全地球防衛戦争―EDF戦記―   作:スピオトフォズ

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加筆したせいで長いです。
そして投稿間隔が全然予定通りにならないぞ!?
だが明日まではなんとか終わらせる!はず!


第六十七話 奈落の王(Ⅶ)

――2023年4月1日 2:20 亀岡市廃墟 バゥ・ロード周囲――

 

 

「まず、奴の取り巻きを排除する! 作戦ミスでな……、このままでは奴とまともにやり合うのは難しい! 手を貸してくれ!」

 

「了解!」

 

「おおよ!!」

 

 二人の気持ちの良い返事を聞いて、少し元気が出る。

 バゥ・ロードの周囲を護る体毛の中のβ型の排除を優先していたら、いつの間にやら大量のβ型に包囲されていた。

 まずは、それらの排除から行わねば。

 

「それで! 本当に感謝しているが、まずさっきのは、一体全体どういう風の吹き回しなのだ!? 本部から援軍はないとはっきり断られたが、援軍は君たち二人だけ派遣されたのか!? 先刻撃破された乗ってきたグレイプの搭乗員は!?」

 

 楠木と市原を抱えて飛んで行った時のことを話す。

 グレイプで二人はこちらに向かっていたが、そのグレイプは糸の直撃でひしゃげ、爆発したはずだ。

 

 乗員が他にいたのか気になるところだが、まさか全員死んだとかではあるまいな?

 それだったらこの二人の陽気なテンションとかみ合わないが。

 

 言いながら手持ちのガバナーを射撃。

 β型を一体吹き飛ばしたのち、銃身下のハンドグリップをスライドし、空薬莢を排出する。

 

「それは安心して! あのグレイプには私たち二人しか乗ってなかったから!」

 

 瀬川の銃から放たれる連鎖的な電撃に見えるそれは、β型に当たると敵を貫通し、2体3体と同時に仕留めている。

 噂に聞く、イズナ-Aと呼ばれる連鎖雷撃銃であろう。

 

「そもそもな? 俺らは救援に派遣された訳じゃなくて402演習場の生き残りって事だって。たまたまそこの、あ~……、レイピアのねーちゃんと鉢合わせて一緒に行動してたってワケよ。おーけー?」

 

 御子柴は、相変わらずガトリングガンの射撃の反動を利用した読めない機動で、β型の糸を翻弄しつつ一方的に攻撃している。

 恐ろしい男だ。

 

 その彼の言葉で、彼らもあそこにいた事を知る。

 そうか、門倉大尉の言っていた、402演習場で身動きがとれず潜伏するしかなかった負傷者の中に、彼らもいたわけか。

 彼らは作戦初期から行動していたはずだ。

 負傷して送還されていても不思議はないが、ある意味それが彼らだったことに幸運を感じざるを得ない。

 

「ちょ、何レイピアのねーちゃんって!! いい加減名前覚えなさいよね! 瀬川・葵!! それが私の名前よ! っていうか私今レイピア使ってないじゃん! 当然持ってるけどさ!」

 

「珍しく雷撃銃なるものを使っていると思ったらやはり持っていたか! それでこそ瀬川だな!」

 

「どういう印象!? そういう印象ね! 良し分かった斬り刻むわ!」

 

「ほらな!」

 

「おっけー分かったぜ! じゃあ葵のねーちゃん、と合流したのはいいものの――」

 

「――ファーーー!! いきなり下の名前で呼ぶな!! 私だってまだなのだぞ!!」

 

「話の腰折らないでくれる!? べ、別にあんただって、呼びたきゃ呼べばいいじゃないの! いや待って、あんたに先に呼ばれるのはなんか腹立つわね……。私が先に呼ぶわ! ま、ま、まことん……」

 

「ぬぁーー!! それは桜が付けた渾名ではないか!! よいが!!」

 

「いいんだ!? で、あのな? 合流したはいいものの――」

 

「ちょっと待ちなさいよコラ!! あんた私を差し置いてなに!? 桜って結城桜ちゃんでしょあんたの小隊の所の! あの娘とファーストネームで呼び合う仲なんだ!? べ、別にあんたの事なんてどうとも思ってないけどなんか腹立つわ! 負けたみたいで!!」

 

「ぬぁーー!! 誤解してるしツンデレと負けず嫌いを融合させるな!! 私が呼ばせている訳ではなくて向こうが勝手に呼んでくるだけだし結城大尉との混同を避けるために結城桜は皆下の名前で呼んでいるから別に私が君を名字で呼んでいるからと言って君の事を桜より大事に思っていないとかそういう訳ではなくむしろ君を意識しているからこそこういう事は軽はずみで行うべきではないというか――」

 

「――いやもぉーいいわっ!! なんなのお前ら!? 人の話聞く気ありますかっ!? この俺にツッコミさせるとか相当だよ!? 柳と栗宮が見たら卒倒モンだぞこんなん!!」

 

「わ、悪かったわよ……」

 

「申し訳ない……」

 

 戦闘中にぎゃあぎゃあ言いながらも、バゥ・ロードの攻撃を躱しつつ、周囲のβ型を掃討してゆく。

 

 話をざっくりまとめてしまうと、彼女らは戦闘中負傷して、第402火力演習場の同室で簡易治療を受けていた。

 ようは、私や細海と同じだ。

 それでアンカーの奇襲を受け、たまたま逃げ延びて二人でグレイプの中に巨大生物の群れから隠れていた。

 

 その間、御子柴の発案により見つからない程度に装備をかき集め、御子柴が一点突破を提案するがさすがに瀬川が待ったを掛けていると、そこにバゥ・ロードが出現。

 強制的に移動せざるを得なかった二人は御子柴の運転でグレイプを走らせる。

 

 大量の巨大生物に追われつつ、何とか大半を殲滅した二人は、なんとあのバゥ・ロードに足止めを行っているという通信を、調子の悪い無線機でたまたま耳にする。

 しかも足止めを行っているのは私だ。

 これにいてもたってもいられなくなった瀬川が強硬に援護に行くと主張し、御子柴は「無双できないから嫌だ。大物狩りは神谷の領分だ」などと駄々をこねるが瀬川は無視。

 

 グレイプで追いすがるが、戦艦群の砲撃を迎撃した事からグレイプも砲撃されると分かっていた二人は、可能な限り近づいて攻撃の直前に降車、それぞれ跳躍装置とPEユニットの噴射で私の元にたどり着いた、という訳だった。

 

 その後楠木と市原を回収し、南丹市に逃げ込んだ元402演習場の部隊に預け、こちらへとんぼ返りしたそうだ。

 そして肝心の作戦内容だが。

 

「今こっちにタイタンが向かってる! 到着は……あともう40分はかかるだろうな! 無線聞いてたなら知ってると思うけどよ!」

 

「いや! 先ほどまで通信手段を失っていてな! だがそれは朗報だ! 門倉大尉がやってくれたか!」

 

 本部への要請は無事通ったらしい。

 ならば、後はここで残り40数分、時間を稼げばいいという訳だ。

 

「楠木と市原の容体は!? 大丈夫そうだったか!?」

 

「なんとかね! 脱出に成功していたブルートが何機かあったから、それに乗せて大阪軍病院へ緊急搬送すると言っていたわ!」

 

「後は二人の根性を祈るしかないわな。ま、少なくとも途中で襲撃を受けて死亡、なんてことにはならないと思うから心配すんな! 今ここで、コイツを倒せたらの話だがなぁ!!」

 

 御子柴の散弾迫撃砲で二体を倒す。

 これで取り巻きのβ型は全て倒したはずだ。

 

 そして、バゥ・ロードの迎撃能力も地上付近の物は、ほぼ死んでいる。

 余計な邪魔は入らない――そう考えて良いだろう。

 

 バゥ・ロードは腹部を持ち上げ、こちらを狙う。

 

「糸が来るぞ! 躱せぇッ!!」

 

「了解!」

 

「おうッ!」

 

 私が糸の合間を、御子柴が左への水平移動で、瀬川が斜め右への上昇でそれぞれが回避する。

 

「攻撃開始!」

 

「うりゃぁぁぁ!!」

 

 先陣を切ったのは瀬川だ。

 武器をレイピアに変え、バゥ・ロードの側面に切り込む。

 もう厄介な糸の迎撃は襲ってこない。

 

 バゥ・ロードは体勢を変え、後方に跳ぶが、それに御子柴が追いすがる。

 

「逃げようたってそうはいくか! ぶっ飛びなぁ!!」

 

 バゥ・ロードの前面に追い付き、ハンドガトリング二門、重迫撃砲一門、散弾迫撃砲一門の一斉射を行う。

 凄まじい爆撃と、銃弾の嵐を真正面から受けるバゥ・ロード。

 だが接近しすぎだ。

 奴は腹部を持ち上げる。

 

 御子柴は攻撃に夢中で気付いていない。

 

「御子柴! 糸が来るぞ!!」

 

「マジ!? くっそ間に合うか!」

 

 直後バゥ・ロードは糸の放射を行う。

 至近の御子柴を狙っての物だったので着弾までの余裕はなく、御子柴は糸に巻き込まれた。

 

「御子柴! おのれッ!」

 

 だが、正面以外はがら空きだ。

 私は駆け出し、向かって右方向からガバナーを撃ち込む。

 前に砕いていた側面の目の傷跡を、更に抉るように次々叩き込む。

 

 と、堪らずバゥ・ロードは、私の頭を飛び越えるように移動する。

 

「御子柴大丈夫か!?」

 

 私は声をかけるが、さすがはフェンサー。何とか無事のようだった。

 

「平気……ではねーがまぁ軽傷だ!」

 

「また来るわよ! まったく図体の割にすばしっこいわね!」

 

「クソ! これだから大物相手は爽快感がねーんだっての!!」

 

「とにかく動き続けろ! 奴の相手の肝は一か所に留まらぬ事だ!」

 

 糸の放射が飛んできた。

 我々は再び別れるように散開し、それぞれ連携して動き始める。

 

「成る程なぁ! 慣れないことで油断したが、いつもと同じでいいって事だな! なら話は早い! 葵の……おっと、瀬川のねーちゃんもそういうタチだろ? 俺とおんなじで、落ち着きのないタイプと見たね俺は!」

 

 御子柴はスラスターを吹かし、滑るような移動で二門のハンドガトリングを撃ちまくる。

 弾丸は確実にバゥ・ロードの皮膚に刺さり、紫色の体液が流れる。

 

「分かってるじゃない! ホント、常に飛んでいたいくらいは高い所とか好きよ! でもユニットがすぐオーバーヒートしちゃうから、無理なんだけどね! 仙崎! カバーお願い!」

 

 瀬川は高速で飛行しながら、縦横無心にレイピアでバゥ・ロードの皮膚を斬り刻む。

 彼女の持つレイピアは、レイピア・スラストというらしく、従来型の物より多数のプラズマアークの刃が前面に集中している。

 前方への攻撃力が増し、より機動戦に特化したと言えるだろう。

 彼女は冷却するために着陸する。

 バゥ・ロードは彼女に向けて糸を吐き出そうとするが、

 

「了解! 化け物め! 今更私以外を見てくれるなッ!」

 

 火力重視の大型弾頭を装填すると、ロケットランチャー・ダレイオスⅠを放つ。

 25mの空間が炎に包まれ、バゥ・ロードは相変わらず俊敏な動きでこちらを向く。

 

 そして私の元へ糸の放射を行う。

 

「ぐっ! 何度も何度も! 芸のない怪物だ!」

 

 紙一重で回避を続ける。

 

「今だ御子柴! 右の前脚付け根に向け、火力を集中!」

 

「おうよ! 喰らいやがれッ!」

 

 御子柴がハンドガトリングと右肩の重迫撃砲を放つ。

 だが山なりの弾道を取る迫撃砲は、右前脚付近に移動していたβ型の迎撃によって空中で爆発する。

 

「なぁッ!? これが噂の迎撃してくるβ型ってのか! まだ残ってやがったのかよ!」

 

「おのれ……! 側面や正面のβ型は排除した筈だが、恐らく腹部と背面に残った個体が体表を移動したのだろう! だが逆に、そうまでして守らねばならんという事だ! 我々の任務は時間稼ぎに過ぎないが、脚の一本でも叩き折れば、奴の機動を制限できるはず! どう思う!?」

 

 此処まで頑丈ならば、もはや他の部位を狙っても打撃は与えられぬだろう。

 目をすべて潰すというのも考えたが、強度がある上に奴の正面に立たねばいかぬのでリスクは大きいだろう。

 

「賛成! 機動力をちょっとでも落とせれば、勝機は高まるものね!」

 

「俺も乗ったぜ! 俺達三人なら、そんぐらい余裕だろっ!」

 

「ふん、強く出たな御子柴! 先陣は貴様に任せた! 散弾迫撃砲だ!」

 

「イエッサー! そぉら撃ってきなッ!!」

 

 御子柴は、滑るような鮮やかな機動で向かって右側面に移動し、足を止めず左肩部の散弾迫撃砲を放つ。

 砲から放たれた瞬間、榴弾はいくつもの子弾に分離し、それぞれがバゥ・ロードの右前脚付近に迫る。

 案の定直撃を防ぐため、右側面に潜む多くのβ型が顔を出し、これを迎撃する。

 

「瀬川! 今だ!」

 

「てやぁぁぁぁぁッ!!」

 

 瀬川はPEユニットを使って飛び上がり、バゥ・ロード側面後方から侵入し、糸の迎撃範囲外上空から薙ぎ払うようにレイピア・スラストで刻む。

 

「どうだ!?」

 

「だめ! なんか肉の下に粘膜みたいなのがあってまるで手ごたえがないわ!」

 

 効果はいまひとつ。

 無数のプラズマアークの刃でも刻めないという事は、結構な耐久力があるらしい。

 なる程、いくら撃っても答えていないのにはそのようなカラクリがあったか。

 

 生物的にどのような仕組みか不明だが、とにかくその粘膜とやらを貫通せねば打撃は与えられないらしい。

 

「おい! ケツから小型のヤツが出て来たぜ!」

 

「上の方かも! いよいよじっとしてはいられなくなったって感じかしら!?」

 

 別の部位から、β型が四体ほど出現する。

 一方バゥ・ロードは瀬川の方に飛び上がり、糸の放射体勢になる。

 御子柴はケツというが、昆虫の部位の呼び名を当てはめるならば正しくは腹部に当たる。

 

「瀬川! 回避に専念! 御子柴は何処でもいいからバゥ・ロードに攻撃、注意を引け! β型の相手は私がする!」

 

「「イエッサー!!」」

 

 瀬川は飛行ユニットで逆に距離を詰め、糸の放射を見事に見切り、空中でユニットの出力を一時的に増し、空中で側転して華麗に回避した。

 なる程、ウイングダイバー版緊急回避という訳か。

 

 御子柴は一人でオラオラ言いながらとにかく全武装を使ってバゥ・ロードに攻撃を加える。

 大量の体液が舞って居るが、まったく弱ったように見えない強靭な生命力に驚きを禁じ得ない。

 

 私は四体のβ型に対し、スパローショットを叩き込む。

 一体に対し、約二発の斉射で事足りる。

 この程度、先ほど潜った修羅場に比べればどうという事は無い。

 

 タイタン到着までの残り時間、およそ15分と言ったところか。

 

 その時間まで、バゥ・ロードをこの場所に縫い付ける事が出来れば、我々の勝ちだ。

 

 一見翻弄しているように見えるが、バゥ・ロードの戦闘力は衰える事は無く、無尽蔵の耐久力にこちらの集中力が切れてくる。

 

「ちくしょう、これだけ叩き込んでんだぞ!? そろそろ倒れてくれってマジで……。仙崎、瀬川。ちょっと推進剤の補給に入りたいんだけどよ、なんとかなる?」

 

 フェンサーの跳躍装置(ジャンプユニット)は、ウイングダイバーのような半永久的プラズマエネルギーではなく、数種類の燃料を混合した推進剤を使用している。

 要するに、長時間の戦闘では補給が必要なのだ。

 特に御子柴は絶えず動き回っていたから、推進剤の減りも早いだろう。

 

「任された! ついでに弾薬の補給もしておけ! 攻撃はするなよ? 無駄に奴の注意を引くのは危険だ。瀬川! 攻撃の手を緩めるな。とにかくこちらに注意を引くんだ」

 

 ようやく御子柴が我々の名前をまともに呼ぶようになって関心するが、彼に攻撃が行かないよう、細心の注意を払わねば。

 武器弾薬の補給は比較的速やかに終わるが、推進剤の補給は時間が掛かる。

 

 特に強酸に満ちたこの戦場では、僅かな酸の飛翔に反応して爆発でもしたら大変だ。

 むろん、特殊な混合燃料である推進剤は誘爆の危険も最小限に抑えられているが、燃料である以上絶対はない。

 

「イエッサー! って、私たち、いつの間にかあんたの部下みたいね!」

 

 飛び上がり、レイピアを片手に接近する瀬川。

 

「言われてみれば、無意識のうちに指示を出していたな! 不満だったか?」

 

 私は使い切ったダレイオスを放棄し、ロケットランチャー・ゴリアスDDを新たに撃ちこむ。

 

「いいえ! むしろ気持ちよく戦えてたわ! もうずっとあんたの指揮下で戦いたいくらい! あっ、別に冷泉中尉が不満って訳じゃないけど、ねッ!!」

 

 瀬川は接近し、レイピアでほぼ無防備になった腹部付近を切り裂く。

 夥しい量の体液が傷口から噴出するが、やはりどういう生命力をしているのか、動きに遜色は見られない。

 

 そのままバゥ・ロードが糸を放出する。

 奇しくも私と瀬川を同時に狙った放射範囲だったが、二人とも難なく躱した。

 

「ぬぁはは! それは嬉しいが、こういう状況でもなければウイングダイバーとレンジャーが共通の指揮下で戦うというのもないだろう! 第一私はたかが伍長だぞ?」

 

 EDFの階級で伍長と言えば、少尉、准尉、曹長、軍曹、伍長という順で、実のところ瀬川と御子柴は私から見て四階級も上の上官なのだが。

 EDFの独特の空気もあって特に上官という気はしない。

 むろん命令であれば従うが、逆にこちらが指揮してしまっているのは軍隊としては異常ではある。

 

「そういやあんた伍長だったわね! もうちょっと昇進してそうなもんだけど不思議ね!」

 

 ……雑談する余裕があったと言えば、そうなのかもしれない。

 気の緩みはなかったと自負しているし、ああ見えて瀬川だって修羅場をくぐっている。

 そんな油断は無かったと思うが、現実としてそれは起こった。

 

「あんただったら、一端の指揮官に成れると思うから、ちゃんと昇進して――がっ!?」

 

「瀬川!?」

 

 バゥ・ロードが放射した糸を付けたまま跳躍し、空中で振り回した。

 縦横無尽に空中を暴れる極太の糸に、瀬川が巻き込まれたのだ!

 

「うぁぁッ! いたっ……、酸がッ……!」

 

 受け身を取りつつ、墜落する。

 

「しっかりしろッ! 直前で回避したな!? 傷は深くはない!」

 

 瀬川は糸との衝突の瞬間、飛行ユニットの絶妙な操作で真正面からの直撃は避けたが、左半身に糸の表層の一部がこびりついてそれが軽量化されたアーマーを溶かし、瀬川を負傷させていた。

 

「うぅッ、そうね、大丈夫――仙崎っ、上ッ!!」

 

「なに!?」

 

 負傷した瀬川を抱えていると、我々はバゥ・ロードの脚に踏みつぶされそうになっていた。

 人間二人分程度、楽に踏みつぶされそうな大きさと質量を持っている。

 私は瀬川を無理やり抱え回避する動きをしつつ、ガバナーの接射を試みた。

 

 だが、奴が一枚上手だった。

 バゥ・ロードは脚を動かして我々に打撃を与えた、要するに蹴られたのだ。

 

「きゃあ!!」

 

「ぐはッ!!」

 

 我々は吹き飛ばされ、地面を転がった。

 衝撃で平衡感覚が狂い、すぐには立てない。

 

「野郎!! 俺の友達に、手ぇ出してんじゃ、ねぇ!!」

 

 御子柴が、補給も終わらないまま砲撃を行う。

 いつの間に友になったのか分からないが、とにかく私を友と呼んだ彼の元に、バゥ・ロードは放射口照準を定める。

 

「やべ! さすがにやべぇな! くそぉ! 死ねやおらぁぁぁ!!」

 

 やけくそになって全武装を発射するが、補給が終わらなければ下手に移動は出来ない。

 

KM-6E(カムイ)全機! 前方大型標的に、機銃掃射プランW3! 誤射に注意しろよ……いけ!!』

 

『プラン受諾! ターゲット確認! 全機突入! 機銃掃射、開始ッ!!』

 

『『了解ッ!!』』

 

 門倉大尉の無線の声と、それに応答した戦闘爆撃機カムイのパイロットの声が聞こえた。

 

 

 

――同時刻 国道478号線(京都市-亀岡市間移動経路) 重戦車タイタン――

 

 

 一般自動車用に作られた、片道四車線の国道を、重戦車タイタンが進む。

 通過した後のアスファルトは重量に耐えきれず無残な姿に砕かれ、全ての車線の道路が使い物にならなくなる。

 

 総重量200t超の重戦車は、移動だけでそうした輸送経路の寸断を行ってしまう。

 空輸が推奨されるゆえんだが、その空輸が出来ない理由の一つが、目の前に現れた。

 

「前方に巨大生物の群れを発見! 敵はこちらに気付いていません!」

 

「付近に塔は見えるか?」

 

「いいえ! 確認できません!」

 

 タイタン車長、権藤少佐は一瞬逡巡した。

 周囲は起伏があり木々が生い茂る見通しの悪い丘陵地帯だ。

 本来なら先にレイドアンカーを発見してから攻撃するのが最良だが、あまり接近しすぎれば危険な近接戦闘を強いられる。

 特に、γ型は一度飛び立つとまとめて撃破し辛い敵なので地上にいるうちに纏めて叩いておきたいところだ。

 

 それに、今の作戦目標はアンカーの破壊ではない。

 

「レクイエム砲の使用を禁じた上で、先制攻撃を仕掛ける! 副砲一番二番、照準目標γ型巨大生物、撃てぇぇーー!」

 

「一番副砲砲撃開始!」

 

「二番副砲、砲撃開始!」

 

 タイタンの巨大なレクイエム砲砲塔の上に付いた、左右の副砲120mm滑腔砲が火を噴く。

 ギガンテス戦車のそれと同じ120mm徹甲榴弾が巨大生物群の中央に直撃し、派手な爆発で数体を吹き飛ばした後、押し出された侵徹体が更に群れの奥まで貫通する。

 

 それを受けて一斉に既存四種の巨大生物がタイタンに向かう。

 γ型は飛び立ち、β型は跳ね、α型亜種がα型通常種を追い越し急速に距離を詰める。

 

「斎藤、前進を止めるな! 松田、竹原! α型亜種を車体に近づけるな! 交互射撃! 奴の牙は装甲第一層と二層を貫く! 各機銃手員は銃座についてγ型を迎撃しろ! 針の攻撃もタイタンの装甲に傷をつける可能性がある!」

 

「「了解ッ!!」」

 

 巨大生物群の迎撃が始まる。

 小規模だが津波のような勢いで迫るα型亜種に対し、120mm徹甲榴弾が直撃する。

 直径15mの複合爆薬の爆風が炎の膜を形成するが、爆風に押し出されて耐え抜く個体も中には現れる。

 それを副砲二門の交互射撃で絶え間ない砲弾を叩き込む。

 それを抜けてくる個体には、7.62mm同軸機銃が止めを刺す。

 

 一方舞い上がるγ型に対しては、機体各所に取り付けられたドーントレス重機関銃と、UT多銃身機関銃(ガトリングガン)が対空迎撃を行う。

 

 銃座は全て車内からの遠隔操作型になっており、周囲の状況を見ながら射撃出来ない代わりに身を晒さずに戦える。

 

 UT7が毎秒30発という破格の発射速度で弾幕を張り、近づくγ型を次々と叩き落してゆく。

 一方ドーントレスは、通常では毎秒12発とUT7に比べて低い連射性能を誇り、更に12.7mm機銃弾は、甲殻の薄いγ型に対してはややオーバーキルである為若干効率は劣る。

 

 その為機銃弾を近接信管弾に変えて対空機銃弾として撃ち出していた。

 発射速度は毎秒5発と半分以下に下がるが、近接信管での広範囲攻撃は多くのγ型を叩き落していた。

 

 交互射撃で絶え間ない砲弾を撃ち出し、車体各所から対空迎撃の弾幕を張る様子は、まさに陸の戦艦と表現するに相応しい。

 

 圧倒的な戦闘力で最初こそ敵をまったく寄せ付けなかったが、巨大生物群が広がって周囲を囲うようになると、状況は一変する。

 

「β型、側面いや背後に回ります! 副砲での迎撃追い付きません!」

 

「ドーントレス! 対空迎撃を中止し地上を掃討しろ! 弾種12.7㎜徹甲弾!」

 

「了解ッ!」

 

 ドーントレスが標的を地上目標に変える。

 

「くそッ! 前方の巨大生物が、邪魔だッ! 松田、前の奴を前の奴を吹っ飛ばしてくれ!」

 

「了解!」

 

 操縦手の斎藤中尉が、第二副砲手の松田曹長に頼む。

 

 群れが続いている右側面から砲塔を動かし、正面を射撃する。

 β型やα型の集合体は、勢いよく吹き飛ぶが、それでも後続から次々と道を塞ぐように躍り出る。

 

「ぶ、ぶつかる!?」

 

「構わん! 轢き潰せッ! 我々は巨大生物の殲滅よりも前進を優先するのが任務だ!!」

 

 権藤少佐の命令で、タイタンは巨大生物にぶつかり、キャタピラの走破力で巨大生物を乗り越える。

 

 およそ時速50kmで総重量200t超の車体が激突し、さすがの巨大生物と言えど潰され絶命するが、当然走行速度は大幅に落ちる。

 その一瞬が致命的となり、やがて周囲に更なる巨大生物が集り、上空のγ型も数を増やす。

 

「γ型の迎撃、追い付きません! 針が来ますッ!」

 

 ついに針撃の射程内に入られ、数本の巨大な針がタイタン上面装甲を襲う。

 車内を衝撃が包む。

 

「被害状況!」

 

「はっ! 被弾箇所、装甲第一層が一部貫通しましたが、第二層に被害なし! 戦闘続行に支障ありません!」

 

 タイタンは針が次々と刺さっていくが、見た目に関して被害は軽微だ。

 ただし、装甲を穿たれたことは変わりないので、酸などが流れ込んでくれば被害は拡大する。

 その酸も、地上から次々と放たれ、装甲第一層対光学物理装甲を溶解させていく。

 

 第一層は、対巨大生物戦に於いては効果は薄い。

 

 タイタンは陸の戦艦に相応しい攻撃力と防御力で、被弾しつつも依然優勢を保ってはいるが、その進撃速度は目に見えて低下した。

 さらに未だアンカーを発見できていない為、巨大生物の群れは絶えることが無い。

 派手に戦闘しすぎたのか、どうやら複数のアンカーが反応しているようで、その物量は初期と比べて明らかに増えていた。

 

 いずれ群れを突破する事は可能だが、どうしても時間が掛かる、そんなどうしようもない状況だ。

 

 そんな悪条件が重なった時、事件は起きた。

 タイタンが振動し、突然排気口から黒煙が噴き出したのだ。

 

「ッ、斎藤中尉! 何があった!?」

 

「ラジエーターが故障! 炎上しています!」

 

 実は前々から警告灯は付いていた。

 しかし、危険地帯に入る際に自衛装備の無い整備工作車は退避させていたのだ。

 

「やはり持たなかったか……!」

 

「権藤少佐! これ以上の走行は不可能です! 履帯とサスペンションも限界で、燃料も既に半分以上残っていません! このままではとても辿り着くことは……」

 

 専用のメンテナンス要員である橋倉少尉が進言する。

 200tの戦車を自走させて何十キロも走りきるなど、土台無理な話ではあった。

 それでも強行したのは、それが可能になる希望があったからだ。

 

「車長!! 4時方向より味方識別の車輛複数! これは、アードウルフと整備工作車ですっ!!」

 

「目視確認! あれは……オストヴァルト博士です!!」

 

 レーダー通信員と機銃手が同時に反応する。

 

 安堵の声を出す権藤少佐に対し、オストヴァルトは緊迫して声を荒げる。

 

『オストヴァルト博士……お待ちしていました!』

 

『状況は!? ラジエーターが故障しましたね!?』

 

 接近する高機動四輪駆動車ジャガーは上部のアードウルフ砲塔を動かし敵を退けながら接近する。

 アードウルフ砲塔には、アウトレイジ軽機関銃とアーケイン六連ミサイルポッドが二基装備されている。

 

『おっしゃる通りです。警告灯は赤く点滅しています。ですが状況が、停車を許さない……』

 

 難しい顔をする権藤少佐に対し、ハキハキと対処を述べる。

 

『そんな事は百も承知ですよ! そのまま並走を! よっ!』

 

 言いながらオストヴァルトはジャガーから飛び出し、タイタンに乗り移る。

 現在タイタンは、時速40km程度で走行中だ。

 

「やれやれ、酷使しましたね……! 橋倉少尉! 此処の手伝いはいりません! その間にこれを!」

 

 近寄るメンテナンス要員の橋倉少尉に、メモ紙を渡す。

 

「これは……?」

 

 オストヴァルトはメンテナンスハッチを開け、炎上するラジエーターを探し出し、消火と修理を行いながら声を出す。

 

「投棄する工具や資材です! 恐らく、燃料はもう半分切っていますね? 帰りの事は考えず、とりあえず辿り着く事だけを考えて装備を投棄してください! 私の体重を含めた計算上それの投棄は必須です! 二枚目は荷重の調整と必要な走行操作です! かなり詳しく書いたので、間違えずその通りに設定する事を、権藤少佐たちに伝えてください!」

 

「わ、分かりました! ……博士っ!」

 

「ちいっ、邪魔を!!」

 

 タイタン車上で整備するオストヴァルトに、三体のγ型が狙いを付け、一体が針を発射する。

 予備動作を確認していたオストヴァルトは、咄嗟にメンテナンスエリアに半分潜り込み、ハッチを盾にして針を受け止める。

 針は半分貫通し、博士の顔面寸前で止まった。

 博士は右耳の通信機を触る。

 

「計算通り……。『少尉!』」

 

『了解!』

 

 短いやりとりで、並走するジャガーの機銃手が、三体のγ型をロックオンし、アーケイン六連ミサイルを三発発射する。

 不規則な機動を取るγ型三体にしっかり命中し、辺りは爆炎で包まれるが、周囲の状況を気にせず冷静にメンテナンスを行う。

 オストヴァルトはまた並走する整備工作車に指示を出し、バケットに整備道具や資材を入れたクレーンが彼の補助を行う。

 

『博士! ミサイル尽きました! 機銃弾もまもなく……!』

 

『そうですか! 次はサスペンションのメンテナンスが残っているのですがねぇ。強化スプレーで何とかなるレベルではないでしょうが、ないよりはマシなんですが……ちぃっ! 確かにこれでは悠長に整備も出来ない……!』

 

 さすがのオストヴァルト博士も苦い顔をしていると、更に状況を変える一報が入る。

 

「!? 車長! 8時方向より、識別不明の反応接近!」

 

 レーダー通信員が告げる。

 

「なに!?」

 

「一直線にこちらに向かっています!」

 

「敵の新型か!?」

 

「分かりません!」

 

「外部カメラの映像回せ!」

 

 味方の信号が確認できない謎の存在が急速に接近していた。

 この状況に、更に敵の未確認個体。

 車内に戦慄が走るが、

 

「コンバットフレーム!?」

 

 存在の正体は、味方のコンバットフレーム・ニクスであった。

 その赤い機体は、近接高機動型のニクス・レッドシャドウの特徴と一致する。

 同時に通信がタイタンに向けて発せられる。

 

『ちぃーっす! そこのバカでかい戦車! なんか困ってるみたいなら助太刀するぜ!』

 

『貴様!! 本当にEDFか!? なぜ敵味方識別装置(IFF)を切っている! 撃ち殺されたいのか!?』

 

 いう間に、レッドシャドウはタイタンに追い付き、その背後から追い迫る巨大生物群に、レッドシャドウに標準装備にはないはずのロケットランチャーを数発叩き込む。

 

 あっという間に巨大生物と距離を詰め、両腕のリボルバーカノンを斉射する。

 その後短距離ブーストジャンプでタイタンを飛び越えつつ側面の巨大生物に散弾砲をぶち込み数体を巻き込んだのち、前方を塞ぐ巨大生物群にリボルバーカノン二門、左肩部ロケットランチャー、右肩部散弾砲の一斉射で瞬く間に駆逐する。

 そして、間ニクスは一度も足を止めない。

 

「す、すごい腕です! 一度も被弾せず、瞬く間に敵を一掃していきます!」

 

「前方の進路クリア! 最大加速!!」

 

 前方の巨大生物がいなくなり、流入する巨大生物もレッドシャドウが押さえている事により、群れを抜け出したタイタン。

 

『き、貴様何者だ!? 所属部隊名と名を名乗れ!』

 

 原則部隊行動する筈のニクスが単騎で、しかも主戦場とはかけ離れた方向から急接近し、リボルバーカノンとロケット砲という、重量の観点から非推奨装備と言われている武装を搭載した魔改造ニクスというのも怪しいが、何より巨大生物を翻弄するような独特の操作を行うエースパイロットならその名は有名のはずだ。

 

 レッドシャドウと言えば向井中尉のフレイム小隊が有名だが、コンバットバーナーを使用する彼女らの戦い方とは似つかない。

 

『俺か? 俺はなぁ、コンバットフレームの申し子! 安藤和真様だ!! いややっぱ自分で様は恥ずかしいな! あ~っと、その、詳細はエアレイダー? の保坂さんに聞いてくれれば分かるって聞いたぜ! まぁホントは目的地はコッチじゃなかったんだが、なんかヤバそうだから勝手に来たぞ! 困ってるんだろ?』

 

 言いながら、鮮やかな機動で各武装を的確に変えながら撃破していく安藤和真という男。

 子供っぽいテンションもそうだが、声質からして10代後半であることを察し、酷く混乱するタイタン車内だったが、車上で一人オストヴァルト博士は興奮する。

 

「ふはははは!! なるほど、コンバットフレームでその動きをするか!! 素晴らしい!! 素晴らしいぞ貴様!! だがまだまだだな、間接に負荷をかけ過ぎだ!! 無駄も多い! 貴様の様な動きなら、整備冥利に尽きるというものだが!!」

 

 と一人で勝手にはしゃいでいるが、通信を送っていない為、本当にただの一人で騒ぎながら、見事な手際でラジエーターの修理を完了する。

 どうやって走行中に修理したのかは、まるで謎である。

 

 そんな彼は置いておいて、権藤少佐は状況に際し愚痴を混ぜつつ冷静に対応する。

 

『ふん、あの糸目め……。分かった。保坂の判断であればいろいろグレーではあるがこの際それは呑む。それで、この場に来たのはイレギュラーとの事だが、この場は預けて良いという事で構わないか? 我々はこの先を急ぐ重要な任務があるのだが』

 

 どうやら権藤少佐は保坂少佐と多少の面識は持っている、があまりよく思っていないらしい。

 それはともかく、このニクスはタイタンにとって渡りに船ではあった。

 普通は所属や階級、そもそも軍属なのか? 正式な手続き、指揮命令系統の上でここにいるのか、例え保坂少佐の許可の元であっても、正当なものではないのなら、即刻ニクスの降車を強制し、恐らく民間人であろうこの男と、ニクスを部隊に返還する所だが、

 

 生憎状況はそれを許さず、事態は柔軟な対応が求められている。

 権藤少佐が先を急ぐと言うと、安藤少年は快活に答える。

 

『おう! なんか馬鹿でっけぇー蜘蛛が出たって話だろ? そっちの援護に行ってもいいんだがここからだと推進剤が持ちそうになくてな! 実は結構ギリギリなんだなこれが! ま、ちょっとまだ大物とやり合う度胸もないしそもそも火力足んなそうだし! ここは俺に任せて先にいけぇー!!』

 

 終始早口でハイテンションな口調に、タイタンの車内はどうしたもんかという変な雰囲気になる。

 が、やはり権藤少佐は冷静に、彼を一兵士とみなし、恐らく今ドヤ顔しているだろう安藤和真に向けて返答をする。

 

『ふっ、承知した。この場は安藤とやら、君に預けて我々は先を急ぐ。付近には複数のアンカーが点在している。先にそちらを片付けないと無限の物量と戦う羽目になるぞ。意味は分かるな』

 

 ノリノリの安藤少年の声に、まるで息子の相手をしているようだと権藤少佐は少し笑い、同時にそんな少年を戦場の渦中にただ一人放置する事に罪悪感を覚え、最低限のアドバイスを送る。

 

『おうよ! 保坂さんと整備のおっさんからだいたい聞いてるからな! んじゃま、デカ蜘蛛は頼んだぜ! ……そうだ、あんたの名前は?』

 

『重戦車タイタン車長、権藤源治少佐だ。君の操縦技術は天性の物と見た。生き残って多くの戦場でその腕を生かせ。健闘を祈る!』

 

『了解! じゃあな権藤さん!!』

 

 こうして、タイタンは巨大生物の群れを短時間で脱出し、最低限の整備もオストヴァルト博士の手によって完了し、唯一安藤和真の乗るレッドシャドウと敵だけが戦場に残された。

 

「ふふっ、ぎゃははは! 俺かっこいい~~!! っと、そんなんは後だ後! 真面目にやらないとガチで死んじまうぞ俺! くっそ~、こういうシチュエーションに憧れてたとはいえちょっと格好つけすぎたか!? だがま、これで死んだらクソ格好悪ぃからな! 任務も果たして無事で生還してこそだろ! ……桂里奈を残して、まだ死ぬわけにはいかねぇからなッ!!」

 

 いろいろと独り言にしては大声で話しながら、怖気づかないようにハイテンションを維持し、タイタンの離脱を確認してからアンカーの殲滅に向かう。

 一人残された、家族の妹の身を案じ、絶対に生きて帰るという決意を固めながら。

 

 彼のこの行動が、のちの戦況に大いに影響した事は間違いない。

 




やっぱ仙崎、瀬川、御子柴の活躍を書くのは楽しいですね
久々にこういう雰囲気かけたかと思います。
そして門倉が合流、再び四人がそろいます。

ちなみに他の作者様のEDF小説だと、ストーム1(主人公)って、ゲームでいうとストーム2(軍曹・レンジャー)ストーム3(グリムリーパー・フェンサー)ストーム4(スプリガン・ウイングダイバー)で埋まっている事からエアレイダーが主人公になる事が多いみたいですね。

自分はEDF初代からの固定観念で、やっぱレンジャー(陸戦兵)が主人公のイメージあってこうなりました。
EDF5ファンの方にはちょっと違和感あるかもしれないですね(今更!?)

なお現在作中ではストームチームが編成されていませんが、後々ちゃんと編成されるので安心(?)してください。

ストーム各部隊のメンバーや編制については、ちょっと考えがあるので秘密ですが。

原作の世界観や設定を結構ぶっ壊していますが、どうか今しばらくお付き合いください……!
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