鉄板屋「龍驤」   作:餅煎餅

7 / 11
あー、頼むから二番煎じ生まれんかなー。鉄板屋「龍驤」っていう響きはごっつ好きなんやけどなー。誰か書いて、もしくは描いてくれへんかなー。ウチがどんな形でもええから鉄板屋やってるとこ見たいわー。鎮守府内部とか隣接営業とか夢がひろがりんぐやー。

って書いてから2年経ってたことにちょっとした哀愁を感じるんやけど


07話

 出発してから数時間。オリョールまで連装砲ちゃんの速度だと1日かかるやんと思いなおしたウチは横須賀近海で営業することにした。時折、第二鎮守府の艦娘が教官である艦娘と共に抜びょうしていくのが見える。あれは瑞鳳やな、珍しい。一緒にいるのは……アカン、ウチには分からんわ。

 話を戻すが、海上営業を始めたのをどこから聞いたのか、ゴーヤが既に席に座っていた。

 

「ゴーちゃんは~、まだオリョール行ってるの~?」

「オリョール以外の選択肢はないでち」

「ゴーヤが行き過ぎて深海棲艦の対潜能力が強化されたって話聞いたけど」

「ゴーヤを誰だと思ってるんでち」

「対策されてもそんなこと言えるんか……」

「対策は無駄でち、だいたい手札に盃あるから余裕でち」

「あれ何の話してたっけ」

「なければタンで誤魔化すでち。赤か青でればラッキーでち」

「花札の話よね~?」

「でも丁半とかチンチロは無理でち。確実に取られるでち」

「オリョールは賭場だった……?」

「賭場はあかんやろ」

「奴等に法律もクソもないでち。当然上限なんてノーリミットだよ」

「誰か大損した~?」

「この前呉の提督がボーキ4万すっててクッソワロタでち」

「何やってんねや呉の提督ゥゥゥ!」

「あそこの初心者はチンチロで沈む定めにあるでち」

「覚えておくわ~」

「龍田お前行く気なんか」

「ゴーちゃん、ポーカーってどこにあるかしら~?」

「それは深海賭場ハワイ支店にあるよ。あとで案内する?」

「お願いするわよ~。天龍ちゃんと一緒にいくわね~?」

「天龍さんが負けてるの見たいだけじゃん!」

「天龍ちゃんは~、所詮、賭け事の敗北者じゃけぇ~」

「センスどころか運命の神にすら見放されとるしなぁ……」

「ジャンケンもいつも負けばっかりだしね」

「誰も取り消さないっていう非情な現実でち」

 

 

 

 

 

 

 再びゴーヤがオリョールへと向かってからしばらく時間がたったころ。

 

「暇だわ~、しまちゃんなんか面白いことして~」

「イヤだよ!?」

「ええやん減るもんないんやし」

「精神が磨り減るよ!?」

 

 ウチらはとてつもなく暇になっていた。食べるか話すか呑むかしかないし、昨日も相当語り合ったし、話の種のゴーヤも今はオリョールに行っている。

 

「もう、しかたないなぁ」

「え、やってくれるん?」

「暇になるとは思ってたよ」

「何か準備してたの~?」

「そういうわけじゃないんだけどね」

 

 島風が指をパチンと鳴らすと、どこかからズドドドと水を高速でかき分ける音が聞こえてくる。音の発信源に目を向けると、かき分けられる水で姿が隠れているものの、何かが高速でこちらに向かっている様子。たぶん連装砲ちゃんだろう。それにしても早いな。

 水をかき分けて進んできたのは、腰らしき部分に紐を巻きつけて何かを引っ張ってきた連装砲ちゃんだった。その砲身には長めの釣竿が4本刺さっており、紐の先には釣り道具の入った道具箱が浮き輪に縛り付けられている。絶対中身ぐちゃぐちゃなっとるやろそれ。

 

「釣竿を準備しましたー!」

「ちゃんと沖用か?」

「当然!」

「昔しまちゃん釣竿へし折ってたもんね~」

「だって沖の魚があんな強いって思わないじゃん!」

「岸壁のと沖のは明らかに魚のサイズちゃうやんけ」

「魚が掛かったこと自体レアケースだけどね~」

「糸短かったしな」

 

 それぞれ竿を連装砲ちゃんから借り、釣りの準備をして沖へと糸を垂らす。現役時代の話やけど、一時期食糧難に陥ったことがあるんよ。出撃よりも食糧確保のために釣竿を手に海へ出たんやけど、そのときに岸壁釣り用の釣竿を持ってった島風が釣竿をへし折ったんよね。そもそも岸壁釣り用は沖の魚の力に耐えられへん。普通に折れるって知らんかった当時のウチらはめっちゃいじってたな。これ島風には内緒な。

 

 

 

 

 

 垂らしてから10分くらいたったころ、突然ウチの竿にとても大きな力が加わる。思わず海に引っ張られそうになってもうたウチは、元艦娘パワーでどうにか持ちこたえる。

 

「おゔッ!?」

「今持ちネタパクられた気がするんだけど」

「やかましいわボケェ!」

「りゅーちゃんの竿凄いしなりね~」

「ちょっち助けてや!」

「あ、ヒットした」

「私もヒットしたわ~、頑張ってねりゅーちゃん」

「誰か助けてやぁ!!」

 

 

 

 

 それから1時間後。正直余裕がないので2人の状況を見てられない。

 

「進捗どう?」

「一進一退の攻防やね!」

「私は相当釣れたから満足よ~」

「お、弱くなってきたで、コレはウチの勝ちや!」

 

 リールを巻き上げていくと海面に黒い巨大な魚影が移る。1m以上は確定だ。結構な時間格闘したおかげで、もう魚には抵抗する力が残っていない様子。最初とは比べて素直に上へ上へと上がってくる。ここは勢いよくやらんとダメやな、思いっきり引っ張って派手に釣り上げたろ!

 

「これは大物やぁー!!」

 

 ザバアと勢いよく海から飛び出したのは黒い魚影。白い肌に黒いフードはそのままに、尻尾を体にぐるぐる巻きにして形を誤魔化しつつ、巻いた尻尾にまでペイントまで施したその姿は、どうにかしてみればマグロに見えなくもない。ご丁寧に下半身にマグロらしき尾びれスーツを着用しているあたり、奴の芸人魂が伺える。ついでに尻尾が相変わらず哀れ。

 

「…………」

「…………」

「……ハァイ、ジョージィ」

「ウチはジョージやないわボケ」

「釣レテル?」

「一時間粘って最悪の当たりやボケ」

「オーゥ……マグロジャ不満?」

「黙れやボケ」

 

 釣り針を口にくわえるその人物は、語るまでもなく()だった。いや、こいつはレやない、魚や。釣った魚は逃げないようにせんとな。

 釣り道具の箱を連装砲ちゃんに連結されている浮き輪から取り、その浮き輪の中央に奴をぶっ刺す。浮き輪にはまったレ級は身動きできずにいた。ざまぁ見やがれ。

 

「動ケナインデスケド」

「んなもん知らんわ」

「りゅーちゃん、この人誰なの~?」

「なんか浮気現場見た妻みたい」

「そんなん見ての通りマグロや」

「マグロね~」

「セヤデーウチハマグロヤデー」

「違うよね!?」

「何言うとるんや島風、そこにおるんはマグロやろ」

「動カナイトアタシ死ンジャウンデスケド」

「何この私がおかしいって流れ何!?」

「ココガ中トロデス」

「手がヒレになってる!? 芸が細かい!?」

「いやー、ええもん釣れたわー」

「そうね~」

「ココガカマトロデス」

「いやヒレで部位指しても分からないよ!?」

「これは魚市場に卸さんとアカンな」

「食べないの~?」

「今は超高級魚やからな、ええ値で売れるで。ウチの行きつけの魚市場に卸すわ」

「マグロ ハ ニゲダシタ!」

「ああっ! 連装砲ちゃんがーっ!!」

「あ、巻きつけたまんまやったな、スマンスマン」

 

 マグロに引っ張られる連装砲ちゃんの抵抗もむなしく、逃げ出したマグロは高速で離れていった。もう点にしか見えないってあいつどんな速力してんねん。マグロか。

 

「連装砲ちゃーん!!」

「アレ大丈夫なの~?」

「あー、うん、大丈夫やろ」

「しまちゃんよかったね~」

「全然大丈夫じゃないんですけど!?」

「あぁ、アイツは特殊やから」

 

 たぶん翌日あたり魚市場に引き連れて現れるやろ、たぶん。

 

 

 

 

 

 一方その頃、どこかの海にて。

 

「それにしても久々の日本だ、懐かしい」

「オウ、サッキブリヤナ。アトココ太平洋ド真ン中ネ、ジャパンカラ遠イアルヨ」

「……なんだいそのふざけた格好は」

「マグロ」

「そうじゃなくて」

「マァマァコレドウゾ」

「これは!? 島風の連装砲ちゃんじゃないか!」

「セヤナー」

「一体何をしたんだ!?」

「マグロシテキタ」

「すまない、よくわからないんだが」

「ソイツニ海案内シテモラエ」

「…………」

「アンタ方向音痴ヤロ」

「そうでもないのだが」

「方向音痴ハ皆ソウ言ウ……」

 

 




東に向かっていたら西に出ていたとか
海沿いに向かってたら内陸の町に出てきたとか
上り列車と下り列車乗り間違えて逆方向に行ったとか
6年間住んだ町で道に迷ったとか
あげく隣町で迷ったとか地元の町で迷ったとか
そんなことあったけどウチは方向音痴やないで


ネタの参考元の動画が著作権の非親告罪化に伴い、投稿者によって消えていた悲しみ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。