あの人を重ねて   作:kwhr2069

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まず、謝りたいことがあります。
鞠莉ちゃんは元々、イタリアに行くと言っていたことを完全に忘れており、海外の大学に行く、程度の認識だったため、勝手にアメリカの大学へ進級させてしまいました。
その間違いは訂正せずに、この後の話も進めていってますが、どうかお許しいただけると有難いです。

今話は、鞠莉視点と希視点を交互に展開しております。
どうぞ、よろしくお願いします~!


過去と今

 昨日は、ホントにビックリした。

 

 何と言ったって、たまたま空港で会った人が、スゴく果南に似ていたから。

 おかげで、ついうっかり声まであげちゃって。

 

 でも、話すうちに、どういうわけか親近感が沸いた。

 

 ただ似ているというだけではない、ナニカがあの人にはあった。

 ”トウジョウ ノゾミ”という名のあの人には。

 

 

 …なんてチョット、ロマンチストすぎかな?

 

 

 あの後ロシアに行ったけれど、そもそもノゾミさんは友達のいるバショにすら見当がつかないそうで、結局ホネオリゾンになってしまった。

 ワタシの、突拍子もない行動のせいでかなり迷惑を掛けてしまった。

 

 直前に年齢を聞いていたにもかかわらず、そんなことを忘れて、思いのままに飛び立ってしまったジブンが情けない。

 

 ただ二ホンに着いた時、ノゾミさんは、どこか晴れやかな表情をしているようにも見えた。

 その表情が、どういうイミだったのかはあんまり分からないけど、その顔を見てワタシ自身ホッとした気分になった。

 

 ワタシのあの行動が、ノゾミさんの気分のリフレッシュになったのか。

 

 そうだったらイイな。

 なんとなくだけど、ノゾミさんが苦しんでいるようなところは見たくないと思うから。

 

 

 ところで今、ワタシはアメリカに帰ってきているわけなんだけど。

 

 …短期留学のレポート、あまりにもクレイジーな量で終わる気がしないヨ~!

 こういうのを書くことになる覚悟はモチロンあったけど、想像以上の量だったわ...。

 

 こういう時ダイヤは、『全く...準備していないからでしょう?!自業自得ですわぁ?!』とか言うんだろうな、クスッ。そんな風に言いながら、結局イロイロ手伝ってくれるダイヤ。

 

 そして。

 そんなワタシたちの様子を、優しいスマイルで見守ってくれる果南。

 

 

 …やっぱり、あの二人との高校生活は、何だかんだで良い思い出がイッパイだ。

 ギクシャクしてた期間の方がずっと長いはずなのにな、スゴくフシギ。

 

 楽しい思い出の方が記憶に残りやすいというのは、ホントのことなのかも。

 

 

 でも、今は...。

 

 …って、今はこんなこと考えてるヒマなんてないや。

 急いでレポート終わらせなくっちゃ!

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「…うん、これでよし、っと!」

 

 イタリアでの三日間の()()()()を終えて帰国した私は、その成果をまとめて書類を提出することになっていたのだが、順調に進んで今、完成させることが出来た。

 

 

 昨日は、マリちゃんに突然小型ジェット機に乗させられてロシアに行き、居場所が分かるわけでもないのに絵里ちを探し、案の定見つからず。

 貴重な時間をとってまで無意味な事をして悪かった、とマリちゃんは言っていた。

 

 でも私にとっては、全然無意味な事なんかじゃ無かった。

 これまで絵里ちのことで悩んでいたのが、なんだか馬鹿らしく思えた。

 

 マリちゃんは、ロシアなんて全然遠い国じゃなくて、行こうと思えばすぐに行けるんだと教えてくれた。まあ当の本人は、そんなこと考えてなさそうだけど。

 

 また、思案して悩むなんて、私の柄でもないことをしていたなあとも思った。

 

 そして何よりも、マリちゃんの心遣いが嬉しかった。

 こんな変な悩みを真剣に聞いてくれて、それにベストアンサーを導こうとする姿勢。

 

 若さって、いいな。

 そんなことも思った、って、いつから私はおばさんみたいになってしまったのか。

 

 

 だから、私は。

 もう、考えすぎるのはやめる。

 

 今思うと、高校生徒会の時も、考えるのはいつも絵里ちで、私はそれに賛否の声をあげていただけ。いつだって私は、考えすぎないようにしてきた、はずだ。

 

 そう考えるとやっぱり、マリちゃんは絵里ちとはかなり対極的な性格をしているように感じる。

 

 それなのにどうして、私は似ているなんて思ったのだろう。分からない。

 

 

 …って、こういう風に考えるようになっているからダメなんだった。

 

 これからは私も、楽して過ごしていきたいと思う。

 その方が私の性にも合ってるだろうし、きっと楽しいはずだから。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 アメリカの大学のサマーヴァケーションはスゴく長い。

 一般的に6月の上旬頃から9月の上旬くらいまで、約3か月間ある。

 

 そういうわけでワタシの通っているトコも、もう休みになった。

 

 イロイロやりたいことはあるけれど、やっぱり何よりも沼津に帰りたい。

 でも今帰ったところで、他のAqoursの皆はまだ休みじゃないだろうから、ヒマだ。

 

 だからチョット、私は手持ちブサタな状態。

 最近までアメリカを離れていたから、もう少しコッチにいてもいいかも、なんて考えてる。

 

 早く、二ホンの大学がヴァケーションに入って、と思いながら日々を過ごす。

 

 

 そんな中で、沼津へ帰ることが楽しみなのか、ワタシはよく夢を見るように。

 よく見るのは、沼津で過ごした日々の、楽しい記憶たち。

 毎回、楽しいキブンになったところで目が覚めてしまう感じで、ワタシ的には少しイヤな気もしたのだけど。

 

 

 でも、何故か。

 その何日分かの夢の中に、果南だけが、一度たりとも出てこなかった。

 

 代わりに、なのかは分からないけど。

 ナゾなことに、一度だけノゾミさんが出て来た。

 

 

 少し会って話して、一緒にロシアへ行ったわけだけど。 

 

 ワタシは勿論、ノゾミさんのことを知っていたわけでも、昔会ったことがあるわけでもない。

 むしろ、ノゾミさんのことは、全く知らないようなものだ。

 

 それなのに、私の大親友と重ねて考えるほど、あの人の存在感が大きいなんて、そんなことがあるのか。

 

 …って、これはケッコーノゾミさんに失礼かも。

 

 

 とにかく、ワタシの中でノゾミさんがどういう存在になっているのかが、分からなくなってきたのだ。

 

 

 ただ、これだけは言えるかもしれない。

 

 ワタシは心の中で、少なからず果南とノゾミさんが似ているように感じている、と。

 

 そして、こんなワタシの悩みも、きっと夏になれば解決するだろう、と。

 

 

 だからワタシは、今はとりあえず時間が過ぎていくのを待つだけ。

 きたるべき夏のその時に向けて。

 

 

 

 そうしてワタシは、時機を見計らい、7月も中旬に入った頃、ようやく沼津に帰ることにした。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 8月。

 それは、世間的にも夏休みとなり、バスツアー界隈の方もかなり忙しくなる。

 その少し前の段階から、色々と段取りなど丁寧に整えていかなくてはならず、やはり夏は凄く大変な時期なのだ。

 

 勿論休養日のようなものは与えられてはいるが、何だかんだで仕事に追われてしまう。

 そのため、その7月の中旬頃にちょっと有給を貰い、来るべき夏に向けて調子を整えていく人が結構多い。

 

 そして例にもれず、私もその一人。

 私は大学生の頃から、夏休み初頭にはパワースポット巡りをよくやっていた。

 去年は社会人になりたてで、そんな余裕もなかったけど、今年は約一年半ぶりにパワースポットを少し巡ってみようかと思う。

 

 それで、今年行くことにしたのは、とある島の神社。

 実質無人島とのことで、水族館などもあるらしく、一人で行くのは少し躊躇われる部分もあるが、面白そうなのでそこに決めた。

 

 調べてみるとどうやら、二年前のラブライブ!の覇者がこのあたりで活動していたらしい。

 その聖地として、巡礼に訪れる人も少なくないのだとか。

 

「ラブライブ!かあ...。六年前、なんだもんね...懐かしいな」

 

 ぽつりと言葉が零れる。

 

 私はスクールアイドルμ’sの一メンバーとして六年前のラブライブ!の覇者になったわけだけど、有名になってすぐに消えていったから、あまり知っている人もいない。

 勿論、私がμ’sの東條希だと知ってくれている人もたまにおり、そんな時は高校時代のことが想起されて、なんだか感傷に浸ってしまうこともある。

 

 私たちが優勝した後、ラブライブ!は社会的にも広く認知されるかなり大きなイベントとなり、私たちが残したかったものはしっかりと残すことが出来た。

 

 大学に入ってからは、なかなか見る機会はなかったものの、たまにTVで特集番組のようなものも放送されてて、その広がりはある程度ではあるが、やはり感じることができていた。

 

 もっとも、何人かはライブを実際に見に行くようなこともしていたみたいだったけど、私にはそこまではなく。

 

 結果として、最近のラブライブ!の状況に関しては詳しいことは全く分からない。

 一般人と同等程度の知識しか持っていないような状態になっている。

 

 だから、二年前の覇者と言われても、ピンとこないのだけど。

 

 まあ、せっかくこの島に興味を持ったことだし、色々見て回ってみるのも面白いかも。

 

 

 と、そんなことを考えている時に。

 

 スマホが、一着の電話を受けて振動する。

 見知らぬ番号だ。

 

「はい、東條です」

 

 もしもし、と向こうから声がして、そう応える。

 なんだかどこかで聞いたような声で、記憶を探る。

 

 

 

 そうして名乗られた電話主の名前は、予想外すぎる人で。

 

「…えっ?!嘘やん!?」

 

 思わず口を突いて出たのは、そんな一言だった。

 




鞠莉視点での書き方が難しい...。
かの有名なル〇語みたいになるのは個人的に嫌なので、カタカナを混ぜて書くこととしましたが、結局、違和感しかありません...笑。
何か方法はないものでしょうか、頑張って一番いい方法を見つけたいです。

次話はもちろん、6/13、鞠莉の誕生日に。

では、長くなってもあれなのでこのあたりで。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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