必死にもぐもぐする委員長をでろーんが頬杖つきながらニコニコ眺めるやつ。
pixivにも投稿してます。

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樋口楓は笑顔が絶えない

「おーい、美兎ちゃーん!」

「あ、楓ちゃん!」

初の大阪旅行、私の探し人は改札を出てすぐのところで待っていてくれました。

「無事に合流できたし、ご飯食べにいこ!美兎ちゃんお腹すいたでしょ?」

「そうですねー、楓ちゃんのオススメのお店って聞いたので間食我慢しましたよ、もうお腹ペコペコです」

「今からなら3時くらいにつくから、待ち時間なしで食べれると思うで、はよいこっ!」

「わっ!これ恥ずかしいですよ楓ちゃん!」

「だって美兎ちゃん土地勘のないのにフラフラ歩くから、手ぇ繋いどかんと迷子になるやん」

「わたくしそこまで子供じゃありませんよ!」

そういいつつもなんだかわたくしは手を振り払う気にはならず、なすがままに手を引かれ歩き出しました。

 

「ハンバーグステーキのお客様ー」

「あっはい、わたくしです」

「こちらプレートが大変お熱くなっておりますのでご注意ください。ごゆっくりどうぞ。」

わたくしは店員さんにお礼をいいつつも、待ちきれずにすでにナイフとフォークで切り始めていました。ナイフを突きたてた瞬間、その部分から肉汁が染み出て最高に食欲をそそります。アツアツのうちにまずは一口。

「わっ!おいしっ!楓ちゃんこれすっごく美味しいですよ!」

「んふー、せやろー?ここのハンバーグは絶品なんよ、私はいいから美兎ちゃんもっと食べな?」

「はい!でも、楓ちゃんは食べないんですか?美味しいですよ、一緒に食べましょう!」

「なはは…実は今ちょっと金欠なんよ」

「そういうことならわたくしが奢りますよ、お店を教えてくれたお礼と泊めてくれるお礼ってことで」

「んーん、私は美兎ちゃんが食べてるのをみたいからいいよ」

「もー…なんだか急に恥ずかしくなってきたじゃないですか…」

楓ちゃんが頬杖をつきながらニコニコとこちらを見つています。気になって食事に集中できません、全く、こういう時だけ目線逸らさないんですから。

「美兎ちゃんハムスターみたいになっててワロタ、焦らんでも料理は逃げないで〜」

「うるさいですよ楓ちゃん。ところでこの付け合せの葉っぱはなんていう野菜ですかね?わたくし気に入りました」

「少なくとも雑草ではないと思うで」

「そんなわたくしが普段から雑草を好んで食べてるみたいに言わないでくださいよ…」

 

会話を挟みながら食事を進めている合間にも楓ちゃんは全く視線を逸らしません。ここまでくると逆に逸らさせて見たくなってきました。

「やっぱり楓ちゃんも何か頼みましょうよ、2人で食べた方が美味しいですし、お金はわたくしが払いますし」

「んー…じゃあ、あーん」

「……はい?」

「美兎ちゃんが食べてたやつ、あーんってやってくれたら食べるよ」

「いやいやいやいや、新しく頼めばいいじゃないですか、そんなわざわざわたくしの食べかけなんかじゃなくても」

「んー、それじゃないとやぁーだ!」

「でしたら箸あげるので自分で「やぁーだ!」……子供ですかあなたは…」

「美兎ちゃんがやってくれるなら子供でもいいよ、それにここ教えたのと家に泊めてあげるお礼がしたいって言ってたやん」

「それとこれとは……はぁ、わかりました、わかりましたよ。一回だけですよ?はい、あーん」

「んふふっ、あーん」

「ほら!これでお礼は返しましたからね!」

 

やり終わってから気づいたのですが、女子2人でのやり取りというものは目立つもののようで、他のお客さんや店員さんがこちらを見て慈愛に満ちた笑みを浮かべていました。恥ずかしさで頭が真っ白になったわたくしは残りの食事をかきこみ大して味わいもせずに店をあとにしました。楓ちゃんは終始ニコニコと満足気でしたが、この子には恥じらいというものがないのでしょうか…。

 

「美兎ちゃん次カラオケいこ!カラオケ!モスラ歌って!」

「アレは特別な場所じゃないと歌えないんですよ、武道館とか」

「じゃあ私が武道館並に盛り上げるから!」

「ふふっ、卍ですね」

「っ!卍の二乗やね!」

 

それでも楽しそうな楓ちゃんを見ると全部水に流さざるを得ません。全く、楓ちゃんはズルい人ですね。

 

またわたくしは楓ちゃんに手を引かれて歩きます……きっとわたくし達ならどこだろうと手を離しはしないでしょうね。

こんな日々がいつまでも続きますように、欲張りなわたくしの欲張りな願いですが、この願いは神様なんかに頼らなくても叶います、根拠はありませんが確信はあります。

必ずわたくし達で叶えます。そう決めましたから。



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