロードの死闘は、まだ続く。

 

 




いやーーーー書くの楽しい!(読んで楽しいかは分からない)

さぁバゥ・ロードと一騎打ち、いよいよ地球防衛軍っぽくなってきましたね!
こういう戦闘シーンは、あまり小難しい下調べが必要ないんで結構スムーズに書き上げられました。
主人公らしく、ギリギリの攻防を描けたかな?と個人的には思ってます。
まだまだ続きますけどね!

それにしてもガバナー強いですね、EDF5だとブリーチャーですが。
ガバナー系列は1の頃からずっと好きで、中距離なら広範囲弾幕、近距離なら対大物用特大火力兵器に早変わりするのでホント好きなんですよね~。

まあインフェルノとかだと近づいたら死にますが。
EDF5とかだとダッシュ追加されたので一気に近づいてエイリアンに接射、一方的に狩るみたいな戦法も使えたりするのでめっちゃ使ってましたね!

皆さんも好きな武器とかあったら教えてください~。
時系列的にまだ強すぎる武器は出せないですけどね!
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