あの人を重ねて   作:kwhr2069

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さあ、この日がやってきました。
絶対に前回のようなヘマは致しません。
失敗をジャップアップの糧として、いざ!参ります!

ということで、HBP第三弾です。
どうぞよろしくお願いします。

希ちゃん、Happy Birthday!!


希side

「ふう。…ここが、イタリア、ミラノ...」

 

 見慣れない街の様子を見回しながら、そう呟く。

 私にとっては、この景色すべてが、とても新鮮に思える。

 

 そう言えば、ヨーロッパに来たのはこれが初めてだ。

 再度、見慣れない街を見回してみる。

 

 

 と、そこで。

 

「…え、絵里ち?!」

 

 久しぶりに見かけた金色の髪に、つい身体が反応する。

 

 

 が。

 

「…て、髪型全然違う...。勘違い、か」

 

 髪色だけを見て勘違いした自分が情けない。

 最後に会った時のあの人の髪型とは、全く違っていた。

 

「(…いつまで私は、絵里ちのことを引きずるんだろう)」

 

 その人は今、近いようで遠いような、ロシアにいる。

 

 私は未だに、あの人のことばかり頭に浮かぶことがよくある。

 それほどまでに強く想っていた、ということなのか。

 

「(って、折角のイタリア観光なのに、暗い気持ちになっても意味ない!楽しまんと!)」

 

 下がる気持ちを抑えようと自分に言い聞かせる。

 

 そして私は、知らない街に足を踏み出す。

 これからの観光への期待に、胸を膨らませんとしながら。

 

 

*  *  *  *

 

 私、東條希は、音ノ木坂学院を卒業後、とある四年制大学の文学部英語英文学科に入学した。

 将来はツアーコンダクターになりたいという思いからだ。

 

 大学を特に問題なく卒業し、旅行会社に就職。

 始め間もない頃は、未知なことばかりで戸惑うこともよくあった。

 

 けれど、今年でもう二年目。

 大事な資格も取得して、本格的にコンダクターとして働くことができるようになってきた。

 

 とある、なんとなくの興味から入った世界だけど、今は自分の選択に納得している。

 

 

 だけど、やはり。

 何かが、足りない。

 ふとした時に、そう感じてしまう。

 

 高校の時の親友たちは、全く違う道へと進み、連絡もほとんど取っていない状況。

 一人は、東京にいるため会おうと思えば会えるが。

 もう一人は、ロシア。会いに行くのはかなり余裕がないと無理である。

 

 そのような気持ちにならないために仕事に打ち込むが、心はそう簡単にいかない。

 どこか、心に穴が開いているように感じながら過ごす日々が続いている。

 

 

 そんな中で舞い込んできた、一つの話。

 

 会社を挙げて、海外の国の観光地を回るツアーを、本格的にやろうという試み。

 それが、今回のイタリア観光の大きな目的だ。

 

 ()()()()という名の、イタリア観光である。

 

 私が選ばれたのは、少し経験を積み始めていて、まだ新人ということで、学ぶことが多いから、だと思う。

 

 そんなこんなで、一人海外の地へと飛んできたわけである。

 

 

 昼間には色々な観光地を回り、夜には、ホテルに戻り一人、残したメモとにらめっこしながらスケジュールについて考えたり、翌日はどこに行くかを決めたり。

 忙しく、少し大変なところもあるが、充実しているように思える。

 

 本当に充実していたのだろう、イタリアでの三日間はあっという間に過ぎ去った。

 

 そして私は、日本へと帰るために今、空港にいる。

 

 

 そこで、また。

 

「(…あの金髪の()、確か...)」

 

 二日前にイタリアの街中で見かけたのと同じような髪色、髪型の人を見かける。

 

 

 と。

 

「Ouch!!」

 

 後ろから走ってきていた男性にぶつかられ、手に抱えている荷物を落とす。

 

「…Oh,Sorry...」

 

 言われて気付いた。

 私は、考える間もなくその子の荷物を拾うのを手伝っていることに。

 

 まるで、身体が勝手に、()()()()()()()()()()()()()かのように。

 

 

 

「…えっ!?」

 

 すると突然、声をあげられ、その娘の顔をふと見る。

 

「あっ、いえ...その、日本の方、ですか?」

 

 その口から流れてきたのは、なんとも流暢な日本語。

 

「はい、そうですが...」

 

 と、床に落ちているものの中に、何やらカードのようなものを見付ける。

 

 拾ってみると、学生証だった。

 アメリカの、かなり有名な大学のもので、ローマ字で”オハラマリ”と記してある。

 

「貴女も、日本の?」

 

 学生証を渡しながら尋ねてみる。

 

「はい、そうです。

…とはいっても、アメリカとのハーフで、大学もアメリカに行ってるんですけれど」

 

 ハーフだったのか...なるほど。…って、何がなるほどなんだか。

「そうなんですね...。あれ、では、どうしてここに?」

 

「ああ、実は昨日まで、この近くの大学に短期留学していたもので」

 

「短期留学?」

 

「はい。イタリアで、商業のABCを学んで来いと、父から」

 

「なるほどねぇ...」

 

 商業のABC、なんてハーフっぽい響き...って、なんか失礼か。

 

 

 それにしても、だ。

 初対面のわりに、何故か普通に会話しているのはどうしてなのだろうか。

 

 

 いや、自分ではわかっているはずだ。

 

 

 でも。

 それなら、相手がこちらと話せるのは何故なのだろうか。

 

「「………」」

 

 ふと考えている間に、沈黙が流れていることに気付く。

 でも、今更だな。

 

 

 落ちた荷物を拾い終わり、確認する彼女。

 

「…うん、ダイジョブかな。

 あの...ありがとうございました!ホントに助かりました」

 

「いや、ええよええよ。困っとる人には手を差し伸べるものやん?」

 

 

 …なんで私は今、()()しゃべり方をしたのだろうか。

 ふと気付いた事実に驚愕する。

 

 

「あの...すみません」

 

「…はい?なんでしょう?」

 

「何か...悩みごとでもあるんですか?」

 

「…どうして、そう思って?」

 

「いえ...なんとなく、なんですが」

 

 ……。ここまで来たら、だ。

 打ち明けてしまった方が、気持ちもすっきりするのかもしれない。

 

 いや。

 

 私は最初から、この人に悩みを話したくて近づいたのかも。

 

 だから私は、自分が今抱えている悩みを打ち明けることにした。

 

 

*  *  *  *

 

 もちろん名前とかは伏せたが、話せることは話した。

 高校の頃の友達と、卒業以来なかなか会えていないこと。

 今でも、楽しかった頃の日々を懐かしんでは感傷に浸ること。

 そのせいで最近は、色んな事が少し辛いこと。

 

 話すと、なんだか肩が軽くなったような、そんな感じがする。

 

 

 話し終わるとマリちゃんは、少しばかり声を震わせながらこう尋ねてきた。

 

「…失礼ですが、おいくつ、なんでしょうか...?」

 

「えーと、今年で24に」

 

「すみませんでした!!」

 

 突然謝られた。

 

「あの、てっきり、同じ位の年かと思ってまして...。ワタシ、調子乗って...」

 

 そう言われてみて、今気付いた。

 この娘は、私より幾分かだが背が高いことに。

 

 でも、幼くみられるなんて...初めてかも。

 

「いいって、気にせんで。ほら、顔上げ?…ちなみに聞くけど、貴女は何歳?」

 

「ええと...今年でちょうど20です」

 

 20、か。思ってたよりも、若いなあ。

 ということは私は、4つ年下の娘に悩み相談をしたということだ。

 

 なんか、恥ずかしい...。

 

 

「…それで、アナタはどうしたいんですか?」

 

 気を取り直したのか、マリちゃんが再度尋ねてきた。

 

「どうしたいって...その友達のこと?」

 

「ハイ。やっぱり、会いたいとか、思いますか?」

 

「う~ん、どうやろ...。なんといっても、ロシアやからなあ。無理じゃない?」

 

「そういうのはナシで!会いたいか会いたくないか、の二択です!」

 

 …急激になんかアツくなったなあ、この娘。

 

 

 でも...。

 

「それはもちろん...会いたいに決まってるやん!」

 

 この娘には、嘘はつきたくない。

 だから、正直に。心の内を、晒す。

 

 マリちゃんは、少し嬉しそうに頷く。

 そして、こう言った。

 

「それなら...行きましょう、ロシアへ!」

 

 

 なるほど...ロシアにね、でも今からは、流石に遅くない?

 

 …って。

「えっ?」

 

「ラッキーなことに、もうすぐ着くはずです。アナタも、一緒に乗って下さい!」

 

「いや、え?何の話よ、ちょっと?!」

 

「ハイ?ですから、今からロシアへ...」

 

「いやいやいや、おかしいって!てか今からって?どうやって?」

 

「それはもちろん...あ、キタキタ」

 

 マリちゃんが見ている先を見てみると、そこには一台の小型ジェットが。

 

 

 

 こ、小型ジェット?!

 

「え、もしかしてあれで行くん?」

 

「モチロンです!さあ、早く!時間は待ってくれませんよ~」

 

「ちょっ、腕、引っ張らんで~」

 

 

 ちょっと、どういうこと?!

 いきなりロシアに、って。わけわかんないよ。

 

 

 

 …でも、なんだろう、この気持ちは。

 

 なんか、面白そうやん!?

 

 

 そう思いながら、私の腕を引っ張るマリちゃんの顔を見る。

 すると、丁度こちらを見てきて、目が合う。

 

「さあ、Let's go!!デ~ス!」

 

 そこには、私の一人の親友とはかけ離れた表情、でも、見ていて全く苦しくない、屈託のない満面の笑みが浮かんでいた。

 

「…うん!レッツゴー!!」

 




はい、ということで。この企画、第三弾です。

今回は、6/9のんたん誕、6/13マリー誕なわけですが、次話は6/11に投稿し、6/13鞠莉視点話にて、ストーリー完結とする流れをとらせてもらおうと思っています。
そこのところ、御理解よろしくお願いします。

少し余談ですが、このHBPの原作名を”ラブライブ!シリーズ”で固定しました。
タグに関しても、少し統一性をもたさせていただきました。

また、先程から、この企画だの、HBPだの言ってますが、イミワカンナイ!というそこのあなた!
ID143602、ID154665の小説に目を通していただけると、私としては大変嬉しく思います(露骨な宣伝)

最後に一つ。今回、結構遅めな投稿になってしまいました。待っていらっしゃった方、申し訳ありません。
次の二話は、もう少し早めに投稿できるように頑張りたいと思います。

では、長くなりましたが、この後の残り二話も、楽しんで頂ければ幸いです。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!!
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